連載記事:「幸せ力」の育て方

気をつけて! 早期教育や習い事の落とし穴(「幸せ力」の育て方 Vol.2)


暗記学習や訓練は子どもを「指示待ち族」にしてしまう

「自分で判断しなければならない局面に立たされた時、訓練を受けた子どもたちは、大人の顔色を見て指示を待つような行動がとても多かったのです。
大人から指示を受けてきた子どもは、『~しなさい』と言われないと何もできない子になる可能性があるのです」

大人が指示をしたり、子どもに暗記をさせたりすることが多い学習や習い事を早くから始めると、子どもが自分自身で考えたり、工夫したり、判断したりする「自律的思考力」が奪われてしまう危険があるのですね。


自分で考える力がないと、将来、困るのは子ども自身

小学校の低学年までは暗記で解ける問題が多くありますが、高学年になると思考力が問われる問題が増えてきます。
その時期になって勉強についていけなくなり、成績が急に落ちたり、学校嫌いになったりということでは困りますよね。

「人生で体験する問題のうち、暗記で解決できる問題はひとつとしてありません。
ですから、子どもの幸せを願う親が本当にすべきことは、早くから文字や計算を教え込むことではないのです」と内田先生は言います。

では、子どもが幸せに生きるために、自分で考える力を育むためにはどうすればいいのでしょうか。
次回の記事でお伝えします。

(佐々木月子)

今回取材に協力してくださったのは
内田 伸子先生
内田伸子先生
十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。
専門は発達心理学、認知心理学、保育学。
国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。


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