コミックエッセイ:両手に男児

数年越しの謝罪で知った、優等生の苦悩【両手に男児 Vol.39】


歌の本とってごめんなさい
中学の卒業式の日に謝ろうと思っていた本当にごめんなさい
うんとだけ返事したキミちゃんは頭を下げた
時々思い出す
成人式が終わった後、キミちゃんから声をかけてきました。

そしてまさかのあの事件のことを謝ってきたのです。

ビックリしすぎて私まで震えました。

卒業式の日に来たのはそのためでもあったのかと知りさらに驚きました。

「大丈夫だよ」「もういいよ」かける声は沢山あったはずなのに、あまりに驚き過ぎて振り絞って出た言葉は

「うん」

強張った笑顔で「うん」と言うのが精一杯でした。深々と頭を下げてキミちゃんは去って行きました。

時が流れ、私も子どもを産み、その子が今年小学一年生になりました。今でもあの時、どうしたら良かったのか考えます。

もし我が子が同じ経験をしたら…?

もし、キミちゃんがしたのと同じような行動をしてしまったら?

そんな時どうしたらよいのでしょう。

キミちゃんのようにしっかりした子でも、強すぎるプレッシャーで押しつぶされれば、歪んでしまうことがある。子育てをしながら時々思い出します。

もし子どもが間違ったことをしてしまったときは、子どもを追いつめる何かが背景にあったのでないか、まずは探ろうと思うのです。

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