連載記事:つぶさない子育て

不登校の子どもを支えられない親たち…現代社会が抱える問題とは【つぶさない子育て Vol.2】


■居場所を見つけられない子どもに届く言葉とは

不登校の子どもを支えられない親たち…現代社会が抱える問題とは【つぶさない子育て Vol.2】

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――居場所に辿り着けてないご家庭は、どうしたらいいでしょうか?

「子どもを癒やすのは何か?」という話です。それは、「大丈夫。あなたは、私の子どもなんだから、絶対に大丈夫」という親の言葉です。この言葉が、効きます。私は本当に、たくさんのいろいろなタイプの親子を見てきました。だからこそ、言えるのです。「あなたは、大丈夫。母さんの子どもだから、大丈夫」という言葉が、もっとも子どもの心に響くのです。

子どもは親から「大丈夫!」と言われたいし、その言葉を信じたいのです。毎日、家庭でしっかりと愛情を与えていれば、少々、外でつらいこと、嫌なことがあっても耐えることができます。

前話の話にも通じますが、多少の試練は、心の免疫をつけるために必要です。親元にいる時に、心の免疫をつけてあげる、と考えてみてはどうでしょうか?

■子どもが不登校になったとき母親がしてはいけないこと

――お母さん自身が、子どもに対して「あなたは、大丈夫」と言い切れるエネルギーがない場合もあると思うのです。その時は、どうすれば良いですか?

そんな時は、お母さんが孤立しているのです。「孤立した母」というのは、現代の社会が抱える問題です。この問題の解決策として言えることは、「繋がりを持ちましょう」ということです。
不登校の子どもを支えられない親たち…現代社会が抱える問題とは【つぶさない子育て Vol.2】

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子育てとまったく関係のない、趣味のサークルに入るのでもいいし、パートに出るのでもいいし、大学時代の友達に会うのでもいい…。繋がりをいくつか作ったなかで、誰か一人でいいから、心を開いて話ができる人、居場所を、お母さん自身が確保するのがもっとも大事です。

お母さん自身も、正解が欲しいわけではないでしょう? 「うん、うん、そうだよね」と話を聞いてもらって、安心したいのです。

――お母さん自身の居場所を、まずは確保するのですね
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そうです。昔は、隣近所にそういう人がいたかもしれません。けれども、今は「自分で意識して、居場所を確保しないとならない時代なんだ」と、お母さんがしっかりと踏まえておくことが大切です。

子どもが不登校の時、「私がちゃんとしなければ!」と、一人で抱え込んでしまう人がいます。大切なのは、一人で頑張ることではありません。人と繋がり、自分自身の居場所をまずは見つけて欲しいです。

――キーワードは「繋がり」ですね

はい。居場所は、専門的な相談場所でもいいし、気のおけない友だちとカフェで喋るといった時間(心の置き場)でもいいのです。とにかく、誰かと繋がって、孤立をしないようにする

子どもは、そんな母を見て、安心するのです。「お母さん、楽しそう!」と思うと、子どもも、なんとかなりそうな気がしてくるものですよ。

――子どもが、「なんとかなりそうな気がしてくる」って大事ですね

私の経験から言わせてもらえば、14歳までに自己肯定感に穴ぼこができなければ、大体のことは大丈夫です。14歳は、昔の元服です。人が育つ本質は、そう変わらないのです。

不登校で多少、勉強が遅れていたとしても、自己肯定感さえあって、「やっぱり俺、ちゃんとやるわ!」と本人が言い出せば、大丈夫です。

――高濱先生に「大丈夫」と言っていただけると、何だか安心します。

「あの問題児が!?」と、いい意味で裏切られる子とたくさん出会ってきました。別人になりますからね(笑)。嘆き悩んでいたお母さん方が、「本当に『大丈夫』でした」とおっしゃる例も、たくさん見てきました。大学に入るのが1~2年遅れたとしても、そんなのたいした話ではありません。
■高濱先生は三浪四留!?
高濱先生は、東京大学に入るまでに三浪していて、大学に入ってからは四回留年しています。二浪した人からは、「自分が、『人生、回り道した』などと言っていて、お恥ずかしい限りです。すいませんでした」と、謝られるとか…。

高濱先生のお話を聞いていると、自分の悩みが小さく感じられます……。
次回は、編集部に寄せられたお悩み、「わが子が他の子をいじめていた。その時、母親がすべきことは?」について、高濱先生にお話しして頂きます。

■今回お話を伺った高濱 正伸先生の著書
『どんな時代でも幸せをつかめる大人にする つぶさない子育て』

不登校の子どもを支えられない親たち…現代社会が抱える問題とは【つぶさない子育て Vol.2】
高濱 正伸 (著)/ PHP研究所(1,540円(税込))
子どもの人生の選択肢を増やしてあげたい。あの時、子どもに「あれをやらせておけばよかった」と後悔したくない。そんな深い親の愛が時に暴走してしまうことがある…。
「どうしてできない!?」と子どもを責めたり、「そんな点数じゃ、○○中学なんて入れないぞ!」と脅してしまったり…。それで、子どもがつぶれては本末転倒です。
そんなお母さん、お父さんたちに意識して欲しいのが「伸ばすよりも、つぶさない子育て」。子どもとの適切な距離感がわかり、子育て不安が軽くなる1冊です。
高濱 正伸(たかはま まさのぶ)先生
1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒。
花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。
武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)特任教授。
不登校の子どもを支えられない親たち…現代社会が抱える問題とは【つぶさない子育て Vol.2】

花まる学習会 高濱正伸さん


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