2023年3月1日 18:30
【インタビュー】『エゴイスト』鈴木亮平が見せる弱さや葛藤――「8割は自分」だからこそ伝わる生々しさと熱<ネタバレあり>
あそこも撮ってないんですよ。監督はもちろん、あれがキラーフレーズであり、浩輔にとってそのひと言がどれだけ大きいのかを理解しているんですけど、それでも「撮らない」という選択をしています。その場で本当に物事が起こっているようなドキュメンタリー感を大切にするという意図もあると思いますが、その後のトイレに駆け込む浩輔の姿で、お客さんは十分に感じ取ってくれるはずだ、とおっしゃっていました。
――そういう、少し変わった切り取り方をしている映画であると現場で感じながらそれぞれのシーンに臨んでいたんですか?
いえ、この作品は撮影前からリハーサルを重ねてきて、しかも台本に存在しないシーンをリハーサルで演じた部分も多かったんです。そうしたリハーサルの間も、ずっと手持ちのカメラが近い距離で回っているんですね。そうすると、逆に演技をしていても「いま、何を撮られてるのか?」というのを忘れる状況になるんです。だから撮影初日から、カメラがどこを向いていて、何を切り取っているか?ということを気にせずに現場にいられた気がします。
――完成した映画を観て、初めて「こんなふうに撮っていたのか」と気づくような?
全くその通りで、やっと最近、この映画を客観的に見られるようになってきました。