僕と同等に稼いでみなよ! 『夫の扶養からぬけだしたい』が描く“追い込まれる妻”と“居場所のない夫”

目次

・僕と同等に稼いでみなよ! 専業主婦を生きる「ももこ」の日常
・「つらさを知らないくせに…」背負いすぎて壊れていく夫と妻
・強くなりたかった…“ふよぬけ”で妻が手にしたかったもの
・本書が問いかける「結婚生活」と「生き方」の問題
・作者ゆむいさんからスペシャルメッセージ
僕と同等に稼いでみなよ! 『夫の扶養からぬけだしたい』が描く“追い込まれる妻”と“居場所のない夫”
結婚もしくは出産をきっかけに仕事を辞め、専業主婦としての道を選ぶ女性たち。

「仕事もしないで気楽でうらやましい」

「家事と育児だけで大変だなんて甘え」

彼女たちがいかにも“お気楽”な存在として誤った批判を受ける反面、専業主婦として生きる現実は決して生ぬるいものではありません。

なかでも、「夫婦間のパワーバランスの乱れ」や「家事・育児への非協力体制」といった家庭内の問題に苦悩する専業ママたちは、決して少なくないはず。

「仕事をしていない」という理由から、妻に家事・育児を押し付ける夫。

夫の収入で生活することに負い目を感じているからこそ、心から反論できない妻。

そんな専業主婦家庭が抱える苦悩と闇を生々しく描き、Twitterでも波紋を呼んだWEB漫画『夫の扶養からぬけだしたい』(KADOKAWA)が、ついに書籍化を果たしました。

本作は、ウーマンエキサイトでも連載を持つ人気コミックライターゆむいさん「ママの求人」で連載していた作品。

そのあまりの衝撃的な内容から、公開されるやいなや大きな反響を呼んだ話題作でもあります。


専業主婦からの脱却をテーマに、夫婦それぞれの苦悩や親になった後も抱える人生への葛藤、結婚生活における幸せの定義について、思わず誰もが考えさせられるような深い内容に仕上がっています。

■僕と同等に稼いでみなよ! 専業主婦を生きる「ももこ」の日常

主人公の「ももこ」は、会社員で転勤族の夫「つとむ」と2歳の息子「たると」と暮らす専業主婦。

かつては漫画家になる夢を追っていたものの、子どもが生まれたことで家事と育児との両立が厳しく、夢を諦めた過去があります。

現在は専業主婦として、家事、育児を一手に引き受けているものの、毎日のワンオペ育児で心身ともに疲労困憊。

夫のつとむに協力を求めるも、「家事は僕の仕事じゃない」と一蹴され、逆に「甘えている」、「努力不足」と責め立てられてばかりいます。

僕と同等に稼いでみなよ! 『夫の扶養からぬけだしたい』が描く“追い込まれる妻”と“居場所のない夫”

『夫の扶養からぬけだしたい』より



つとむにとって、家事・育児は専業主婦なら完璧にできて当たり前のもの、“昼間にたっぷりあるはずなのに、できない理由がわからない…”と疑いもなく信じているのです。

ももこが助けてほしいと心からお願いしたところで、「働いて家族の生活を支えていること」を盾に、全く耳を傾けようとはしません。

そして、「収入の有無」を争点にももこに対して容赦ない言葉を浴びせかけます。


僕と同等に稼いでみなよ! 『夫の扶養からぬけだしたい』が描く“追い込まれる妻”と“居場所のない夫”

『夫の扶養からぬけだしたい』より



「努力が足りない」

「社会人失格」

つとむにとって社会から離れ、専業主婦として生きるももこは、社会の厳しさを知らない、まるで世間知らずのような存在。

社会に出て働いていないという一点で、夫婦の間に上下関係を持ち込み、厳しい言葉で妻をねじ伏せようとします。


僕と同等に稼いでみなよ! 『夫の扶養からぬけだしたい』が描く“追い込まれる妻”と“居場所のない夫”

『夫の扶養からぬけだしたい』より



そして、ももこはといえば、夫の収入で暮らしていることに罪悪感を感じ、「働いていないこと」、「収入がないこと」へのコンプレックスをどんどん増幅させていくばかり…。

ある日、夫と距離を取りたい一心で、思い切ってアパートを探してみるも、無収入の専業主婦では自分名義の物件は借りられず、ただただ無力感にさいなまれるのでした。

“私の社会的信用は夫の上に成り立っている”

夫という存在がなければ、個人として社会から認められないという厳しい現実をつきつけられたももこは、自分自身の人生について自問します。

そして、再び自らの生き方を取り戻したいという強い気持ちを持つことで、専業主婦からの脱却を目指すのです。


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