『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナシップ学』渡辺大地著(KADOKAWA)
「子どもが生まれるまでは違ったのに…」
夫婦関係の分岐点を“子どもが生まれるまで”と捉える男女は少なくないはず。
母親として育児や家事に追われる毎日のなかで、気づけば
夫の存在が心のなかで不在になっていたり、逆に家族のためにと仕事に打ち込んでいるうちに、いつの間にか
夫として父親として家族から孤立していたり…
幸せになるための家庭という場が苦しみの原因を作ってしまうことさえあるのです。
ならば、子を産み、育てながら、家族として幸せに生きていくためにはどうしたらよいのか?
そんな難題に真正面から向き合ってくれるのが、男女のパートナーシップについて漫画でわかりやすく描いた
『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(KADOKAWA)です。
著者である渡辺大地さんの実体験を元に、2人の男女が出会い、結ばれ、家族となり、その後のさまざまな課題に直面しながら乗り越えていく姿は目からウロコのヒントにあふれています。
<著者 渡辺大地さん>
「株式会社アイナロハ」代表取締役。「産後サポート ままのわ」事業を運営し、受講者累計1万人以上を突破する父親学級の講師も務める。著書に『赤ちゃんがやってくる!~パパとママになるための準備カンペキBOOK~』、『産後が始まった!』(KADOKAWA)、 『産後百人一首』(自然食通信社)、 『お産とオッサン。-SANGO ON FIRE!-』、「産後手帳」シリーズ(アイナロハ)、『ワタナベダイチ式! 両親学級のつくり方』(医学書院)など。
■結婚前からこんなに違う男と女の頭の中
現在、一男二女の子どもをもうけ、家族5人で暮らす渡辺家。順風満帆に3人の親となり、家族円満の日々を過ごしてきた…というわけではなく、一人目出産後には育児に対する夫婦のすれ違いにより離婚危機を経験したという夫の大地と妻のコトミ。
そんな経験をふまえ、産後の問題はけっして「子育て」の問題だけでなく、「夫婦のあり方」が重要であると説き、産後を乗り越え、家族のつながりを深めるための「パートナーシップ」ついて書かれたのが本書です。
ストーリーは、さかのぼること大地とコトミのなれそめから始まります。
コトミからの逆ナンをきっかけに出会った2人は、その後交際に発展し、同棲期間を経て、結婚。
知り合いから恋人へ、そして夫婦になるまでの一連の流れを描いた第1章では、2人の男女がお互いの価値観や習慣の違いに初めてぶつかり、自分の「普通」とパートナーの「普通」の違いについて学んでいきます。
家計への考え方やもらってうれしいプレゼントの違い、帰宅時間を連絡する・しないなど些細なことで喧嘩が絶えない2人。
『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナシップ学』より
『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナシップ学』より
考え方の違いは、他人だからこそ当たり前。
しかし問題は、「帰宅時間を連絡する男はダサい」という思い込みにとらわれる大地が、ご飯を食べず大地の帰宅を待っているコトミの気持ちに気付かないことです。
結果的にコトミの言葉により、パートナーとの考えの違いを認識し、相手を尊重することを学んだ大地ですが、そもそも自分とは違う考えを受け入れたり、気持ちに気付いたりすることは容易なことではありません。
しかしお互いを理解し、気持ちを知るためのカギを握るのが、「パートナーとのコミュニケーション」なのです。
面倒であっても会話をきちんと交わすことが、パートナーに対して興味関心を示すことであり、課題解決には必要不可欠であることを本書はまず訴えます。
さらに結婚に対する価値観が異なる大地とコトミがそのハードルを乗り越えられたのもまた、話し合いにより「こうあるべき」の思い込みを取り除くことができたからでした。
『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナシップ学』より
『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナシップ学』より
大地が結婚への勝手な思い込みで自分をがんじがらめにして身動きがとれなくなった時、問題解決に導いてくれたのはコトミによる新しい価値観の提案でした。
パートナーとの違いを認め、受け入れるのはとても難しいことです。しかし自分にはない新しい考えによって時に救われたり、人生の選択肢を広げてくれたりするのも、また事実なのです。