2017年3月23日 16:30|ウーマンエキサイト

尾木ママが語る「子どもを学校に行かせたらいけないとき」【わが子のために親が知っておくべきこと 2017 第1回】

わが子のために親が知っておくべきこと 2017

わが子のために親が知っておくべきこと 2017

いま、日本の教育が大きく変わる中、ママたちにできることは何か? テレビでおなじみの“尾木ママ”こと尾木 直樹さんが、ママたちに本気で伝えたいメッセージを送ります!

尾木ママが語る「子どもを学校に行かせたらいけないとき」【わが子のために親が知っておくべきこと 2017 第1回】

“尾木ママ”の愛称で親しまれる教育評論家、前法政大学教授の尾木直樹さん


テレビでおなじみの“尾木ママ”こと尾木直樹さんが、新著を出版。タイトルは、『取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと』

この本は、尾木ママ44年間の教員生活の「集大成」だといいます。尾木ママが、ママたちに本気で伝えたいメッセージをうかがいました。

■もし学校が「危険地帯」になってしまったら


尾木ママが語る「子どもを学校に行かせたらいけないとき」【わが子のために親が知っておくべきこと 2017 第1回】

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―― 「取り残される日本の教育」というタイトルが、とてもセンセーショナルでした。いま、学校教育の現場は、どうなっているのでしょうか?

いじめ、自殺問題がとても深刻になってきています。2015年度だけでも、いじめの「重大事態」のうち50件で第三者委員会が立ち上げられました。第三者委員会が設置されていないケースもたくさんあるということを考えると、どれだけひどい現状であるかがわかります。

―― 調査が必要な重大事案だけで50件! かなり深刻ですね。

2月には、愛知県一宮市在住の中学3年生の男子が自殺するという事件が起こりました。この事件は、現在、第三者委員会が調査している最中です(2017年2月取材時現在)。

事件が起こる前に、親御さんは「担任を変えてください」とお願いしていたそうですが、校長先生は受け入れなかったようです。
そして事件後の保護者会では、「担任によるいじめと認識している」と、校長がはっきりとそういう言葉を使ったにも関わらず、翌日には一転「いじめにあたるかはわからない」と説明を覆しました。

―― いまの学校現場は、「学校は聖域。先生は人格者」というわけでもないのでしょうか?

もし一宮の事件が、本当に「担任によるいじめ」だったとしたら、そんな状態の学校にわが子を行かせてはいけませんね。

また、いじめではなかったとしても、生徒が学校でケガしたときにすぐに対応しなかったり、プリントを毎回配布させられたりというのは、すでに尋常な教師の対応とは言い難いわけです。

亡くなった男の子は、大変苦しんでいたようですね。まだ詳細な経緯はわかりませんが、親御さんが一生懸命訴えていたのに対応を怠っていたのだとしたら学校の責任は大変重いでしょう。

―― 不登校が増えていると聞きます。子どもが「学校に行きたくない」と言うのであれば、まず、きちんと理由を聞くことが必要ということでしょうか?

正直に言えば、いじめが起こるような学校には、不登校の理由を聞くとか、そういう次元の話ではなくて、登校させちゃいけないと思います。


そんな危険からはためらわずに逃げてほしい。そういう意識を親が持たなければ、いま、子どもの命は守れないんです。

■親がもつべき意識は、「子どもの命を守る」

尾木ママが語る「子どもを学校に行かせたらいけないとき」【わが子のために親が知っておくべきこと 2017 第1回】

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―― あまりに衝撃的な話で、びっくりしています。

昨年の12月に、「教育機会確保法」が、参院本会議で可決し成立しました。教育機会確保法とは、「学校に行くことが100%正解なわけじゃなく、休んでもいいし、学校以外の場で学ぶことを応援しますよ」というものです。

こういったことが国会で議論されて、立法化した。時代は、そこまできているんです。でも、そのことを親がわかっていないと、いざという時に子どもを守れない。
それが危険なんです。

―― 時代の変化に、“親の意識”が追いついていないかもしれません。

“危ない学校” には、行かせてはダメ。だって、そんな学校には行けば行くほど、子どもは、教師に傷つけられたり、友だちからいじめられてしまう。そんなときは、緊急避難をしなくちゃ!

崖に向かって、わざわざ歩いていかないでしょ? それと同じことです。

■ほかの国でいじめが起こったとき、親がすること

尾木ママが語る「子どもを学校に行かせたらいけないとき」【わが子のために親が知っておくべきこと 2017 第1回】

親御さんには「いま、世界の教育はどうなっているのだろうか?」という視点を持っていただきたいと語る尾木直樹さん


―― 「学校に行く」ということが、「崖に向かって歩く」というレベルの話なんですか?

いじめに「これをしたらいじめ」という"形式"はないんです。「ちょっと悪口を言われたり、無視されたりしているぐらいなら大丈夫」とか、「ケガさせられていないから、大丈夫」とか、そういう話ではない。

自分があいさつをしているのに、みんなが返してくれなかったときのつらさって、すごいのよ。


心が深く傷つくというのは、ときには殴られるよりもずっと痛いしつらいんです。こういった状況が、子どもにとっては、「本当に、本当に大変な事態である」ということを、親がきちんと理解してあげないと。

―― 親としては、「それぐらい、気にしないでがんばれ!」と言ってしまいそうです。

もしそういった事態がほかの国で起こったら、親は学校に要求を突きつけるところです。

たとえばクラスメイトからいじめを受けて、子どもが学校を休みたいと言っているのであれば、まずは学校を休ませます。さらに、その間の学習の補償は学校がしてくださいという要求を当然の権利として親が出します。

日本の親御さんには、もう少し、世界の状況を把握してほしいと思っています。親御さんご自身が、「いま、世界の教育はどうなっているのだろうか? それに比べて日本の教育はどうなのか?」という視点を持ってほしいですね。




「いま、世界の教育はどうなっているのか?」を知らなければ、親はこれからの教育の変化についていけないのかも!? 次回は、尾木ママが語る「親が受けてきた教育とはガラリと変わる!」です。



この記事は2017年2月の取材に基づいて書いています。


■今回取材にご協力頂いた“尾木ママ”こと尾木直樹さんの著書
尾木ママが語る「子どもを学校に行かせたらいけないとき」【わが子のために親が知っておくべきこと 2017 第1回】

『取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと』
尾木直樹 著/講談社 ¥840(税別)

尾木直樹さん プロフィール
“尾木ママ”の愛称で親しまれる教育評論家、前法政大学教授。「子育てと教育は“愛とロマン”」をモットーに、ユニークで創造的な教育実践を展開。講演会活動、メディア出演、執筆活動など幅広く活躍中。
尾木ママ オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/oginaoki/

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