連載記事:ママのプロになる!
学校が子どもを守ってくれない時代。「ママの仕事」はなんですか?【ママのプロになる! Vol.3】
イラスト:平松昭子
子どもが生まれて、はじめて「ママ業」を始めるママたち。でも自分自身でも、そしてまわりからも
「素人なのにプロ」を求められているように感じていませんか?
ママたちの心の中にある「どうしたら、ママのプロになれる?」という気持ちに、少しでもこたえたいと思い、プロ教師歴40年の
木村 泰子先生から
「ママたちに伝えたい20のこと」をききます。
<木村 泰子先生とは>
木村先生は、すべての子に居場所のある「大空小学校」の初代校長先生を務め、その様子が映画『みんなの学校』として公開されました。そして今回お話をさせていただくのは、「育てにくい子」とされる息子を持ち、「まわりに迷惑をかけているのではないか」と考えながら子育てを行ってきたライターの楢戸ひかるです。
■ベテラン教員でも「保護者」になると迷う
前回、木村先生の元同僚であるベテラン教員から、発達障害のある孫の就学前教育相談で、どこまで話すべきか相談を受けたというお話がありました。
●木村先生の同僚の教員(Aさん)から受けた相談内容
Aさんは、発達障害の子とたくさん接してきたベテラン教員。そんなAさんの孫は、幼稚園で先生の言うことをまったく聞かない子で、Aさんも幼稚園での参観日やお迎えで孫の様子は理解しています。
この孫が
小学校就学前相談を受けることになります。
そこでAさんの娘さんから「就学相談で、息子の現状をきちんと伝えるべきか? 伝えないべきか?」と相談を受けたそうです。
どんなに「ベテラン教員」であっても、「保護者(祖母)」となると、どうすればいいのか判断することができなかった。そこで、Aさんは木村先生に相談することに…。
木村先生は、どのような回答をAさんに送ったのでしょうか。
■子どもの味方だけが学校にいる時代ではない
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木村:環境が整えば、子どもは育つ。でも、「
整っていない環境に子どもを送りこまなければならないとき、保護者は、どうフォローすればいいのか?」というのは大きな課題ですよね。
楢戸:「親は手も足も出ない」と、私だったら思ってしまいます。木村先生は、ベテラン教員であるAさんにどのような言葉を返したのでしょうか?
木村:周囲は、「その子は、
発達障害なんでしょ」と、決めたがる。
Aさんの娘であるママも、「発達障害の診断を受けた方が良いのかな?」と迷う。校長室に行って、「うちの子は、もしかしたら発達障害なんです」と言うほうが良いのか、言わないほうが良いのか、迷う。すごく、迷うと思います。
楢戸:わかります。
木村:私は、即答でした。「何も言わんとき。
一切相談せんとき」って。
「相談する相手が
信用できる相手か、わかってる? わからんやろ?」って。
子どもの味方だけが、学校にいる時代ではありません。「学校の先生は、すべての子どもたちを守ってくれるっていう時代じゃないやろ」って返しました。