海上自衛官、俳優、幼稚園・学習塾講師、小学校・福祉施設勤務の経歴を持つシングルマザー。これまでの経験やさまざまな人との出逢いから、生きていくうえで大切なものに気づく。大切なものをより多くの方と分かち合うため、執筆活動やイベント企画に取り組む。幼稚園・小学校教諭、ベビーマッサージインストラクター、ほめる達人3級の資格を持つ。
2016年4月、熊本県・大分県を中心に大きな地震が起こりました。 私は大分県在住です。住んでいる地域は大きな被害がなかったものの、度重なる揺れに備えながら、今も不安な気持ちでいっぱいです。 そこで、今回の地震を経験して、皆さんにお伝えしたいことを、元自衛官として、そして1人の母親としてご紹介したいと思います。 ■災害に備えてできること~室内編 皆さんの自宅の部屋には、どんな家具や物が置かれていますか? 自宅にいるときに地震が起こった場合、一番怖いのが大きな家具や冷蔵庫が倒れてきたり、収納している食器や本などが散乱したりすることです。 転倒のおそれがない物を揃えておくことがベストですが、そうはいっても簡単には買い替えることもできません。そんなときは転倒防止グッズを活用しつつ、お部屋一つひとつに安全スペースを確保しておきましょう。 わが家では各部屋の、出入り口から近い隅の一角に、大きな揺れがきて、家具などが倒れてきても危険が及ばないような安全地帯を確保しています。子どもたちには「地震が来たら、まずはこの場所に居るように!」と伝えています。 また、今回の地震では、建物の倒壊による被害が少なかった地域でも断水したり、水道水が濁ってしまったりしたことがありました。そのため、飲料水を確保しておくことと、浴槽に水を溜めておくことをおすすめします。 溜めておく水はできれば、きれいな水道水がよいですが、入浴後の残り湯でも、トイレを流すのに使ったり、ちょっとした物を洗ったりと、使い方はたくさんあります。 ■災害に備えてできること~持ち物編 ここ数年、日本ではさまざまな地域で地震の被害が起きているので、非常用持ち出しバッグを準備している方も多いでしょう。 そのバッグにはどんな物が入っていますか? この機会に一度見直してみてください。 ここでは、基本な持ち物の中から、特にお伝えしたいことをご紹介します。 ・常備食として缶詰の備蓄を 私が自衛官だったころ、訓練ではいつも缶詰が配られていました。実は、非常事態には缶詰が一番重宝します。 たとえば、非常食というイメージの強い「乾パン」は、食べるために、水分も必要となります。乾いた硬いビスケットを水なしで食べるのは至難の業です。しかし、被災時、水はとても貴重になります。そのため、備蓄しておくならば、乾パンよりもパンの缶詰めをおすすめします。 缶切り不要の缶詰を常備しておくと、非常食として十分に役立ちます。いつでも、どこでも食べることができるので、少し重いですがいくつか揃えておきましょう。 そのほかに用意しておくならば、健康面を考慮して、たんぱく質が摂れる魚肉ソーセージなどもよいでしょう。 ・ウエットシートやボディシート お風呂に入れないときに、体を拭くことができて、衛生面で活用できます。 小さいお子さんがいる家庭では、オムツと一緒におしりふきを多めにストックしておくことをおすすめします。 ・新聞紙 どんな時にも活躍するのが新聞紙です。災害時、洋服の下に1枚入れておくだけで温かくなります。 さらに、折り方を工夫すれば、袋やスリッパを作ることもできます。 ・簡易トイレ 避難している方の中には、トイレが混むのでなるべくトイレに行かないで済むようにと、水分摂取を控えてしまい、脱水症状になる方が多くいるそうです。 最近では100円ショップなどにも、薄くて持ち運びに便利な簡易トイレが売られています。手に入りやすいので、もしものときに揃えて用意しておきましょう。 そのほか、非常時の持ち出し品や、懐中電灯などの置き場所にもひと工夫が必要です。 自衛官の対策を例に挙げると、自衛隊では有事に備えて、ロッカー内の洋服のかけ方や並べる順番が決まっています。これは、停電や混乱している場合にでも、必要な物がすぐに準備できるようにという工夫です。 災害時に必要な物を揃えていても、すぐに使えなければ意味がありません。上述の対策を参考に、家の中が混乱していても停電していても、すぐに持ち運べる場所に、順序を決めて準備しておきましょう。 ■今回の地震から気づいたこと 同じ大分県内でもいまだ避難している人がいますが、幸い私が住んでいる地域は日常生活を送れる程度の被害で済んでいます。 そのため、現在も「大きな揺れに注意してください」と言われている中、子どもは通学・通園し、私も通勤しています。しかし、この状況で子どもと離れるのは不安なものです。 皆さんも学校や園、職場、さらに習い事などに行っているとき、何かあった場合は、どこに避難すればよいか、子どもと一緒に確認しておきましょう。 わが家では、「まずは自分の命を守ってね。離れていても生きていれば絶対会えるから」と、子どもたちに伝えています。 これまでも、日本のどこかで大きな地震が起こる度に、自分自身が災害にあったらどうするか考える機会がたくさんありました。私自身、その都度考えてきたつもりではいましたが、いざ危険と隣り合わせになると、備えが十分でなかったと気づかされます。 普段から災害に備えて準備しておくほかに、子どもや家族で災害について意識しておくことが、とても大切です。 ■まとめ 今回の地震で、皆さん、それぞれいろんなことを感じたことでしょう。 私は、いまだ時々起こる余震を感じながらも、当たり前の生活を送れることのありがたさをとても強く感じています。 毎日、食事ができてお風呂に入れること。ゆっくりと布団で眠れること。家で家族と過ごせること。大切な人と会えること。今を生きているということ。 そうした当たり前の生活が当たり前にできていることのありがたさを感じながら、災害への備えをいま一度見直してみてください。
2016年04月29日2015年12月に厚生労働省が「労働安全衛生法」という法律を改正し、50人以上が働く会社はストレスチェックを行うことが義務づけられました。対象となる会社に勤めている方は、自分のストレス状況をチェックする機会がやってきます。 そこで、会社で行うストレスチェックとはどんなものなのか、ストレスチェックの流れや個人情報に関する注意点などを含めて紹介します。 ■ストレスチェックとは? 日本では仕事における強い不安や悩みからストレスを感じている人が5割を超え、仕事でのストレスが原因で体調を崩す人も増えています。なかには労災認定されるケースもあるようです。 ストレスチェック制度は総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医などで構成される衛生委員会などによって調査・審議されます。その際、「職業性ストレス簡易調査票」などを用いて仕事や心身のストレス要因、周囲のサポート状況など調査し、労働者のストレス状況を検査します。 この検査による個人結果をひとりひとりに通知します。労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためないように普段からセルフケアを行うこと、会社側も職場環境の改善に取りくむことを目的としています。 ストレスチェックの結果、ストレスが高いと判断された場合、本人が希望したら医師による面接指導が行われるそうです。 じつは、従業員にはストレスチェックを受ける義務はなく、受けないという選択もできます。しかし、自分の状態を客観的に知ることができる機会のため、受けてみるのもいいかもしれません。 ■一番気になる個人情報について 「会社がストレスチェックを実施すると、個人の結果も会社に知られてしまう?」と、個人情報に関することが一番気になるところです。基本的には、同意しなければ会社に個人結果が知られることはありません。しかし、規程はしっかりと確認しましょう。 ・会社内に実施事務従事者という担当者が配置される場合 ストレスチェック制度の実施事務従事者は、個人の調査票のデータ入力や結果の出力、保存に携わります。個人結果に関わるので、人事権を持たない職員などが担当することが定められています。 ストレスチェック業務を通して知りえた個人の結果などには守秘義務が課せられるので、実施事務従事者以外の会社の人に知られることはありません。 ・面接指導対象と通知を受けた場合 ストレスチェック制度では、会社が面接指導を行う医師を決定し、対象者との面接指導の日時を調整や面接指導の結果の報告を受け、必要に応じて就業上の措置を行うように定めています。そのため、面接指導対象との通知を受け、医師との面接指導を受けたいと希望した場合は、会社に申しでることが必要となります。 会社側も、申し出があった時点では、どの従業員が面接指導の通知を受けたのか知らないので、面接指導対象者かどうか確認しなければなりません。 このときに、ストレスチェックを行った医師などから、だれが面接指導対象であるかという個人結果が会社に通知されます。自分のどんな情報が会社側に伝わるかは規程に必ず書かれてあるので、しっかりと読み、担当者に確認して把握しておくといいでしょう。 医師との面接指導には会社に知られる情報もあります。しかし、医師との面接は、就業時間として認められることや面接費用も会社が負担するなどのメリットもあります。面接指導の通知が来た場合は、ご自身でしっかりと考えて、受けるかどうかを決めてみてください。 ■個人結果を集計して集団分析も ストレスチェックは個人のストレスを集計・分析するとともに、会社側はその個人結果をもとに職場ごとや年齢、勤続年数など、集団的にストレス状況を分析するケースもあります。 この場合も、個人の結果が会社に知られることはなく、会社は分析した集団ごとのストレス状況を把握し、職場環境の改善に取りくみます。 厚生労働省のホームページには、ストレス状態を知ることができる簡単な検査も掲載されています。ストレスによって体調を崩してしまう前に、自分のストレス状態を知り、ストレスと付きあうコツや解消する方法を身につけることが大切です。 ・ 厚生労働省
2016年04月24日