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5ステップでお悩み解消! 子どものおでかけマナー

あんふぁん
年長さんは4月から小学生。子どもだけで外に出かける機会が増えてきます。親の目の届かない場所でも、マナーを守れるようになってほしいですね。
あんふぁん読者へのアンケートで「子どものマナーで困っていること」を聞いたところ、特に多かったのが、下の6つ。皆さん、「いくら言っても直らない」と悩み、「よその子どもでも気になる」と回答しました。子どもがマナーを守れるようになるには、どうやって教えるといいのか、臨床心理士の高木紀子さんに聞きました。

5ステップでお悩み解消! 子どものおでかけマナー

お話を聞いたのは:高木紀子さん
臨床心理士、清泉女子大学講師。保育園での育児相談をはじめ、小中学校でのスクールカウンセラーなど、親・子ども両方の声を聞き、相談を受けている。
2男1女の母。

子どもにマナーを教えるのは何のため?
マナーはみんなが気持ちよく生活するためのものです。家ではよくても外ではダメなど、マナーにより子どもは〝社会の目〞を意識することになります。
もう一つ、子どもにとってマナーを知る大きな意義として、「自信をもって物事を選んだり、判断したりする力の土台が育つ」ということがあります。
例えば、「公共の場で静かにするのはいいこと、騒ぐのはいけないこと」など、子どもはマナーを通して、善悪の価値基準を獲得していきます。それは自ら考え、判断や決断をする際の視点や根拠となるものです。
小学生になると、自分で考えて行動する場面が増えてきます。子どもが自信をもって学校生活を送るためにも、今からマナーを教えていきたいですね。


スマホを見て静かにしている子はマナーのいい子?
レストランや電車の中など、子どもを静かにさせておきたいときに、スマホを子どもに渡しっ放しにしているママを見掛けます。「マナーを教える」という点から言うと、子どもがいくら静かにしていても、マナーを教えていることにはなりませんし、当然マナーも身に付きません。
極端な例ですが、すごく怖い態度で子どもに接して、静かにさせるという方法がありますよね。恐怖で子どもを支配する方法です。スマホを渡すだけで静かにさせるのは、それと同じ原理だと私は思います。恐怖による支配だと、怖い人がいなくなれば、子どもは騒ぎます。スマホで静かにさせているのはそれと同じことで、スマホがなければ静かにしていられません。絵本やおもちゃとスマホの違いは?
「絵本やおもちゃを子どもに与えるのと、何が違うの?」と疑問を感じたママもいるでしょう。
絵本やおもちゃは何かしら親が子どもに働き掛ける道具です。絵本を見ながら「クマさんいたね」など、子どもが夢中になるように、親が自然に話し掛けてしまう道具なんですね。
でもスマホは子どもに与えたら、もう親は要りません。だから親は子どもの様子を見ないし、声も掛けません。道具に子どもが気を取られるので、その場をしのげるという原理は絵本もスマホも一緒ですが、親子の関わり方が全く違うのです。逆に言えば、絵本であっても子どもに渡すだけで親が何の働き掛けもしなければ、マナーを教えることになりません。

スマホを使うなら子どもが達成感をもてるように!
マナーを身に付けるためには、「走りたいけど我慢する」というように、欲求をコントロールする力が必要です。それには子どもが「我慢できた」と思える経験の積み重ねが欠かせません。

スマホを使うしか手がないなら、渡しておしまいにするのではなく、画面を子どもと一緒に見て会話をすること、「静かにできてるね」と言葉を掛けることを忘れずに。

ママが困っている子どものNGマナー
お子さんと一緒に絵を見て、どの子がいけないことをしているか、なぜいけないのかを話し合ってみましょう。
※2016年11月30日~2017年1月10日、Webアンケート、有効回答数1102

店内を走る・人にぶつかる
●広いお店に行くと楽しくなるようで、走り回ったり大声を出したり。注意すると大声で泣かれ、周囲から「怖いお母さんね」という目で見られる。[大阪府・年少ママ]
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商品をむやみに触る
●スーパーでよその子が、品物をラップの上から指でムニュムニュ。見てしまったら、それは買う気がしません。[神奈川県・年中ママ]
●回転寿司で子どもに取らせるのはいいけど、触ったものを戻させるのはよくないです。[福島県・年長ママ]
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静かにする場所なのに大きな声で話す
●活発で元気な娘は、病院や図書館など静かにしてほしい場所でも大きな声で話します。
「しーっ」と注意する回数を減らしたいです。[北海道・年長ママ]
思ったことをすぐ口にする
●知人に道で会い、あいさつを交わした別れ際に「あのおじさん、歯が黄色かったよ」と子どもが一言。声が聞こえたのではとハラハラしました。[愛知県・年少ママ]
●電車内で「座りたい」「疲れた」と大きな声で言います。近くの人が席を譲ってくれると申し訳ない気持ちに。[福岡県・年中ママ]
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飲食店で自分が食べ終わると騒ぐ
●個室の座敷から子どもが5人くらい出てきて、通路を走り回ったり、空いている個室でジャンプしたり。親は何を考えてるんだろう…。[埼玉県・年長ママ]
よその家の冷蔵庫を勝手に開ける
●家に遊びにきた子が、おなかがすくと勝手にうちの冷蔵庫を開けて食べ物を探すのに困っています。
[千葉県・年長&小学生ママ]

子どもの心に届くマナーの教え方
大人でも新しいことを身に付けるのは簡単ではありません。子どもはなおさらです。
高木さんに子どもが理解しやすいマナーの教え方を聞きました。

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【STEP1】クイズ形式で質問しながら教える
親が「お店の中で走っちゃダメだよ。分かった?」と説明すると、子どもは「分かった」と答えますが、実は理解できていないことが多いもの。クイズのように質問すると、子どもは考えて答えるので記憶に残りやすくなります。これは園の先生がよくやっている方法です。
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【STEP2】「できる」と言わせる
子どもに「できる」と答えさせることで「自分がやるんだ」という当事者意識をもたせます。
ここがとても大切。もし、「できない」と言ったら、「どうすればできるかな?」と子どもと一緒に考えたり、「これならできるかな?」とハードルを下げたりしてみて。約束は一度に2つまで。

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【STEP3】マナーを思い出させる
家を出るときと、店に入る直前や電車に乗る直前などマナーを実践する前の合計2回、思い出させてあげましょう。このときのママの口調は、厳しく問いただすような口調ではなく、明るく楽しく。これからワクワクすることを始めるような感じにすることが大切です。

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【STEP4】小まめに“手入れ”をする
子どもが成功できるように言葉を掛けていくことを、私は“手入れ”と呼んでいます。1回目の手入れは店に入ったらすぐに。子どもはまだ何もしていませんが、「もうできてる!」と言っていい気分にさせます。そうやってノセながら、維持できる時間を長くしていきましょう。

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【STEP5】褒めて達成感をもたせる
最後までマナーを守れたときはもちろん、途中で崩れてしまっても、それまでできたことを褒めましょう。まず、その場で褒め、家に帰ってからパパに報告しながら褒め、翌日に「昨日は偉かったね」と褒めると、達成感がより高まって、頑張った行動が強化されます。

ケース別「こんなときママはどうすればいい?」
■約束したマナーを守れなかったとき
【NG】叱ったり、否定したりする

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例えば、レストランに行って子どもが先に食べ終わり、騒ぎ始めた場合。「約束したのに、どうして守れないの!」「もう二度と連れてこないからね!」と言いたくなりますが、その気持ちはぐっと抑えましょう。叱りモードでの対応は、マナーを身に付けるにはマイナス。子どもから「でもー」とか、「いいんだよ、騒いだって」という反応を引き出し、せっかく途中まで頑張ったことがゼロになり、次はまた一から始めることになります。
もしドリンクバーなどがあれば一緒に行き、少し息抜きをさせるのも手ですが、この年頃は変化のない状態が10分続くと飽きます。子どもが食べ終わっているのに、大人がいつまでも食べたり、おしゃべりしたりするのは、今は無理と心得ましょう。

■子どもの失礼発言が相手に聞こえたとき
【OK】子どもに聞こえるように親が謝る

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「あの人ハゲてるね」など、失礼な発言が相手に聞こえてしまった場合。ママとしては会釈でおわびをして済ませたいところですが、できれば子どもに聞こえるように「失礼しました」と謝り、「あなたが言ったことは、親が謝るほどのことなんだ」と子どもに伝えたいですね。
この失敗はマナーを教えるいいチャンスです。家に帰ったら、ぜひ子どもと話をしましょう。「◯◯ちゃんが変な顔って言われたらどんな気持ちがする?」「太ってるとか体のことを言うのは、いいことかな?」「すごく言いたいことがあったら、心に閉まっておいて、後でお話しするんだよ。言っちゃいけないことを(胸に手を当て)ここに閉まえる箱のある人が、お兄さん・お姉さんなんだよ」などと教えてください。

■子どもが電車でぐずり、席を譲られたとき
【OK】お礼を言って子どもには頑張らせる

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「電車の中では立っていようね」と約束していても、子どもがぐずりだすと、席を譲られる場合もありますね。子どもに約束は守らせたいけど、せっかくの厚意を断るのも心苦しい。難しい場面ですね。
私だったら、「ありがとうございます。今日は『疲れたって言わない。座らない』って約束してきたので、練習させようと思います。あなたからもお礼を言いなさい」と言って頑張らせたいです。
ただし、「この距離を立ちっ放しでいるのは無理」など親の〝見積もり〞は必要です。子どもが我慢できるのは10分程度。「頑張ってるね!」など小まめな〝手入れ〞や、小さな絵本やおもちゃを用意するなど親側の工夫も忘れずに!

巻頭特集監修/西東桂子さん(あんふぁんサポーター)illustrationKAWAZOE Mutsumi

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