皆さま、ごきげんいかがですか。
男の墓場プロダクションの劔樹人と申します。
普段はマンガを描いたり、バンドをやったり、ハロー!プロジェクトの応援をしたりしながら、家のことや育児を主に担当する主夫として生活しています。
今回は、妻が妊娠していた時のつわりのエピソードです。
■妻を襲った「食べつわり」
妻の妊娠初期のころというと、もう3年も前のことになるのか。ついこの前のような気もするが、遠い昔のことのような気もする。
もう暑さを感じる初夏だった。
妻はもちろん、それをサポートする自分もなかなか大変な時期であった。
これから生まれてくる愛すべき赤ちゃんのことを思って乗り切ったような記憶もある。
妻は、
「食べつわり」と呼ばれる類のつわりに悩まされていた。
妊婦は妊娠3~5ヶ月くらいに、つわりと言われる吐き気が起こることはよく知られている。しかしそれは個人差があり、症状もさまざまである。
もちろん、妻が妊娠して初めて知ったことだ。
大きく分類すると、とにかく吐いてしまう吐きつわり、唾液がいっぱい出るよだれつわり、匂いに敏感になってあらゆるものが臭くなる匂いつわりなどなど…
その中でもうちの妻は、何かを食べていないと気持ち悪くなる「食べつわり」というものだった。空腹になると気持ち悪くなるという。
かといって、ピラニアのようになんでも食べるようになるわけでもなく、食べられるものは限定される。匂いがきついものや胃にもたれるようなものは食べられない。
私は毎食、
何を食べたいか、というか何なら食べられるかを聞いて料理を作った。
それを考えることすらしんどいという妻は、イライラし、任せたいと言った。
かといって、人が食べたいものを他人がわかるわけもない。適当に作って大正解なんてほとんど無理である。
基本的にはお手上げの状況だった。
しかも食べられるものは日々変化していて、昨日食べられたものが今日はダメになる。妻が食べられるものも、私の料理のレパートリーもみるみる狭まっていった。
仕方ないので、適当に総菜を買ってきたり、何種類か作ったりして日々を乗り切っていた。一日に何度もスーパーに行かなければならない日もあった。
また、妻はテレビの仕事があったので、気持ち悪くならないようにいつもお菓子を持ち歩かなければならなかった。
もちろん、お菓子も普段の食事と同様、食べられるものを探求する日々だ。
その自信満々の言葉に、私が大量のキャラメルを買ってくると。
いっぱい買っとけというから、その通りにしたのであるが。
テーブルの上は、誰も食べない大量のお菓子であふれた。