がんばり過ぎるすべての人へ…優しく心に響く猫の人生相談で癒されよう
『ねこでよければ』① やまもとりえ著(ホーム社/集英社)
とあるきっかけで「話ききます」屋を始めた猫と相談に訪れる人々とのじんわり心に沁みるやりとりを描いた漫画
『ねこでよければ』①(ホーム社/集英社)
猫が街頭で出会った多くの人々の悩みを通して、さまざまな人間模様を垣間見る1話完結型のストーリーです。
誰もが心の奥に抱える闇や苦しみを否定することなく、あるがままに話しを聞いてくれる関西弁のおっちゃん猫の人生相談。心に響くパンチラインの連続に思わず涙がボロボロあふれ、読み終わった後は心すっきり前向きな気持ちになれる一冊です。
■やまもとりえさん
インスタグラムのフォロワー18万の大人気のコミック作家。著書『Aさんの場合。』『Aさんの恋路。』(いずれも祥伝社)『本当の頑張らない育児』『30歳女子、ネコを飼いはじめました。』(いずれも集英社)など発売中。
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@yamamotorie
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@rinpotage
●ブログ:
ヒヨくん あっくん育児日記
■視点を変えたら世界も変わる。他人との比較からの解放
人生とは、ときにしょっぱく、“理想と現実”のギャップに思い悩まされることもしばしば。自分よりも恵まれた境遇の誰かを羨んだり、なりたい自分になれない自分に失望したり、ないものねだりに苦しんだりすることも、人生にはある程度つきものなのかもしれません。
本書に登場する美大生の女の子もまた経済的に余裕のない家庭に生まれた自分とお金持ちで才能にも恵まれた同級生とを比較し、人生のままならなさを感じるようになります。
『ねこでよければ』① やまもとりえ著(ホーム社/集英社)
恵まれていない自分は“世の中の選ばれし人間ではない”と夢を諦めようとする女の子に、猫はその同級生と「友達になること」を提案します。
そして実際友達になってみると、何でも持っているはずと思っていた彼女もまた自分のなかの足りないピースに苦しんでいることを知るのです。
『ねこでよければ』① やまもとりえ著(ホーム社/集英社)
ないものねだりをしているうちは、自分がすでに持っているモノの価値に気付いていないもの。
他人の表層的なものばかりに目を向け、羨むだけで、物事の本質をちゃんと見れていないときでもあります。
しかし人は誰しも、一見評価されにくくてもそれぞれ光り輝くものを持って生きているもの。同時に、自分が羨む相手でさえも痛みや悲しみを心のどこかで抱えながら生きている面もあります。それくらい他人の本質とは見えにくく、かつ比較することで人生の優劣は本来つけられないはずなのです。
他人にはその人自身が持つ価値があるように、自分にも他人が持ち得ない価値がある。そしてそれは誰にも奪えない“あなただけのもの”。
そんなメッセージとともに、相談者の女の子も同級生の見えていなかった苦しみを知ることで、独りよがりな言い訳を捨て、夢と向き合う決意をきめる姿が清々しく描かれています。