コミックエッセイ:こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~
流産。誕生日ケーキを前に泣いた日【こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~ 第33話】
受精卵移植によって待望の妊娠。しかし間もなくして、初期流産とわかり…。不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんの体験談。
流産後に込み上げる、申し訳ないという気持ち
心拍確認の日、赤ちゃんは成長を止めていました。心拍は確認できず、初期の流産でした。
超音波の画面を見ながら、私も気付きました。ドクターは無言で何度も何度も角度を変えてみています。その度に、浮き彫りになるのは胎嚢のみ。
そういうこともあるのかも、と想像してはいたけれど。ぐりぐりと超音波の機械を押し付けられていたら、なんだか悲しくなってきてポロポロと涙がこぼれました。
診察室に戻り、ドクターの話を聞くときもボロボロ泣きました。
「原因はハッキリ言って分かりません。もともと染色体異常で自ら成長を止めたのかもしれないですね。」
8週目までの流産は自然淘汰、どうあがいてもどうしようもないってことは知っています。
でも、耳にガーゼをかぶせたみたい。ドクターや看護師さんの話が聞こえるけど、耳の上をなぞっていくだけで頭の中には入ってこない。けっこうショックなんだなぁ、私。
妊娠できたことで、うろたえていたくせに。でも、どっちも本当の私なのか…。
診察後、高校時代の友人たちと遊ぶ約束をしていたので向かいました。
私以外の既婚者はみんな子持ちです。治療を始めたころは、友達の赤ちゃんと会うのに少し憂鬱になったりしたときもありました。でも最近は、友達の赤ちゃんも妊娠も、知らない妊婦さんも、ほとんど気になりません。
気にしてもしょうがないことを学習したみたいです。人は人、私は私。大事な仲間なので、今までお互いに、どんなことでも話をしてきました。
だから、今回のことも言おうと思っていたけど、なかなかタイミングがつかめずにいました…。
と、いきなり、ケーキが登場。