連載記事:細川珠生のここなら分かる政治のコト

全国初!中高生世代1人当たり月1万5,000円の手当支給を始める千代田区区長にインタビュー【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.24】

細川珠生のここなら分かる政治のコト

細川珠生のここなら分かる政治のコト

政治ジャーナリストの細川珠生氏がおくる、「細川珠生のここなら分かる政治のコト」。ママになって子どもの将来を願うと政治のことをちゃんと知っておきたいけど、子育てに仕事に忙しい…。そんなママに向けて、気…


東京のど真ん中、千代田区は、昼間人口が夜間人口の17倍。大企業の本社や官庁、皇居など、国の重要施設もたくさんあるエリアですが、その分、子育てには特有の課題や問題もあるのでは?都心の子育てならではの、工夫や手厚さが特徴でもある千代田区の子育て支援について、樋口高顕区長にお聞きしました。

全国初!中高生世代1人当たり月1万5,000円の手当支給を始める千代田区区長にインタビュー【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.24】お話を聞いたのは…
千代田区 樋口高顕区長

1982年生まれ。家族は妻と娘。巣鴨学園高、京都大学法学部卒。IT企業、都議会議員を経て、2021年より現職、23区最年少区長。現場主義を旨とし、年に一度、清掃車でごみ収集作業に従事。コロナ禍の飲食店を応援するため、神田カレースタンプラリー全124店を食べ歩いた。
>>千代田区・樋口高顕公式ページ



―東京のど真ん中である千代田区の子育て支援の基本的なお考え方はどのようなものですか。
樋口区長:0歳から18歳までを視野においた施策を展開しようと、平成19(2007)年に子育て支援部門と教育部門を統合した「子ども部」を新たに設けました。以来、全国に先駆けて保育園と幼稚園を一元化したこども園を開設したり、18歳までの子どもの医療費を無償化するなど、部門を越えて課題解決に取り組んできたのが千代田区なんです。

―0歳から18歳までは、かなりのロングスパンですね。
樋口区長:はい、その狙いは子どもあるいはご家庭の視点に立って、成長に寄り添った支援を継続的かつシームレスに行っていくことにあります。「子ども部」という一つの部署で、福祉と教育の全体を視野におきながら、子どもと保護者それぞれに関わる支援に取り組んでいます。例えば、療育の分野は母子保健とも関連が深いので、保健所の5歳児健診では、「児童・家庭支援センター」の専門スタッフが運動の様子を観察し、希望者には面談を行います。今後は、さらに母子保健と児童福祉の連携を進めるため、令和8年に「子ども家庭センター」を開設しようと準備を進めているところです。

―その効果か、千代田区は15歳未満の年少人口比率と、生産年齢人口比率が東京都を上回っています(2020年)。今後必要な子育て支援策はどのようなものをお考えですか。
樋口区長:ご指摘の通り、近年千代田区は子どもが増え、年少人口比率なども高まってきたのですが、実は出生数は既にピークアウトしているんですね。国や都も少子化対策を強化していますが、当区でも「子育て・教育環境の整備と充実」「経済的支援」「身体的・精神的支援」の3つの柱で、総合的な子ども・子育て支援施策を全庁を挙げて取り組んでいます。経済的な負担が理由で、理想の人数の子どもを持てないご家庭があることも認識しているので、今年度はさらに踏み込んで、妊娠前から学齢期終了時までをカバーする、総合的な経済的支援を行うことにしました。
全国初!中高生世代1人当たり月1万5,000円の手当支給を始める千代田区区長にインタビュー【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.24】
―例えば、どのようなことですか?
樋口区長:新たに、不妊治療や卵子凍結、出産などの費用助成、大学生の給付型奨学金など、幅広い経済支援を展開します。因みに、令和5年度から実施している区内の保育施設で活用いただける「おむつのサブスク」事業なども好評でした。

―おむつのサブスクですか?
樋口区長:おむつ、エプロン、手口拭き、お尻拭き、ビニール袋を支給しています。何より一々おむつに名前を書いて園に持っていかなくても済みますから。

―それは面白い施策ですし、お母さん、助かりますね。
樋口区長:そうですね。他にも今年は、全国初で「中高生世代1人当たり月15,000円の手当支給」を始めます。全国調査によると、小学生と中高生とでは、学用品や塾代など含めた学務にかかるお金が、年額で数十万円違うんです。

―子どもって、大きくなるほど、お金がかかるんです。食べる量も増えるので食費もかかるし、着る物や靴も単価が高くなるのに、どんどん買い替えが必要だし。
樋口区長:交通費も大人料金になりますよね。千代田区は、中高生の支援を所得制限なしでやります。

―所得制限なしとは、素晴らしいです。子どもは、基本平等ですから。
樋口区長:調べてみたのですが、「2人目の壁」の理由として、約8割の方が、経済的な要因を挙げておられました。都心部は生活コストも高いわけですから、先ず経済的負担を減らしていくこと、そしてやはり、働く女性の心理的負担も減らさないといけません。「千代田区なら理想の人数の子どもを産み、育てられる」と、子ども・子育てに夢や希望を感じられる施策を加速していきます。

―「千代田子どもカルテシステム」というのは、どういうものですか。
樋口区長:これも全国初の取り組みですね。これまで、「子どもたちの成長や発達に関する情報」は保健所や保育園・幼稚園、小中学校などでそれぞれ管理してきたのですが、各支援シートが分散していたため、過去に実施した支援を迅速に共有したり、総合的に把握することが難しく、引継ぎに時間がかかったり、最適な支援策が見い出しづらいといった課題がありました。そこで今後は、子どもたちの基本情報はもとより、発達検査の結果や学校での支援の方法なども含めて、福祉や療育を中心とした関連情報を一括で管理し、より迅速で最適な支援につなげるシステムを構築しようと。お父さんお母さんたちも、それを逐次確かめながら新たな先生につくような時あるいは新たな教育機関に進むような時にも、統合されたシートを活用していただけると考えています。また、同じ内容を何度も書くなどシート記入に係る保護者の負担も軽減できます。先ずは、発達に課題のあるお子さんから始めていきます。
全国初!中高生世代1人当たり月1万5,000円の手当支給を始める千代田区区長にインタビュー【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.24】
―千代田区は都心の中の都心で、遊び場確保も大変だと思いますが、色々工夫もされていますね。
樋口区長:はい、例えば、最近の夏は災害級ともいえる酷暑ですから、夏休みの平日は「エアコン付きの体育館」の解放をしています。あと夏休みの公園では、「フラクタルテント」を設置したり、「手持ち花火」も日にちを決めて解禁しています。

―手持ち花火ですか。
樋口区長:子どもたちにとって楽しい夏休みですから。旅行先や祖父母の家にいって花火をするという話も聞くのですが、やはり園や学校のお友だちとしたいというニーズが子どもたちにはあるんですよね。2年前に試行しましたら、これが大盛況でした。都会ですから音が出るものや打ち上げは禁止にしましたが、皆さん、きちんとルールやマナーを守っていただき、ゴミも持ち帰ってくれました。嬉しかったです。これなら続けられると確信しました。公園って、不特定多数の人が使うが故に、あれもダメ、これもダメにしてしまうと、実は結局みんなが楽しめなくなってしまうんです。ボール遊びでしたら例えば時間を分けるなど、地域の皆さんと共に、公園というコモンスペースを使うに当たっての規範意識を醸成できれば、公園の可能性はもっと広がると思います。

―今年の夏も、手持ち花火、解禁ですか。
樋口区長:はい、皆さんと育んできたルール・マナーが根付いてきましたから。今年もお友達やご家族と楽しんでほしいですね。さらに都心の遊び場確保として、「スケートボード」、「ボルダリング」ができる公園なども、先駆的に整備していく予定です。この街で生まれ、育つ子どもたちに、「千代田区は私たちのふるさとだ」と思ってもらえるように頑張ります。

取材・文/政治ジャーナリスト 細川珠生

全国初!中高生世代1人当たり月1万5,000円の手当支給を始める千代田区区長にインタビュー【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.24】政治ジャーナリスト 細川珠生

聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。




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