3人産んでもふつうに働き続けられる、フランスの子育て事情

目次

・「出生率2」を維持する国フランス
・フランスでも保育園は足りていない
・3歳から希望者は全員無料で幼稚園(保育学校)に
・大学まで教育費がほとんどかからない
・さまざまな場面で手厚い家族手当
・週35時間労働、残業なしが普通
エッフェル塔をバックに楽しそうな母と娘

© travnikovstudio - Fotolia.com


■「出生率2」を維持する国フランス

社会保障の手厚い欧州の中でも、ひときわ高い出生率を維持するフランス。
出産を機に仕事をやめる人は少なく、2人、3人育てながら、仕事を続ける女性がほとんどなのだとか。一方で、子どもができたら仕事を続けることを断念せざるを得ない女性が大勢いて、出生率の低下が問題視され続ける日本。
一体、何がそんなに違うのでしょうか?

■フランスでも保育園は足りていない

「女性が働いていると、出生率は低下するんじゃないか」と思うかもしれませんね。1980年代まではたしかにその傾向があったそうですが、2000年以降その関係は逆転。働く女性が多い国のほうが出生率も高い傾向があると報告されています。(フランス政府諮問機関の報告書より)

0歳児から保育園に預けるなんてかわいそう。せめて1歳までは母子の時間を大事にしたい。
日本ではそう考える人が大半ですが、フランスでは「母親だけに育てられるより、いろいろな人の手で育てられたほうが赤ちゃんの成長にプラス」と考えるほうが主流だといいます。生後3ヶ月で母乳からミルクに切り替えて職場復帰する人も少なくありません。

それゆえ保育園に預けやすい環境が整っているのかと思いきや、意外にもフランスでも保育園は足りていないのだとか。
利用者が多いこともあり、全体の2割ほどしか保育枠がなく、受け皿の拡大が急がれています。

都市部では共働きでもなかなか入れないほど競争が熾烈なので、保育園に預けられない人は、保育ママや自宅に来て子どもの面倒をみるヌヌ(ヌリス、直訳すると乳母)、ベビーシッターなどを探して預けています。2歳までに預けられる子どものうち、5割以上が保育園以外に預けられているそうです。時短勤務で仕事を再開することもできるので、週3日だけ働いたり、ほかの家庭とシェアしたりして、保育費を安く抑える工夫をしているようです。

保育費の支払いには、所得に応じて保育手当が支給されるほか、6歳未満の子どもの保育費の50%が税控除されるので利用しやすいしくみになっています。


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