僕と同等に稼いでみなよ! 『夫の扶養からぬけだしたい』が描く“追い込まれる妻”と“居場所のない夫”
■「つらさを知らないくせに…」背負いすぎて壊れていく夫と妻
心ない言葉でももこを追いつめ、
“モラハラ夫”として、その言動がネット上でも反響を集めたつとむ。
しかし本作は、ワンオペ育児に苦しむ専業主婦ももこの姿だけでなく、仕事のストレスで追い込まれ、居場所を失う、つとむの姿にもスポットライトを当てています。
業務過多による長時間労働、理不尽な上司、押し付けられる責任とプレッシャー、育児に無理解な職場環境。
夫もまた、仕事と家庭の狭間で悩み、ストレスのはけ口を見出せないまま、日々をやり過ごしているのです。
妻と夫、どちらも決してラクをしているわけでもないのに、大変さの種類があまりにも違うことで、夫婦2人の言い分はすれ違っていきます。
『夫の扶養からぬけだしたい』より
『夫の扶養からぬけだしたい』より
母親として、父親として
「自分が頑張らないと…」という責任感がいつしかプレッシャーに変わることで、
「なんで自分ばっかり…」という不公平感にさいなまれるようになる夫と妻。
社会的にまだまだ根強く残る男女の役割の違いを押し付けられ、夫婦それぞれが無理をしながらも責任を全うすることで、家庭内にしわ寄せが生まれているという事実は決して否めません。
ももことつとむも、苦しみを1人で抱え込み、相手の事情など想像すらできない状況にまで追い込まれることで、ますます溝が深まり、争いの渦にのみ込まれていくのです。