元主婦マーケティング会社経営。夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、恋人・夫婦仲相談所 運営。所長を務める。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察。恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。著作、講演、メディア取材多数。NHK離婚特集番組、セックスレス問題を考える番組等に出演。
「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクション。すべての既婚女性に送る、女性のうちに秘めるモンスターの実態を解明。
読者の方からのセックスに関するお悩みをセックスレスカウンセラーで、まじめにセックスレス、ED問題に取り組む三松真由美がアドバイスします。
男女にまつわる数々のお悩みから、女性、とりわけ妻の中に“モンスター”を見出した「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美さん。その実態を明かした人気連載「モンスターワイフ」の続編「リアル・モンスターワイフ、再び」では、三松さんが実際に遭遇したモンスターワイフの身の毛もよだつリアルエピソード、そしてあなたのモンスターワイフ度を明らかにします。
数々のお悩みから、ドス黒い闇の共通点が女性にあると感じる「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美さんによる衝撃の考察。共通する闇とは? 全ての既婚女性に送る、女性のうちに秘めるモンスターの実態を解明。
「恋人・夫婦仲相談所」の所長として、さまざまな角度から夫婦仲改善のためのアドバイスをする三松さんによるシリーズ。離婚を選択したほうが幸せになれた、つまり『ポジティブな離婚』を選択した方の実例を紹介。
子どもの独立を機に、家事・育児と仕事だけに明け暮れていた自分の人生を振り返り、突然何かに憑かれたように若返りに熱中し始める妻。一気に「若さ」と「オンナ」を取り戻そうと、ファッションやヘアスタイルも180°方向転換し、ベッドでもセクシー全開で夫に迫るも拒絶されてしまう…。 前回 ご紹介したのは、そんな「やりすぎ美魔女」の翔子さんのお話でした。 良妻賢母として長年立派に家族を支えてきた翔子さんが、どうして突然 「やりすぎ美魔女」 に変貌してしまったのか。今まさに良妻賢母として、家事に育児に仕事に奮闘しているあなたも、翔子さんと同じ轍を踏んでしまう恐れはないでしょうか。 以下のチェックテクストで確認してみてください。 ■「モダンセクシャル系モンスター やりすぎ美魔女」度チェック ここでは、あなたの「モダンセクシャル系モンスター やりすぎ美魔女」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 早いうちに結婚し、結婚後はずっと家事育児で忙しかった。 2. 「結婚したからには良妻に」、「子どもを生んだからには賢母に」という保守タイプだ。 3. 「かわいい」「きれい」「色っぽい」等、女性的なイメージのものは自分には似合わないと思っていた。 4. 「やるべきこと」ばかり優先して、「やりたいこと」をする時間がない生活を送ってきた。 5. 変身願望があり、まったく別の人生を生きてみたいと思うことがある。 6. 憧れの人について情報収集したり、マネをするのにハマったことがある。 7. 思い込みが激しいほうで、一度思い込んだら周りが見えず突っ走ってしまう傾向がある。 8. 家族や友人から「やることが極端」と評されたことがある。 9. 長いこと、夫は自分の夫というよりも、子どもの「お父さん」でしかない感じだ。 10. 自分の人生に「やり残した感」、「不完全燃焼感」を抱いている。 ■あなたの「やりすぎ美魔女」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「やりすぎ美魔女」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、やりすぎ美魔女度「C」(「良妻賢母」として全力疾走してきたけれど、「私の人生、これでいいの?」という思いを抱き始めているのでは?) ○の数が6個以上8個未満は、やりすぎ美魔女度「B」(変身願望が膨張中。これまでの人生を取り戻すべく、「若さ」や「新しい自分」に向かってひた走り始めます) ○の数が8個以上は、やりすぎ美魔女度「A」(あなたの変身計画は、もはや誰にも止められません。夫はあなたの変貌ぶりに戸惑っているはずです) 夫の正人さんに向かって、離婚まで切り出した翔子さん。その後、2人はどうなったのでしょうか。 このご夫婦、奥さんも旦那さんも、基本的に「良い妻」「良い夫」。ともに真面目な働き者で、「お父さん」「お母さん」として協力し合い、2人の息子さんを立派に育て上げました。 しかし翔子さんは 「良妻賢母」を頑張りすぎました 。家事・育児・仕事だけに全力投球。若くして結婚してから下の子どもが独立するまで、「自分のやりたいこと」について考えたこともなければ、「自分の時間」を持ったこともありません。時間もお金も、すべて家族(主に子ども)に捧げる生活を送ります。 そして、子どもの独立とともに訪れる 「空の巣症候群」 。これまで時間とお金、心身のエネルギーのすべてを注いでいた対象を失って、どう生活していけばいいか分かりません。 ラブラブの夫婦なら、「これからは夫婦水入らずで楽しく過ごすぞ!」ということになり、なんの問題もないのです。ところが、それまで「お父さん」と「お母さん」でしかなかった大半の夫婦は、そうはいきません。 「お母さん」の役割を失った妻 は途方に暮れ、子どもがいなくなった家での「お父さん」とのかかわり方に戸惑ってしまうでしょう。 そんな手持ち無沙汰な日々を送る妻が、ひょんなことから興味をひかれるものを見つけると、ポーンと たがが外れる 場合があるのです。「やるべきこと」を必死にこなす長い年月の末に、突然、自由に使える時間とお金ができたのですから、当然といえば当然です。そして、それまで真面目一筋、質素一辺倒というタイプだった人ほど、その反動で 極端な行動に走る ことが多いといえるでしょう。 翔子さんは、まさにその典型例でした。美容やファッションと無縁な生活から、時間もお金も一気に「美」と「若さ」に傾注。「これまでできなかったことを、今から全部やる」「失った時間を取り戻す」という意気込みはすさまじく、「節度」などという概念は頭からすっぽり抜け落ちてしまいました。 さらに悲劇だったのは、若さと美しさに向かって突っ走った翔子さんの目標地点が、夫の正人さんの好みとはかけ離れたところにあったことです。夫婦が長年「お父さん」と「お母さん」でしかなかった場合、夫も妻も相手の 異性の好みに鈍感 になってしまうのは避けられません。 正人さんにも問題はありました。これまで美容に気をつかう暇もないほど、家族のために尽くしてきた妻。夫がそんな妻の労をねぎらい、「今からでもきれいになりたい。女性として大切にされたい」という妻の思いに寄り添うことができたなら。そうすれば、翔子さんのベッドでの「大爆発」のような事態は回避できたはずです。 とはいえ、正人さんも長年忙しく働いてきて、妻の心情の変化やその背景を緻密に読み取れるほど、妻の観察や分析に傾ける時間がありませんでした。こうした状況が、妻の「空の巣症候群」を深刻化させ、 熟年離婚 にもつながっていくのです。 ■「本当に美魔女になりたいの?」暴走に気づかせてくれたのは… 若さとオンナを取り戻したくて 必死の妻 。妻の変貌ぶりを理解できず、 恐怖すら覚える夫 。そんな状況に陥ってしまった翔子さんと正人さんを救ったのは、結婚して他県に住んでいた長男、雄太さんでした。 妻が友だちと週末旅行に出かけた雄太さんが久しぶりに実家に帰ると、両親は 未曾有の冷戦真っ只中 。驚いた雄太さんは、両親それぞれに話を聞きます。 父、正人さんの言い分はこうでした。 「お母さんが突然、年甲斐もなくおかしな格好をし始めた。派手で若作りの化粧や髪型は、 正直気持ちが悪い 。ダイエットにもやたら必死になっているし、もういい年なのに今さらなにがしたいのか、 全く理解できず困っている 」 これを聞いた雄太さんは、こう言って父親を諭したといいます。 「父さん、それはひどいよ。父さんは『突然』って言うけど、母さんはこれまで、おしゃれしたくてもそんな時間なかったじゃないか。和明が家を出て、ようやく時間もできて、お金の心配もいらなくなったからじゃないの。確かに派手な服や髪型ではあるけど、母さんの気持ちもちょっとは考えてあげなよ」 そして「きれいになろうと頑張っているのに、お父さんはほめてくれるどころかけなすだけ。 もう離婚したい 」と言う母の翔子さんには、こう声をかけたそうです。 「確かに父さんは女心が分かるタイプじゃないから、母さんもつらいだろうけどさ。でも、父さんを振り向かせたいなら、 頑張る方向が違う んじゃないの? だって父さんは『吉永小百合さんは永遠の美少女だなー』とか言ってるタイプだよ。奥ゆかしい清楚系っていうの? そういうのが好きなんじゃない? 少なくとも『とにかく若くて細い、今風の子がいい!』っていうタイプじゃないよ、父さんは」 目からウロコ状態の翔子さんに、雄太さんはさらに言いました。 「母さんがピンクのスカートや花柄のワンピースが好きで、そういうのを着るのが楽しいって言うなら、それが父さんの趣味じゃなくても、俺はいいと思う。母さん、俺と和明を追っかけ回すのに忙しくて、動きやすい格好ばっかりだったでしょ。やっと時間もお金もできたんだから、母さんが本当に 好きなことをやればいい んじゃない」 息子にそう言われて、翔子さんはハッとしました。 私はピンクやらサテンやらミニワンピやらシースルーのスリップやら…そういうものが、 本当に好きなのかしら? いや、違う。気づいたらすっかり年をとっていたことがショックで、とにかく若返りたいと思ったばっかりに、分かりやすい「美魔女」のイメージにすっかり執着して、分かりやすい「今風の若い女の子」のイメージを追いかけていただけだ。 ネットや雑誌が発信するイメージ通りの「若くてきれいでセクシー」な女性になれば、夫も自分に振り向いてくれるはずだと思い込んで、ことが期待通りに進まないと夫を責めて…。 「私は夫の好みどころか、自分が本当はどうしたいのかすら、ちっとも見えていなかったんです」と翔子さん。そして、 ネットや雑誌に踊らされ ていたのはファッションに関してだけでなく、セックスについても同じだったようです。 「20年間スキンシップらしいスキンシップもない状態だったのに、突然スケスケの下着でセックスを求められたら、そりゃあ夫だって困りますよね。冷静になった今なら、それくらい分かるんです。でも当時は、ネットで『してる女性は若々しい!』『女性としてのツヤや潤いを保つには、セックスが不可欠!』というような記事ばかり読んでいて。 本当にお恥ずかしい話なんですけど、『私の身体の中にペニスでしか押せないスイッチのようなものがあって、セックスでこのスイッチが押されれば、女性ホルモンが活性化して若返る』みたいなイメージで、頭がいっぱいだったんですよ。だからなにがなんでも、 とにかくセックスにこぎつけなきゃ 、って思いつめていて…」 夫に怖がられて当然でしたよね、と苦笑する翔子さん。 息子さんのおかげで目が覚めた翔子さんと、妻の女心を理解しようと努めるようになった正人さん。以前よりも会話が増えて、2人で過ごすこれからの人生について、楽しく前向きに考えることができるようになったそうです。 翔子さんのケースを踏まえて、私から読者の皆さんにお伝えしたいこと。それは、徹底した自己犠牲に基づく良妻賢母的生活は、妻たちの心の中に「やりすぎ美魔女」の卵となる 「やり残した感」 を蓄積していく可能性がある、ということです。 もちろん、良妻賢母を目指すのは素晴らしい。けれど、自分の好きなこと・やりたいことにひたすら目をつむって家族のために頑張って、20年後に「これまでずっと努力と忍耐ばかりだった! 私の人生を返して!」ではいけません。 それに、いくらやるべきことを完璧にこなしてくれても、頑張り通しでいつも クタクタ・ぼろぼろ・イライラ感満点の妻・母では、夫も子どもも幸せではない のです。 20代から40代の、家庭でも仕事でも忙しい時期であっても、自分の希望も忘れないようにすることが大切です。夫にかわいくお願いして、子どもにやさしく協力を仰いで、できる範囲内で好きなことをする。息を抜く。風を通す。わがままの一つも言う。 「あなた、節約もっと頑張るから、このコート、買ってもいいかな? 「ママ、来週は隣町の美容院に行ってみたいから、パパとお留守番しててくれる?」 そして、笑顔のあなたの「ありがとう!」が聞ければ、家族みんながハッピー。妻が「やりすぎ美魔女」の卵を抱え込むこともないのです。 「私は50代で、『やり残した感』のかたまりなんですけど…」という方もいるでしょう。これまで妻業・母業のみに専念していて、「自分の好きなこと・やりたいことなんて考えたこともなかった」という人は、自分が本当に好きなテイストや、自分に合ったスタイルが確立されていません。 そんな状態で「さあ、今から時間とお金をどう使おう?」という女性にとって、 現代社会はとても危険で落とし穴がいっぱい 。スマホひとつあれば、ありとあらゆる情報が流入してくるのです。 一度ネットの世界に繋がってしまえば、メディアが発信するメッセージや、「世間一般」の声をシャットアウトするのはもはや不可能。加えて怒涛の広告攻撃。 「自分のスタイル」がない女性は、目を奪われたキャッチーなものに あっという間に夢中になり、執着 してしまう恐れがあります。自分は本当にそれが好きなのか、それは自分に似合うのか、夫はどう思うかな? などと考える暇もなく。 また、自分が本当に好きなものは見つけることができた。でも、それが夫の好みとは異なる…という人もいるでしょう。 例えば、自分はセクシー系に挑戦してみたいけれど、夫は清楚系が大好き。あるいは、自分はシンプルでナチュラルなスタイルこそ大人のおしゃれだと思うけれど、夫は女性には華やかな色っぽさを求めている。 いくら仲良し夫婦になるためとはいえ、夫の好みに合わせて自分の好みをねじ曲げたり、自分の好きなものをあきらめてばかりいるのは健全ではありません。 では、どうするか? あなたが「夫を喜ばせてあげようかな」と思うなら、エンターテイナーになったつもりで、夫の喜びそうなスタイルを実現してあげればいいでしょう。 サービス精神旺盛な器の大きい妻は、愛され妻 になれます。夫と出かける時には夫の好きなスタイル、自分ひとりの時には自分の好きなテイストを満喫、というように自分の趣味も上手に楽しめば、不満をためこむことも避けられます。 いやいや、私はどうしても自分の好みを優先したい。夫が眉をひそめるようなものであっても、わが道を行きたい、という場合。そんな時には、「私の 趣味を認めてくれてありがとう 」という気持ちを持つことです。自分の好きなことを好きなようにやっていて、「夫がほめてくれない」などと不機嫌になるのは、お門違いというもの。わが道を突き進むのなら、この点を忘れないようにしてください。 夫の目から見たら「なんじゃこりゃ」と思うような格好をしていても、心底それを気に入って妻がイキイキと楽しみ、「これいいでしょ? ほめてよ!」などと夫に強要さえしなければ、 「そんなに好きならまあ、いいか」 と大目に見てくれるものです。 妻になっても、母になっても。役割が増えても、 あなたの人生はあなたのもの です。果たすべき役割が変わったり減った時に、「やり残した感」にさいなまれて自分を見失わないように、「役割」が許す範囲で自分の人生を楽しんでください。 そんな生き方が、「やりすぎ暴走モンスター」からあなたの身を守ってくれます。
2018年09月30日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 「いつまでも若く美しく」。それは女性の究極の願い。 そんな女性たちの願望を反映して、今やアンチエイジングは一大産業です。美容院やエステサロンのソファでめくる美容雑誌。息を飲むほど美しいモデルたちの笑顔…。 最新の技術・研究のおかげで、女性たちの「見た目年齢」はかつてないほどの若返りを実現しました。ついには 「美魔女」 と呼ばれる女性たちまで登場しました。 妻たちがいつまでも若々しく、かわいらしく、女性らしい…。そんな社会が到来すれば、私の人生テーマである「仲良し夫婦」の人口は確実に増えていくでしょう。 ところが残念ながら、女性なら誰もが持つこの 「アンチエイジング願望」が暴走 し出し、妻をモンスターワイフ化させてしまう恐れがあるのです。 「若くありたい。誰よりも美しくありたい」 そんな女心に、モンスターがつけ入るスキを与えないよう、今回ご紹介するケースを他山の石としてください。 ■子どもが独立「残ったのはオバサン化した自分だけ」美魔女ブームにあせり… 「モダンセクシャル系モンスター やりすぎ美魔女」代表:翔子(仮名)49歳の場合 「え、この人が50歳? ウソでしょー!?」 リビングのソファでスナック菓子をつまみながらスマホをながめていた翔子は、一人で大声を上げてしまった。 1年前、長年使用していた「ガラケー」がとうとう故障。翔子はいらないと言い張ったが、次男の和明に「今どきガラケーなんてもう売ってないから」と説得され、新しく持たされたのがこの スマホ だった。 少し前まで翔子のスマホは、ガラケーと同じように電話とメールにしか使われていなかった。ところが3カ月前、和明が大学を卒業して就職のために首都圏へ引っ越すと、 ポッカリと空いた時間と心の隙間 を埋めるように、翔子はスマホが手放せなくなった。 翔子は21歳の時に、同い年の正人と結婚。2人の息子に恵まれた。正人は真面目な働き者。しかし小さなメーカーに勤める夫の収入だけでは、大学卒業まで続く息子2人分の教育費などをまかなうのは難しい。そう考えた翔子は、若い頃からあらゆるパートに精を出した。5年前からは近所のスーパーで、週に5日働いている。 そんな翔子の努力を知ってか知らずか息子たちは立派に育ち、2人とも国公立大学に進学してくれた。そして兄に続いて優良企業への就職を果たした次男も、ついに 実家を巣立っていった のだった。 長い間、子ども中心に過ごし、夫よりも子どもたちと一緒に過ごしてきた翔子。2人の子どもが独立した今、家での時間をどう過ごしていいか分からない。夫と話をしようにも、息子たちの近況やテレビニュースくらいしか話題がなく、 会話が続かない 。 そんな時、次男が残していってくれたスマホが目に止まった翔子。彼女は驚いた。 こんな小さな携帯ひとつで、あらゆる情報が瞬時に手に入る。ネット上には料理のレシピにダイエットのエクササイズ、あらゆる情報があふれている。しかもそれらが全部タダ。翔子は一気に ネットサーフィンのとりこ になった。 そんなある日。健康に関する情報を探していた翔子は、とある美容サイトにたどり着いた。そこで彼女は耳慣れない言葉を目にする。 「美魔女…?」 そこには女優かなにかのような、華やかな女性の笑顔。その横にはひとこと、 「私、50歳に見えますか?」 。 「50歳って…私より年上!?」 翔子は衝撃を受けた。そして思わず、リビングの鏡の中の自分の顔をのぞき込む。…スマホの中で微笑んでいるこの女性と私は、まるで 別の生き物 だ。 これまで家事や育児とパート仕事ばかりの生活で、自分の外見だの美容だのといったことは、気にかけたことすらなかった。けれど特に根拠もなく、自分の見た目は「年相応」だろうと思っていた。ところが、私が忙しく日々を過ごしているうちに、「年相応」などという基準はなくなってしまったらしい。 そう思ったらなんだか急に、翔子は自分のたるんでくすんだ肌、最後に美容院に行ったのがいつだったか思い出せないほどのバサバサ髪を、とても みじめに感じた 。 「こういう人たちってどうせ、ものすごいお金持ちの奥様とかなんでしょ。庶民は足を踏み入れることもできないような、会員制高級エステとか? そんなところの化粧品ばっかりそろえてるのよ。そりゃあ金に糸目をつけなければ、美しさも買えるってもんよね…」 くやしまぎれにブツブツ言いながらスマホをいじっていた翔子の指が、ピタリと止まった。 「奇跡の美魔女・麗子さんプロデュースのコスメの購入はこちらから…? え、なに、この人が使ってる化粧品が、買えるの? それもスマホで?」 翔子は思わずネットショップのページへと飛び、「おためしセット」の値段を確認してしまう。 「2週間分が3,000円って、高い! いつもドラッグストアで買ってるオールインワンジェルは1,000円しないし、2カ月はもったわよね。お得なセットで3,000円って、高すぎるわよ!」 そう思いショップのページを閉じようとした翔子だったが、ふと考えた。これまで和明にかけてきた お金、これからはある程度自由になる のよね…。 次男の引越しがすんで以来、翔子の銀行口座の残高は増える一方だった。パートとはいえ、週に5日働いていればそこそこの額が稼げる。老後に備えるためにも、もちろん給与のすべてを「おこづかい」として使えるわけではない。 けれども、これまでなんだかんだと息子のために消えていったお金の一部を、 自分のために使ったってバチは当たらない だろう。これまでずっと、家族のために頑張ってきたんだから…。 それでもまだ躊躇(ちゅうちょ)している翔子の背中を、スマホで微笑む美魔女の麗子さんが押した。 「私が特別なわけではありません。丁寧なお手入れを続ければ、あなたの中の若々しさや美しさも、必ず目を覚まします」 「…よし!」 翔子は「購入」ボタンをクリックした。 ■美魔女活動に精を出す妻「若さを取り戻したい!」しかし、夫は無関心… その日から翔子の 生活は一変 した。 ヒマさえあれば、スマホで美魔女情報探し。彼女たちは、その実年齢がとても信じられないほど若々しく、かわいらしい。私だってもっと若ければ、こんな服を着てみたかった。こんな髪型にも挑戦してみたかった。美魔女たちは翔子がそんな風に憧れるスタイルを、年齢にとらわれず自由に楽しんでいるように見える。 そんなスマホの向こう側の美魔女たちを連日ながめているうちに、翔子は自分の人生は間違っていたのではないかという 絶望感 にさいなまれ始めた。 私はずっと家事と育児に追われて、一番きれいな時期、楽しい時期を、これっぽっちも楽しまずに年をとってしまった。体重もシミもシワも、白髪までどんどん増えて、花柄のワンピースもピンクのミニスカートも、明るい色のゴージャスな巻き髪も、私にはもう無理…。心を押しつぶすような後悔の念が、翔子に重くのしかかる。 「今から、少しでも 若返りたい 」 そう切望した翔子は、「有名美魔女」オススメの商品とあらば、化粧品であれサプリメントであれ飛びつくようになった。当然、パートの給与はどんどん消えていくため、それまでは「家庭第一」と断っていた週末の出勤や遅番も、翔子は引き受けるようになった。さらにダイエットのために、毎日最低1時間のウォーキングも開始した。 使える時間とお金を一気に美容に傾注した甲斐あって、翔子の体重は順調に落ち、肌や髪もツヤを取り戻し始めた。パート仲間たちは、すぐに翔子の変化に気づいてくれた。 「なんだか最近スッキリしたね!」 「お肌の調子が良さそう。化粧品変えたの?」 そんな言葉をかけられるたびに、翔子は幸福感に満たされた。結婚後すぐに妊娠。 出産して以来ずっとあきらめてきたもの を、私は今、取り戻している。そう思ったら、翔子の若返り熱にはもう歯止めがきかなくなった。 「私だって美魔女になりたい。若い頃にできなかったことを、今からだってやってみたい」 憧れの美魔女たちのブログやインスタグラムをくまなくチェックするのが、翔子の日課になっていた。彼女たちの生活の中に少しでもマネできそうなことを見つければ、すぐさま自分の日常に取り入れる。 近所の大型衣料品店で買っていたダボダボの部屋着は、丈の短い花柄のワンピースになった。「近いから」というだけの理由で10年以上通っていた美容院は卒業。ネットで見つけたおしゃれなヘアサロンで、カラーリングとパーマをオーダー。 ファッション雑誌など以前は買ったことがなかったが、今では毎月2冊以上を購読。それも「無難に年相応」な雑誌ではない。美魔女たちをマネて20代の女の子のようなかわいらしさを追求し始めた翔子は、 20代向けの女性誌を読みあさる ようになる。 美魔女たちがSNSで発信しているように、「愛され系」「艶っぽ系」に大変身して、夫ともラブラブ…というのが、翔子の思い描いたシナリオだった。 ところが…これだけ努力して成果を上げているにもかかわらず、夫の正人が翔子にほめ言葉らしきものをかけてくれたことは一度もない。 「お父さん、私8キロも痩せたのよ。部屋着だってすごくおしゃれに、女っぽくなったでしょ。お肌も髪も若返ったって、パート仲間にもほめられるのよ。なのにお父さんは、どうしてなにも言ってくれないの?」 夫が 鈍感なタイプ であることは、もうずっと前から分かっていた。でも、それにしたって…これだけきれいに、色っぽく若返ったのだ。面と向かってほめるのが照れくさいなら、ちょっと態度がやさしくなるくらいでもいい。 これまでの結婚生活で捨てざるを得なかった「オンナ」を、私は今取り戻そうとしているのだ。夫にも私のことを、 ひとりの女性として扱って欲しい 。美活に没頭する一方で、翔子のそんな欲求不満はどんどんふくらんでいった。 ■夫とセックスレス「露出多めの下着やナイトウエア」で迫ってみたものの… そんなある日、いつものようにスマホでアンチエイジングの特集記事を読んでいた翔子は、衝撃的な見出しを目にする。 「いつまでも若い女性は、ベッドでもいつまでも現役!」 「女性ホルモンの分泌を促進する『若返りセックス』!」 翔子は動揺しつつ、記事を読み進める。 「いくら努力してスタイルやお肌のコンディションを維持しても、セックスから遠のいてしまった女性には、女性らしい艶や潤いが足りません。 ベッドでもいつまでも『現役』の女性は、セックスなしでは醸し出せない女らしさ、色気をまとっています。そんな女性は、いくつになっても魅力的。セックスによって女性ホルモンの分泌が促進されると、女性は心も体も若返ります。 セックスこそ、最高のアンチエイジング なのです」 翔子は愕然とした。どんなに時間とお金をかけて努力しても、セックスなしじゃダメってこと? もしかして、「美魔女」たちがあんなに輝いてどこからどう見ても年齢不詳なのは、セックスの効果? セックスこそ、アンチエイジングの決定打ということか…。 そこまで考えて、翔子は思考停止におちいってしまった。 セックスって、私もうどれだけしてないのかしら。次男が生まれてから、ほとんどしていない気がする…ってことは、20年以上!? 希望通り2人の子どもを授かって以来、セックスについて考えたことなんてなかった。でも美魔女たちは、40代、50代になっても「してる」ってこと? セックスがアンチエイジングの最終兵器になるというのなら、絶対に試してみなければ。「ラブラブ夫婦」への突破口も、ここから開けるかもしれない。翔子は 夫をベッドに誘う決意 をした。 金曜日の夜。それほど遅くなる前にベッドに入った翔子は、夫の背中に手を置いて話しかけた。 「ねえ、お父さん…」 「あ?」 正人の声はすでに眠そうで、話しかけられて迷惑そうな様子。 「あ、なんでもない」 翔子はあわてて手を引っ込める。あまりにも久しぶり過ぎて、 どこからどう話を切り出していいか分からない 。どうしたものかと策をめぐらせていると、1分もたたないうちに夫の寝息が聞こえてきた。翔子は仕方なく、自分も眠りにつくことにした。 翌日。翔子はスマホとにらめっこしながら、「夫をさりげなく誘う方法」をリサーチしていた。「愛され妻になるための方法」といったホームページやブログが、山のようにヒットする。 「完全なマンネリ夫婦で色っぽい雰囲気にならないのなら、ナイトウエアを工夫してムードを演出?」 ナイトウエアって、パジャマのことでしょ? パジャマなんて私、ショッピングモールの福袋に入ってたのをなにも考えずに着てたわ…。 その記事には、ツヤツヤしたサテンのネグリジェの写真が添えられている。 かわいい…でもこんなの、若い子向きでしょ。あ、このページから、オンラインショップにジャンプできるのね。今ならセール中で4,000円? 私の年齢じゃムリかと思ったけど、家で、しかも夜しか着ないんだからいいかしら。それに、うちの お父さんは鈍感 だもの。これくらい思いきらないと、気づいてもらえないかもしれないわ。 結局、翔子はその日、「おうちでもオンナに手を抜かない」「寝姿もセクシーにかわいく」というキャッチコピーのパジャマやネグリジェを3着購入した。すぐに購入した商品は届き、早速鏡の前で身に着けてみる。ダイエットの甲斐あって、体のラインがあらわになってももう見苦しいことはない。 お父さん、なんて言うかしら。翔子はドキドキしながら夜を待った。ところが…正人はネグリジェ姿の翔子をひと目見るなり、「なんだ、そりゃ」と眉をひそめた。 「ネットでね、セールになってたの。たまにはこういうのもいいかと思って…」 「いくら安くても、それはないだろ。そんなスースーした格好して、腹こわすぞ」 それだけ言うと、正人は翔子に背を向けて、いつも通りすぐに寝入ってしまった。そして、残念ながら購入した残りの2着についても、夫の反応は翔子の 期待を裏切るものばかり だった。 「一体なんのつもりだ。風邪ひくぞ」 「年を考えろよ」 「悪趣味だな」 翔子はすっかり気落ちしてしまった。いい雰囲気になるどころか、 夫は冷たい言葉でダメ出しの連発 。悲しいと同時に、夫に対して腹も立った。 一体どうすれば、このマンネリを打開して、20年ぶりのセックスにこぎつけることができるのか…そんな悩みを抱えてスマホにすがりつく翔子の目に、今度はこんな記事が飛び込んできた。 「抱かれる女性は下着にこだわる」 「エロかわいい大人ピンクで、男性をトリコに」 そのページで紹介されているのは、ふんだんな黒のフリルで飾られた、ショッキングピンクのシースルースリップだった。 女の私から見ても、すごくセクシー…。 こんな下着姿で迫られたら、男性なら誰でも心奪われるはず 。気づいた時、翔子はすでに、そのスリップの「購入』ボタンを押していた。 今度こそイケるはず。この一着で、勝負を決める。翔子の意気込みにはすさまじいものがあった。 スリップが届いたその晩。翔子は早速これに身を包み、夫の布団に入っていった。正人の目は驚いたように見開かれている。でも、ここで尻込みしちゃダメだ。今夜こそ、20年ぶりのセックスに持ち込む。翔子の決意は揺るがなかった。 「ねえ、お父さん。私、最近きれいになろうとすごく頑張ってるのよ。結婚してから今までずっとバタバタしてて、そんなこと言ってる余裕がなかったけど…。それでね、お父さん。お父さんともまた…」 「おいおい、一体なにがどうなってるんだよ!?」 翔子の言葉をさえぎって、正人がほとんどどなるようにして言った。 「 お前最近おかしいぞ 。なにがあったんだよ。突然、濃い化粧なんか始めるし、髪型も派手になるし、服やアクセサリーだって年甲斐もなく…。それにその格好。一体なにがしたいんだよ。どうしたんだよ、一体!?」 翔子は絶句した。 あんまりだわ。確かに私はもう20代じゃない。美容からもファッションからも、長年遠ざかっていた。だけど、私がそんな人生を送ってきたのは誰のせい? お父さん、あなたのせいでもあるんじゃないの? 私だってお金持ちの家の奥さんだったら、もっと若い頃から美容やファッションに気をつかえたはず。もしかしたら今頃は、「美魔女」のようになれていたかもしれないのに…。 私はずっと、家計を支えるために働きっぱなしだった。仕事で忙しいあなたの分まで、男の子2人の相手も一手に引き受けた。元気いっぱいの息子2人と外をかけずり回ってできた、シミやシワ。スーパーで買ったお菓子をドカ食いするくらいしかストレス解消法がなかったせいで、ついてしまった脂肪。 これまでずっと、 こんなにも家族に尽くしてきたのに 。それなのに…あなたは私の気持ちなんて、これっぽっちも分かってくれないのね。きれいになりたい、女性として扱われたいという女心を、そうやって踏みにじるのね。 気づくと翔子は、不気味なくらい静かな声で夫に語りかけていた。 「 家政婦 にオンナもきれいさも求めない、年相応に老け込んでいけばいいって言いたいのね」 「は? 家政婦? 誰もそんなこと言ってないだろ」 「お父さんのせいよ!」 突然激昂した翔子に、正人は固まった。 「若い時にやりたいこと、なんにもできなかったのはお父さんのせいよ! 私はお金も時間も、ちっとも好きなように使えなかった。夫婦仲良く、なんて言ってる余裕もなかった。だから今からでもって思ったのに、そうやって私のことバカにして…。 私の若さを返して! 私の人生を返してよ! お父さんとなんてもう一緒にやっていけない。離婚してちょうだい!」 ピンクのシースルースリップ姿で、泣き叫ぶ翔子さん。彼女の胸は、張り裂けんばかりに傷ついています。一方、夫の正人さんも、妻の変貌と突然の大爆発に唖然。妻に恐怖すら覚えています。 長年良妻賢母として家族を支えてきた翔子さんを、 「やりすぎ美魔女」モンスター と化すまで追いつめたものとは、一体なんだったのでしょう。 次回、チェックテストとともに解説していきます。
2018年09月29日夫に大切にされる生活を夢見て結婚するも、独身時代のようにかまってもらえず不満爆発。結婚生活の憂さを晴らそうと合コンにのめり込んでいった香織さんのケースを、 前回 はご紹介しました。 吟味を重ねて理想の夫と結婚したはずの香織さん。彼女はなぜ 「誰でもいいからかまって欲しい、抱いて欲しい」 と合コンを渡り歩く 「合コン狂いの人妻かまってちゃん」 と化してしまったのでしょうか。 また、香織さんのエピソードを他人事のように感じるあなたも、そのリスクをまったく抱えていないとは言いきれません。以下のチェックテクストで確認してみてください。 ■「モダンセクシャル系モンスター 合コン狂いの人妻かまってちゃん」度チェック ここでは、あなたの「モダンセクシャル系モンスター 合コン狂いの人妻かまってちゃん」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 人気スポット、新しい飲み屋やレストランの情報を知ると行ってみたい。 2. 学生時代からチヤホヤされてきて、それが快感だった。 3. 複数の男性がいる場所が心地よい。 4. 自分ひとりで楽しめる、没頭できる趣味がない。 5. 付き合いが長い、深い話をできる友人がいない。 6. 自分に甘い言葉をかけてくれる相手が、常に一緒にいてくれないと心細くなる。 7. セックスをしないと「自分は男性に求められる魅力的な女」と感じられず、不安になる。 8. 夫は、自分より家庭のことを最優先に考えなければいけないと思う。 9. 結婚しても「女」でいたいし、夫がその要望を満たしてくれなければ、婚外交渉はしかたない。 10. SNS の友だちは当然男性の方が多い。 ■あなたの「合コン狂いの人妻かまってちゃん」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「合コン狂いの人妻かまってちゃん」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、合コン狂いの人妻かまってちゃん度「C」(あなたの中の「かまってちゃん」が、夫にうとんじられ始めます) ○の数が6個以上8個未満は、合コン狂いの人妻かまってちゃん度「B」(「夫がかまってくれないなら、よその男性と…」と、気持ちが浮わつき始めていませんか?) ○の数が8個以上は、合コン狂いの人妻かまってちゃん度「A」(「もう誰でもいいから、私に優しくして!」…なりふり構わない状態です) 「合コン狂いの人妻」モンスターの背後に潜んでいるのは「かまってちゃん」。とにかく誰かに甘えたい、自分を認めて欲しくて仕方がない。そして、そんな「かまってちゃん」な性格の背景には、自分への自信のなさが潜んでいます。 ■合コン狂いの毎日…目が覚めた一言は? 前回の香織さんは、若い頃からかわいいと持ち上げられ、社交的な性格で大企業にも就職することができました。「理想の男性」と結婚して、大満足。自信に満ちあふれているタイプなんじゃないの? と思いますよね。 ところが結婚後、夫は思ったほど自分を満足させてくれない。専業主婦として家にいるので、さまざまな男性からチヤホヤしてもらえるチャンスもない。 そんな状況に直面して、香織さんが心の奥底に隠し持っていた 「自信のなさ」 がチクチクと刺激され始めました。仕事にも、人間関係の構築にもどことなく集中できず、最後までやりきることができない 弱い自分 です。 独身時代はみんなにきれいと言われ、合コンに参加すればいつだって人気者。しょっちゅうデートに誘われて、自分はすごくイイ女、価値のある女だと思っていました。 しかし、いざ結婚してみたら、夫は思うようにかまってくれない。しまいには、私のことが鬱陶(うっとう)しいとでもいうような、ウンザリ顔をするように。 結婚生活には、合コンもデートもなし。暇だし寂しいし、 夫も相手にしてくれない し。一体、私はどうすればいいの? 趣味に没頭してみる? あれ? でも私、没頭できるような趣味なんてないわ。 友だちに会う? でも私、一緒にランチに行くような同級生や同僚はいたけど、友だちらしい友だちって、そう言えばいない。 なにかやりがいのあるもの、生活にハリを与えてくれるようなものを探さなくちゃ。だけど、一体なにをすれば? 習い事なんて、飽きっぽいから絶対続かないし。勉強? 資格? 今さらなんのために? そもそも私、興味を持てるものが全然ないのよね…。 結婚して自分を持ち上げてくれる取り巻きがいなくなり、夫との関係も悪化した途端、実は自分が からっぽ だったことに薄々気づき始めた香織さん。 誰かにほめてもらわなければ、甘い言葉をかけてもらわなければ、自分を保っていられないという 恐怖感・飢餓感 におそわれ始めます。こうなると「かまってちゃん」に余裕なんてまったくありません。 根気よく夫婦関係の改善に努めようなどと言っている場合ではない。「誰でもいいから」、とにかく自分に振り向いてもらいたい、自分には まだ魅力があると証明して欲しい のです。 そうして、自分の中の「かまってちゃん」に急き立てられ、みるみるうちに「合コン狂いの人妻」と化していく。家庭の空気はますます悪化、セックスレスは最長記録を更新。心身ともに耐えられなくなった香織さんは、 いつ誰と肉体関係を持とうか 、そんなことばかり考えるようになりました。 そしてある日、ついに合コンで意気投合した男性と 「今夜は一線を越えてしまおう」 と心に決めます。ところがこの夜が、香織さんにとって思いがけない転機となります。 今夜は下着も最高にセクシーなランジェリー。そうだ、もう一度香水をつけ直しておこう…。そう考えて、パウダールームに立った香織さん。ドキドキしながら合コンの場へ戻る途中、参加者の男性がトイレから出て来るのが見えました。香織さんの足が、ピタリと止まります。 「人妻・香織ちゃん、ガンガンきますねー」 「なに、お前。香織ちゃんがタイプ?」 そう言って笑いながら続いて出てきたのは、なんと香織さんがお目当てにしていた昌弘さんでした。 「タイプもなにも、既婚者なんてありえないですけど。でも、一度だけお持ち帰りくらいなら、アリかなーって。あとくされないもん」 「お前、やめとけよー。一度だけのつもりだったのに、『旦那と別れるから、私と一緒になって!』とか突っ走られたらどうするんだよ。ああいうタイプは面倒くさそうだぞー。 結婚してんのにメチャクチャ張り切って合コン参戦 してきて、マジすぎて怖いじゃん」 昌弘さんの言葉に、香織さんは血の気が引いていきました。それでも男性2人は笑いながら話し続けます。 「確かに、 『私を見て見て!』アピール がスゴすぎてちょっと引きますよね。 欲求不満感 がにじみ出てるっていうか…」 「だろ? 人妻なのに必死過ぎ て、あんなのに本気になられたらホラーだよ。確かにきれいはきれいだけど、俺は旦那に同情するね」 そこで、ようやく2人は香織さんの存在に気づき、顔面蒼白に。香織さんのほうはもっと真っ青です。その場を取りつくろう術など思いつかず、そのままお店を飛び出しました。 ■依存しない自立した女性を目指して奮起した香織、すると… その後しばらくの間、引きこもりのような状態になった香織さん。「合コンの女王」の友人との連絡も途絶えました。 夫婦仲は完全に破綻していたので、夫に甘えることもできません。ひとりぼっちで悲しみ、怒り、屈辱感、寂しさや虚しさ等々、あらゆるネガティブな感情にさいなまれた日々の末に、香織さんは 「目が覚めた」 と言います。 「私にはなんにもなかったんです。趣味も特技も、友だちも仕事も。生きがいとか、夢中になれることも…。本当にからっぽだった。 それを認めたくなくて、甘い言葉をかけてくれる、いい気分にしてくれる誰かにいつもそばにいて欲しかった。でも、自分を甘やかしてくれる人の間を渡り歩いてみたところで、 からっぽな自分はなにも変わらない んですよね。そりゃあ、夫にも愛想を尽かされますよね」 それに気づいた香織さんは、現実を直視せざるを得なくなりました。会話もスキンシップも完全になくなっていた夫には、いつ離婚を言い渡されるか分からない。 資格もなにもない自分が今から再就職先を探すことになったら、かなり難航しそうだ。一体どうしたら…。悩んだ末に香織さんは、興味が持てそうな ネイルアートの勉強を始める ことにしました。 いつも通っているネイルサロンで、おしゃれなネイリストが自分の爪を美しく仕上げてくれる様子を見ていて、「こういう仕事なら面白いかもしれないな」と思ったことが何度かあったのです。 夫婦仲は破綻しているけれど、お金だけはかろううじて夫から振り込んでもらえているうちに資格を取りたい。香織さんは決意しました。 それまで美容やろくに通ってもいない料理教室にかけていたお金をネイリストになるための学費にあて、懸命に勉強を始めます。「夫に離婚されてもなんとか 自分ひとりでやっていけるように と、とにかく必死でした」と香織さん。 ところが事態は思わぬ方向へ進みます。 香織さんが合コンとキッパリ縁を切り、時間とお金の浪費をやめて一生懸命勉強を始めた途端、あれほど冷たかった夫の真司さんが 再び香織さんに話しかけてくるように なったというのです。 「頑張ってるね。でもあんまり根つめ過ぎるなよ」 「資格試験、いけそう?」 「今度、香織が仕上げたネイルの写真、見せてよ」 夫の変化に、香織さんは驚いたと言います。 「夫に振り向いて欲しくて、かまって欲しくて、いつも彼にへばりついて大騒ぎしていた時には、ちっとも振り向いてもらえなかったのに。自分の人生を自分でなんとかしなきゃと必死になり始めたら、 夫のほうからこっちへやって来るなんて …本当にびっくりしました」 ネイリストの資格を取得した香織さんは、現在就職活動中。夫婦仲は少しずつですが、確実に回復しているということです。 香織さんに近いタイプだと感じた方は、まず 自立した妻 を目指すと良いでしょう。自分で自分を楽しませる、満足させる術を心得ていると、たとえ夫婦仲に問題が生じても冷静に対処できます。 なぜならそんな妻は、いざとなれば夫がいなくても生きていけるからです。そして、それを自分自身で認識している。これが「かまってちゃん」にはない、自立した妻の 「自信」 です。 自分の面倒を自分で見ることができる、自立した2人の大人が一緒になって、お互いに助け合い、高め合いながら生きていく。それが 理想的な結婚 です。 あなたの中にひたすら夫に依存したがる「かまってちゃん」がいるのなら、大きくなりすぎる前に退治してしまうこと。そうすればあなたが「合コン狂いの人妻」に変身してしまうことはないでしょう。
2018年09月16日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 女性も性に関してオープンかつ積極的になってきたのはとても良いことです。 しかし、これは寂しさや虚しさを埋めるために、不特定多数の異性と関係を持つことをすすめるものではありません。恋人同士、夫婦の セックスが充実すれば、2人の関係性も向上する 。私がお伝えしたいのはそこなのです。 ところが、夫婦間のセックスがうまくいかず、寂しさや欲求不満を持て余して 婚外交渉に走る女性 が年々増えてきている気がしてなりません。SNSの発達で、男女の出会いがたやすくなったのは承知のとおりです。 妻の不倫 が夫にバレた場合、待ち受けているのは壮絶な修羅場。男の身勝手と言ってしまえばそれまでですが、男性は女性に「純潔」を求め、自分だけのものという意識があります。女性以上にパートナーの不貞行為を許せません。 だから「夫にかまってもらえないのが寂しくて」不倫に走った結果、妻側には離婚の意思がなかったのに別れるハメに…などというケースがあとをたたないのです。 結婚とは、人生を共にするパートナーの選択であると同時に、 セックスのパートナーの選択 でもある…ということに気づかず、セックスの相手を安易に外へ求める妻たちが急増中。人妻でありながら臆することなく、合コンに参加するツワモノまで出てきました。 今回は、そんな妻たちの一人、香織さんのケースをご紹介します。 ■妻が浮気?「夫に相手にされなくたって、私は平気!」 「モダンセクシャル系モンスター 合コン狂いの人妻かまってちゃん」代表:香織(仮名)31歳の場合 「香織ちゃん、いい飲みっぷりだね!」 「やだ~、昌弘くん。そんなにすすめないでよ。私、本当はお酒、あんまり強くなくて…」 そう言いながら、香織はゆるくウェーブのかかったツヤ髪をかき上げると、ピンクベージュのカーディガンを脱いだ。男性陣の視線が一気に、襟ぐりの大きく開いた薄手のニットを押し上げる香織のバストへ集中する。 ベタだけど、これが私の常勝戦略。香織は、 男たちの視線を存分に浴びて、快感 だった。 ここは、都内のスパニッシュレストラン。店の奥の半個室では、男女4対4の合コンが今まさに進行中だ。女性陣の中でひときわ男性の注目を集めているのは、幹事チエの学生時代からの腐れ縁、香織だった。 彼女は、 結婚3年目の人妻 だ。しかし、1年ほど前から、誘われれば必ず、誘われなければ誰かにセッティングを頼み込んでまで、合コンに明け暮れているのだった。 ■合コン三昧の腰かけOL「理想は専業主婦」たどりついた結婚相手は? 香織は、大学卒業後、大手メーカーに一般職として就職。 勉強は嫌い、働くのも好きじゃない 彼女だったが、女子アナ風のルックスと、中学時代から磨き上げてきた愛想の良さが功を奏したのだろう。誰もが知る一流企業に就職できたのだ。 香織が、その会社へどうしても就職したかった理由。それはズバリ、 理想の夫探し のためだった。一流企業に勤めていれば社内での出会いにも期待できるし、合コン参戦時にも箔がつくというもの。社会人になってからの香織は、学生時代以上に真剣に合コンへといそしんだ。 合コン三昧の生活は楽しかった。 仕事にやりがいを見出しているわけでもなければ、これといった趣味も特技もない香織だったが、 合コンだけはいつも中心人物 でいられた。 ネットのモテ記事、モテ本を読みあさってテクニックの研究を重ねては、合コンで実践。男たちから狙ったとおりの反応を得られると、香織は快感にひたった。 私は 女としてすごく価値がある 。だってほら、彼らは私に夢中よ…こうして香織は、ほかのなにものによっても得られない 万能感 を楽しんでいた。 セックスに関しても同じだった。 香織は自分にセックスを懇願してくる男たちをじらし、「お許し」を出してやると夢中になって奉仕する男たちの姿をながめるのが好きだ。自分は男に対して力を持っている。 セックスも最高 。誰にも負けない魅力がある。その感覚は、香織に大きな満足感を与えた。 そうして20代半ばまで、香織はひたすら楽しい時間を過ごした。そして25歳を過ぎると、いよいよ真剣に結婚相手探しに励むようになる。 最終的に彼女は、同じ会社の営業部のエースと呼ばれていた真司と付き合うことにした。真司は安定した収入なうえに、スポーツマン。そしてなにより、香織を お姫様扱い してくれる。 理想の男をゲットした自分に酔いしれる香織。そして、香織28歳、真司33歳の時に、2人は結婚した。 「お家のことをちゃんとやりたいのよ」 試算の結果、真司の収入でやっていけるとふんだ彼女は、今の時流に逆らい、 専業主婦 の道に入る。 ■結婚生活は不満だらけ「私をもっとお姫様扱いして!」 バブル期に結婚した母の影響か、香織にとって、 職場は結婚相手を探すための場 でしかなかった。パートナーを見つけ出すことが会社での自分の役目。成果を上げるポイントは、仕事の評価よりも結婚相手の獲得だ。 時間にもお金にも余裕があって、いつもきれいにしていて 夫にも愛される専業主婦 。それが香織の理想だ。 「家のことをちゃんとやりたい」というより、「イヤでも家事はしなくちゃいけないんだから、仕事との両立なんてしんどいことはまっぴら」というのが本音。とにもかくにも、真司は香織の希望を受け入れてくれた。夢の結婚生活が始まるはずだった。 ところがすぐに、彼女は 結婚生活に不満 を感じ始めることになる。 結婚したら一緒に過ごせる時間が増える分、やさしい恋人だった真司は、これまで以上に私を満足させてくれるはず。 ずっとお姫様気分で暮らせるはず だわ。そう思っていた香織にとって、新婚生活は幻滅の連続だった。 第一に、2人の時間が思ったよりずっと少ない。 結婚前のデートは、多忙な真司に合わせて週に1度だった。香織は寂しかったが、「結婚したら2人で過ごせる時間が増えるはず」と自分に言い聞かせつつ、合コンで知り合った男性と飲みに出かけたりしていた。そんな「退屈しのぎ要員」たちがチヤホヤしてくれたからこそ、香織は忙しい真司に文句を言わず、いつもニコニコと付き合っていられたのである。 しかし、結婚してみると、自分を大切にしてくれるはずの夫が、 自分のために時間を割いてくれない 。香織は憤慨した。 真司は基本、帰りが遅い。営業という仕事柄、出張や接待もしょっちゅうだ。週末ですら、人脈を広げるためのイベントをリサーチしたり、ジムやテニスに1人で行ってしまったりする。 恋人時代は、少なくともデートの間だけは、自分だけに100%集中してくれていた真司。しかし、結婚後は自分を 単なる生活の一部として、軽んじている 気がする…香織は我慢できなかった。 ■きれいな妻でいるために「おこづかいは最低でも5万円」 「週末くらい、ずっと私と一緒にいてよ」 ある土曜日、香織はジムに出かける準備をしている夫に不満をぶつけた。 「いや、トレーニングには行かないと。営業は第一印象も大事だから、接待を言い訳にブクブク太るわけにもいかないんだよ」 「じゃあ、明日のテニスには行かないで」 「2週間ぶりだから、そろそろ行かなきゃ体がなまっちゃうよ。香織だって『趣味がテニスなんてステキ』って言ってくれてたじゃないか。あ、よかったら香織も来ない? 同年代の子たちもいるし、始めてみたら楽しいかもよ」 「イヤ。日焼けするから」 香織はつっけんどんに答えた。 確かに恋人時代、テニスでいつもほどよく日焼けした真司は香織の目にも魅力的に映った。けれど、趣味も日焼けも、私との時間に支障をきたさないところですませてもらわなければならない。奥さんにだけ目をかけ、奥さんをかわいがって、友だちに自慢してくれること。香織にとって、それが 夫の最重要条件 なのだから。 「それじゃあせめて、週に1度は、インスタ映えするレストランに連れてって。恋人同士の時みたいに」 思いっきりおしゃれして、真司とレストランやバーに出かける。そうすれば、2人の時間が少ない不満も少しは和らいで、気分も晴れるだろう。香織としては、思い切り譲歩した提案だ。 ところが真司は、眉間にシワを寄せて言った。 「もう共働きじゃないんだから。それに香織、 おこづかいは月5万 は要るって言うじゃないか。それに加えて、さらに外食はきついよ」 香織は絶句した。これが…私のために時間もお金も工面できないと言うこの男が、私が厳選した理想の夫? 会社員時代の貯金はある。社会人になっても実家住まいだったのでそこそこの額だ。母親が貯めておいてくれた結婚資金もありがたい。 でも、美容院とまつエク、それに料理教室の月謝のことまで考えたら、月に5万円はないと回らない。「時間にもお金にも余裕がある、いつもきれいな愛され妻」という理想のために最低限、夫からもらいたい額だ。ワガママを言っているつもりなど、香織にはまるでない。 夫のためにきれいにしている妻の どこがおかしい? ■新婚なのにセックスレス「釣った魚にエサはやらない?」 香織が不満に思っていたのは、時間やお金に関することだけではない。セックスについても、結婚後、不満を抱き始めていたのだ。 結婚前のデートでは、真司はいつも情熱的に香織を求めてきた。ところが、結婚してからというもの、セックスの頻度はどんどん下がり、内容的にも物足りない。熱意が感じられず、 「求められている」と実感できない のだ。 これは香織にとって初めての体験だ。 男はみんな、私とセックスしたいんじゃないの? 私は女として価値がある。男は私を欲しがって当然。なのにどうして…どうして、毎晩同じベッドで寝ている夫すら、私に セックスを求めてこない のだろう? 状況が理解できず、香織は混乱した。しかし、いくら夫が誘ってこないからといって、自分の方から誘うなどということは考えられない。 セックスは、男が女に求めるもの だからだ。 セックスがないまま1カ月が過ぎようというある日、香織は我慢できずに寝室で夫にたずねた。 「ねえ真司さん、私たち最近 あんまりエッチしてないよね 。どうして? 前はもっとしてたのに」 このところ残業続きだった真司は、すでに眠そうな目をしている。 「そうかな。まあ、そう言われてみれば、そうかもしれないな」 夫ののんきな口調に、香織はカッとなった。自分は「男に求められない」という屈辱感にさいなまれ、「今日は誘われるか」「今日こそ、いよいよ?」と、毎日息をこらすようにして過ごしてきたのに。 それなのに夫は「まあ、そうかもしれない」?? そんなとぼけた反応、納得できない。 「『そうかもしれない』じゃないわよ。付き合ってた頃は、週に1度は絶対にしてたじゃない。なのにどうして?」 「うーん。どうしてって言われても、これと言った理由があるわけじゃないけど。最近忙しかったし…それに結婚して、毎日会えるわけだからさ。『今日しないと!』って感じることがないっていうのもあるかな」 「なるほどね」 香織の中で、あらゆることがストンと腑に落ちた。そして自分でもびっくりするくらい嫌味な声が出た。 「つまり、 釣った魚にはエサをやらない ってわけね」 「なんだよそれ」 香織の口調に、穏やかな真司も語気を荒げた。 ■「中身からっぽのかまってちゃん妻」夫の不満も爆発 結婚して以来、妻は 口を開けば不平不満ばかり 並べている。だが、言わせてもらえば、こっちにだって不満は山ほどある。口にこそ出さなかったが、真司も相当ストレスをためていた。 妻はいつ、いかなる時でも、自分のことを最優先して欲しがる。 自分が仕事で忙しい時でも、たまの休みに息抜きをしようとしている時にも、妻はとにかく少しでも多くの時間とお金、労力を自分に注がせようと、 夫を徹底マーク しているのだ。 それに、妻がこんなに つまらない、自立できていない女 だとは結婚するまで知らなかった。 趣味もなにもなく、夫にかまってもらうことしか考えていないように見える。極度の 「かまってちゃん」 だ。週に1度しか顔を合わせない間柄ならともかく、結婚した相手がこれでは正直、息がつまる。 真司は大きなため息をついた。 「俺にこれ以上、どうしろって言うんだよ」 夫のその言葉とうんざりした顔に、香織のプライドはズタズタだ。 私はかわいい、みんなの憧れの「香織ちゃん」なのだ。その私を、夫はちっとも大事にしていない。私の価値を分かっていない。一体どうして私は、こんな男の「専属」になってしまったのか。私を大切にしてくれる男性は、山ほどいるというのに。 香織は自分の 結婚を激しく後悔 した。そして、その日を境に香織は夫を、結婚生活をかえりみなくなった。夫婦仲の悪化は当然、加速していき…。 ■かまってくれない夫に仕返し「合コン参戦」宣言 数カ月後、学生時代からの友人チエから電話がかかってきた時、香織は躊躇(ちゅうちょ)なく言った。 「チエ、 次回の合コンは、私にも声かけてよ 」 とにかく誰かにかわいいと言ってもらわなければ。自分をほめて、求めてくれる男がいなければ、私は干からびてしまう。香織は必死だった。夫に対する罪悪感など抱く余裕はなかった。 チエは「合コンの女王」。2人は以前、しょっちゅう連れ立って合コンに参戦していた。それでも、さすがに香織の結婚後は、合コンに誘うことはなくなっていた。 「えーっ? なによ、やさしい旦那様となにかあった?」 「別に。ただ単にヒマなのよ。主婦って」 「もーっ、贅沢者! あくせく働きながら旦那探しまで頑張ってる私に、そういうこと言わないでよね」 チエは笑いながら言った。 「でもいいわ。既婚者が参加してくれれば、ライバルが1人減るもんね。今度企画する時には、絶対声をかけるよ」 1カ月後、チエは実際に香織を誘ってくれた。 服は自分のスタイルを目一杯際立たせてくれるものを選ばなくちゃ。久しぶりに、短めのスカートはいちゃう? それとも丈は普通で、ボディラインを強調するデザインのワンピース? 髪も久しぶりに巻いちゃおう。メイクも最近は新しいアイテムをチェックしていない。デパートに見に行かなくちゃ。 自分の 女としての魅力を、100%発揮 するのだ。そして、女としての自分の価値を実感しなければ。香織は久しぶりに、気力がみなぎるのを感じた。 真司には 合コンに参加することを宣言 した。黙っていることもできたのに、「人数合わせのためにどうしてもって、友だちに誘われちゃって」とあえて告げたのだ。 真司が 嫉妬して止めてくれるかもしれない 。あせって、自分をもっと大切にしてくれるようになるかもしれない。そんな期待を、香織はまだ完全には捨て切れずにいた。 ところが、真司はうっとうしそうに香織を一瞥(いちべつ)すると、冷たく一言。 「あっそ」 と言っただけだった。もはや 妻のことになどまったく関心がない ような夫の態度に、香織は自分の中でなにかが崩れ去るのを感じた。 そうして迎えた合コン。香織のパフォーマンスは、すさまじいものがあった。笑顔を一時もたやさず、甘い声を響かせ、絶妙のタイミングで髪をかき上げる。適度なボディタッチも忘れない。既婚者と知りながら、彼女と連絡を交換したがる男が続出した。 香織は、本当に久しぶりに、大きな満足感を味わうことができた。 自分にはまだまだ価値がある、男を操れる魅力がある のだと、自信を取り戻すことができた。彼らの本心は「あとくされない、結婚を求めない女」…かもしれないのに。 ■これって浮気?「超えてはいけない最後の一線」がぼやけていく… 以来、香織は 合コンに没頭 した。 家では完全なすっぴん、髪はボサボサ。ルームウェアにもまるで気をつかわなくなり、常に 不機嫌オーラ全開 だ。合コンの日だけ「最高のワタシ」を演出するようになっていた。 夫婦仲は完全に冷え切り、言葉も交わさないレベルにまで悪化した。 セックスも当然ない 。 そのうち香織は、当初は自分の中に存在していた 越えてはならない「一線」が、どんどんぼやけてゆく のを感じるようになった。「一線」とはもちろん、合コンで出会う男性との 肉体関係 だ。 「合コンでチヤホヤされて『自分はまだイケてる』と思えれば、夫が私を見ようとしない、みじめな結婚生活にも耐えられる」 「ほかの男性にやさしくされて、私の心に余裕ができれば、夫婦仲も改善するかも」 最初はそう思って、香織は合コンに参加していた。 ところが、そんなことを繰り返すうちに、夫婦仲はますます破綻してゆく。香織はどんどん不安定になり、ついには「 誰でもいいから 男に求められたい、抱かれたい、寄りかかりたい」と思いつめるところまで来てしまったのだ。 その頃になると、真司が目を疑うような 奇抜なデザインの矯正下着 を香織は恥ずかしげもなく着用するようになり、 合コンの日だけセクシーなランジェリー を身にまとうのが常になっていた。 スパニッシュレストランの一角で酔ったフリをしながら、香織は自分に酒をすすめてくる目の前の男を冷静に観察していた。 話が面白く、女心をくすぐるツボも心得ている彼にやさしくされるのは快感だ。連絡先も交換した。それにさっきからずっと、私だけを見つめてくれている気がする… 今夜、彼と一線を越えてしまおうか 。 そうすれば私は、虚しい結婚生活でため込んだ怒りも屈辱感も悲しみも、どうでもいいと思えるようになるだろうか。 とびきりの笑顔を弾けさせる香織の頭の中では、さまざまな感情や計算がグルグルと渦巻いていた。 理想の夫と結婚したはずの香織さん。ところが、結婚当初から不満を抱え、 合コンに逃げ道を見出す ようになります。 香織さんはその後、どうなったのでしょうか? もしかしたらあなたも、香織さんのように「合コン狂いの人妻かまってちゃん」の泥沼に足を踏み入れてしまうかもしれません。次回ご紹介するチェックテストでリスクを判定してみましょう。
2018年09月15日前回 ご紹介したのはセックスから遠ざかろうとする夫、純也さんとのセックスレスに悩み始めた愛美さんのケース。 元は仲の良い夫婦だったのです。 ところが、妻がセックスを求めたことで、 セックスが苦手な草食系夫 は大ピンチ。夫婦仲はどんどん悪化していきました。 私に言わせれば、セックスの相性(身体の相性や性欲の強さ)について真剣に考えることなく結婚に踏み切ってしまうことが、まずは 大間違い です。 しかし、すでに結婚してセックスレスに悩んでいる妻たちにそれを言っても始まりません。性欲が極端に少ない男性と結婚しても セックスレスを回避 するための方策を、ここでは考えていきましょう。(「結婚後セックスレスに泣かないためには、どんなことに注意すれば?」という未婚女性の皆様は、ぜひ拙著 『抱かない男の見分け方―いつまでもラブラブなふたりでいるための指南書』 をご一読ください。) まずは、あなたが愛美さんと同じタイプのセクシャル系モンスターと化してしまうリスクを判定しましょう。 ■「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度チェック ここでは、あなたの「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 夫がいわゆる「草食系男子」だ。 2. セックスの相性について真剣に考えたり、話し合うことなく結婚を決めた。 3. 問題を見て見ぬフリをして、解決を先回しにしてしまうクセがある。 4. 「女を捨てている」タイプの妻がセックスレスに直面するのであって、妻がキレイにしていれば、夫は妻に欲情するはずだ。 5. 交際中、セックスが合わないと感じても、結婚後は改善するはずだ。 6.すぐに結果が得られないとイライラしてしまうタイプだ。 7. セックスという行為は男性が相手に性的魅力を感じている証拠だ。 8. セックスを拒否されると、自分の存在そのものが否定されたように感じる。 9. 「話し合い」をしたかったはずが、あとで思い起こすと「責任追及」や「批判」になってしまっていることがある。 10. 夫以外の元彼や、過去のお相手のほうがセックスがよかったと思い出すことがある。 ■あなたの「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、生殺し妻度「C」(草食系夫への不満がにじみ出始める頃です) ○の数が6個以上8個未満は、生殺し妻度「B」(夫はあなたに責められていると感じ、および腰になっています) ○の数が8個以上は、生殺し妻度「A」(夫は縮み上がっています。この状態ではセックスレス解消は望めません。今すぐ方向転換を!) ■セックスレス「セクシーでキレイな妻ほど夫は欲情する」というのは間違った思い込み 現代社会の産物、草食系男子と結婚した妻が、セックスレスを克服するための第一歩。それは、 セックスにまつわる従来型の思い込みを捨てること です。そうした思い込みが妻に、夫を追いつめる言動を取らせることになるからです。 「セックスレスって奥さんが外見にかまわなくなったり、倦怠期で夫婦仲がイマイチな時になるんでしょ?」…あなたはそんなふうに思っていませんか? これは逆に言えば、「妻が努力していつまでも魅力的で夫婦仲も良好なら、セックスレスになんてならないはず」ということですよね。 だから、草食系夫とのセックスレスに悩む妻たちは、 自分磨きに必死 になります。ダイエットをし、お肌や髪のお手入れもより念入りに。部屋着やパジャマもカワイイ系からセクシー系まで取りそろえ、料理にも力を入れて、理想的な妻を目指します。「これだけやれば、夫だって振り向いてくれるでしょ」と思えるレベルまで。 ところが、セックスに意味を持っていない夫は、これでは振り向きません。彼らは、「チャンスさえあればセックスはもちろんしたいけど、妻が完全に女を捨ててるから、『妻だけED』なんだよね」などと言う、 従来のセックスレス夫たちとは違う からです。 やさしく繊細な今風男子たちは、セックスにおいても相手を傷つけないか、嫌な思いをさせないか、失望させないかと気づかいに気づかいを重ねます。また、 失敗したらどうしよう と不安に頭を悩ませます。 失敗はあらかじめ回避するもの、セックスごときで嫌われるなんて割に合わないという価値観。思いやりのベクトルが変な方向を向いているのです。 ネット時代の人付き合いの短所は、相手にガッツリぶつかって、ことが起こることを避けるようになるところ。相手の懐に入るなどという昔のスタイルは頭にありません。セックスなど、人と人との コミュニケーションの最高峰 なので、失敗したらあとが面倒くさいと思っているのでしょう。 そして、セックスのあとは、ぐったり気疲れしてしまう。だからやがて「 マスターベーションのほうが、手軽で気軽 でいいや」ということになってしまうのです。まさに相手を気をつかわずにできる、面倒くさくない性欲解消法。 そんな複雑な夫の心情・事情を妻が理解できずにいると、どんなことが起きるでしょうか。 従来の「妻が魅力的でラブラブなら、夫は当然セックスしたいはず」という思い込みに妻がどっぷり浸かって、女磨きに邁進します。夫はそんなことを望んではいませんが、敏感な彼らは妻の努力を察知しているでしょう。 そして「そんなことをしてもらっても、僕は『その気』になれないよ…」と、 プレッシャーと申し訳なさで萎縮 してしまうのです。妻が色っぽくなるとドン引きするという男性の声もあります。 妻の側からすれば、どれだけ努力しても夫から自分の望む反応が得られず、どんどんストレスがたまりますよね。そして自分の努力が報われない悔しさや虚しさに、ある日突然、大爆発を起こして、夫を完全に震え上がらせてしまったりするのです。 こんな状況で夫のマスターベーションが発覚したりすると、もう最悪です。ただでさえ「セックスレスの原因は妻の魅力不足」だと思い込んでいる妻は、「 私は夫にとってマスターベーション以下 の、魅力のかけらもない女だと思われている」と誤解して大暴走。修羅場を繰り広げることになります。 このように、セックスしない夫に一昔前の思い込みを当てはめるのは悪循環の元。妻は「セックスレスの原因は自分だ…」と決めつけて突っ走らないことが大切です。 ■セックスレス草食系夫に「妻としたい」と思わせるには? それでは具体的に、妻は草食系夫とのセックスレスにどのように対処すべきなのか。 かくにも重要なのは、 「心と時間の余裕」 です。やさしい男子をおびえさせることなくベッドへ誘導するには、性的な雰囲気を感じさせずに親密度を上げていくところから始めるしかありません。 ・夫に普段より丁寧に接してみる。 ・夫の話をしっかり聞く。 ・2人で楽しめることを見つけて、一緒に過ごす充実した時間を増やす。 こうして2人の「ラブラブ度」をアップしたうえで、セックスを感じさせないさりげないスキンシップから、徐々に触れ合いを増やしていくのです。 「そんなのまわりくどすぎる!」 「レス解消までに、一体どれだけ時間をかけなきゃいけないの!?」 そんな妻たちの悲鳴が聞こえてきそうですね。 しかし、急がば回れ。その気がない夫にプレッシャーを与えることなくセックスにこぎつけるには、じっくりと段階を踏む必要があります。 そして、これには妻が「心の余裕」を持っていることが不可欠なのです。 セックスがないことが不安で、とにかく夫をベッドに引きずり込もうと突然お色気モードでベタベタしたり、セクシー下着を見せつけても、草食系夫にとっては 肉食獣に追いつめられているようなもの 。 抱いてもらえないさみしさ、セックスレスが解消されないもどかしさを、夫に涙ながらに訴えるなんていうのはもっといけません。妻にそのつもりがなくても、夫は 「責められている」 と感じて、逃げ出したくなるからです。また人を傷つけるのが何より苦手な今風男子が妻に泣かれたら、セックスどころではなくなってしまいます。 「時間の余裕」を奪う最大の要因は、なんといっても子どもを作ることでしょう。どれだけ女性の生き方が変わっても、医療が進歩しても、妊娠・出産についてはどうしても、無情な「タイムリミット」がついてまわります。 妊活にあせる気持ちはよく分かるのですが、セックスレスの解消と妊活を同時に、一気に推し進めようとするのは避けるべきです。 性欲がないうえに「うまくできるだろうか」「妻を失望させないだろうか」という不安を抱いている今風夫。そんな夫が 「妊娠」という達成目標 まで突きつけられては、プレッシャーに押しつぶされてしまうことは目に見えています。 また、妊活においても一刻も早く結果を得ようとして 「タイミング法」「ED治療」「人工授精」 といったキーワードを持ち出すのは、セックスレス改善の前段階では、ちょっと待ってください。 「タイミング法」は、夫にとって 「なにがなんでもこの日にできなければ!」 という強烈なプレッシャーになりますし、妻が「ED治療」「人工授精」と言い出せば、夫はデリケートな問題を第三者に露呈しなければならない恐怖に襲われます。 「そのうち」「自然に、できるようになるのでは…などとのんきにかまえていた妻が、ある日、友人の妊娠に触発されて突然「来月からタイミング法を!」「病院に行ってED治療を!」と夫に迫るなどというのは最悪のパターンです。 その気がない夫とのセックスレス解消には、一にも二にも 忍耐力 。長期戦を覚悟して、どっしりかまえなければいけません。夫を責めない。自分も責めない。これに尽きます。 そして、時間をかけて夫のセクシースイッチがどこでオンになるかを探し出すのです。年齢を重ねてから性の嗜好が変化したという男性もたくさんいます。刺激作戦もあります。これは、また別の機会でお伝えしましょう。 しかし、子どもを作る目的ではなく、妻側の性欲が高まってしまった場合、これは非常に厄介です。打開策として、妻側もマスターベーションのバリエーションを研究しておきましょう。 最後に、愛美さんと純也さんはその後どうなったのでしょう。 愛美さんは、草食系夫に提供すべきは「刺激」や「興奮」よりも「安心」や「気楽さ」であることに気づき、方向転換。分かりやすいお色気路線や、夫を批判・詰問するような言動をあらためたそうです。そしてついに! その努力が結婚後初のセックスという形で実を結びました! 「『やっとセックスができるようになったから、いよいよ妊活だ』と 前のめりにならないように 、日々気をつけています」と笑う愛美さん。彼女なら、これからも草食系夫とうまくやっていけるでしょう。 やさしすぎ、気をつかいすぎの今風男子。そんな現代型男性を理解し、受け入れてあげることのできる、器の大きな妻になってください。
2018年09月02日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 「草食系男子」 と表現される男性が数年前から認知されるようなっています。そんな男性陣を、若い女性たちは、 「最近の男性なんてそんなもんでしょ」 「いたって普通」 「ギラギラしてるほうが格好悪い」 という目で見ているようです。 「草食系」などとキャッチーな呼び名を付けられて、メディアにも取り上げられるようになると、「今はそれがスタンダード」という雰囲気が漂い始めます。 けれども、草食系男子が一般化しつつあることと、あなた自身が パートナーの草食化 を良しとするか否かは、まったく別の問題です。 「私の彼、草食系かも…。でも、今はそんなの普通だし、世の中の草食系男子だって結婚してるし。気持ちがやさしいし、家事もしっかりやってくれるし、きっとケンカも少ないだろうし…。だから私も、彼と結婚して大丈夫よ」 そんなふうに考えて、 草食系の彼との結婚に踏み切る女性たち 。どこにでもありそうな話です。 結婚決定は、人生を左右する重要事項。希望的推測も必要。草食系かもしれないけれど、良い点のみをすくい上げなければ結婚などできるものではありません。結婚決定には勢いも大事です。 しかし残念ながら、こうした女性たちが結婚から数年後、「セクシャル系モンスター」と化してしまうケースが少なくないという事実も知っておいてほしい。知ったうえでの結婚であれば、あとの対処法が違ってきます。 自分の性の欲求を甘く見てはいけません。 「こんなはずではなかった」の 新型セクシャル系モンスターワイフ 。これが今回のテーマです。 ■夫は「草食系男子」…セックスレスに悩む愛美の場合 「モダンセクシャル系モンスター 生殺し妻」代表:愛美(仮名)29歳の場合 会社帰り、書店で女性誌を購入した愛美は、それを隠すようにバッグにしまった。 セックスレス特集 の雑誌。もう何冊目だろう。こうした特集の中で伝授される「対策」は、もう片っ端から試した。けれど、どれも効果がなかった。ネットに流れてくるセックス系の記事もほぼチェックしている。 オフィス帰りの愛美は、ストライプのシャツワンピ姿。艶のあるセミロングの髪を、きれいにブローしている。上品なピンクベージュのバッグも今風。 「女を捨ててる感じの奥さんじゃ、セックスレスになっても仕方ないんじゃない?」 愛美は、そんなふうに言われてしまう“もう女を捨てている”タイプと自分自身は真逆だと思う。ずっと美容に気をつかってきたし、ファッションも男子受けよしのフェミニンにまとめている。夫・純也とのセックスレスに悩むようになってからは、下着もセクシーなものを選ぶようになった。 それなのに、 セックスレスは解消されない。 愛美は屈辱感と怒りで爆発しそうだった。 ■セックスレスは恋人の時から…結婚しても大丈夫? 愛美と純也は、結婚して2年半になる。 2人の出会いは合コンだった。その合コンでカップルは誕生しなかったが、全員気が合い、その後も男女6人で出かけるようになった。グループ交際。2つ年上の純也はいつもニコニコしていて、愛美にとってやさしい お兄さんのような存在 だった。 動物好きで猫カフェやうさぎカフェに通う愛美に純也が付き合ってくれるようになってから、2人で出かける機会が増えた。動物や子どもにやさしく接する純也の姿を見た愛美は、「この人、旦那さんとしてアリかも」と、彼を異性として意識し始めた。 その後、ITエンジニアとして働く純也が多忙でメンタルが弱っているところを愛美が支えたことで、急接近。愛美のほうから告白して、2人は恋人同士になった。 「子どもは2人欲しいな。いつかペットOKのマンションを買いたい」 愛美のそんな夢を、純也は笑顔で聞いてくれる。彼の温厚な性格は愛美の両親にも気に入られ、2人はスムーズに結婚までこぎつけることができた。 しかし、愛美にはひとつだけ気になることがあった。純也が セックスを求めてこない ことだ。愛美のほうでお膳立てして2、3度したきり、その後はなにもない。 「純くんは最高に優しい。私のことを大切に思ってくれているから、気安くセックスを求めてこないのよ。今は仕事が忙しい時期だし、結婚の準備も大変。だからそんな雰囲気にならないのかも。それに、前に何度かできたんだもの。仕事も結婚生活も落ち着いたら、 セックスだって自然とできる ようになるわ」 今はエッチしていないけれど、しようと思えば、環境が整えば、できるようになるはず…。純也の淡白さについてはそう考えることにして、愛美は 結婚に踏み切った 。 ■セックスレス「うちの夫、もしかしてふつうじゃない?」 結婚生活は楽しかった。純也はいつも愛美の趣味に付き合ってくれた。 派遣の事務員として働く愛美には残業も繁忙期もなかったが、純也は家事も快く分担。料理上手の純也は、愛美の好物をなんでも作ってくれる。特にイタリアンはプロの腕前。おしゃれのセンスもなかなかだ。周囲からは 「すてきな旦那さん」 と言われ、愛美も満足している。 なんの不満もない結婚生活。セックスは相変わらずなかったが、2人で出かけたり、家で映画を観たり、楽しいことがいっぱいで、特に気にならなかった。 そんなある日。愛美の学生時代からの親友、ミナから婚約報告の電話があった。 愛美が結婚した頃、ミナにも婚約寸前の恋人がいたが、別れてしまった。ミナに言わせれば「すごくいい人なんだけど、 スキンシップやセックスが物足りない 」というのがその理由だった。1年ほど前に出会った新しい彼とは「気も合うし セックスの相性もバッチリ 。野獣よ。野獣! あん、燃えるーー!」と、ミナは最高に幸せだと言う。 「やっぱりあの時、『いい人だから』ってだけで結婚しちゃわないでよかったよ」。そうのろけるミナの声は、うれしさで弾んでいた。 親友を祝福しながら、愛美は自分たち夫婦の現状を振り返る。純くんはやさしくて真面目で、趣味も合う。でも、純くんがミナの彼の半分でも積極的だったら、もっとうれしいんだけどな。 それに現実的な問題として、そろそろ 子どもも欲しい 。となると結婚後一度もしていないというのは、さすがにまずい…。 「今夜、夫を誘ってみよう」。愛美は密かに決意した。 ところがその晩。純也は 「急にどうしたの?」 と、明らかにうろたえた表情を見せた。 え? 私たち、夫婦なのに? 「急に」って、じゃあどう誘えばよかったの? 私が誘わなきゃ、純くんからは誘ってくれないじゃない。 自分からの誘いを、夫は 喜ぶどころか拒絶 していると感じて、愛美は猛烈に恥ずかしくなった。同時に、純也のほうから男らしく誘ってくれれば、女の私が誘ったりしなくてすんだのにと、夫が憎らしくもある。 「ほら、私ももうすぐ30だし」 恥ずかしさをかき消そうと、愛美は夫を誘った 正当な理由 を説明し始めた。 「 子づくり って、始めたらすぐ妊娠、ってわけにはいかないことも多いらしいから。もう今からでも始めたほうがいいと思うの」 純也は相変わらず、居心地が悪そうに視線を落としたままだ。 「いきなりそんなこと言われても…」 純也の腰が引けた態度に、愛美は当惑した。結婚前から「子どもは2人欲しい」って、私いつも言ってたよね? 私の年齢からして、いつ子づくりを始めたって全然驚くような状況じゃないのに。愛美の心の中に、大きな不安が渦巻き始めた。 純也がいわゆる「草食系男子」であることは、結婚前から認識していたこと。それでも結婚して打ち解け合い、まして「子づくり」という明確な目的ができれば、その時には自然にことが進むはずだと、漠然と思っていたのだ。 ところがここへ来て、愛美の 根拠のない楽観主義に暗雲 が…。 純くんって、まじで性欲ないのかも。でも、赤ちゃんを授かるために、 セックスは必須 。それにミナから聞いた、「心身ともにラブラブ」っていうのも、何だかうらやましい…。 心に渦巻くさまざまなモヤモヤを払拭するには、どうにか夫婦のセックスを軌道にのせるしかない。そう考えて愛美は、明快な実行計画を努めて明るく提示した。 「私の排卵日を予想するから、その時にしようよ」 純也はただ、困ったようにうつむいているだけだった。 ■子づくりを拒絶「セックスできるのにしない」草食夫に不満爆発! そして迎えた、排卵予定日。 「純くん、今夜だよ!」 先日の様子からして、何の前触れもなく迫ったりしたら純也は逃げ出してしまいそうだ。愛美はそう思い、出勤前の夫に明るく声をかける。 ところがまた、純也は気まずそうな顔。小声で「いってきます」と言うと、そそくさと家を出てしまった。 純くん、かなり緊張してるみたい…。でも、今夜一度うまくいってしまえば、不要な緊張も解けるわ。愛美はそう考えていた。 ところが。 このところずっと7時には帰ってきていた純也が、8時になっても帰って来ない。愛美が待ちくたびれていると、純也からメールが届いた。 「愛美ちゃんごめん! 急に先輩に誘われちゃって。二次会まで付き合わなきゃいけない雰囲気だから、 悪いけど先に寝てて。 本当にごめん!」 先輩と飲み? それも二次会まで? 純也はお酒がほとんど飲めず、会社の飲み会が嫌いだ。どうしても参加しなければならない飲み会でも、二次会は断って帰って来る。 それなのに、どうしてよりによって今日? 愛美は、心底がっかりした。けれど、今日のところは仕方がない。また来月頑張ろう。愛美はそう思うことにした。 しかし、ことは彼女が思うようには進まない。その後、なんと半年の間、純也は「約束の日」にはなにかと理由をつけて、 日付が変わってから帰宅 するようになった。 当初は「そろそろ始めなきゃ」と、のんびり構えていた子づくり計画。しかし、セックスに持ち込むことができない現実に直面して、愛美の中で一気に「緊急課題」となる。 それだけではない。愛美は「自分は このままセックスが皆無の人生を送る ことになるのでは」という不安にもかられ始める。「セックスができない相手と結婚して、一生セックスなしでいい」と覚悟して結婚に踏み切ったわけではない。「 結婚すれば、いつかできる ようになるはず」と思っていたのだ。 愛美は性欲が強いほうではない。それでもまだ20代の自分が、女として求められることなく一生を終えることになるかもしれないと思うと、いたたまれなかった。そして生まれて初めて 「男性から求められたい、抱かれたい」 と切実に渇望するようになった。 「子どもが欲しい」と真剣に願う一方で、「このまま一生セックスなしなんてあんまりだわ。私、いつか浮気しちゃうかも」などということも考える。頭も心もどんどん混乱してゆく。彼女はもう限界だった。 「純くん、約束の日になると、必ず予定が入るんだね。どうして? 子どもが欲しくないの? それとも 私とセックスするのがそんなに嫌? 」 愛美に詰め寄られると、純也はあからさまにオドオドした。 「なんていうか、目的があって『今日しなきゃ!』みたいに言われると、プレッシャーっていうかさ。そういう気分になれないんだよ」 「じゃあ、今日しよう」 「え?」 「今日は排卵日じゃないよ。子づくりとか目的なしで、 私とセックスしてよ 」 純也は追い詰められた表情になった。そして、愛美を残して部屋を出て行ってしまった。 愛美は呆然とする。ケンカをした時でさえ、純也が一方的に会話を中断してその場を離れてしまったことなど、それまでにはないことだった。 その日から愛美は雑誌やネットで、あらゆるセックスレス克服法を読み漁り、実行した。けれども、状況は一向に改善しなかった。良好だった 夫婦仲もギクシャク したものになっていった。 ある日とうとう愛美は、泣きじゃくりながら純也を問い詰めた。 「純くん、どうして? 私はただ 普通にセックスをして、普通に子どもが欲しい だけだよ。私、何かワガママなこと言ってる?」 純也はいつもの困り顔で黙っている。 「私もう疲れちゃったよ。ねえ純くん、本当はどう思ってるの? 正直に答えて。本当に子どもが欲しいって思ってる?」 「それは、思ってるよ」 「じゃあ、このままずっと私とセックスしてくれないなら、 不妊治療 のクリニックに一緒に行ってくれる? 純くんの精子をくれる?」 「い、いきなり、なに言い出すんだよ…。突然そんなこと言われても」 「全然、突然じゃないでしょ!」 愛美は叫んだ。 「私もう、何カ月も待ったよ。でも純くん、ちっともセックスしてくれないじゃない。なんで? EDなの? セックスできないなら、もうお医者さんに頼るしかないじゃない。お医者さんに精子を取り出してもらうしかないよ」 「いや、そういうわけじゃ…」 夫のその答えに、愛美は驚いた。純也の性格からして、浮気の可能性は限りなくゼロに近い。風俗なども毛嫌いしている。そして、マスターベーションをしているらしい痕跡も、愛美は感じたことがない。だから、純也はEDなのだと、ほとんど確信していたのだ。愛美は即座に聞き返した。 「え、どういうこと? 純くん、 勃つの? 射精できるの? 」 「女の子がそういうこと聞くかな」 「質問に答えてよ!」 「うん…できるよ」 「ひとりでならならできるんだ?」 ひたすら居心地が悪そうにしていた純也の顔に、いらだちが加わった。そして、うんざりした口調で答えた。 「ああ、できるよ」 「最後にしたのいつ?」 「2週間くらい前かな」 …それって、私の排卵日の頃じゃない。あの時、純くんは「仕事でトラブっちゃって」なんて言いながら、ご丁寧に排卵日のみならず、その前後1日ずつまで思いっきり遅く帰って来たのだ。まさかあのタイミングで、マスターベーションしていたなんて。 夫は 自分でならできる 。それなのに、これだけ懇願している私とは、 絶対にセックスしてくれない のだ。愛美の理性は完全に崩壊した。 「そんなに私とセックスしたくないわけ!? なんなのよ、なにがいけないのよ!? 私はどうすればいいのよ!」 子づくりにあせる気持ちと、女性として求められないさみしさ。ネガティブな感情が混じり合って、愛美さんはパニック状態に陥ってしまいました。 彼女はどこで、モンスターワイフへの道に足を踏み入れてしまったのでしょうか。次回ご紹介するチェックテストで確認してみてください。
2018年09月01日前回 は、夫のことなどまるでかまわず、子どもを連れて実家に入りびたるあずささんのケースをご紹介しました。 初めての妊娠・出産・育児では、誰もが不安になって当然です。つわりがひどい時や、暗中模索状態の子育て中には、誰かに頼りたくなるのも分かります。 そんな時、 実家は心強い味方 です。最も気がねなく助けを求められる存在ですし、特に母親は、娘のことを熟知している。望む時に、望む形のサポートを、サッと提供してくれる実家や母親… 「ママ1年生」 になったばかりの娘がすがりたくなってしまうのは、確かに当然でしょう。 まず、実家の 親側にも問題がある ことを理解しておきましょう。「娘」はすでに結婚をして「妻」になっているということを忘れてはなりません。受け入れすぎてしまう親に、そのまま甘えてしまうのは妻失格です。 結婚というのはパートナーとともに、新しく自分の家庭を築いていくという約束です。その約束をした以上、自分の都合だけ考えて「娘」の立場に固執し、「妻」としての立場や役割を放棄するのはルール違反。 自分の都合や利益 しか見えなくなり、相手に対する思いやりが持てなくなる。これは モンスター化の始まり です。 こうした話をすると、「でも、夫に頼れないんだもの。実家に頼るしかないじゃない」「夫が頼りないから実家に頼っているのに、それで文句を言われても…あなたのせいよ、って感じです」と反論されることがあります。 「夫に頼れないから、実家に頼るしかない」と考える妻。「娘が大変な時には、助けてやりたい」と思う妻の実家。どちらにも悪気などないのです。けれども、注意していないと、この 「妻・実家協力体制」 が夫婦仲を崩壊させる恐れがあるのです。 あなたもそんなリスクを抱えていませんか? ■「夫放置系モンスター 実家帰り」度チェック ここでは、あなたの「夫放置系モンスター 実家帰り」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 一人っ子もしくは末っ子で、親から愛され、甘やかされて育った。 2. 母親とは「友だち親子」のような関係で、行動をともにし、あらゆることを相談してきた。 3. 母親は専業主婦、あるいは時間の融通がきく仕事をしており、なにかあればすぐにかけつけてくれる。 4. わが子は実家にとって、待望の初孫だ。 5. 結婚後も経済的に実家に頼ったことが何度かある。 6. 夫が、夫として父親として頼りにならず、「最後の砦(とりで)は実家」という安心感が常にある。 7. 子どもが生まれたら子どもが最優先、夫は2番目だ。 8. 自分は難しい状況に直面すると、「できるまで自分でやる」よりも「できる人にやってもらう」タイプだと思う。 9. 不安を感じやすく、すぐ誰かにLINEや電話をしてしまう。 10. 夫婦間で問題が生じたら、話し合わず、面倒ごとを回避するスタイルを取ることが多い。 ■あなたの「夫放置系モンスター 実家帰り」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「夫放置系モンスター 実家帰り」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、実家帰り度「C」(夫婦間でイヤなことがあると、すぐに「実家に帰りたーい」と思っていませんか?) ○の数が6個以上8個未満は、実家帰り度「B」(何かにつけて実家に頼りたがるあなたに、夫は不満を感じ始めています) ○の数が8個以上は、実家帰り度「A」(精神的にはすでに「実家帰り」モンスター。実際に実家に帰ってしまうのも、もはや時間の問題かも) ■セックスレスの原因にも「子離れできない両親、親離れできない妻」 夫が仕事ばかりで、ほとんど家にいない。家にはいるけれど、いつもダラダラ。子どもが生まれても、父親としての自覚がまるで感じられない。 妻に言われなければ、 なにひとつできない夫 。いざなにかやらせてみても、まったく使えない。ダメ出しばかりしなければならず、余計に疲れる…。夫がこんな状態では、妻の言い分も理解できます。けれど、考えてみてください。 「あなたになんて頼れないから、もういい。もっと頼りになる実家にお世話になるわ」 妻にそう切り捨てられた夫は、どんな反応をするでしょうか。 「これはマズい! 夫として、父親として、もっとしっかりしなければ!」 そうあせって一念発起、良き家庭人になろうと努力を始めてくれる夫は、残念ながらごく少数派でしょう。大抵の男性は、「あんたなんて役に立たない」という態度を取られた時点で、プライドを傷つけられ、そっぽを向いてしまいます。 夫が頼りないのもいけませんが、妻が夫を頼りにしなければ、夫はいつまでたっても頼れる夫にはならないのです。 「自分たちの家庭をともに築いていこう」という夫婦間の決意が固いものであれば、初めて直面する状況を前に困難が続いても、一緒に乗り越えてゆけます。そうするなかで夫は頼りがいのある夫へ、 父親へと成長 していくのです。 ところが、最近ではひとりっ子が増加し、 「一卵性母娘」 などと呼ばれる母娘まで登場。結婚後でさえ「夫と妻」の関係よりも、「母と娘」の関係の方が強いケースが増えてきました。これがエスカレートすると問題が生じ始めます。 母親がいつまでも娘の絶対的なピンチヒッターとして権威を振るい続けると…娘自身の、妻として母としての成長が妨げられるだけでなく、娘の夫まで、夫として父親として 成長してゆく機会を奪われてしまう のです。 それだけではありません。夫婦間への実家の介入は、多くの夫婦がただでさえ陥りやすい 「産後セックスレス」 のリスクを一層高めてしまいます。 子ども中心で生活が回ってゆくなか、家庭に両親、あるいは義両親の影までチラついていたら…エロティックな雰囲気になどなりようもないことは、容易に想像がつくでしょう。「ママ」や「パパ」、「お義父さん」「お義母さん」のいる空間で、夫婦は「男」と「女」にはなりづらいのです。 では、頼りになる実家との線引き、頼りない夫との関係は、どうしたらいいのでしょうか? ■「実家も使いよう?」夫婦時間をもつために甘えるのは◎ 新米ママにとって、実家は強い味方。頼り方さえ間違えなければ、 「実家の有効活用」 によって、夫婦仲を良くしてゆくことだってできるのです。 例えば、子どもを半日実家にお願いしてランチに出かけ、夫婦でゆったりとした時間を過ごす。おばあちゃんと孫が散歩に出かけてくれている間に、夫へお願いしたいことを落ち着いて丁寧に指示する。子育てでボロボロになっているから、おじいちゃん・おばあちゃんが孫と遊んでくれている間に、美容院やエステに行ってリフレッシュ。 こんな実家への「頼り方」だってあるのです。 モンスター化してしまう妻。それは、自分がラクをするためだけに、夫のことなどまるでかえりみず、夫婦でともに成長していこうという気持ちもなく 実家に依存する妻 たちなのです。 その後、あずささんと大輝さんは 結局、離婚 しました。妻にとって夫はお荷物でしかなく、夫にとって妻は金食い虫でしかない…。せっかくご縁があって結婚し、そのうえ子宝にまで恵まれた男女の、あまりにも悲惨な結末です。 妊娠・出産・育児により、心身ともに疲弊した妻に忍び寄る 「実家帰り」モンスター 。あなたはこのモンスターに、心を乗っ取られてはいけません。
2018年08月19日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 時代の変化にともない、家族のあり方も変わっていきます。 どのような形の家庭を築くかは、各夫婦の選択に委ねられるべき問題です。それぞれの夫婦が、カスタマイズした家庭を形作ってゆけばいいでしょう。 けれども、どんな家族の形を模索するにせよ、絶対に忘れてはならないことがあります。それは、 夫婦は互いに協力するもの であるということ。 「そんなの当然」と思うのは頭の中だけで、実際には非協力的な夫婦たちのトラブルがあふれています。友だちとのトラブルなら距離を置けばいい話ですが、夫婦間は距離を置くと冷え切ってしまいます。 結婚前や、結婚後しばらくの間は、夫婦間の協力が「当然」のこととして認識されているかもしれません。ところが、それから月日がたち、子どもも生まれて、家事に育児に忙殺されるようになったら…? 環境が変われば、「夫婦間の協力」という意識はすっ飛んでしまいます。 相互協力という夫婦関係の基本中の基本を忘れてしまった妻は モンスター化 まっしぐら。そして夫婦仲は、 破綻の一途 をたどることに。 今回ご紹介するのは、そんな夫婦間で協力しようという姿勢を完全に忘れてしまったモンスターワイフです。 ■「あんたなんか夫でも父親でもない!」妻の暴言が止まらない 「夫放置系モンスター 実家帰り」代表:あずさ(仮名)32歳の場合 あずさは、お気に入りのピンクのブランケットにくるまり、大好きなホットココアを飲みながら、海外ドラマに夢中になっていた。至福の時間。ところが…。 「…ただいま!」 息子を起こさないようにつけていたヘッドフォン越しに、突然耳に入ってきた雑音に振り返る。そこには、夫の大輝が不機嫌な顔で突っ立っていた。 「え、なに?」 あずさも負けず劣らず不機嫌な声で応える。 「ただいまって、何度言わせるんだよ」 あーあ、せっかくいいところだったのに。「ただいま」に対して、すぐ「おかえり」が返って来なかっただけですねるなんて、まるで子どもね。まだ3歳の息子・恵太のほうが、よっぽど物わかりがいい…。あずさは大きなため息をついた。 「腹減った。メシは?」 「え? もう10時半よ。会社で食べて来たんじゃないの? 最近ずっと、会社で出前をとっていたじゃない」 まゆをひそめるあずさに、大輝の口調がますますイラ立ちを増す。 「食ってるヒマ、なかったんだよ。冷蔵庫に何かあるだろ?」 「ないわよ。お夕飯は恵太と 実家で食べて来た んだもん」 「またかよ…。じゃあ、なにか簡単なものでいいから作っといてくれよ。先に風呂入ってくるから」 「お風呂わいてないわよ。私たち、 実家で入ってきちゃった から。恵太がおじいちゃんと入りたいって…」 「いい加減にしろよ!」 ついに大輝が怒鳴り声を上げた。 「家事もせず 実家に入りびたって 、俺から生活費だけ巻き上げて。おまえ、この家でまともに生活していないじゃないか。こんなの詐欺だよ、詐欺!」 「はぁ!?」 夫に怒鳴られても、あずさは一歩も引かなかった。夫の言い分が、 彼女にはさっぱり理解できない 。 詐欺ってなに? 私は仕事ばかりの夫なんかに頼らず、実家のサポートを得て頑張っている。大輝は、給料がたいしたことないくせに家事を手伝うこともない。うちの実家のおかげで食費や生活必需品にかかるお金が浮いている。夫は私と私の実家に感謝すべきなのだ。それなのに詐欺とはなんだ。許せない。 あずさは夫以上の剣幕(けんまく)で怒鳴り返した。 「詐欺はどっちよ!? ロクに家にいない あんたなんか夫でも父親でもないわ! 」 ■夫を放置…「始まりは長めの“里帰り出産”」 あずさは、4歳年上の大輝と5年前に結婚した。 小さな出版社に務める夫の大輝は、常に忙しい。朝は早く、夜は遅い。休日出勤もしょっちゅうだ。 それでも結婚後、待望の第一子妊娠が分かった時、あずさは幸せでいっぱいだった。ところがその後、 ひどいつわり におそわれる。食べられないし、動けない。 そんな窮地を救ってくれたのが、 実家の母 。電車で1時間かかる距離を毎日通い、面倒を見てくれた。夫の出張中には、泊まり込んで世話を焼いてくれた時もある。 それ以降、つわりがおさまってからも、あずさはなにかと実家を頼るようになった。彼女の両親のほうも、一人娘が嫁いでからも自分たちと過ごしてくれることを喜んでいた。そして、あずさは 妊娠7カ月になる前に、里帰り することを決めたのだ。 「ずいぶん早くないか?」 大輝の顔がくもった。 「もうすぐ繁忙期も終わるし、子どもが生まれる前にさ、少しはあずさと2人でゆっくり過ごそうと思って…」 「でも、健診とかは、ママに車で送ってもらって、付き添ってもらえるほうがラクなんだもん。ママとお医者さんと相談して、もう決めてきたから」 あずさは聞く耳を持たず、大輝は渋々あずさを送り出した。産後の1カ月を実家で過ごしたら帰って来る、という妻の言葉を信じて。 ところが、あずさが大輝と住む家へ 戻って来たのは、産後4カ月を過ぎて から。母子ともに健康だったが、あずさはなにかと理由をつけて、実家に居座わる。 「恵太は俺たちの子どもだろ。週末だけ、あずさの実家で恵太の顔を『見せてもらいに行く』みたいな生活は、もう嫌だ。あずさも恵太も健康なのに、4カ月も帰って来ないなんて、いくらなんでも長過ぎるよ」 大輝にそうつめ寄られて、あずさはむくれ顔でようやく帰って来た。こうして始まった「家族水入らず」の生活だったが、 初めから難航 した。 ■「育児ノイローゼが引き金に」親離れ子離れできない妻 初めての、 ひとりぼっちの育児 。あずさは初日からパニックになった。 夜遅く疲れ果てて仕事から帰る大輝を待ち構えるのは、ゾンビのような顔をして泣きぐずるあずさ。それが、毎晩のように続いた。 玄関で靴もまだ脱いでいない大輝を相手に、あずさの口からは 泣き言と愚痴の嵐 。「どうしたら恵太が泣きやむか分からない」「疲れて死にそうだ」「大輝はいいわよ、どんなに忙しくたって、ランチとトイレくらいは、行きたい時に行けるでしょ」…。 ようやく妻から解放されたと思ったら、今度は息子が泣き始めて、眠ろうにも眠れない。「このままでは共倒れになる」と大輝が危機感を覚え始めていたある日、あずさが「ママに手伝いに来てもらう」と言い出した。 「また実家かよ」と大輝はむかつく。けれど、背に腹は代えられない。赤ん坊を抱えて、 夫婦共倒れ ではどうにもならない。大輝は仕方なく、これを受け入れるしかなかった。 しかし、これが間違いだった。 義母は泊まりがけ で、娘と孫の面倒を見始めたのだ。初めは、大輝の出張中だけだった。ところが次第に大輝が家にいる時でさえ、あずさは「ママ、泊まっていったらいいじゃない」「もう遅くなっちゃったから」「こんなに雨が降ってる中、帰るの大変でしょ」と、母親を引きとめるようになったのだ。 確かに、義母のおかげで助かっている。だから、あずさのこんな主張を否定することなど、大輝にはできない。だが…大輝は 居心地の悪さ に押しつぶされそうだった。 会社では、ひたすら忙しく働く。やっと家で過ごせる時間ができても、そこはすでに妻・息子・義母、そして時には義父という「定番メンバー」に占拠されていて、 自分の居場所などない 。 それに…息子の夜泣きがひどい時などは、あやし上手の義母の存在は本当に有り難い。けれど、たとえ息子がぐっすりと眠っている夜でも、 義母がいてはセックスなど望めない 。 というより、義母がいる時のあずさはすっかり「娘」に戻っていて、自分の「妻」という感じがしない。ついさっきまで「ママ、ママ」と義母にべったり甘えていた妻に、大輝はベッドの中で手を伸ばす気になれなかった。 あずさの妊娠が分かってからこれまで、 一度もセックスしていない 。そろそろなんとかしないと、俺たちまずいんじゃないのか? 大輝はあせっていた。 ■夫婦崩壊「妻の実家から徒歩1分に引っ越し」で決定的に そんなある日。大輝が帰宅すると、あずさがいつになく明るい顔で出迎え、ニコニコしながら言う。 「実家から歩いて1分のところにね、新築のアパートができるんだって! 大家さんがパパの知り合いで、私たちのことを話したら、1階の庭付きの角部屋を特別に確保してくれるって言うの。しかも家賃まで特別割引き!」 「実家から歩いて1分」 という言葉に大輝は初め「冗談じゃない」と思った。けれど…案外、悪い話ではないかもしれない。歩いて1分の距離となれば、さすがに義母が泊まっていくことはなくなるだろう。そうすれば少なくとも義母が帰ってからは、家族の時間、夫婦の時間を持てるはずだ。 それに庭付きのアパート、家賃も割引きというのもオイシイ。恵太が元気に動き回るようになって、もう少し大きなアパートに引っ越さなければならない、庭付きの物件があれば最高だ、とちょうど夫婦で話していたところだったのだ。大輝はさまざまな条件を天秤(てんびん)にかけたが、最終的にはあずさの熱意に負けて、このアパートを借りることに。 ところが、これが致命的な決定打となって、 家庭は完全に崩壊 した。 確かに義母が泊まりに来ることはなくなる。なぜなら、あずさが恵太を連れて、完全に実家に入りびたるようになったからだ。大輝が家賃を払う新しいアパートにあずさと恵太が帰ってくるのは、恵太のおもちゃを取りに来る時と、寝る時だけという状態に。 そんなアパートは掃除もろくにされておらず、あちこちホコリがたまっている。食事もすべて実家ですませてくるので、あずさが最後に自宅のキッチンに立ったのは、もういつのことだか分からない。 「最近ランチに出かけそびれることが多いから、弁当を作ってくれないか」という大輝のリクエストも、あずさは当然のように完全スルー。週末の昼食でさえ、「私と恵太は実家で食べるの。大輝も 来たければ来てもいいわよ 」などと言われる始末…。 そして最近では、夫婦が自宅で顔を合わせれば 十中八九ケンカ になるような状態が続いているのだ。 夫が仕事で忙しいことを理由に、実家に頼りきりになったあずささん。自分と息子さえ快適に過ごせれば、 夫のことなどお構いなし 、というモンスターっぷりです。 彼女はなぜ、モンスターワイフになってしまったのでしょうか? 後編でチェックテストとともに見ていきましょう。
2018年08月18日自分に不利な条件をのまされてはいけない。自分の主張は通さなければならない。どんな場面でも瞬時に損得を勘定し、議論では絶対に勝たなければならない…。確かにビジネスの場では、そうした姿勢も必要です。けれども、そんな態度をそのまま夫婦関係にまで持ち込むと、2人の関係にひずみが生じ始めます。 ■「夫婦は対等ってなに?」夫と妻は運命共同体 上司や同僚、顧客などは、特定の目的のためだけに限られた時間だけ行動を共にする相手です。夫とは、根本的に存在意味が異なります。上司はあなたが病に倒れた時、心配して看病してくれますか? 数十年後、あなたがこの世を去る時、手をにぎって泣いてくれますか? その点を理解せずに 「夫婦は対等」 と言い出すから、夫と妻の関係がおかしなことになるのです。 夫婦は対等というのは、絶対的な真理のように聞こえて、いざ実践となると難しく、実に曖昧(あいまい)なもの。完全な フィフティ・フィフティ など不可能ですし、そもそも夫婦間の「フィフティ」など、どのように判定しろというのでしょう。そこをはき違えると、夫婦関係はこじれるばかりです。 「私が○○してあげたんだから、あなたも同じだけのものを返してちょうだい」「あなたが△△してるんだから、私だってしていいわよね」などと、お互いが勝手な論理を展開をし始めてしまう結果に。夫婦間のやり取りが一から十までこんな調子では、当然息がつまります。 けれども、働く現代女性は、たえず 競争や利害の攻防戦 にさらされているケースもしばしば。 妊娠出産に関して嫌味 を言われるケースもまだまだあります。自宅でも、その流れのまま、攻防する勢いで夫婦間の会話をしてしまうわけです。 前回 ご紹介したのは、誰にも負けられないとバリバリ仕事を頑張るうちに、闘争心と自己防衛力がどんどん強くなっていった茉莉さんのエピソードでした。会社で自分のポジションを守るのに必死で、さらに会社だけではなく義母まで「女性なんだから、仕事よりも出産・育児」という考え方で、心底ウンザリしています。これでは自分の立場や利益は自分で守らなければ…という考え方になっても、無理もないかもしれません。 けれど、茉莉さんは「運命共同体」であるはずの自分の夫を「敵」、「障害物」と見なし始めてしまいました。「敵」だから、意見が異なる場合には「話し合う」のではなく「論破する」。譲歩という選択肢はありません。 「夫婦は対等」という基本を踏まえたうえで、お互いの言い分に耳を傾け、納得できる落としどころをみつけていく。それが夫婦本来の姿です。それを忘れてしまった妻が、モンスターワイフになっていくのです。モンスター化した妻たちは「対等、対等」とわめきながら、自分の譲歩や犠牲にばかり敏感で、夫の譲歩・犠牲は目に入らなくなっていることがほとんどです。 茉莉さんの場合も、夫の亮平さんは夫婦で過ごせる時間がけずられていっても、嫌な顔をせず茉莉さんを応援。亮平さんも仕事で疲れていましたが、食事の支度を買って出てくれていました。けれども、茉莉さんはそんな亮平さんに感謝することができません。いえ、気づくことさえできませんでした。そして逆に、自分が犠牲を求められる状況になると、過敏に反応して戦い始めています。 あなたもビジネスシーンで自分を守るのに必死になるあまり、家庭でも私利死守魔になっていませんか? ■「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」度チェック ここでは、あなたの「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 仕事に最も高い優先順位をつけている。 2. 職場も家庭も男女平等は当たり前だと思う。 3. 負けず嫌いな性格で、物言いもキツいほうだと思う。 4. 雑誌などで「オス化」という言葉を目にすると、ギクッとする。 5. やると決めたことは、徹底的にやらなければ気がすまない。 6. 同僚や友人に「すごい」と一目置かれると幸せを感じる。 7. どんな状況でも損得勘定を忘れない。 8. 仕事も趣味も、熱中している時にそれ以外のものは躊躇(ちゅうちょ)なく切り捨てるタイプだ。 9. なにごとも完全に白黒つけなければ気持ち悪い。 10.ステイタス、経済力は結婚相手に左右されず、自分で勝ち取るものだ。 ■あなたの「私利死守魔」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、私利死守魔度「C」(闘争心・自己防衛力がムクムクふくらみ始めています) ○の数が6個以上8個未満は、私利死守魔度「B」(目標達成の障害となりうるものは、バッサバッサ切り捨てるクセがついてきていませんか?) ○の数が8個以上は、私利死守魔度「A」(自分の成功のためにパートナーや家庭を犠牲にすることを、もはや何とも思わなくなっているはず) その後、茉莉さんと亮平さんは、どうなったのでしょうか? 仕事のことしか考えられない茉莉さんと、子どものいる幸せな家庭を築きたかった亮平さん。亮平さんはとうとう、自分の言い分や権利の主張ばかりに終始する茉莉さんとは建設的な話し合いを望めないと判断しました。亮平さんの帰国を待たずして、2人は 離婚 することになったのです。 亮平さんは帰国後に再婚し、今ではお子さんに恵まれて幸せに暮らしているそうです。茉莉さんはといえば、離婚後それまで以上に仕事に没頭し、昇進を果たしたそうです。 「夫のことが 嫌いになったわけじゃなかった から、やっぱり離婚はこたえましたよ。それに子どもについても、いつかは…という気がなかったわけでもないのですが…。でも、離婚をした時には、もう 30代半ば でした。その頃も仕事、仕事の毎日でしたから、 再婚なんて考えられる状況じゃなくて 。欲しいものを全部手に入れるなんて、きっと無理なんですよね」 茉莉さんはそう振り返ります。しかし、果たして本当にそうでしょうか? バリキャリの社会生活で、私利死守魔と化してしまった妻。それでも一度立ち止まって、ガチガチの武装を解除し、夫と素直に話し合うことができていたなら状況は変わっていたはずです。 何しろ夫婦は 「運命共同体」 なのですから、相手を論破して黙らせたり打ち負かしたりしても、何の得にもなりません。互いに思いやりを持って話し合い、譲歩もしながら、ともに納得できる状態で一緒に進んでいくことを選択するのが花丸です。 家から一歩外に出れば、男性にも女性にも、シビアな現実が待ち受けている世の中です。そんな現代社会に生きる私たちだからこそ、せめて家庭ではいやし合いたいもの。夫婦でそこに気づけば「家庭」がこのご時世を生き抜くための、心強いよりどころとなります。まさに 「二人には帰る家がある!」 です。
2018年08月05日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 過去、「企業戦士」という言葉がありました。ワークライフバランスが高らかにうたわれる現代、その言葉は消滅したかと思いきや、そうでもない現状を皆さんもご存じでしょう。今では、最前線で男性と肩を並べて闘う 「女性企業戦士」 も珍しくありません。 ビジネスシーンで自分の立場や利益を守るためには、シビアな損得勘定やドライな割り切りも不可欠。確かに社会で上を目指していくには、そうした「武装」も必要でしょう。けれども、そんな 企業戦士の鎧 (よろい)が完全に肌に張りついて、もはやプライベートでも脱ぎ去ることができなくなってしまったら…それは考えものです。 今回は、 家庭でもドライな理論武装 を解除できなくなってしまった妻のエピソードをご紹介します。 ■パワハラ、セクハラに歯ぎしり「家でも企業戦士」の妻 「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」代表:茉莉(仮名)32歳の場合 「茉莉、おかえりー。夕飯もうすぐできるよ」 都心にほど近いスタイリッシュな新築マンション。家具は少なく、ホテルの部屋のようなすっきりした家だ。明るく出迎えた夫の亮平に、茉莉は「ただいま」と一言素っ気なくこたえ、そのまま自分の部屋に消える。 オーダーメイドのスーツを脱ぎ捨てると、バッチリメイクをふき取りシートでゴシゴシ落とす。その間、茉莉はずっと、奥歯をかみしめていた。 「冗談じゃないわよ… パワハラの原点 はまさにこれだわ」 茉莉は大手商社で海外営業を担当している。同期の女性社員の間で、彼女は出世頭ともてはやされていた。 けれど、明らかに自分よりも能力が劣るとしか思えない 男性同期たちが、次々と昇進 していく。そんな現実に直面するたび、茉莉は死ぬほどくやしい思いをしていた。それでも「男の何倍も努力して、実績で勝負してやる」と、自分をふるい立たせてきたのだ。睡眠不足だろうが、熱があろうが、生理痛がひどかろうが、常に背筋を伸ばして仕事に向かっている。 接待のため、嫌いなお酒も“訓練”して強くなった。「営業は見た目も実力のうち。デブは体調管理もできない意思が弱い人間と思われる」と自分を鼓舞し、時間さえあればジム通い。人脈を広げようと、朝は早起きして異業種交流の朝活にいそしんでいる。SNSは仕事関係のビジネスパーソンばかりとつながっている。英語で書き込むこともしばしば。ビジネス用語を調べながら投稿したりすると、時間がたつのを忘れるほどだ。 残業、人脈作りのSNS、パワーブレックファースト…。朝食も夕食も夫婦そろって取れない日が続くこともある。そんなことに構ってはいられない。 「誰にも負けたくない」 茉莉は全力で努力していた。それなのに…残業中に上司から、国内の マイナー部署への異動 を打診された。目の前が真っ暗になった。あわてて上司に食ってかかると、彼は気まずそうに茉莉に言った。 「稲田さんって結婚して、えーっと、3年目? あ、 セクハラ とかって思わないでくれよ。やっぱり 年齢的にも、子ども のこととか考えるでしょ? となると、海外営業って激務だからさ…。国内担当の部署のほうが、育休からの復帰後も、何かと融通が利くし。ほら、うちは育休制度ばっちりフルサポートだからさ」 「もっと仕事で結果を出すまで、妊娠・出産など一切考えるつもりはありません!」 茉莉は上司をにらみつけ、そう言い残してオフィスを飛び出してきたのだ。 ■「くやしくないわけ?」家でも仕事モードの妻にうんざり 食卓についても、茉莉の頭の中では上司の言葉が際限なくリプレイされていた。メイク落としの時に使ったヘアバンドがそのままで、眉間に寄ったシワが丸見えだ。イラつく茉莉には、夫が用意してくれマーボーナスの味すらわからない。 亮平は大手電気機器メーカーに勤務している。帰宅時間は茉莉よりも早いことが多く、そうした日には夕飯を用意して妻の帰宅を待っている。 食卓の重苦しい沈黙 を破るように、亮平は明るい声を出して言った。 「あ、そう言えばさ、俺の後輩の小宮。あいつ今度、フランスに赴任だって。すごいよなー」 「栄転ね」 茉莉のトゲを含んだ口調に、亮平はビクリとする。 「後輩に先越されて、 くやしくないわけ? 私だったらそんなの絶対に嫌。後輩に出し抜かれて、よくヘラヘラしてられるわね」 まただ、と亮平は思った。先を越されるとか、出し抜かれるとか。茉莉はいつから、こんな 闘争心の塊 のような人間になってしまったんだろう。 茉莉が頑張っているのは、よく分かる。それは分かるが、このギスギスした空気は耐えがたいものがある。ここは会社ではなく、2人の家なのに…。 亮平はもう楽しい雰囲気を作ろうとするのをあきらめて、自分が用意した夕飯をひたすらかき込んだ。 ■「私のキャリアを犠牲にしろ?」夫に海外単身赴任を強いる妻 茉莉の猛抵抗で、国内部署への異動の危機が過ぎ去りつつあったある日。帰宅すると、亮平がいつになく興奮した様子で出迎えた。 「茉莉、俺、 アメリカ赴任 になった! でかいプロジェクトに参加できそうなんだ」 茉莉は表情を変えない。 「それは、おめでとう」 あーあ、やっぱり、 男ってだけで得よね… 。そんな本音が顔に出ないよう注意しながら、茉莉はどうにか口角を上げて見せた。 「頑張ってね。 私は行けないけど 」 うれしそうだった亮平の顔が、一瞬にして暗くなった。 「茉莉だって、アメリカに住んでみたいって言ってたじゃないか。だから俺、いつも部長に『海外赴任するならアメリカに』って言ってあって…」 「それは私の実力が認められて、自分がアメリカに派遣されたらの話よ。駐在員の妻として、夫にくっついて行くなんてゴメンだわ」 亮平はしばらく黙り込んでしまったが、やがて言葉を選ぶようにして言った。 「向こうに行ったら、少なくとも3年は戻って来られないんだ。結婚する前、子どもは2人欲しいって話し合ったよね。となると、そろそろ…」 「じゃあ、 子どもはあきらめましょ 」 あまりにキッパリとした、まるで相手を切り捨てるかのような茉莉の物言いに、亮平は絶句した。対する茉莉の頭の中は、自分の夫と上司が結託して、自分のキャリアをブチ壊そうとしているイメージでいっぱいになっている。 「つまりあなたのキャリアのために、私のキャリアを犠牲にしろって言ってるんでしょ? どうして私が、あなたの犠牲にならなきゃいけないの? 男女は平等、夫婦は対等でしょ。あなたについて行くために、私が仕事をやめる? あなたの 子どもを生んで育てるために、私が仕事をあきらめる? どう考えたって不公平 じゃない」 一言の反論も許さないような、バッサリとした茉莉の口調。どこまでも冷たくドライな妻の態度に、亮平は反論する気力が消え失せるのを感じた。 結局亮平は、 一人で渡米 する決心をした。亮平の出発までの3カ月間、もともとギクシャクしていた夫婦仲は一層冷え切ったものになっていった。 ■「子どもを作る気はありません」義母への言葉に夫は… 亮平が忙しく引越し準備を進めていた、ある日曜日。自宅の電話が鳴ったので茉莉が出ると、相手は亮平の母親だった。 茉莉はこの昔気質な義母が、昔から苦手だ。義母は、結婚したら 女性は家庭を最優先すべき で、子どもを生み育てることこそ女性の最高の幸福だと信じて疑わないタイプ。案の定、義母は単身で渡米する息子を案じる小言を並べ始めた。 「亮平はああ見えて、昔から寂しがり屋なところがあるから。しっかり者の茉莉さんがついて行ってくれたら、本当に心強いのにねぇ。それに、亮平のお給料で十分食べていけるでしょ? 何もそんなに 必死になって、共働きしなくたって… 。妊娠や出産だって、早ければ早いほどラクよ。体力的にね」 「子どもを作る気はありませんから」 茉莉はピシャリと言った。もうウンザリだった。誰もかれも、子ども、子どもって。私は “生む機械” じゃない。 「私の仕事は、育児をしながら片手間にできるような仕事じゃないんです。産休・育休なんて言いますけど、一度、戦線離脱したら元いた場所には戻れませんから。それにお給料のことをいうなら、 私のほうが稼いでるんですよ 。亮平さんもお義母さんもそんなに子どもをご希望なら、亮平さんが生めたらよかったのに。残念」 電話の向こうで、義母が息をのむのが分かる。ふと気配を感じて振り向くと、亮平が背後から茉莉を見つめている。その目は何だか、 他人を見るような目 だった…。 プライベートなどそっちのけ。全力で仕事に邁進(まいしん)する茉莉さん。けれども、その 「頑張り」 は、いつしか 「突っ張り」 に。社会で自分を守るために理論武装をしてきたのでしょう。これを夫と将来について率直に話し合うべき場にまで、そのまま持ち込んでしまうようになりました。 自分のキャリア、自分の立場、自分の利益… 損得勘定や自分の意見の主張ばかり に固執するようになってしまった茉莉さんは、その後どうなったのでしょうか? そして、シビアな現代社会で頑張るあなたも、茉莉さんほどはいかないまでも、 「私利死守モンスター」 の卵を抱えていませんか? 次回ご紹介するチェックテストで確認してみてくださいね。
2018年08月04日仕事をバリバリ頑張り、家事にも一切手抜きなし。旦那様はさぞかし幸せかと思いきや、夫婦仲はイマイチ…。 前回 ご紹介したのは、そんな亜紀さんのケースです。 亜紀さんは、母親が専業主婦でした。母親は家事全般が得意で、家はいつでもピッカピカ。毎日おいしい料理がテーブルにズラリとならび、洗濯物がたまっていたことなど一度もなかったといいます。そのため、そんな家庭が亜紀さんの頭に「標準」としてインプットされていました。 ここが間違いの原点です。 母親が若い頃とは、時代がまったく違ってきています。「良妻賢母」のスタンダード感覚を 臨機応変にシフト していかなければ、 自分自身を圧迫 し、夫婦生活に亀裂を招きます。 亜紀さんは、フルタイムで働く現代女性。プロ主婦であった母親の家事のレベルを目指していては必ず無理が出てきます。それでも努力家の亜紀さんは「もっと頑張らなければ」と考えます。「上手に手を抜く」「もっとラクに暮らせる方法を考える」という 発想がない のです。 夫の隼人さんはいつも亜紀さんに協力したいと思っているけれど、「何でも自分でやらなきゃ」「人に助けを求める=自分のいたらなさを露呈する」と亜紀さんは感じてしまう。夫の申し出をありがたく受け入れることができません。つまり頑固なため、時にやり方を変えたほうがスムーズにいくということを受け入れられないのです。 有能で真面目な頑張り屋さんほど、陥りやすいこのパターン。 あなたは大丈夫ですか? ■「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」度チェック ここでは、あなたの「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 昔から「真面目が取りえ」だ。 2. 小学校、中学校で「頑張り屋」「努力家」と評されてきた。 3.やればできることを「面倒だから」といってやらずにすませるなんて負けだ。 4. 実家の母親は家事力が高いタイプだ。 5. 何でも自分でこなす自信があるので、人に頼みごとをしない。 6. 誰かから援助の申し出があると「自分がいたらないからだ」と、わが身を責める。 7. 自分のことは自分でする 8. 「苦労しながら頑張る」ことが美徳であり、「ラクをする」のは怠惰だと思う。 9. 友だちからの遊びの誘いに気安くのらない。 10. 計画通りに運ばないと怒りがわき起こる。 ■あなたの「クタクタぼろぼろ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、クタクタぼろぼろ度「C」(何でも一人で抱え込み、くたびれ始めていませんか?) ○の数が6個以上8個未満は、クタクタぼろぼろ度「B」(「お疲れ顔」が標準状態になっています) ○の数が8個以上は、クタクタぼろぼろ度「A」(常にクタクタ。疲労感や不満が全身からにじみ出て、家庭の空気もどんより) 亜紀さんの世代は、母親が専業主婦であることがまだ多かった世代です。現代社会で男性と肩を並べてバリバリ働きながら、家庭では専業主婦の母親がこなしていた家事のレベルを追求してしまう。特に、母親の家事レベルが高かった場合ほど、その傾向が強いでしょう。多くの現代女性が、こうした苦境におちいっています。 亜紀さんも、どんなに忙しくても「夫が掃除や洗濯をしている姿など想像できなかった」「夫に家事を頼もうとなどとは考えられなかった」と言います。 けれど、 疲労とストレス は蓄積する一方。家庭の空気が悪くなり、夫婦ケンカも増えました。亜紀さんがいつも疲れていて不機嫌なので、甘い雰囲気になどなりようもありません。2人で過ごす楽しい時間も、もちろん セックスやスキンシップも長い間ありません 。 そんな状況に我慢できなくなった夫の隼人さんが、ある日ついに… お掃除ロボット を購入してきたそうです。 「私がやるからいいのに、こんなムダ使いして!」「私のやり方じゃダメってこと?」と、その日はまたケンカになったそうです。 ところが、いざお掃除ロボットを使ってみると、その便利さにすっかり魅了されてしまった亜紀さん。これに気を良くした隼人さんは、食洗機や乾燥機付き洗濯機の購入も提案。亜紀さんも前向きに検討中とのことです。 「『大変でも我慢して頑張っている自分』こそえらい」「苦労してこそ評価される」…そんな おかしな考え方にとらわれていた のかもしれません、と亜紀さんは言います。 「1人で完璧にこなすけれど、いつも疲れていて不機嫌な妻」と、「ラクに暮らせる方法をうまく見つけて、いつでもゴキゲンな妻」。どっちになるも、 妻次第 です。
2018年07月22日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 前回 は、仕事の忙しさを理由に、家庭生活をかえりみなくなってしまったバリキャリ系モンスターワイフをご紹介しました。 今回も同じバリキャリ系モンスターワイフに分類されますが、実は真逆。仕事と家庭の両立に非常に熱心なタイプです。しかし、そんな立派な妻も、 一歩間違えばモンスターワイフ に…。 せっかく 「デキる女」と「愛され妻」を両立 しようという気概を持つ健気なあなたが、迷走してしまうことがないように。こちらのエピソードをお届けします。 ■髪ふり乱して手抜きメイク「仕事も家事も完璧妻」 「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」代表:亜紀(仮名)33歳の場合 始業10分前に駆け込んだ会社の女子化粧室。鏡に映る自分の姿に、亜紀は朝からゲンナリした。おでこも鼻もテッカテカ。髪は毎日同じ ひっつめ髪 。そしてなにより、くたびれた感じが全身からにじみ出ている。 亜紀の朝は、出勤前から戦争だ。起床と同時に洗濯機を回し、お弁当作りに朝食作り。夫の隼人を送り出したら洗濯物を干して、 超時短メイク 。そのメイクも、駅までダッシュしている間に崩れてしまうのだが…。 服だって、本当はパリッとアイロンのかかったブラウスを着たい。けれど 自分の服は、ノンアイロン でOKなものと決めている。毎週末、隼人のワイシャツのアイロンがけだけでも大変なのに、これ以上手間を増やす気にはなれない。 半年前、真面目な仕事ぶりを評価され、亜紀はチームリーダーに昇進した。地道な努力が報われたのだ。亜紀は自分をほめまくった。 「わたしって最高! 家庭と仕事の両立ができてるって感じ!」 それ以来、亜紀は以前にも増して熱心に仕事に取り組んでいる。残業はほぼ毎日だ。家事にあてる時間が短くなってしまったが、だからといって 手抜きは厳禁 。手を抜くというのは怠けだ。努力さえすればできるものをあきらめるなんて、それは単なる怠惰だ。 会社で評価されたい。そして同時に、家庭でも 「理想の奥さん」 でいたい。隼人が職場の友だちに「うちの亜紀は満点の奥さんだよ」と自慢する光景を何度想像したことか。 亜紀は理想が人一倍高かった。 ■イライラ完璧妻が夫と追いつめる… 「今日も遅くなっちゃった…」 駅から家までの道を髪ふり乱して小走りしながら、亜紀は考える。もうクタクタ。こんな夜はゆったりお風呂につかりたい。ラベンダーオイルたっぷりたらして…。 マンションの入り口が見えてくると、亜紀は現実に戻り、 ため息をひとつ つく。本日の「家事 TO DO」が待ち受けている。隼人は10時前に帰ってくるのだ。大急ぎで夕飯の支度をして、隼人に食べさせる。それがすんだら食器を洗って、洗濯物をたたんで…。 朝は5時半に起きなければならない。睡眠時間を確保するために、お風呂でゆっくりは今日もおあずけだ。シャワーですまそう。家事の段取りを考えながら、バタンとドアを開けると…。 「亜紀、おつかれ! 今日は早く上がれたんだ。LINEするの忘れたけど」 先に帰宅していた夫の声に、亜紀はびっくりした。隼人は洗濯物を取り込んでいる。その光景を見て、 亜紀は身ぶるいする。 ブルルル…。 「ダメダメ! シャツはそこに置かないで! つるさなきゃシワになっちゃう。ここは私がやるから、隼人はお風呂入ってきて!」 「わかったよ…。あ、そうだ、メシは出前取ろうよ。亜紀疲れてるだろ」 「ダメよ。1週間分の献立を考えて、買い物してあるんだから。葉ものの野菜は傷みやすいの。今日、火を入れないと。一緒に明日のお弁当の下ごしらえもするんだし。 私の計画を崩さないで 」 何か言いたげな隼人を半ば強制的にバスルームに押し込むと、亜紀はいつものやり方で洗濯物を取り込み始めた。せっかくきれいに干してあったシャツがシワになってしまったら、週末のアイロンがけがさらに面倒になってしまう。そうだ、アイロンスムーザーも買い置きしておかねば。 急いで夕飯を用意し、洗濯物をたたんでいると、風呂上がりの隼人がサッパリした顔でやって来た。 「冷たいもんあるかな。この前、ダイエットコーラ買っといたよな」 毎晩お風呂につかれていいわね…の気持ちがついいじわるな言葉で口から出てしまう。 「夕ごはんの前に甘いもの、飲まないでよ」 ムッとしながら洗濯物を引き出しにしまい込む。つい 不満が態度に出てしまう のを抑えることができなかった。黙りこくって夕飯を食べていると、隼人が切り出した。 「週末は久しぶりに一緒に出かけないか? 恵比寿に新しくできたカフェ、行きたいって言ってただろ」 亜紀は大きなため息をひとつつき、答えた。 「ムリ。土日は水回りのお掃除もアイロンがけもたまってるし、1週間分の買い物にも出かけないと。それが終わったら、とにかく体力を温存したいの」 隼人の方もムっとする。 「なあ、亜紀はいつも疲れてるだろ。だからおれも家事を手伝いたいのに、なにかしようとすると、大抵ケンカになる。一体どうすれば…」 「ごめんってば。もっと要領良くできるようにするから!」 亜紀はピシャリと隼人の 言葉をさえぎった 。隼人は立ち上がってソファに移動し、iPadでニュースを読み始める。 なんだよ、またこのパターンだよ。こうなるなら、なにも言わなければ良かった…。亜紀はいつも自分が悪いことにして謝ってくる…隼人は内心ぼやきながら、謝る妻にさらに文句を言うことはできない。 隼人は 後悔 していた。まじめで頑張り屋のところが好きで結婚したのに。度を越してパーフェクトを目指そうとする妻に、 窮屈感 を感じ始めている。自分のジョークに笑い転げるかわいい妻の姿は今やない。 結婚する時、「隼人の理想の奥さんになるね」とほほえんでくれた亜紀。理想の奥さんからどんどんかけ離れていることに亜紀はなぜ気づかないんだろう。家にいる時くらい、ゆっくりのんびりすればいいのに。洗濯物がシワになってても、弁当のおかずがサケ一切れでも全然かまわないのに。 隼人の頭の中は、亜紀への 不満がうずまき始めていた。 会社でも家庭でも完璧なパフォーマンスを発揮しようと奮闘する亜紀さん。しかし、その立派な心がけにもかかわらず、 夫婦仲はギクシャク し始めています。 健気な頑張り屋さん ほど陥ってしまいやすい、この展開。あなたは大丈夫ですか? 次回ご紹介するチェックテストでご確認ください。
2018年07月21日前回 、仕事は絶好調、けれども夫婦仲がギクシャクしてきてしまった絵里奈さんのケースをご紹介しました。 絵里奈さんは「 私は変わっていない のに、夫が変わってしまった」と思っています。けれども夫の茂樹さんは、「 変わったのは妻 のほう」だと感じていました。 妻が自分を追い越して昇進した時、悔しさを感じなかったと言えばうそになりますが、妻のために一緒に喜んでやろう、妻を応援してやろうと茂樹さんは思ってました。けれども、忙しさを理由に家事を放棄し、夫を見下して 「ヒマなあなたがやればいいじゃない」 と開き直る妻の態度に、不快感をつのらせ始めます。 初めのうちは、夫婦間の雰囲気を改善しようと妻をねぎらう外食を計画したりもしました。ところが妻は、仕事を理由に ドタキャン 。さらに、妻の部屋にはいつの間にかソファベッドが設置され、 完全なセックスレス に突入しました。 そのうえ妻には、夫の 社内での微妙な立場 に対する配慮がまったくありません。上司には「奥さんに負けず頑張れ」とイジられ、後輩には妙に気をつかわれ…。これも、茂樹さんの ストレス になっていました。 社会的ポジションで女性に追い抜かれた男性は、女性が想像する以上に 敏感 になっていることが多いもの。知らず知らずのうちに、夫のプライドを傷つけていないか、自分の言動を振り返ってみてください。 ■「バリキャリ系モンスター 超絶仕事人」度チェック ここでは、あなたの「バリキャリ系モンスター 超絶仕事人」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 自分で言うのも何だが、自分は「デキる女」だと思う。 2. 自分が忙しい時に、夫が自分をフォローするのは夫婦として当然のことだ。 3. 今どき「男のプライド」がどうのと言う男性は面倒くさいし、時代遅れだと思う。 4. 「物言いがキツイ」「ハッキリ言い過ぎ」などと評されたことがある。 5. 「良妻」や「賢母」「すてきな奥さん」などというあいまいな評価よりも、会社で仕事による評価を得たい。 6. 仕事かプライベートかと聞かれたら、躊躇(ちゅうちょ)なく仕事を優先する(休日出勤もいとわない)。 7. 忙しさや疲れを理由に夫婦別寝、セックスレスになるのは、仕方がないことだ。 8. 仕事が忙しい時には、身なりになど気をつかっていられない。 9. 自分より「デキない」女性が、男性にチヤホヤされているのを見るとムカつく。 10. 女子力を武器に立ち回っている女性を見ると、激しい嫌悪感を抱く。 ■あなたの「超絶仕事人」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「バリキャリ系モンスター 超絶仕事人」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、超絶仕事人度「C」(「妻としての自分」を忘れ始めていませんか?) ○の数が6個以上8個未満は、超絶仕事人度「B」(夫はあなたとの夫婦としての生活に、不満を抱き始めています) ○の数が8個以上は、超絶仕事人度「A」(夫婦仲は冷え冷え。夫には「もう仕事だけしてれば?」と思われているかも) 能力があり、努力も人一倍していて、仕事を評価されている「デキる女」。それは素晴らしいことです。 けれど、いくら「デキる」からといって、自分の社会評価をふりかざし、夫の心情に対する配慮を怠るのはNGです。夫に妻のサポート役を強要してはいけません。むしろデキる女は、より 夫のプライドに配慮 しなければならないのです。この点が、単純に「デキる男」=「魅力的」と見なされる男性の場合とは異なります。 しかし、そんな現実をどれだけ不公平だとなげいても、夫婦仲はこれっぽっちも改善しません。「これだけ男女平等が進んだ世の中で、『男のプライド』なんて言われても…」という気持ちもわかりますが、そう言ってみたところで何の解決にもならないのです。事実、時代に男女の役割が追いついていません。 ここは一枚上手の妻が、家庭でもその手腕を発揮するのが一番です。以下の項目、できていますか? ・夫に何か頼みたい時には、「命令」口調になっていないか注意して、できる限り相手に快く受け入れてもらえるよう意識する。 ・日常生活の中で、夫に花を持たせることができる機会がないか、常にアンテナを立てておく。 ・忙しくても、セックスレスにならない努力をする。 ・おしゃれや体形にも気を使ってみる。 デキる女の妻が家では優しく、セックスも一緒に楽しめ、女子力まで高かったら? 夫はそんな妻に夢中になります。喜んでサポートしてくれるようになります。一枚上手の女性はセルフプロデュースのみならず、 夫婦間プロデュース もできるのです。 多忙な現代女性には、かなりの難題であることは百も承知です。 「女性の方が損じゃない」 という声も多々聞こえます。ただ古来から、男は強くて家族を養い、女はおだやかで可憐(かれん)なたたずまいで男を支えるというイメージが男性側のDNAにインプットされていますので、恋愛にはなかなか平等感覚が持ち込みにくいのでしょう。特に セックスに顕著 にあらわれます。 プライドを傷つけられた男性は、セクシー脳が機能しなくなります。けれど、上昇志向を持ち、結婚生活を円満にしたいと願う女性なら、そのトラディショナルなイメージを保つことがきっとできます。 仕事を一日休んで、家にいて夫にありあまる愛を注ぐ…くらいの 愛の見直しデー をもうけてくださいね。
2018年07月08日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 今回からは、別種の新型モンスター 「バリキャリ系モンスター」 をご紹介していきましょう。「寿退社」という言葉が死語となり、結婚してからもフルタイムで働く女性は増加中です。 そして、ぶち当たる 仕事と家庭の両立 。専業主婦で家にいることができたら、掃除も料理ももっと手をかけられるのにと満員電車の中で考える。家事にかける時間がない、体力がない。ぐったりしながらも家事をする妻の姿を見ても夫は「あーー疲れた」とゴロンとしている。妻の社会での活躍が広がるほど、離れてしまう 夫婦の溝 。 これだけ女性の社会進出が進んでも、 「男のプライド」 が社会の変化に追いついていないことに気づいている方も多いのでは。そこを意識しながら夫に向き合わねば、 毎日プチケンカ が勃発します。そのストレスはいつの日か噴火するはめに。 「仕事では達成感があるけど、 プライベートが犠牲 になってしまった」。そんなことにならぬよう、今回からご紹介するエピソードを参考にしてください。 ■昇給も昇進も夫を追い越し…仕事人モンスターワイフ 「バリキャリ系モンスター 超絶仕事人」代表:絵里奈(仮名)35歳の場合 夜10時。「走れるパンプス」の靴音をカツカツと響かせながら、絵里奈は家路を急いでいた。チークなど塗っていなかったが、そのほほは満足げに上気している。彼女がリーダーを務める一大プロジェクトのプレゼンの資料がついに完成したのだ。上出来だ。明日のプレゼン成功は間違いない。 「ただいまぁ」 リビングのドアを開けると、夫の茂樹はビールを片手にぼんやりテレビでボクシングを観ていた。 「またソファでダラダラと…。洗濯物、たたんでおいてくれればよかったのに」 先週もそのことで衝突したばかりだった。「洗濯物は絵里奈の担当じゃないか」と言われ、「でも、私は今忙しくて茂樹は ヒマ なんだから、そこは臨機応変に対応してよ」と言い返すと、秀樹は自分の部屋にこもってしまったのだ。 同じケンカは避けたい 。絵里奈は気を取り直してたずねた。 「夕飯、どうしたの?」 「ああ、後輩にバッタリ会って、一緒にいつもの店で食べて来た」 “いつもの店”というのは、茂樹が最近よく利用しているカジュアルなイタリアンレストランだった。テイクアウトもできて、サラダは絵里奈もお気に入りだ。 「それなら私にもサラダ買って来てくれればよかったのに。あそこのサラダ、好物って知ってるでしょ」 おなかもすいていたので思わずそう言うと、茂樹は面倒くさそうに ため息 をついた。 「一体、何なの? いつから、私たちはこんな風になってしまったんだろう…」 ■妻の成功の陰で、夫は新人同僚女性と… 都内の一流と言われるメーカーに同期入社した2人。ともに 上昇志向 が強く、互いに刺激し合える関係だった。この人となら切磋琢磨(せっさたくま)し合っていけると思い、絵里奈は結婚を決めた。 それなのに…私は何も変わっていない。今でも日々、全力で努力している。対して、茂樹は変わってしまった。覇気のない緩慢な動作。昇給も昇進も、私がすっかり 彼を追い越してしまった 。 いけない。絵里奈はハッとわれに返った。2人のことに頭を悩ませている場合ではない。明日は大事なプレゼンなのだ。冷凍食品でおなかを満たしたら、明日のシミュレーションをしなくちゃ。 「私、明日プレゼンなの。もうちょっと起きて準備するから、今夜は 自分の部屋で寝る 」 そう言い残して、絵里奈はリビングをあとにした。仕事が忙しくなり始めた頃、絵里奈は自分の部屋用にソファベッドを買っていたのだ。 翌日、プレゼンは大成功。絵里奈は満足感でいっぱいだった。スマホを取り出し、ニッコリする。 「今夜は外食しよう。私のおごり!」 茂樹にメッセージを送った。ところが…。 「ごめん。今夜は飲み。週末埋め合わせする」 絵里奈は心底がっかりした。妻が大仕事を終えたその日に、飲み? もうちょっと 気を利かせてよ… 。トボトボと家路についた絵里奈だったが、駅前まで来て驚くべき光景を目にした。 茂樹が若い女の子と歩いている。あれは…確か入社2、3年目の、総務の池田さんだ。A4サイズの書類など入らない、かわいらしい小ぶりなバッグ。走ることなどできそうにないハイヒール。「愛されOL」を絵に描いたような池田さんが、ふんわりと巻かれた髪をゆらしながら、 夫の隣で微笑んでいた 。 そっとあとをつけてみた絵里奈。小洒落たワインバーに入っていく2人を見届け、しばらくその場に立ち尽くしていた。 ■ついに夫が大反撃! バリキャリモンスターの行く末は? 「結局、茂樹もポーッとした若い子が好みだったのね。知らなかったわ。あの子たちって、『〇〇じゃないですかあ…』って甘ったるい話し方するでしょ。 ばっかみたい 」 茂樹が帰宅するなり、絵里奈は冷ややかにそう切り出した。一瞬驚いたように目を開いたが、茂樹はすぐにいつものムスッとした顔に戻った。 「彼女…総務の池田さん、彼女がうちの部署用に作成した書類に不備があって、そのフォローを俺がしたんだよ。それで、お礼をさせてくださいって言われて」 「なるほどねぇ。 デキない女 ほどかわいいってことかしら。男にフォローしてもらえておトクよね」 茂樹はドスンとテーブルをたたく。 「いい加減にしろよ!」 珍しく声を荒げた茂樹に、絵里奈は固まった。 「いつもいつも、人を 見下したような態度 で。うっとうしくて仕方ないんだよ! おまえより給料低くて悪かったな。これからもどんどん稼いでくださいよ、奥さん」 仕事では絶好調なものの、夫婦仲に暗雲が立ち込め始めた絵里奈さん。一体なぜ、こんな状況に陥ってしまったのでしょう? 絵里奈のように、仕事に精を出している皆さん。プライベートは大丈夫ですか? 上から目線 の言葉を、夫に投げかけていませんか。 次回でご紹介するチェックテストで、あなたの「バリキャリ系モンスター 超絶仕事人」度をチェックしてみましょう。
2018年07月07日自己中心的な義家族にストレスをためながらも、「夫の意をくむできたた妻」を目指して、ひたすら走ってきた理恵さん。そんな彼女がついに大爆発してしまったエピソードを、 前回 はご紹介しました。 実は、この理恵さんの大爆発、その後、夫婦仲に深刻な影響をおよぼしたのです。怒りにまかせて口から出てしまった 「離婚」 という言葉。夫の章人さんに大きな衝撃を与え、彼の家族も敵に回すことになりました。 それまでの 「優しく完璧な妻」 こそが、理恵さんの本当の姿なのだと信じたい章人さん。理恵さんはその後、完璧な良妻の仮面を取り戻そうと必死になります。 けれども、章人さんのオドオドした視線を感じるたびに、理恵さんはたまらなくみじめな気持ちになります。「こいつ、また ヒステリー を起こすかもしれない…」と、夫が自分におびえているように感じるのです。そして理恵さん自身も、怒りを抑えきれずにまた噴火してしまうのではと恐れています。 完璧な妻を目指して努力を重ねてきた理恵さんが抱える問題。それは 「度を越した堪え性」「自己犠牲」「気にしすぎる世間体」 です。長い結婚生活、こうした性質にがんじがらめになっていると、いつか爆発してしまう日がやってきます。あなたもそんな状態に陥っていないか、以下の項目をチェックしてみてください。 ■「バイオレンス系モンスター 修羅場火山」度チェック ここでは、あなたの「バイオレンス系モンスター 修羅場火山」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 「自分さえ我慢すれば、ことは丸く収まってラクチン」だと思う。 2. 自分の要望を人に伝えるのが苦手だ。 3. 「自分の要望=わがまま」だと思ってしまう。 4. したいことよりも「自分にどんな言動が求められているか」ばかり考えてしまう。 5. 大切な人といると相手を喜ばせたいがために、したくないことでもしてしまう。 6. 相手を喜ばせようと我慢や努力をしたのに、相手に感謝の意が見えないと気分が悪い。 7. だれも見ていないところで物に当たったことがある(机をドンたたく、ドアを思いっきりしめる、壁をける)。 8. 夫の実家との付き合いは、どんなに理不尽なことでも対応しなくちゃと思う。 9. ご近所さんなど、自分の日常に重要でない人たちからも「良い人」だと評価されたい気持ちが強い。 10. これまでに「キレる」「われを忘れる」という状態を経験したことがある。 ■あなたの「修羅場火山」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「バイオレンス系モンスター 修羅場火山」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、修羅場火山度「C」(ストレスをため始めています。気をつけて!) ○の数が6個以上8個未満は、修羅場火山度「B」(ストレスをためる考え方が染み付いてしまっています。沸点に近付きつつあります) ○の数が8個以上は、修羅場火山度「A」(いつ爆発してもおかしくない状態。今すぐ対策を!) 真面目で配慮が行き届き、夫を立てる完璧な妻。けれども「配慮」が過ぎて、 自分の気持ちを無視 し続けるのは健全な状態ではありません。 自分の思いやゆずれない要望は、言い方を考えながらもきちんと伝えなければなりません。ただし、ここで開き直って自分のことしか考えなくなったり、自分の要求をゴリ押しするようになっては、妻はまた別の種類のモンスターワイフになってしまうので、お気をつけて。 夫婦というのは、永遠に続いていく関係です。ほんの短い間、相手に良く思われるようと、いい顔だけしているのは決して良い関係性ではありません。 懸命に理想の奥さんを目指してきたのに、大爆発を起こして一瞬で家族を 恐怖のどん底 に突き落としてしまう…。そんなことにならないために、ご自身の 思考のクセ を一度見直してみてください。
2018年06月17日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 今回ご紹介するのは、 「バイオレンス系モンスター」 。これまでに見てきたタイプのモンスターワイフたちよりも、ドロドロの修羅場を繰り広げる 危険性がさらに高い モンスターです。 「修羅場だなんて、私はそんな!」と思った、そこのアナタ。ギョッとするような大爆発を起こしているモンスターワイフも、 つい昨日までは普通のいい奥さん だったかもしれないのです。 あなたもある日突然、大爆発を起こしてしまう危険性はないでしょうか? ■積もり積もった不満が爆発! 突然噴火するバイオレンス系モンスター 「バイオレンス系モンスター 修羅場火山」代表:理恵(仮名)36歳の場合 「人がおとなしくしていればいい気になって、つけ上がって! 一体、 何様のつもり!? 章人さん、私、あなたの家族なんてやってられない!」 これまでずっと心の中に渦巻いていて、けれど一度だって口に出したことはなかった思いが自分の口から飛び出していく。目の前では夫と義父、義妹が、宇宙人でも見るような顔で固まっている。 理恵は6歳年上の章人と、28歳の時に職場結婚をした。誰にでも親切で面倒見のよい章人と、真面目で完璧な仕事ぶりで笑顔を絶やさない理恵は「理想の夫婦」と呼ばれ、理恵は幸せの絶頂にいた。 しかし、 結婚して一変 。気になり始めたことが…。 章人には5歳年下の妹、真美がいる。甘やかされて育ったためワガママ放題の真美は、思春期の頃から父親と折り合いが悪い。母親は真美がまだ学生の頃に病気で他界していた。そのため、以前から何かといえば兄に頼るのが当たり前のようになっていた。真美はいまだに独身だ。 突然電話をかけてきて、理恵に向かって「明日、そっちに遊びに行くから、 ゴハン作っといて 」などということもザラだった。「なんて 非常識な人 なの」と理恵はいつもウンザリしていた。 けれど、章人が妻に申し訳なさそうにしながらも、真美にノーと言わずにいるのを見ると、妻として夫の意思を尊重してあげなければと感じ、口出しすることはなかった。夫の意をくんで、 黙って従う妻 。これぞ理想の良き妻。理恵はそう信じていた。 だからこそ、真美が章人に高額な誕生日プレゼントをねだった時には、「私もちょっと応援するわ」とお金を差し出したのだ。 「面白そうな仕事」を見つけるとすぐに飛びつき、しょっちゅう職を転々としている真美。章人はつねに心配して気をもんでいるので、「真美さんとゆっくり話してみたら?」と、夕飯へしょっちゅう誘った。「夫の妹は私の妹、 仲良くしなくちゃ… 」そんな思いもあったのだ。 すべては、章人の最高の妻でいるためだった。夫の家族にも優しく、思いやりにあふれ、配慮がゆき届いた妻でいたかった…。 ただ、章人は理恵の努力をくみ取ろうとはしない。理恵の 気づかいに鈍感 で「あ、サンキュ」とサラリと甘えた。いつもいつも、理恵がどんなに頑張ってもそっけない態度の章人。もやもやしたものが何年もの間に心の底に積もっていった。 けれども今回ばかりはもう限界だった。 ■「離婚よ、離婚!」娘の誕生日パーティーが台無しに… 5歳になる娘の理香の誕生日は家族水入らずでお祝いするつもりだった。ところが、地方に住む義父が、 自分も孫の誕生日を祝いたい と言い出した。おまけに「都会に出るのは久しぶりだから、行きたいところが山ほどある」と言う。せっかく娘のために計画したあれこれが台無しになり、理恵は途方に暮れた。 しかし、そんな本心を夫に見せてはいけない。一人暮らしの70歳になる義父が、久しぶりに訪ねて来るというのだ。イヤな顔などできるわけがない。 さらに娘の誕生日前日になって、今度は真美が「私も理香ちゃんの誕生日を祝う」と言い出した。背筋が凍った。犬猿の仲の父娘が、愛娘の誕生日にやって来る。きっと ケンカ が始まるに違いない。理恵は泣きたい気分だった。 章人は「家族なんだから大丈夫だよ。」とさほど気にしていない。 そして、誕生日当日。理香は、みんなが集まってくれて上機嫌で、ずっと歌を歌っている。理恵はどうにか穏便にことを進めようと、当日は 普段以上の笑顔と気配り で義父と妹をもてなした。 しかし、義父が思い出話を始めた時、「あの頃は仕事ばっかしてて、子どものことなんか考えてなかったくせに」と 悪態 をつく真美。やはり理恵の努力もむなしく、義父と義妹は口論を始めてしまった。章人は、とりなすこともせず知らんぷり。理恵だけがオロオロしている。 気分を害した義父は、予定を早めて家に帰ると仏頂面で言い出す始末。理恵が必死に2人の間をとりなそうとしていると、真美が呑気な顔で言った。 「父さんが帰るなら、今夜、和室は空いてるのよね。それなら私、泊まっていこうかな」 理恵の頭の中に、誰かがマッチで火を点けた。シュボっという音とともに炎が上がる。 「はあ? この女は一体何を言っているの? あんたなんか私にとっては、ただの 迷惑な他人 。なのにこれまで私がどれだけの時間とお金とエネルギーを、あんたのために費やしたと思ってるの? っていうか、章人、あんたの妹でしょ。怒りなさいよ。なんで、黙認? はあ? あんたは 妹の奴隷?? はあ?」 頭の中の炎が一段と大きな輪郭を描いて燃え上がる。紫の芯にだいだい色の炎。メラメラと音を立てる。理恵はもう自分で自分を制御できなかった。気づけば真美に向かってどなりちらしていた。 章人が呆然としつつも止めに入る。しかし、理恵はもう止まらない。次は章人に、フルーツゼリーを投げつける。 「あなたもあなたよ! いい年してこんな無茶苦茶な妹に、やりたい放題やらせておいて。本当にワケがわからない。こんな人たちもう無理! 私の苦労を完全にスルーして、気づいてくれないあなたも最低。最低夫! 離婚よ、離婚!! こんな家族とはサヨウナラ」 理恵は理香の手を取り、玄関から飛び出した。 「完璧な良妻」の仮面がはがれ落ち、家族のいる前で 大爆発 してしまった理恵さん。その後、彼女はどうなったのでしょう。そして、完璧な妻を目指して努力してきた彼女の、何が問題だったのでしょうか? 次回は、理恵さんが陥ってしまった失敗を確認しながら、あなたも同じ間違いを犯してしまう危険性がないかチェックしてみましょう。
2018年06月16日前回 のリアルエピソードでご紹介した、「子どものために」と、憧れの街の理想のマンションに引っ越してきた香織さんのケース。彼女が背伸びをして手に入れた幸せの向こうには、さらなる背伸びを強いる環境が待ち受けていたのです。 「すてきな街の、すてきなマンションの、すてきな私」を演出し続けるにはお金がかかります。住宅ローン返済の足しになるようにとアルバイトを始めた香織さんですが、そのお給料は「カッコいいキャリアママ」を演じるためのスーツと靴に消えていきます。 それに加え、ママ友の子どもが新しい習いごとを始めれば、自分の子にも習わせたい。ママ友が子どもにブランド物の服を着せていれば、自分の子にも着せたい。ママ友の旦那さんが外車に乗っていれば、自分の夫も外車でなければダメ。 香織さんが目指す 「すてきな私」 は、常にママ友との比較に基づいて定義されています。ほかのママ友よりも“上”になれたら「すてきな私」になれる、という考え方。これこそ、 際限のないマウンティング の根底にあるものです。 この“無益な争い”を続けるための資金を 「子どものため」 という名目で夫に出してもらおうとしますが、 妻の醜い部分が夫には透けて見え始めます。 「ほかのママに負けたくない」「自分のほうが上だと感じたい」…。こうした感情にとらわれている妻は、他人との比較によってしか幸せを感じられなくなっています。もっと言えば、他人を自分より“下”に見ることで感じる 優越感を「幸せ」と勘違い しています。そうして終わりのない無意味な競争に、自ら身を投じてゆくのです。 思い当たる節がないか、次のチェックテストで確認してみてください。 ■「マウンティング系モンスター 見下しママ」度チェック ここでは、あなたの「マウンティング系モンスター 見下しママ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 昔からクラスやグループ内ではボス的存在を目指してきた。 2. 自分のことを「みんなと同レベル」だと思われたくない。 3. 家庭に経済的余裕がないことは、恥ずかしいことだと思う。 4. 結婚相手、恋人を会社の格や収入で選んでしまう。 5. はやりものには人一倍敏感だ。 6. 「みんなに憧れられる自分」「みんなに一目置かれる自分」でいたい。 7. ママ友の住む地域や家が気になる。 8. ママ友の夫の職業や年収、車などが気になる。 9. 「自分より上」に見える人がいると、自分がその人より優れている点を即座に探し始める。 10. 自慢に聞こえないように、自分の優れた点をアピールするテクニックがバッチリ身についている。 ■あなたの「見下しママ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「マウンティング系モンスター 見下しママ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、見下しママ度「C」(ママ友バトルに参戦する準備は整っています) ○の数が6個以上8個未満は、見下しママ度「B」(すでにかなりのエネルギーとお金を、マウンティングに費やし始めているのでは?) ○の数が8個以上は、見下しママ度「A」(夫や子どももあなたのマウンティングに巻き込まれ、悲鳴を上げ始めます) マウンティング系モンスターに完全に心を乗っ取られた妻は、夫も子どもも マウンティングのための道具 として使い始めます。夫は妻の見えのためにお金をしぼり取られ、子どもはまるで興味のない習い事やイベントに無理やり連れて行かれたり。妻の 「幸せなフリ」が家族を不幸に する例の最たるものです。 他人の暮らしぶりや、自分が他人の目にどう映るかといったことは、一度頭から追い出してください。そして自分にとっての本当の幸せ、家族にとっての本当の幸せとはどんなものか、きちんと向き合いましょう。「自分たちにとっての本当の幸せ」を常に忘れないようにしていれば、無益な競争の舞台から降りることができます。 他人との比較や他人の目ばかり気にして、夫との信頼関係を失ってしまうなど愚の骨頂です。同性に 負けたくない 気持ち、 自分を良く見せたい 気持ち…同じ女性としてそれもよく分かります。しかし、そんな気持ちが出てきた時こそ、モンスターに取りつかれないよう注意しなければなりません。 エネルギーもお金も、マウンティングのためではなく、自分と家族のために使えば必ず幸せになります。 最後にひとつ。競争しているようなママ友グループだと感じたら 勇気を出して抜け出す こと! LINEグループからはずれても、それ以上の幸せが必ず降り注ぎます。
2018年06月04日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 前回 に引き続き、今回も新型である「マウンティング系モンスターワイフ」のエピソードをご紹介します。今回の舞台は、 ママ友社会 。 ママ友同士の派閥や見えの張り合いなんてバカみたい! と思っていても、気づくとはまっているおそろしいママ友の世界。うっかり無益な戦いに身を投じてしまわぬよう、ご用心。 「人のふり見て、わがふり直せ」 とはまさにこんな場合です。 ■「最高の街、最高のマンション、最高の私」 「マウンティング系モンスター 見下しママ」代表:香織(仮名)34歳の場合 人気私立幼稚園の園庭の片隅。カチッとした紺のパンツスーツ姿で娘の恵里菜を迎えに来た香織は、今日もママ友の井戸端会議の中心となって笑顔を振りまいている。 「この間お話したうちのマンションの スカイラウンジ 、皆さんぜひ遊びにいらして! お茶はスタッフが出してくれるから、お菓子を持参すればすてきなお茶会ができるわ」 みんなが私の“お城”に興味津々。私の暮らしが うらやましいに違いない 。声高に話しながら、香織はほおがゆるむのを止められなかった。 香織家族は、娘・恵里菜の幼稚園入園に間に合うよう、この街に引っ越してきた。みんなの憧れの街。上品な雰囲気に豊かな緑、そして幼稚園から大学にいたるまで、一流の教育機関が集まっている。わが子に最高の環境を。それが香織の信念だった。 だから、娘の幼稚園入園を前に完成する高級マンションの情報を、香織はいち早く入手した。人気幼稚園まで徒歩5分、入居者専用のジムに共有スカイラウンジ…なんて すてきな生活 。香織はすぐさま資料をそろえて夫の秀樹に掛け合ったが、夫は「価格が高過ぎる」とおよび腰だった。 秀樹は勢いのあるITベンチャー企業の役員だ。年収は同世代の会社員よりはるかに良い。しかし、 タワーマンション ともなると、その価格にも敷居の高さにも決意が揺らいでいるのだろう。 「でも、子どもには、最高の環境を与えてあげなくちゃ」 香織は「自分も職場復帰するから」と説得した。実家の両親が頭金を半分出してくれることも伝えた。香織の父親は数年前、祖父の土地を相続して余裕がある。妻にそこまで詰め寄られると、秀樹も最終的には首を縦に振らざるを得なかった。 ■ブランドスーツで武装「バリキャリママ」のフリ 香織は、結婚前に働いていたメーカーにアルバイトの事務職で戻ることができた。社員の服装にうるさい会社ではないので、スーツで出勤する必要などまったくない。けれども、香織は 高価なブランドスーツ を買いそろえ、秀樹を仰天させた。 マンションに引っ越して来て、香織は焦りを感じていた。いわゆる「ママ友」たちが皆、有閑マダムか外資系企業に勤めるバリキャリタイプなのだ。住宅ローンのために働いているだなんて、 口が裂けても言えない 。だから自分も「バリキャリ風」に見えるよう、スーツで武装することにしたのだ。 効果はテキメンだった。幼稚園でできたママ友たちは香織のことを、「あの新築マンションに引っ越してきた、キャリアウーマンのカッコいいママ」と認識してくれているようだった。 17時までの勤務は週1回、ほかの日は早めにあがれて、子どものお迎えにも差し障りがない。遅くなる日はお迎えサービスを頼んでなんとかなる。ママ友たちには「子どもが小さいうちはワークシェアできるの。夜は在宅ワーカーなの」と、かっこいい体裁を作る。 完璧なストーリーを作り上げた。 ■タワーマンション最上階に住む“敵” 夢のお城を手にした私に集まる、羨望(せんぼう)のまなざし…香織は優越感にひたっていた。幼稚園のママ友の中にいる、たった一人の “敵” を除いては…。 「あら、茉奈ちゃんママ。こんにちは」 井戸端会議に参加していたママの一人が声を上げた。茉奈ちゃん一家は、香織のマンションの 最上階の住人 だ。41階。マンションの販売前から説明会に参加していた香織は、最上階の部屋のびっくりするような価格を知っている。 茉奈ちゃんママはいつも流行とは無縁だけれど、ひと目で上質なものと分かるものを身に付けている。肌など白雪姫のように真っ白で、幸せそうな顔。専業主婦。おっとりした話し方は、「人生で忙しかったことなど一度もございません」と言わんばかりだ。 別のママがたずねた。 「茉奈ちゃんのバレエ教室、どうですか?」 バレエ? 茉奈ちゃんはピアノも英会話も習っていたはず。それに加えて、今度はバレエ? うちの恵里菜は英会話だけだ。顔の引きつりを無理やりほぐすように笑顔を作って、香織は言った。 「いいねぇ、茉奈ちゃん。頑張ってね。うちも習い事を増やしたいのは山々なんですけど、私の仕事がさらに忙しくなってしまって。大きな案件を任されたもので…おかげでまたやつれてしまって」 「仕事で忙しい」「やつれてしまう」 というのは、香織の常套句だった。ある日の井戸端会議で、有閑マダムのママ友たちが「子どもが幼稚園に行っている間、何をして過ごすか」と話し合っていた時、「私は仕事が忙しくて」と言うと「まだ子どもが小さいのにすごいわね」と言われたからだ。 彼女たちの持っていないもの、それは仕事だ。社会でハツラツと働き、経済参加をしているという事実が彼女たちには 憧れのフック になる。 そして、ママ友たちがダイエッの話題で盛り上がっているのを聞いて、一番細身だった香織は「私は仕事が忙しくて、やつれてしまうんです」と付け足した。すると、ママ友たちからは嫉妬のまなざし。それからというもの、香織は「仕事で忙しい」「やつれてしまう」をキーワードに、ママ友社会で闘っている。 ■ママ友ヒエラルキーの闇「すべて一番じゃないと気がすまない!」 その晩、香織は夫の秀樹が帰宅するなり切り出した。 「習い事、やっぱり英会話だけじゃ恵里菜がかわいそうよ。ほかのお友だちはみんな、いろいろ習っているのに」 「恵里菜が何かやりたいって言ってるのか?」 「そういうわけじゃないけど…。でも、親が機会を与えてあげなくちゃ」 何か言おうとした秀樹をさえぎるようにして、香織が続けた。 「それから新しい車のこと。やっぱりファミリー向けの国産車なんてダメよ。習い事の送り迎えの時にうちだけそんな車だったら、恵里菜が 恥ずかしい 思いをするわ。国分寺のおとうさんに言って、アウディを買ってもらおうかな」 秀樹はいつも実家をあてにする香織の態度に 嫌気が差していた 。まるで自分の稼ぎが少ないことを馬鹿にされているような気がする。 「恥ずかしい思いをするのは、恵里菜じゃなくて、おまえだろ」 そんな言葉を秀樹は飲み込んだ。言おうものなら「私は恵里菜のためを思って!」「あなたは恵里菜がかわいくないの?」と、ものすごいけんまくでお決まりの反論が始まるのが分かっていたからだ。 ママ友社会のヒエラルキーの上位に君臨するのに必死な香織さん。経済的マイナスを実家に頼る幼稚さ。そんな彼女に、 夫はウンザリ しています。 同年代の女性が集まるママ友社会では、女性の虚栄心や、同性に負けたくない気持ちが刺激されます。そこでつい、何かにつけて相手より上に立とうとしたり、 「幸せなフリ」合戦 を始めてしまったり…。夫から見ると 「イヤな女」まっしぐら 、という危険が潜んでいます。 次回ご紹介するチェックテストで、あなたが抱える「マウンティング系モンスター 見下しママ」リスクを確認してみてください。
2018年06月03日結婚して子どもを生み、家庭を守ることこそ女の幸せ。そんな私こそが勝ち組…。 前回 は、ちょっと旧式の価値観を振りかざし、友人相手にマウンティングに走る小百合さんのエピソードをご紹介しました。 小百合さんは夫と話す時も、 「イヤな女」 丸出しです。このまま彼女の態度が変わらない限り、夫は結婚相手に幻滅感を抱き、将来はおそろしい展開になるでしょう…。 マウンティング妻になってしまっては、 夫の愛も急速に冷めていく ことは時間の問題。あなたの中にも「マウンティング系モンスター」の芽がないか、チェックテストで確認しましょう。 ■「マウンティング系モンスター 勝ち組はワタシ」度チェック ここでは、あなたの「マウンティング系モンスター 勝ち組はワタシ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 子どもの頃から順位にこだわるほうだった。 2. 子どもの頃、ライバルと思える女子がいた。 3. ブランド品、限定もの、レア物を5点以上持っている。 4. 自分のやり方が正しいと思うと、ほかの人が言うやり方は受け入れられない。 5. メディアにアップされる同世代女性のブログやSNSを週3回以上見てしまう。 6.嘘をついて自分を大きく見せる時がある。 7. 芸能人、ハリウッドセレブ記事やワイドショーが好き。 8.家族や友人に、自分の正当性をムキになって主張してしまう時がある。 9. 自分と違う価値観を持った人は、幸せにはなれないないと決めつける。 10. 自分の幸せの尺度を決めていて、点数が低くなりそうだと夫を責める。 ■あなたの「勝ち組はワタシ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「マウンティング系モンスター 勝ち組はワタシ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、勝ち組はワタシ度「C」(友だちが減り始め、夫の視線も冷たくなり始めていませんか?) ○の数が6個以上8個未満は、勝ち組はワタシ度「B」(自分の実生活や気持ちより、他人と張り合うことに重きを置くあなたに、夫はゲンナリしています) ○の数が8個以上は、勝ち組はワタシ度「A」(人をけなして自己満足にひたる「イヤな女」になっています。夫の心も離れる一方です) 「女性は25歳までに結婚して、30歳前に子どもを」と真剣に考える人が大多数だった時代は、もはや終わりました。 女性のライフスタイルは、どんどん多様化しています。結婚や妊娠を機に家庭に入る選択をする女性もいれば、バリバリ働き社会で大活躍する女性もいます。結婚しない、結婚はしても子どもは持たないなど、女性の選択もいろいろ増えてきました。社会も多様化を認めようとする風潮になってきているのです。 ところが、自分の人生に満足できていないと、そうも言ってはいられません。 女性は同性に負けたくない生き物 ですし、見栄を張ってしまいがちなところもあります。自分が満たされていない、幸せを感じられない時に、自分と違った人生を歩んでいる女性がとても輝いて見えたら…うらやんだり妬んだりという感情が生まれます。 「私だって頑張って幸せになるわ」と思えれば、何も問題はありません。ところが、不満や不幸に心を蝕まれている場合そうはいきません。自分の境遇を他人と比べて卑屈になったり、あるいは「ほかの人たちは間違っている。 自分の人生こそ正しい 」「自分のほうが上!」と、ムキになって他人と張り合おうとします。 マウンティングによって、自分の人生、自分の選択の正当性や優位性を誇示して、自分の言うことにうなずいてくれる家来的な人を作りたくもなります。 マウンティング妻は他人と比べ、他人を否定することで、 「自分のほうが上」 だと証明したいのです。人の暮らしぶりを スパイ のようにうかがい、あれこれケチをつける妻の姿は決して美しいものではなく、夫の心は離れていきます。 しかも、最近ではSNSにより、簡単に他人の生活をのぞき見ることができます。自分の生活そっちのけで長時間スマホとにらめっこし、他人の生活を監視しては ダメ出しを続ける妻 …夫にとっては、まさに理解不能のモンスターワイフです。 自分の結婚生活に満足している幸せ妻になれば、他人の暮らしぶりなど、いい意味でどうでもよくなるものです。もしも今、あなたが結婚生活に不満を抱いているとしたら、他人を相手にマウンティングなどしている場合ではありません。自分の人生や自分の抱える問題に向き合ってみてください。 「足るを知る」 のがマウンティング感情を切り捨てるコツです。
2018年05月27日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 拙著『モンスターワイフ―幸せなふりはもうしない』が出版されてから10年。この間に、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。女性が一線で働くようになり、寿退社の激減、そして年収格差もろもろ。 それにともない、より複雑かつ強力な 『新型モンスターワイフ』 まさにモンスターワイフ2.0が増殖中です。誰でも陥りそうな不安定な結婚生活から現れ始めた新型モンスターワイフは、急激な社会の変化による犠牲者といえるかもしれません。 目まぐるしく変化する現代社会の中で、気付けば自分もモンスターワイフと化していた…そんなことはありませんか? ■一番幸せなのは絶対にワタシ! 新型マウンティング妻、現る 「マウンティング系モンスター 勝ち組はワタシ」代表:小百合(仮名)31歳の場合 「亜美、ニューヨーク赴任決定おめでとう!」 久しぶりに集まった4人組は、汐留のイタリアンレストランで乾杯した。大学時代、いつも一緒だった4人。それが今では、バラバラの世界に散らばっている。ちゃんと結婚して子どもを2人生み、 正統派の女の幸せをつかんでいるのは私だけ …小百合はワイングラスを片手に、しみじみと感慨にひたった。 「ありがとう」 パリッとしたスーツに身を包んだ亜美は、祝福に笑顔で応える。大手銀行に就職し、海外勤務を志望していた彼女は、とても幸せそうだ。 「さすが、亜美」 「ニューヨーク、遊びに行きたいな!」 はしゃぐ2人を横目に見ながら、 刺々しい声 で小百合は言い放った。 「でも、3年は向こうにいなくちゃいけないんでしょ? 戻ってきたら 高齢出産 のお年頃よ…結婚は? ちゃんと考えてる?」 「うーん、今は仕事がすごく楽しいから、仕事優先かなぁ」 スッキリとセットされたセミロングの髪に手をやりながら、亜美が 曖昧な笑み を浮かべて答える。そして話題を変えるように言った。 「そうそう、直美、テーブルマナー講座始めるんだって?」 直美は結婚後、仕事を辞めて夫のイギリス赴任に同行していた。イギリス滞在中にテーブルマナーを学び、帰国後、日本でも資格を取ったという。 「そうなの。今は準備で大忙し」 大忙し、と言いながらも、直美からは優雅な余裕が漂っている。直美の質のいい素材のブラウスをにらみながら小百合は思う。幾何学模様のスカートはイタリア製か…頭の中のブランド辞典がパラパラめくれる。 テーブルマナー講座? 子どものいないヒマな主婦による、ヒマな主婦のための講座でしょ。こっちは2人も子どもを育ててるのよ。そんなヒマつぶしで「大忙し」だなんて、 笑っちゃう 。本音がにじみ出ないよう注意しながら、小百合は言った。 「直美、せっかく大企業に就職したのに、旦那さんの赴任で辞めちゃって、 惜しいことしたよね 。イギリスでは働けないから、その間に出産ってプランかなと思ってたんだけど…そっか、マナー講座かぁ」 直美も亜美と同様、 微妙な表情 を浮かべながらも、おっとりと答えた。 「そうね、そういう考え方もあったかも…。でも向こうで学んだことを生かしてみたいと思って」 小百合はなおも何か言い出そうとしたが、恵美子が直美に助け舟を出した。 「マナー講座、楽しそう! 私も最近、習い事を始めたんだ。ほら、ジェルネイル」 屈託なくそう言うと、縦ロールが揺れる長い髪を耳にかけながら、ピンク色に輝く指先をヒラヒラしてみせる。小百合は 呆気にとられた。 ネイル? 結婚して家事をするようになったら、ましてや子どもでも生まれたら、ゆっくりハンドクリームを塗る時間すらないんだから! 「恵美子は昔からオシャレだったもんねー。でもさ、今は実家暮らしだからいいけど、結婚して家事をするようになったり、子どもが生まれたりしたら、 爪なんて伸ばせないよ 」 誰も反論できない正論を突きつけたつもりだった。ところが恵美子の反応は、小百合が予想していなかったものだった。 「だったら私、結婚も出産もまだ先でいいやー。やってみたいこと、まだ山ほどあるし。服とか髪とかネイルとか、自分の好きなように選べないのって、 辛くない? 」 小百合は全身がカッと熱くなるのを感じた。好きなようにファッションを選べない…。恵美子、私がダサいって言いたいわけ? 確かに青山の美容院には長いこと行けていない。服もずっと動きやすさ重視のものばかり選んできたけど…。 でも、バリキャリの亜美や、子どものいない有閑マダムの直美、ファッション誌から飛び出してきたようなOLの恵美子たちと比べられてはたまらない。私は主婦業にママ業と、フル稼働してるんだもの。そしてそれこそ、 女の真の幸せでしょ? 「全然、辛くなんかないよ。子どもは宝物だし、子どもたちと過ごす時間が 一番幸せよ! 」 ■浅ましいマウンティング妻に夫も友人もウンザリ■ 特別、趣味や特技もなく、大学卒業後は小さな会社に就職し、そこで出会った夫と結婚。2人の子どもが生まれ、大忙しの毎日を送っていた。夫の仕事は忙しいわりに、お給料が良いとは言い難い。けれども、それを理由に、夫は家事や育児に消極的だ。 小百合は家で孤軍奮闘。いわゆる ワンオペ育児 で、正直、辛い。それが小百合の人生だった。だけど、自分で自分をあわれんでしまったら、それこそ救いがない気がする。だから「結婚、出産、育児に専念」という昔ながらの女性の生き方こそ、 女の真の幸せ なのだと自分に言い聞かせてきたのだ。 しかし、そのジレンマで小百合はどんどん 「イヤな女」 になっていった。久しぶりに女友だちと会った後は、 嫉妬丸出し の愚痴をぶつけた。 「亜美ってば海外赴任だって。帰って来てから婚活始めて、手遅れにならなきゃいいけど」 「直美は講師を始めるとか…。20代のうちに子作りすればいいのにね」 「恵美子なんて、まだ独身でネイルがどうとか言ってるのよ。ちゃんと将来のこと考えてるのかしら」 お前はお節介な親戚のおばちゃんか? どうして人のことばっかり、あれこれ言いたがるんだ? 夫からすれば、小百合が友人たちを妬んでいるようにしか見えない。そこには、かつて愛した妻ではなく、トゲのある言葉しか吐かない、 うっとうしい、浅ましい女 がいるだけだった。 「こんなやつだったかなあ…」 自信のなさの裏返しなのか、マウンティングに走り周囲を見下すことによって、自分の生き方こそ幸せ、 自分こそが勝ち組 だと思い込もうとして、イヤな言葉やオーラを周囲にまき散らしている小百合さん。 この「イヤな女」むき出しの姿は、女友だちから引かれるだけではなく、 夫の心 も遠ざけていました。 次回は、あなたの中にも潜んでいるかも知れないマウンティング系モンスター度を調べてみませんか? チェックテストをぜひお試しください。
2018年05月26日妊娠・出産を経た自分の外見の変化からうつうつと卑屈になってしまい、愛する夫にまであらぬ疑いを抱くほどに頭の中はネガティブな妄想で一杯。そして、理由も言わずにすぐ涙ぐむ「セクシャル系モンスター メソメソマミー」となった 美香さんのケース をご紹介しました。 セックスレスの背景にも、2人のお互いに対する 思いの行き違い がありました。健正さんが美香さんをベッドに誘えずにいた理由は「妻が産後、スキンシップを避けるようになったから」「メソメソしているから」。 美香さんは授乳で忙しい時期に、自分の汗の匂いや、赤ちゃんが吐き戻したミルクの付いた服の匂いが気になって、できるだけ夫から体を離すようにしていたのです。ガサガサに乾燥した肌が恥ずかしいのもあり、夫に触れられるのを避けていました。 「妻がスキンシップを嫌がっている、しかもすぐ泣くし…」。健正さんは、どう対応していいかわからず、セックスを我慢していたのです。 お互いを思いやる気持ちが行き違い、仲良しでいられるはずの 夫婦の間に亀裂 が生まれてしまう…そんな残念な状況は、どうにか避けたいものです。あなたもうっかり「メソメソマミー」モンスターに心を乗っ取られないようチェックしてみてください。 ■「セクシャル系モンスター メソメソマミー」度チェック ここでは、あなたの「セクシャル系モンスター メソメソマミー」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 学生時代から自分にあまり自信を持てないタイプだと思う。 2. ネガティブ思考に傾いてしまうことがよくある。 3. いつでも完璧にやさしくてデキる妻・ママでいなければと、自分にプレッシャーをかけがちだ。 4. 自分に自信が持てないと、ほかの誰もが輝いて見え、落ち込む。 5. 「暗いよ」「元気ないの?」とたまに言われることがある。 6. 一度落ち込むと3日間は引きずる。 7. 落ち込んでいると思考が停止し、無口になる。 8. 忙しい時や疲れている時にも、他者に助けを求められない。 9. 人に甘えるのは悪いことで、それによって相手に嫌われてしまうのではないかと不安だ。 10. 自分の精神的・肉体的コンディションが万全でない時に、セックスなど考えられない。 ■あなたの「メソメソマミー」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「セクシャル系モンスター メソメソマミー」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、メソメソマミー度「C」(夫もあなたのうつうつとした雰囲気に気付き始める頃です) ○の数が6個以上8個未満は、メソメソマミー度「B」(夫はあなたのメソメソ顔に困り始めています) ○の数が8個以上は、メソメソマミー度「A」(夫はいつも沈み切ったあなたを、ベッドに誘う気にはなれなくなっています) どれだけ家族のために尽くす良妻賢母であっても、いつも暗い表情や泣き顔でいては、夫の目には魅力的に映りません。泣く女はむしろ 「めんどくさい」 のです。 夫にかわいく甘えて、女らしさとキレイを保つことができるようになれば、それこそホンモノの賢い妻。そのために、家事を多少手抜きしても、ゆったりゆとりを持つことができればいいのです。 涙が出るほど耐え忍ぶ妻ではなく、笑顔あふれる愛される良妻を目指してくださいね。時に「ごめーん。お部屋、散らかったまんまだあ」とニッコリ笑う妻を夫は責めたりはしません。 メソメソ より デヘヘ を。
2018年05月13日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 今回のテーマも多くの夫婦が直面する「産後のセックスレス」です。出産後ガミガミママになってしまった妻に、夫は腰が引けてしまう…というのが、 前回 ご紹介したケースでした。 今回は、それとは様子が異なります。一見やさしいママで、けなげな妻。しかし、そんな妻たちにもモンスターの魔の手は忍び寄ります。 家事も育児も頑張って、家族にはやさしく接している。けれどもどうにも気がめいり、うつうつとして仕方がない、午後になるとため息が出てしまう…あなたもそんな状態に陥っていませんか? ■産後劣化が止まらない…女としては自信喪失な「理想の妻」 「セクシャル系モンスター メソメソマミー」代表:美香(仮名)33歳の場 鏡に映った自分の顔に向かって、美香は大きなため息をついた。 「ひどい…まるで お婆さん だわ」 同い年の健正と結婚し、かわいい息子の悠人は6カ月になった。美香は確かに幸せだった。けれども、鏡に映る自分の姿が目に入るたびに、ひどくみじめな気持ちになる。 産後に抜けた髪が、最近一気に生え始めた。新しく生えてきた短い毛があちこちからツンツン飛び出て、まるでウニのようだ。お肌もひどい。妊娠中に乾燥肌に悩まされるようになったうえに、シミが急増した。腕やデコルテの乾燥もひどく、白い粉を吹いたような状態。服も、授乳のしやすさ第一で選んだゆるめの服ばかり。 「昔は、家にいる時も、健正の前ではかわいい服装を心がけていたのに…」 夫のことは、今でも大好きだ。なかなかイケメンだし、何よりとても優しい。仕事が忙しい中でも、できる限り家事・育児に協力してくれる。だからこそ、夫が仕事に集中できるよう家事も育児もバッチリこなし、家では安らげるように私もやさしくしている。 理想の奥さんになるために、手を抜いていない。 けれど、自分の外見の変化…世間では 「劣化」 などと呼ばれてしまうのだろう。それを鏡で目の当たりにするたびに、美香の心は沈みに沈むのだった。 台風で電車が止まったある日、会社の同僚が車で健正を家まで送ってきた。窓から外の様子をうかがっていた美香には、その同僚の姿が見えた。若くてきれいな女性だった。身なりも髪形も美しく整えられたその女性が、自分とは違う世界の存在くらいに輝いて見えた。そんな彼女の隣にいる夫も、美香の隣にいる時よりも、何だか輝いて見える。 「ただいま」 いつも通りの声で帰宅した夫に、美香は自然に笑いかけることができなかった。 ■夫も困惑「メソメソ泣いてばかりの妻」を前にセックスレス その日から美香は以前にも増して、自分の「劣化」に思い悩むようになった。鏡を見るたびに、ボロボロの髪や肌を目にするたびに、自分がみじめで仕方がない。外出すれば、すがすがしく笑う夫のとなりに立つ老け込んだ自分は、どんなにあわれに見えるだろうと卑屈になってしまう。 そのみじめな気持ちが、美香を 疑心暗鬼 にした。 「健正だって私なんかより、若くてきれいな人といたいんじゃないかしら」 そういえば…息子が生まれてから セックスレス だ。昔は週に1度は、必ずセックスしていたのに。私がボロボロになってしまったから? それともまさか…健正は 浮気 をしているのだろうか? 美香は夫の帰りが遅くなるたびに血迷った 妄想で頭が一杯 になった。時には一人でメソメソと泣きはらし、帰宅した健正を混乱させた。 「どうしたんだ?」とたずねても、下を向いてグスっと鼻をすする美香。何も理由は言わない。 健正の帰宅が早く、息子の夜泣きもなく、寝室で静かな2人の時間が訪れても、美香はボロボロの肌や髪を見られるのがイヤで、すぐに電気を消して 寝たフリ をした。そのくせ、セックスレスの現状をうれいて、闇の中また メソメソと泣いて しまったりするのだ。 健正は明るく笑顔を絶やさなかった妻のあまりの変わりように、当惑するばかりだった…。 良き妻、良き母であろうと頑張る女性ほど、自分のことには手が回らなくなってしまいがち。子どもの世話や教育をパーフェクトにしなければという使命感も強く、生活の軸を 家と子ども に置きます。 そして、お手入れの行き届かない自分にあせり、その気持ちから夫の浮気を疑ってみたり、周囲の若い女性と自分を比べられて、夫に幻滅されているのではないかという被害妄想で頭が一杯になってしまったり。 結果として、夫は妻にどう接すればいいかわからず、言葉が少なくなり、しだいに 夫婦仲は悪化 していきます。妊娠・出産をへて自信を喪失し卑屈になっている妻は、たとえベッドへのお誘いがあっても拒絶してしまったり、セックスを楽しめなかったりします。そのため、セックスレスにつながるリスクも非常に高いのです。 「メソメソマミー」モンスターがあなたのことも狙っていないか、次回ご紹介するチェックテストで確認してみてください。
2018年05月12日前回は、産後の心身ともに余裕がない状態で、イライラ・ガミガミママと化し、セックスレスにも陥ってしまった 加奈さんのケース をご紹介しました。 初めての育児による疲労と、思うように家事・育児を手伝ってくれない夫に感じるストレス。そこに セックスレス による性的欲求不満まで加わり、加奈さんは口を開けばトゲトゲしい言葉を浴びせかけ、ちょっとしたことですぐにカッとなり、夫にも娘にもしょっちゅう声を荒げています。 毎日のように怒られて泣く娘を、さらに怖い目つきで怒鳴りつける加奈さん。和久さんの目にはまるで 「鬼ババ」 のように映り、家庭の空気は最悪です。このままだと、子どもが小学生になる頃には、冷え切った夫婦に変貌していくのは間違いありません。 あなたは、イライラし通しのママ、セックスレスな妻になってしまう危険性はありませんか? パパとママになっても仲良し夫婦でいるために、セルフチェックしてみてください。 ■「セクシャル系モンスター イライラモンモン」度チェック ここでは、あなたの「セクシャル系モンスター イライラモンモン」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 夫が自分の気持ちをわかってくれないと「察してくれ」と思ってしまう。 2. イライラしていると、セックスしてすっきりしたくなる。 3. 不満を言っても夫が分かってくれないと、無視したりイヤな態度を取り続けてしまう。 4. 夫に頼みたいことがある時、つい命令口調になってしまう。 5. 夫のすることに対して、ダメ出しが多い。 6. 「育児にもっと関わって欲しい」と毎晩、夫に愚痴を言う。 7. 今、自分の世界は子どもを中心に回っている。 8. 子どもが小さいうちは、夫のことは二の次になっても仕方がない。 9. 育児が大変な時期の夜のお誘いは、当然お断りだ。 10. 夫からのお誘いを1度断っても、また夫のほうから折を見て誘ってくれるべきだ。 ■あなたの「イライラモンモン」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「セクシャル系モンスター イライラモンモン」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、イライラモンモン度「C」(イライラママの芽が出始めています) ○の数が6個以上8個未満は、イライラモンモン度「B」(夫にも子どもにも、高圧的な態度を恐れられています) ○の数が8個以上は、イライラモンモン度「A」(夫にはあなたが「鬼ババ」に見えてしまっているかも…セックスレスへまっしぐら) 育児に必死で無我夢中…その最中には、確かにさまざまなものが、嫌でも女性の手からこぼれ落ちていきます。心の余裕やうるおい、夫への優しさ、女性らしい心遣い…何もかもを 妊娠・出産前と同じレベルに保つのは、無理な話 です。それはよく分かります。 けれど夫は、自分や子どもに鬼の形相で怒鳴り散らすガミガミママを 抱きません 。そして「鬼ババ」でなくとも、完全に 「母親」 でしかなくなった妻にも、性的魅力を感じることが難しいという厳しい現実。 夫の心中は「そりゃ、子どもは大事だよ。妻はよくやってくれてる。でも…でも、俺の存在はどうよ? 立ち位置はどうよ? 以前の かわいかった奥さんはどこへ行っちゃったんだよ 」という解せないモードになっています。 生んだからには責任を持って子どもを育てるのは、母親の務め。そして、結婚したからには夫と仲良くやっていくことが妻の務め。なんと 非情な両立問題!! 家事・育児の場でもベッドの上でも、夫と対立するのではなく、パートナーとしての関係性を深めていける夫婦を目指していきましょう。男女のスタンスは忘れずに。
2018年04月29日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 今回は、夫婦が最も陥りやすい 「産後のセックスレス」 にスポットを当てていきます。育児雑誌でも、これまで何度もこの特集の監修をいたしました。それほど多くの夫婦が直面している問題なのです。交際中も結婚後もそれなりにセックスを楽しんでいた夫婦でも、妻の出産という一大イベントを機に、ガクンッとセックスレスに陥ってしまう危険性は大いにあります。 女性にとって妊娠、出産、そして育児は、とても幸せな体験。けれども、同時に肉体的にも精神的にも、女性に大きな負担を強いるものです。夫とのエロスは忘れてしまい、聖母のような気持ちで赤ちゃんを見守る時期。夫より赤ちゃん優先の時期といえます。そして、ふと気づけば完全なセックスレスだった…そんなケースが後を絶ちません。 産後セックスレスに陥って後々泣かないために、気をつけるべき点をご紹介しましょう。 ■産後セックスレスは「変わらない夫」への報復? 「セクシャル系モンスター イライラモンモン」代表:加奈(仮名)32歳の場合 授乳をすませ、ようやく娘を寝かしつけた加奈は、子ども部屋から戻って来るなり、首から上がカァーッと熱く頭に血が上るのを感じた。夫が夕食を取っていたダイニングテーブルから、汚れた食器は消えていた。しかし、その食器はキッチンに下げられていただけで、食洗機には入っていない。加奈はイライラで爆発しそうになりながら、食器を食洗機に放りこみ始めた。 授乳に行く前に、食べ終わったら食器は片づけておいて」って言ったのに…。「片づける」って、食器を食洗機に入れて、洗剤も入れて、食洗機をスタートするところまでのことでしょ? 子どもじゃあるまいし、そんなことまで私が逐一指示しなくちゃいけないわけ? 赤ちゃんの世話で目が回りそうに忙しいのに、いい年をした夫の面倒まで、私が見なくちゃいけないなんて、自分のことは自分でやるよう小学校で言われたでしょ…! 夫への怒りが一気にふくれ上がる。 2つ年上の和久と結婚して3年。もうすぐ1歳になる娘の彩乃の世話に忙殺される毎日。加奈も和久も子どもが欲しいと願い、望みどおりかわいい女の子を授かった。幸せなはずの毎日。けれども初めての育児に心身ともに疲れ果てていて、幸せを感じる余裕がない。それどころか、毎日苛立ちの連続だ。 娘はあちこち歩き回っては何もかもグチャグチャにする。1日3回、離乳食を食べさせるのもひと苦労。授乳もまだ続いているので、時間も栄養も吸い取られている。こんな時にこそ自分の夫であり、娘の父親である和久にしっかりしてもらわなければならないのだが…和久がこんなに 「使えない男」 だったとは、育児が始まるまで知らなかった。 娘の泣き声で、加奈はわれに返った。しまった。イライラしていて、食器の音を立て過ぎたか。そこへ和久が、風呂場から戻ってきた。 「彩乃、泣いてるよ」 そののんきな顔を見た途端、加奈は怒りでこめかみに激痛が走るのを感じた。 「誰のせいで、彩乃が起きたたと思ってるのよ! せっかく寝かしつけたのに。私は疲れてるの! 死ぬほど疲れてるのに、どうしてあなたは食事の片づけひとつまともにできないわけ!?」 和久は娘が生まれてからの加奈の 豹変(ひょうへん)ぶり に、戸惑っていた。出産前の加奈は理知的で、感情的になることはあまりないタイプだった。そんなところが和久の好みだった。ところが彩乃が生まれてからというもの、加奈は自分にも娘にも、しょっちゅう怒鳴り散らしている。いつでもカリカリしている。 ベッドの中ですらそうだ。彩乃が生まれて半年ほど経った頃、和久は遠慮がちにおうかがいを立てた。体はもう大丈夫? そろそろセックスを再開するのはどうだろう、と。しかし、加奈は和久をにらむと、ピシャリと言い放った。 「勘弁してよ。24時間無休で、彩乃の面倒見てるの。あなたの世話までしてられないわ」 世話…妻にとって俺との セックスは「世話」でしかないのか。 和久はひどく侮辱されたと感じ、またさみしかった。けれどもその後も何度かは、和久のほうからお誘いをかけてみた。 もともと加奈と和久は体の相性がよく、交際中も新婚時もセックスをとても楽しんでいたのだ。二人の間にセックスが復活すれば、常に苛立っている加奈も、ピリピリした空気も、少しは和らぐのではないか。そんな希望を抱いてのことだった。 けれども毎回、加奈はつっけんどんに和久を拒絶した。2度断られるだけでも、しょげてしまうのに、それでも頑張って誘ってみて…10度近くは断られただろうか。 和久のプライドは崩れ落ちた。そして、 妻とのセックスをあきらめてしまった。 もはや加奈には、セックスへの関心の欠片もない…和久はそう思っていた。 ■「役立たずな夫」「豹変する妻」気持ちもセックスもすれ違う二人 事実は少し違っていた。確かに、産後半年ほどで和久から誘われた時の加奈は、初めての育児に肉体的にも精神的にも疲労困ばいしていた。体のほうも本調子と言っていいものか、まだ自信がなかった。お産の時に膣と会陰が傷ついているので痛いのではないか、赤ちゃんが出てきた場所でまたセクシーな行為を行うことができるのか。 けれども、何度か誘われた時には、実を言えば加奈のほうにも 「そろそろしたい」 という思いがあったのだ。加奈の性衝動をストップさせたものは何か。昼間の 夫の役立たず ぶり、そのせいで自分がどれだけイライラさせられたかを思い出すにつけ、「私もしたい」とは死んでも言いたくない気持ちになっていた。 ある日、加奈は忙しく離乳食の準備をしながら、和久に「出かける時にゴミを出して行って。今日は燃えるゴミの日なの」と頼んだ。すると外出の支度を済ませた和久は、加奈のところへ戻って来て「ゴミはどこ?」とたずねた。 「ゴミは自動的にゴミ袋に入ってあなたを待ってるとでも思ったの? 家中のゴミ箱からゴミを集めなきゃ、捨てに行けるわけがないでしょ! どうしてそんなことも分からないの!?」 加奈は、ものすごい剣幕で和久を責めた。娘が吐き出した離乳食で手がベトベトと気持ち悪かった。甘ったるいかぼちゃの匂いが鼻につく。イライラは倍増した。びっくりした娘が泣き出すと、それが余計に加奈の神経を刺激した。 「早く食べなさい!」 大泣きする娘に、加奈はさらにきつい口調で怒鳴り散らした。本当は私だって、自分の娘に怒鳴ったりしたくない。優しいママでいたい。けれども、自分はあまりにも忙しく、あまりにも疲れている。娘が生まれてから 自分の時間など皆無 だし、趣味や楽しいことなど、何ひとつしていない。 それに比べて、和久はどうだろう。結婚前から参加している焼酎サークルの集まりに、今でも月に一度は顔を出している。会社の飲み会にだって、以前とほぼ同じ頻度で参加している。私だってお酒は大好きなのに、妊娠が分かってから一度も口にしていない…。 そして何と言っても、和久の家事・育児での役立たずぶり。私は死ぬほど疲れているのだ。そんな中で、常にやらなければならないことに追われている。そんな泣きたくなるような状況で私が必死に頑張っているのに、 どうして夫はもっと私を助けてくれないのだろう。 テキパキ動いてくれないのだろう。 そんな不満でいっぱいの状態で、和久からのお誘いだ。とても「私もしたい」なんて言えない。夫は私よりずっとラクをしている。楽しい思いもしている。夫はズルい。私だけ損してる。こんな状態でセックスをして、夫にさらに楽しい思いをさせてやるなんて、まっぴらごめんだ。私とセックスしたいなら、もっと夫として、父親としての 役目を果たしてから誘うべき なのだ。 不満だらけの夫に、セックスなんてさせてやらない。加奈はかたくなになっていた。それにこれだけ不満を抱いている相手に、自分がベッドの上で喜ばされることを想像するのも我慢がならなかった。 けれども出産のダメージから回復した加奈の体は、セックスを求めていた。この間など、気づいたらネットで官能小説を探していた。夫に求められ、それを素直に受け入れられる世のすべての妻に、加奈は 嫉妬 した。 夫はもう誘ってこない。私はこんなにしたいのに…欲求不満が、加奈のイライラぶりをさらに加速していった。それでも自分のほうから抱いて欲しいだなんて、絶対に言えないし、言いたくない。加奈はストレスとフラストレーションを、ひたすら小言口調の態度で表現するばかりだった。 ガミガミママになると同時に、セックスレスにも陥ってしまった加奈さん。果たして彼女のその後は…? そして、あなたには加奈さんと同じ失敗を繰り返してしまう危険性はないでしょうか? 次回ご紹介する チェックテスト で、リスクを判定してみてください。
2018年04月28日セックスに興味がなく 『冷凍マグロ』 だった妻。しかし、もはや夫とのセックスを望めないと悟った瞬間から、異常なまでにセックスに執着するようになり、夫から恐れられるようになってしまった…。前回は、そんな 和枝さんのケース をご紹介しました。 その後も、妻の和枝さんはあきらめきれずに、あの手この手を使ってどうにか夫の雅史さんとのセックスにこぎ着けようとします。ところが、妻が必死になればなるほど、夫の心も体もどんどん離れていきました。 夫に拒絶されるたびに、和枝さんの中で劣等感やみじめさ、悔しさがふくらんでいきます。「自分は夫に求められない女」、「このまま一生セックスできない女」、「女としての価値がないのかもしれない…」。 モンスターワイフと化している時、和枝さんは夫とセックスがしたいのだと思っていました。そして拒まれるたびに、「もう私のことを愛していないから?」と 夫を詰問 していたそうです。 けれど、この時彼女が必死になって求めていたのは、夫とのセックスや愛ではありません。 自分がまだセックスできるかどうか 、つまり自分がまだ夫のペニスを勃起させ、挿入を受けることができるかどうかの確認だったのです。 和枝さんのような悲劇を繰り返さないためにも、セックスに対する姿勢に問題がないか、自分は「セクシャル系モンスター 遅咲き冷凍マグロ」になっていないか、以下のテストでぜひチェックしてみてください。 ■「セクシャル系モンスター 遅咲き冷凍マグロ」度チェック ここでは、あなたの「セクシャル系モンスター 遅咲き冷凍マグロ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 夫とはお互いのセックス観や性欲について話し合うことなく結婚した。 2. 夫婦の会話でセックスが話題になることはほとんどない。 3. セックスがなくても、夫婦は問題なくやっていけると思っている(夫の意見を確認したことはない)。 4. 忙しかったり疲れている時に夫からお誘いがかかったら、間髪入れず答えは「ノー」だ。 5. ベッドへのお誘いやキスは、男性がするものだと思う。 6. 男性はセックスを断られたくらいでは傷つかないだろうと思っている。 7. 女性のほうから誘ったら、男性は当然応じるべきだし、応じることができて当然だと思う。 8. セックスについて新しい技を取り入れたり、いつもと変わったことをしようとは思わない。 9. 夫からのセックスの誘いに応じてさえいれば、中身はどうであれ妻としての役目は十二分に果たしていると思う。 10. 夫とのセックスはパターン化していて、もう何年も同じことの繰り返しだ。 ■あなたの「遅咲き冷凍マグロ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「セクシャル系モンスター 遅咲き冷凍マグロ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、遅咲き冷凍マグロ度「C」(夫はあなたとのセックスに物足りなさを感じ始めている頃です) ○の数が6個以上8個未満は、遅咲き冷凍マグロ度「B」(夫はあなたとのセックスに冷めてきているはず) ○ の数が8個以上は、遅咲き冷凍マグロ度「A」(夫の性的対象から外されかけています。今すぐ対策を!) あなたの判定結果はいかがでしたか? 『遅咲き冷凍マグロ』代表の和枝さんのように、無自覚に 自分の若さに安心 している時期の女性は、それほど切実にセックスを熱望しません。黙っていても、夫が求めてくるからです。けれど、夫も妻も年を取ります。男性の性欲は、年齢とともに落ち着いていきますが、女性の体は、もっとゆっくり性的に成熟します。 そして、精神的な面でも、女性は「私、もう若くないかも…」「女性としての魅力が落ちてきた?」、そんな不安にかられ始めます。そんな時にこそ、 夫に優しく抱きしめてもらいたい 。自分を抱いて、勃起してもらいたい。そうすれば、「私だってまだ捨てたもんじゃない」と安心できると考えてしまいがちです。 あなたが長い間、夫のお誘いを拒み続け、たまに応じる時でも『冷凍マグロ』だったとしたら? 性欲旺盛な夫でも、次第に冷めていくでしょう。夫にしてみれば、妻とのセックスはつまらない。アダルト動画やゲームのほうがまだ性的興奮を満たしてくれるわけです。 和枝さんに拒まれて、雅史さんも長い間さみしい思いをしてきました。それでも和枝さんは、寝室事情をのぞけばいい奥さんだった。和枝さんを 『性的な対象』から外す ことで、妻に対するフラストレーションを抑え、うまくやっていく決心をしたのです。 それなのにある日突然、妻が恐ろしく切羽詰まった形相で 自分に迫ってきたら… 。こちらの心の準備も状況もお構いなしに、とにかく勃起させようとペニスに飛びついてきたら…。驚きと理不尽さに対する怒りで、雅史さんが和枝さんを拒絶したのも無理はありません。 セックスに対する夫の意欲と、妻の意欲。これが一度すれ違ってしまうと、話はこじれにこじれ、大戦争の火種になったり、決定的な冷戦の原因になることも。 恥ずかしがったり、禁忌感を抱いたりせず、セックスについて2人できちんと話し合ってください。さみしい時、不安な時、老いを感じ始めた時、自信を失いかけた時…。そんな時に、パートナーと心身ともに癒しあえたら、幸せだと思いませんか。 セックスフルな幸せ妻になるためには、セックスについても 『当事者意識』 を持つこと。「セックスは男に任せておけばいい」ではいけません。話し合いの場でも、ベッドの上でも、『当事者』としてセックスに向き合ってくださいね。
2018年04月15日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 前回までは、ビジュアル系、メンタル系のモンスターワイフのリアル・ストーリーをご紹介してきました。いよいよ今回は、 セクシャル系モンスター の登場です。 セクシャル系モンスターワイフになるのは、実は 無自覚のケースが大半 。ハッと気付けばモンスター化していた、というケースが多いのです。けれども、一度暴れだしたモンスターを退治するのは茨の道。 ご紹介するエピソードとチェックテストを参考に、セクシャル系モンスターの魔の手が自分に忍び寄りつつないか、確認してみてください。 ■筋金入りのマグロ女、気づいてみたらセックスレス!? 「セクシャル系モンスター 遅咲き冷凍マグロ」代表:和枝(仮名)34歳の場合 「え…うちってマズイの?」 和枝は思わずつぶやいた。テレビをつけると、セックスレス特集番組が目に飛び込んできたのだ。 夫の雅史と最後に抱き合ったのはいつだったか、和枝は思い出せなかった。1年くらい前…? 2年以上前ってことはないと思うけど…。不安感が、和枝の心をじわじわととらえ始めた。 「私たちが セックスレス? 男はいつだって、セックスのことで頭がいっぱいなんじゃないの?」 和枝は性的に淡泊なタイプだった。ただ、男というのは誰でもセックスしたがるもの。そしてセックスさせてあげれば、男女の仲は安泰…それが、和枝のセックス観。 和枝はふくよかなボディだ。豊満なバスト。ムッチリした太もも。バスタイムに鏡にうつる魅力的なボディを見つめて、笑みを浮かべていた。実際、黙ってセックスを「させてあげる」ことで、彼女は好条件の夫を手に入れた。同い年の雅史は真面目な働き者で、とても優しい。2人は28歳の時に結婚した。 結婚後、セックスに興味のない和枝には、定期的にお誘いがかかる夫との セックスが、ただの面倒な作業 にしか思えなかった。それでも仕方なく、4度に1度くらいは誘いに応じるようにしていた。しかし…和枝はベッドの上では仰向けに寝そべったまま動かない。雅史が腰を振る時だけかろうじて背中に手を回すという動作しかしない。ましてや雅史をなでるとかなめるとかは一切ない。 和枝は筋金入りの 『冷凍マグロ』 だった。 和枝にとってセックスは男に「させてあげるもの」。自分のほうから何か「してあげる」必要があるなどとは、夢にも思っていなかったのだ。冷凍マグロの和枝は、雅史の心まで冷まし始めた。雅史は次第に和枝を誘わなくなっていった。 そこに、テレビのセックスレス特集である。男というのは断られても、しぶとく誘ってくるものだと和枝は思っていた。それが今では、もう最後に誘われたのがいつだったか思い出せない…。 「なんで? どうして? まさか雅史、浮気してるの…??」 ■浮気を疑って夫のパソコンを見たら、そこには驚きの… 和枝は夫の行動に目を光らせ始めた。夫のスマホを盗み見るまでした和枝だが、疑わしい点は何一つ見当たらない。 それでは夫の部屋にあるパソコンは? パソコンを使って浮気相手とやり取りしている可能性だってある。そう考えた和枝は、週末自室でパソコンを使っていた雅史がトイレに立ったスキに、夫の部屋に忍び込んだ。 「なにこれ…!!」 そこには、和枝が想像すらしていなかった光景が広がっていた。 アダルト動画のサイト …和枝の頭の半分は、衝撃でまひしている。けれど、残りの半分は妙に冷静だった。雅史はこれまでに、どんな動画を視聴してきたのだろう? マウスに置かれた手が勝手に動く。和枝の目の前に、雅史が購入ずみの動画一覧が表示された。 「…女子大生? …セーラー服?? …幼な妻???」 甘ったるい童顔、薄桃色のほっぺ、切りそろえた前髪、小柄で華奢(きゃしゃ)な体…これでもかと言わんばかりに若さを前面に押し出した女たちの裸体が、次々と目に飛び込んでくる。 「これは、私への当て付けなの?」 怒りに震えた。和枝はボディに自信があるし、雅史も彼女の女性らしい体つきが好きだと言っていた。 自分は「求められる女」 なのだという自信が和枝にはある。だからこそ、この現状に死ぬほど屈辱的な思いを感じてしまった。 「確かに私はもう30代だし、グラビアアイドルでもない。だけど、画面の向こうの誰かじゃなくて、雅史の目の前にいる生身の女なのよ。それなのに…それなのに私とはセックスレスで、こんな動画を見てるだなんて、許せない!!」 何が何でも雅史の目を、もう一度私のほうへ向けてやる。和枝は決心した。その夜の寝室。先にベッドに入り、車の雑誌を読んでいる夫に切り出した。 「ねえ雅史、そういえば私たち、もうずっとセックスしていないよね。久しぶりにしない?」 雅史はきっと大喜びでこの申し出に乗ってくる。和枝は確信していた。昔はあんなに誘ってきた雅史だもの。一人で動画なんか見てるより、実際に私とセックスできたほうが、ずっといいに決まってるわ。 ところが、雅史の反応はまったく想定外のものだった。彼は居心地の悪いような、少し怒ったような顔をして、こう言ったのだ。 「何だよ、どうしたんだよ、今さら。和枝は セックス嫌い だろ。いいよ無理しなくて。それじゃあ、おやすみ。」 雅史は雑誌をポンっとサイドテーブルに投げてスタンドの灯りを消した。和枝は二の句をつげない。その夜、彼女は一睡もできなかった。 ■「遅咲きのマグロ女」に投げかけられた夫の非情な一言 数日後、和枝は再び雅史にお誘いをかけてみた。普段はパジャマを着てベッドに入る和枝だが、この日は下着姿だった。バラの花の刺しゅうが右胸に施されているレース生地。パンティも光沢があるシルバー。アンダーヘアはもちろん小さな布におさまるようにカットしている。はみ出してはいない。 和枝の持っている中で 一番の勝負下着 。けれど今回も、夫の反応は前回と同じ。そっけない「おやすみ」という言葉が寝室にひびく。和枝は怒りではらわたが煮えくり返る思いだった。 しかし、ここで「あなたのパソコンチェックしたのよ! あんなにアダルト動画を見ておいて、私とはセックスできないわけ!?」などとは言えない。怒りと屈辱と敗北感で頭が大混乱していた和枝の口から出てきたのは、「どうして? もう私を愛していないから? 」という言葉だった。 雅史は静かな声で答えた。 「愛してるよ。仕事も頑張って、家のこともちゃんとしてくれて、俺の実家との付き合いまでこなしてくれて…和枝は本当にいい奥さんだと思ってる。でももう、セックスとかは…。 俺たち、そんな感じでもないじゃないか 」 もうそんな感じじゃない? どうして? 私が年を取ったから? 私なんかとセックスするより、パソコンで若い女の子の裸を見ているほうがいいって言うの? 両目から熱い涙をあふれ出しながら、和枝は突然、雅史の下半身に手を伸ばした。 「やめろよ!」 ギョッとした顔の雅史が、その手を乱暴に払いのける。 「どうして!? どうして勃たないのよ!?」 和枝は泣きながら叫んだ。その日から和枝の頭は、セックスのことでいっぱいになった。 ■夫から拒絶されるたびに…「私って女として価値がないの?」 セックスなんて、自分さえその気になればいつだってできるもの、のはずだった。ところが、和枝が下着姿で迫ろうと、ペニスを握ろうと、パジャマのズボンを引きずり下ろして陰茎にかぶりついても…雅史の 下半身は無反応 。それどころか、雅史は一刻も早く和枝から体を離そうと、必死で逃げ惑う始末。 「一体、なんなのよ…!?」 どうして? 私ってそんなに、 女として価値がないの? 夫にすら逃げられる女…それじゃあ私このまま、二度とセックスしないまま、人生終わるの? いつしたのか、どんなだったか、これっぽっちも思い出せないようなセックスが、私の人生最後のセックスだっただなんて、そんなのあんまりだわ! もうできないのか。二度とできないのか。そう思えば思うほど、和枝のセックスに対する 執着心 は、恐ろしい勢いでふくらんでいった。「自分は性的に淡泊なほう」と信じて疑わなかった昔の和枝とは、もはや別人だった。 そんな和枝に、雅史はひたすら困惑するばかりだった。もっと正直に言えば、妻の豹変(ひょうへん)ぶりに恐怖すら覚えていた。 気付けば 『拒む側』から『拒まれる側』 に回っていた和枝さん。生まれて初めて切実にセックスを渇望するようになりますが、その頃にはもう夫の熱意は完全に消滅していました。 セックスに対する意欲が、完全にすれ違ってしまったこの夫婦…2人はこの後、どうなるのでしょうか? そして、あなたは和枝さんと同じ轍を踏んでしまう危険性を抱えていませんか? 次回はそんなリスクを判定する チェックテスト をご紹介します。ぜひお試しください。
2018年04月14日前回 は、専業主婦の礼子さんが、 「メンタル系モンスター セレブ憑き」 と化してしまうまでの経緯をお伝えしました。 家でひとりで過ごす時間の寂しさを埋めるように、SNS上に リッチでハッピーな私 という虚像を作り上げることに没頭してしまった礼子さん。寂しい現実にひたすら目をつむり続けたわけですから、彼女の生活、夫婦関係はもちろん改善などするわけがなく、夫にも愛想を尽かされてしまいました。 夫の誕生日をすっかり忘れるという衝撃的な一件をきっかけに、完全に「モンスターワイフ セレブ憑き」と化していた礼子さんも、さすがに自分の危機的状況に気付きました。彼女は、自身がモンスター化するきっかけとなった ヨガスタジオの退会 を決めます。 実を言えば、彼女が10年間働いてためた貯金も底をつきかけていました。彼女はそのままの生活を続けていれば、そのうち消費者金融にまで手を出しかねない 自分が怖くなり始めていた のです。 そんな状況に陥らないためにも、あなたの中にもモンスターが隠れていないかチェックし、少しでも予兆を感じたら、暴走を始める前に退治してしまうことが重要です。 ■「メンタル系モンスター セレブ憑き」度チェック ここで、あなたの「メンタル系モンスター セレブ憑き」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 友達、職場仲間が3人集まると服、持ち物、現在のライフスタイルをマウンティングしてしまうことが少なからずある。 2. お金に余裕がなく、ランチを節約することは恥ずかしいことだと感じる。 3. 人と一緒にいる時にスーパーの割引商品を買うことができない。 4. 住んでいる地域や家、夫の勤務先や年収などで、知人や友人をつい「格付け」してしまうクセがある。 5. 自分の悩みや不安を周囲に漏らすなんてありえない。人前ではいつでも「幸せな私」を演出しなければと思う。 6. それなりのレストランで割引クーポンを使うことは格好悪いと思う。 7. 暇ができたら真っ先にすることは、SNSのチェックだ。 8. その日買ったものや食べたものの写真を1日に3回以上、SNSにアップしている。 9. 夫と一緒に外食するなら、夫の好きな「安くてうまい」お店なんて言語道断。カップル向けのオシャレなレストランしかありえない。 10. 手土産やお礼の品を選ぶ時、ブランドの“格”ばかり考え、相手の好みはほとんど考慮に入れない。 ■あなたの「セレブ憑き」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「メンタル系モンスター セレブ憑き」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満はセレぶり度「C」(夫は「見えっ張りだなあ」と、あなたの中の「イヤな女」の部分に気づき始める頃) ○の数が6個以上8個未満はセレぶり度「B」(夫は「なんで人の目ばっかり気にするの? 俺たち夫婦の幸せは二の次かよ?」と疑問と不満を感じている) ○の数が8個以上はセレぶり度「A」(夫の目には妻が虚栄心の塊、浅ましい「イヤな女」にしか見えず、愛想を尽かされている可能性が高い) あなたの判定結果はいかがでしたか? 虚栄心 とはまるで無縁でいられる人など、なかなかいません。人前で自分を良く見せたい、幸せな自分のほうが好かれると思ってしまうのは、当然といえば当然の心理です。実際、暗くて不幸そうで自虐ワードばかり言っている人からは遠ざかりたいもの。 けれど、 見えがリアルの壁を超えてしまったら… その時にはきちんと立ち止まって。実際の生活を、地に足のつけた幸せなものにしていくためにはどうすればいいか、冷静に考えなければなりません。 特に女性は「同性に負けたくない」生き物。礼子さんのように、身近な同性とのお茶会でも、SNS上でも “幸せなフリ”合戦 が度を越すと、自分自身のリアルが見えなくなってしまいます。 すると、本当にあなたを愛してくれている夫の気持ちが、遠くへ飛んで行ってしまうことに。お金が飛んでゆくよりも恐ろしいことは、 夫の愛が消え去る ことです。揺らがない幸せは、見えだけでは手に入れることができません。
2018年03月25日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から。ということで、モンスターワイフにはさまざまな種類があります。 前回の主人公・ 柚那 は「最高の妻」を目指すがゆえ、周りが見えない仕切り魔と化してしまった妻でした。 今回紹介するのは、女性のおなかの奥底にドロリとたまっている 虚栄心 の餌食になってしまった妻です。 芸能人でなくても注目される! イケてる私を演出できる!…昨今のSNSの急速な普及で、メンタル系モンスター セレブ憑き は、あなたのことも狙っているかも知れません。要注意です。 ■インスタ映えだけが生きがい「セレブ妻の現実」 「メンタル系モンスター セレブ憑き」代表:礼子(仮名)の場合 高級住宅地にあるマンションの一室。礼子は購入したばかりのブランドコスメの袋をソファに放り投げると、デパ地下で調達した おひとりさまデリ を、皿に移すこともなく食べ始めた。夫の誠一は今日は残業と言っていた。 ベトナム風春巻きを指でつまんでほおばる。あごに付いたスイートチリソースを拭こうともしない。味など分からない。おなかがすいたから満たしているだけ。彼女の頭は食事以外の事象でフル回転していた。 今日が発売日だった限定コスメ、シルバーでキラキラ光るコンパクトがまるで自分のように女王さまオーラを発している。 「部屋のどこで、どのアングルから撮影したら一番キレイに見えるかしら? 一緒にアップするコメントは?」 礼子は インスタグラム にハマりにハマっていた。というより、彼女の生活はインスタグラムを中心に回っていたと言ったほうが正確だ。 投稿される華やかな写真の数々とは対照的に、実生活ではほとんど 出番のないコスメや服、バッグ の数々が部屋には無造作に置かれている。「収納」という概念は、礼子にはない。秩序のまったくない物があふれた家。幸せとはかけ離れた雰囲気が漂っていた。 ■体調を崩し専業主婦に…「家ではいつもひとり」で鬱(うつ)状態に 5つ年上の誠一と結婚した頃、礼子はITベンチャーのウェブデザイナーとして忙しく働いていた。残業が多い職場で、ついに彼女は身体を壊した。腎臓の病気と万年腰痛。新しい上司との折り合いが悪かったこともあり、彼女は休職ではなく退職を選んだ。 誠一は外資系勤務ということもあり、収入はいい。誠一の叔父が持つ緑に囲まれた低層高級マンションを安く貸してもらっているので、生活には困らない。何より、礼子の通帳にはデザイナー時代の給与が貯まっていた。 しかし、いざ仕事を辞めてしまうと、礼子は途方に暮れた。夫は忙しく、アメリカ出張が多い。家ではいつも ひとりぼっち… 。料理を作っても、誰も食べてくれないし、評価もしてくれない。仕事で知り合った友人ばかりだから、突然、 専業主婦 になってしまった礼子とは話が合わない。 一度、元同僚とランチをした時には、ハツラツと働く彼女が自分の何百倍も輝いて見えて、帰宅後ドッと落ち込んだ。その頃から礼子は家に引きこもりがちになり、 鬱々とした毎日 を過ごすようになった。かといって、在宅でデザインの仕事をするという選択はなかった。締切に追われる緊迫感は、また体調を悪くさせるに違いないと思っていたからだ。 ■高級ヨガスタジオで出会った「セレブの世界」 そんな時、家の近くにヨガスタジオがあることを知る。入会金60万円。月謝も高いがとてもスタイリッシュなスタジオで、DVDを出している元モデルの先生までいる。「ヨガは身体だけでなく、心の不調にも効果的だというし…」。礼子はこのスタジオの会員になることにした。 初レッスンの日、礼子は持ち合わせている 美意識のプライド というものがガラガラと崩れる。「元モデルの先生」のみならず、生徒たちまでとてもスラリとスレンダーな女性が多く、着ている専用のウエアも最先端のデザイン。とりあえずTシャツとジャージでやって来てしまった礼子は、穴があったら入りたい気分だ。 レッスンの休憩中、2人の女性が礼子に話しかけてきた。2人とも近所に住んでおり、このスタジオには1年以上通っているという。自分の服装を恥ずかしがる礼子に彼女たちは「いいショップを紹介する」と言ってくれた。レッスン後、早速彼女たちの行きつけのショップに連れだって行った。 その道中のおしゃべりから分かったことは、彼女たちは礼子と同じく専業主婦で、 「亭主元気で留守がいい」 を地で行く生活をしていた。彼女たちにすすめられたヨガウエアの価格に仰天しつつも、礼子の頭にはこんな考えが浮かび始めていた…。 「この人たちは私と、住んでいる地域もマンションのグレードも同レベル。なのにブランドバッグやアクセサリーを身に付けて、体型もスリムで、芸能人みたい…。時間にもお金にも、心にも余裕がある感じ…。 働いていた頃には、絶対に 見えなかった世界 だわ。うちの誠一だって稼ぎがいいし、私にも10年間働いた貯金がある。これまでずっと頑張ってきたんだもの。私だって少しくらい贅沢してもいいわよね」 『自分にご褒美』 というどこかの企業のキャッチコピーが頭のなかでクルッと一回転した。 ■インスタグラムの中だけで生きる妻に唖然 その日から礼子の フル装備プロジェクト が始まることとなる。六本木ヒルズやミッドタウンにショッピングへ出かけ、オシャレなヨガウエアを何セットもそろえることはもちろん、どんどん増えるヨガ仲間たちとのおでかけに合わせ、ブランド物のバッグや靴も買いあさる。 特に、彼女たちとSNSでもつながるようになって以来、礼子の浪費は目に見えて激しくなっていった。高級ブランドの 限定品、新作 という言葉に過敏に反応し、いち早く購入しては インスタグラムにアップ しなければならない。 家を空けることが多い夫の誠一も、さすがに礼子の変化に気づくことになる。「自分が忙し過ぎるのがいけないのかもしれない。寂しさを埋めるために、買い物依存に走っているのではないか…」と考えた誠一は、なかなか取れない休みをどうにか確保した。「2人でゆっくり過ごすことができれば、妻も喜んでくれるはず」と思った。 実際、誠一が休暇について切り出した時、礼子は満面の笑みを見せた。 「ちょうどよかった。お買い物に付き合ってほしいの。それから雑誌に載ってた、新しくオープンしたフレンチレストランにも早く行ってみなくちゃ。麻布のはずれにある隠れ家的なお店なの」 「フレンチ…? 妻はいつから、フランス料理が好きになったのだろう?」と、頭の中は疑問符だらけの誠一だったが、当日になってようやく事情を理解した。礼子は 料理の味など気にしていない。 彼女はひたすらスマホのカメラを料理に向けていた。 デザートにいたってはスプーンに苺をのせてみたり、シロップをしたたらせる仕草をギャルソンに頼んで撮影したり、大はしゃぎしている。誠一は恥ずかしくなってしまった。ニューヨークではこんなに騒ぐ大人の女性を見たことがない。日本人の観光客以外では…。 ショッピングにしても、誠一は完全に礼子の荷物持ち。高級コスメに加えて、限定パッケージの高級スイーツを買いあさる礼子。「こんなにいっぱいどうするんだよ?」と呆然としている誠一に、礼子はあっさりと「かわいいでしょ? インスタ映え間違いなし だわ。この間ヨガスタジオのお友だちに旅行のお土産をもらっちゃったし、そのお返しにも使えると思って。お茶に呼ばれた時の手土産にもね」とお構いなしだ。 ■夫が気づいた時にはもう手遅れ? 妬み嫉みに落ちた妻 「妻は明らかにおかしい」 誠一はやっと理解した。礼子が働いていた頃の貯金は、本人が自由に使えばいいと思っている。生活費だって十二分に渡している。そのこと自体に不満はない。 けれど…せっかく2人で過ごせる貴重な休日だというのに、礼子の頭には「インスタ映え」と「セレブの付き合い」しかないのだ。家事をさぼっているのは留守がちの誠一からは文句が言えず、これまで大目に見ていた。妻の暴走を目の当たりにして、もう、 どうしていいかわからない。 数週間後の週末、リビングでスマホをいじっていた礼子が尖った声を上げた。 「やあねえ。足立さん、パリにショッピング旅行ですって。足立さんの旦那さん、誠一と業界は同じだけど、お勤めの会社はずっと小さいのよ。うちより格下なのに、こんな5つ星ホテル。 見栄張ってるんじゃないの? 」 「いい加減にしろよ」 いつもは温厚な誠一も、この時ばかりは声を荒げていた。 「格下? 格って一体何の話だよ? 足立さんはお前が仕事を辞めてから、やっとできた友だちだったんじゃないのかよ? 俺はそう思ってたから、礼子が足立さんへの手土産だの、ランチに誘われたから新しい服だの、あれこれ買うのも黙って見てきたんだ。でも、単なる見栄を張るだけの相手だったんだな。どっちだよ、自分の浅ましさが恥ずかしくないのか?」 まさか誠一からそんな反応が返ってくるとは思っていなかった。礼子は、一瞬唖然とした。顔を真っ赤にしてリビングを飛び出し、自分の部屋のドアを乱暴に閉めると泣いた。目玉が溶けそうなくらい泣いた。悲しいというより、侮辱されたという思いと 怒りで涙が止まらなかった。 ■「今日、何の日か覚えてる?」夫から引導を渡された瞬間 翌日、礼子は都内の有名ホテルのアフタヌーンティーにやって来た。誠一に侮辱された私が元気になるためのご褒美だ。 『ホテルのアフタヌーンティーを楽しむ優雅な私』 、それが礼子の頭の中のセルフイメージだった。しかし周囲から見れば、一心不乱にスマホで写真撮影を続ける、イタい人にしか見えない。 実際の暮らしが虚しく、みじめに、不幸になればなるほど、礼子は 幸せなふり をしたかった。いや、しなければならないという強迫観念に駆られていた。誠一との関係が決定的に悪化し始めた頃から、礼子のインスタ狂いはますます加熱していく。 ある日、いつも帰りが遅い誠一が、珍しく早く帰宅した。 「おかえり…」 奥から礼子の声は聞こえるが、誠一を出迎える気配はない。何しろ明日はヨガスタジオの仲間が集まるお茶会なのだ。着ていく服は? 持って行くバッグは? ああ、この靴は前回履いちゃったやつよね。それじゃあ今回は…。礼子は自分の部屋にこもって、忙しく戦略を練っていた。 真夜中、パジャマ姿の誠一が礼子の部屋へやって来た。 「おやすみ」 「ああ、おやすみなさい。今パック中。このパック、金粉入りなのよ」 礼子は目の前のスタンドミラーから目を離さずに言った。誠一が小さなため息をつく。 「礼子、 今日は何の日か、本当に覚えてない? 」 今日…? 急に何の日かって言われても…?? 怪訝そうな顔をしている礼子に、誠一はボソッと言った。 「俺の誕生日。まあ、礼子にとってはどうでもいいことだよな。お前はもっとほかに考えなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことがいっぱいだもんな。それじゃあ、おやすみ。」 さすがの礼子も 血の気が引く のを感じた。誠一と結婚して5年、彼の誕生日を忘れたことなど、これまで一度もなかったのだ。 虚栄心とSNSの最強タッグにより、あっという間に「メンタル系モンスター セレブ憑き」へと変身してしまった礼子。はたして彼女は、夫婦仲を修復することができるのでしょうか…? 「リアル・モンスターワイフ、再び」第6回では、あなたの「メンタル系モンスター セレブ憑き」度をチェック、判定! 礼子と同じ失敗を繰り返さないためのアドバイスをご紹介します。
2018年03月24日前回ご紹介した 「メンタル系モンスター 仕切り鬼」 代表の柚那、一件よく働くしっかり者の妻のように見えるのがやっかいなところです。 決断は妻任せがラクチンだという夫でも、あまりにグリグリとプロデュースされてしまうと「俺の意志」があっという間に消え去ってしまいます。ただただ妻に従うことが、情けなくなってくる日が来るのです。 自覚のないまま 、あなたもいつの間にか「仕切り鬼」になっているかも…。 ■「メンタル系モンスター 仕切り鬼」度をチェック ここで、あなたの「メンタル系モンスター 仕切り鬼」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1.職場あるいはママさんコミュニティやサークルでリーダー的存在だと自覚がある。 2.他者が自分の指示を素直に聞いて動いてくれるとうれしくなる。 3.自分が家事をしている最中に夫が何もせずダランとしているとむかつく。 4.掃除や洗濯はマイルール(私のやり方)があり、違うことをされると指示出しをしてしまう。 5.化粧品、洗剤、シャンプーの消耗品にこだわりがあり、違うものは使わない。 6.夫が決められた小遣い額以上を使うと必ず一言注意する。 7.夫の実家付き合い、親戚付き合い、慶弔に関しては夫に任せておけないと思っている。 8.夫の交友関係は10人までは把握している。 9.夫が家庭のルールに従わないとき”罰”的なことを与えたことがある。(例:今月は小遣い減額よ、今週の風呂掃除は毎日やることetc) 10.夫が連絡なしに夜中帰宅すると、根に持って数日間は不平を言う。 ■あなたの「仕切り鬼」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「メンタル系モンスター 仕切り鬼」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○が3個以上6個未満は仕切り鬼度「C」(夫は最近口うるさくなってきたなあ…と感じ始めている) ○が6個以上8個未満は仕切り鬼度「B」(夫はえらそうなオンナだ、何様だよと感じてきている) ○が8個以上は仕切り鬼度「A」(俺はお前の家来かよ! 窮屈なんだよ、好きにさせてくれよと自由を求めているので逃げる可能性大) 草食系男子、植物系男子 というワードをメディアで見かけるようになったのは、ここ数年です。定義は細かく説明されていますが、その名前から受け取る印象を心に浮かべてみましょう。 やさしい、物静か、反論しない、ガツガツしない、主導権を握らない、すぐエッチしようと言わないetc…というところでしょうか。 そうです。「男は一家の大黒柱」という言葉はもう古い。ワーキング妻も増加した今、 忙しい妻を思いやるやさしい男性 が出現しているのです。夫が主導権を持って家族を引っ張るというより、民主的に妻と2人で決める、あるいは妻が大まかに決めて夫に相談するというスタイルが主流となってきています。 「家のことは、妻が決めてくれた方が楽」と言う男性ももちろんいます。とは言え、前回登場した「メンタル系モンスター 仕切り鬼」代表・柚那さんのように、完璧な妻の役割に酔いしれてしまうと家族は従わざるをえません。非の打ちどころがない 正論 。どう見ても妻の言い分が正しい場合、「反論の余地なし!」と毎回怖い顔で指をさされ押し付けられているようなものです。 モンスターっぽく「仕切り鬼」と名付けましたが、裏を返して良いようにとらえれば『プロデュース妻』ともいえます。家族をまとめる、マンションを買うなどの大きな目標に向かって邁進する、子育て・教育に手を抜かないなど強靭な力を発揮します。 しかし、柚那さんのように 「やらねばならぬ理由」 を家族の中で一番えらいような上から目線で述べ続けると周りは息苦しい。 「ああ、そうですよ、おっしゃる通り。はいはい、あなたの言うこと聞きますよ」と 夫が投げやり になってしまっても仕方ありません。柚那の夫・和樹さんは、もうすでにあきらめているから言葉に出して反論しませんでした。言ってもムダ、妻のほうが正論と夫に、思わせてしまうのはフィフティフィフティな関係を維持できていない 黄色信号 です。 夫が家族の決めごとをさぼって、スポーツニュースを見ていたとしても「たまにはさぼろうか!」と一緒に寝そべって缶ビールとポテチを渡して乾杯するくらいの 余裕をかます ほうが男性は楽なのです。 夫も妻も 完璧でなくていい 、少し抜けているところ、弱いところを補うことでまた愛が深まるということも知っておくといいでしょう。 そして妻は、言う通りにならなくてもカッとしない。まずは一呼吸という気持ちを持つと、 仕切り鬼魂が退散 してゆきます。ため息ではなく深呼吸です!
2018年02月25日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から。ということで、モンスターワイフにはさまざまな種類があります。 前回は、「ビジュアル系モンスター 産後ボーボー」というモンスターワイフを紹介しました。今回は、一見なんでもやってくれる妻だけど、どんどん夫は疲弊してしまうという メンタル系モンスター をご紹介します。 ■誰が見ても完璧な妻、しかし夫にとっては… 「メンタル系モンスター 仕切り鬼」代表:柚那(仮名)37歳の場合 駅前にあるドラッグストアでパートの仕事を終え、急いで体育館に向かう。柚那はPTA仲間で結成したママさんバレー部の副主将だ。火曜の夜と土曜の午後は汗が床にしたたるほど猛練習をしている。 バレーの練習がある日の夕食は早起きして作り、夫の和樹と息子の壮馬がレンジでチンするだけで食べることができるようしてある。 火曜の夜のことだった。バレーの練習を終えて帰宅すると、和樹が夕食で使った食器をシンクに置いたままスポーツニュースを見ていた。 「ちょっと。カズ、何これ? 火曜と土曜の夜の食器洗いはカズと壮馬って決めてるよね。壮馬はもう寝てるの?」 「…ああ。今日、壮馬は体育で水泳だったから眠いって言うし、俺も野球の結果が気になったからつい…」 柚那は首にかけていたタオルをはずしながら目を吊り上げて言った。 「 家族で決めたことは守る約束 だよね。カズがそんなんじゃ、壮馬にサボりぐせがつくじゃない。やると決めたらやり通してよ」 「…う、うん。悪かったよ」 「今から洗って。洗ったら水気を切ってから拭いてね」 「今からか? 明日の朝やるよ」 柚那は低い声になる。 「壮馬に『決まりは守らなくちゃダメ』ってことを教えたいの。私も仕事始める時『家事はおろそかにしない、両立する』って約束したからがんばってるんだよ。お弁当だって、毎日5時起きして作ってる。ママさんバレーの日も夕食は作ってから行ってる。後片付けくらい…」 和樹は、柚那の言葉をさえぎるように立ち上がってシンクに向かう。背をかがめ、面倒くさそうに食器を洗い始める。背中越しに柚那がボソっと言う。 「油汚れは、ここにあるボロ布で拭き取ってから洗って。 洗剤もったいないし 」 和樹はチっと舌を鳴らした。 ■「私がルール!」家族のすべてを仕切るモンスターに変身 家族3人、リビングでくつろいでいた時のことだ。柚那がうれしそうにアニメ映画のチケットを取り出し、ヒラヒラさせながら言う。 「ネットショッピングでポイントたまったから映画チケットに替えてもらったの! 壮馬、観たいって言ってたでしょ。今度の日曜は映画に行くのよ」 壮馬がうれしそうな困ったような顔をする。 「母さん、日曜はケンちゃんちで小川っちと3人でゲームするんだ」 和樹も言葉をかぶせる。 「俺も、日曜は職場の先輩に釣り具を見せてもらいに行く約束したんだ。釣り、始めたいと思っててさ」 柚那はキッと口を結んで数秒黙った。そして目をギョロリと見開いて一言。 「聞いてない」 和樹と壮馬は背筋を伸ばし、太ももの上で手を固くにぎった。 「うちら家族でしょ。買い物のこととか、趣味のこと、話し合ってみんなで納得してから決めなくちゃダメでしょう。私だってドラッグストアで働く時もママさんバレー始める時も、2人にちゃんと相談してから始めたよね。家にいなくても、食事や掃除は手抜きしない約束で。守ってるでしょ。 全部完璧でしょ!! 」 2人は言葉を返せない。テレビの音がむなしく流れる。柚那がテレビを消して和樹をにらむ。 「カズ、家族を一番大事にするって言ったよ。いろんなこと、家族で話し合って決めようって」 「ああ、言ったけど、ちょっと違ってきてないか。柚那が 全部決めて 、俺らがその通りにしてるような気がしてるんだけど」 柚那はとうとうと 家族論 を述べ始める。家族は決まりをつくってそれを守らなければ子どもがだらしなくなる、秘密はあってはならない、各々の行動を全員が把握しておくべき、規律正しい生活が良い子を育てる…。 日曜日、結局3人で映画に行った。帰り道、和樹が「たまには外でメシ食おう。一杯飲みたいなあ」と言うと柚那は笑いながら答えた。 「外食を1回がまんして、その分、食べたつもり 貯金するって決まり だよ。そしたら念願のマイホーム購入が早くなる。今日は朝のうちにクリームシチューを作ってきたから大丈夫。あっためて食べよう」 和樹は、胸の中でため息をついた。決して柚那に聞こえぬように。柚那ががんばっていることはわかっている。責めることはできない。だが、だが…。長いため息をつかずにいられない。 「悪い、俺、行くとこあるから2人で先に帰って。壮馬、帰ったら一緒にゲームしような」 和樹は人混みの歩道に消えていった。柚那は呆然として立ちすくむ。 「なによ、あの態度。ケンカ売ってんの? 帰ったら話し合いしなくちゃ。 家族の平和 のために」 「メンタル系モンスター 仕切り鬼」のモンスターワイフとなった柚那。和樹の不満に気づかない彼女の過ち、間違いはどこだったのでしょうか? 「リアル・モンスターワイフ、再び」第4回では、あなたの「メンタル系モンスター 仕切り鬼」度をチェック、判定! 「第二の柚那」とならないためのアドバイスをご紹介します。
2018年02月24日