コミックエッセイ:おかっぱちゃんの子育て奮闘日記

「牛に想いを寄せて」 おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 Vol.4 


1時間ほどして「失礼します~」と助産師さんがわたしの赤ちゃんを連れて部屋に入って来た。

眠い目をこすりながら、赤ちゃんを抱き、助産師さんの指導のもと、授乳の練習をする。右、左とそれぞれあげてみる。この時期、赤ちゃんの目はまだ見えないらしく、吸いやすいように誘導してやらないと上手に吸い付かない。

「う~ん、なかなか難しいなあ。しかも、右の乳首が痛い…」
初めての授乳は乳首も慣れていないからか、その吸引力に耐えきれず、吸われるたびに痛みを生じる。

そして、抱き方にもいろいろあるようで、縦抱き、横抱き、そして、フットボール抱き、といった感じで持ち方を変えながら、どうにかおっぱいに吸い付いた我が子。

その様子を見ていたら、自分がほ乳類であったことを思い出し、なんだか同じほ乳類の動物たちが愛しく思えてきた。

どんな動物も出産後、すぐにお乳をあげていたっけねえ…。

遠い目をしながら、わたしは牛に想いを馳せていた。
ホルスタインのようなわたしのおっぱい。そこに吸い付くわが息子。

牛さんも出産大変だったよねえ。牛乳しぼる時、もしかしたら毎回痛いのかもしれない。なんだか牛の気持ちを想像しだしたら、泣けてきてしまった。

そこに、誕生したばかりの赤ちゃんを見に両親が病室にやってきた。

「おぉ、おめえ乳でっかくなったな!」

父の第一声は、初孫ではなく乳に対する一言だった…。
「牛に想いを寄せて」 おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 Vol.4 

(Boojil)
つづく

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