2017年8月21日 14:00
【第2回】発達障害と思春期。“成功体験”がつまづきの原因になる?娘の胸に秘められた葛藤
順調にスタートしたように見えた高校生活
Upload By 荒木まち子
娘・のりには発達障害(広汎性発達障害、自閉症スペクトラム、ADD、LD)があります。
特に「初めての事」に対して大きな不安を感じやすく、見通しがたたない状況がとても苦手です。高校入学直後の定期テストや学校行事、学内でのグループ班長としての活動の前などには、不安で体調を崩すこともありました。
しかし、辛い思いをしても自分の課題に向き合い、それを一つ一つクリアしていったのです。高校生活に慣れた頃ののりは、今までの学校生活で一番自信に満ちているようにみえました。
のりは始業前、放課後と美術部の活動に参加し、今まで以上に趣味の絵画などの"ひとりで創り出す世界"にのめり込んでいきました。
また部活動以外でも創作活動に精を出し着実に成功体験を積んでいるようでした。
しかしこの成功体験の積み重ねが、後に思いがけない変化をもたらすとは…。母には想像できませんでした。
家で常にイライラする娘
高校1年生の冬頃になって、のりは徐々にイライラすることが増え、ちょっとしたきっかけで、無言で「キレる」ようになりました。
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その様子は、障害に対する周囲の理解が得られていなかったり、いじめられたりしていた小学校時代のイライラとは全く違う種類のものでした。
私の理解を超えたところでの、複雑な怒りをぶつけているように感じられたのです。のりの気持ちがわかるようでわからず、母ももやもやとしたストレスを感じていました。
学校の授業などではキレてない…らしい。
来る日も来る日も、ささいなことでキレるのり。
学校の先生にものりの家庭での様子を伝え、解決方法を探ろうとしましたが、「学校ではキレる様子は見られない」とあっさり返されました。
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成功体験があったからこそ、娘は苦しんでいた!
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どうやらのりは、「理想の自分」と「特性上どんなに努力してもできないことがある自分」とのギャップに悩んでいるようでした。
成功体験を積んだのりは自分に対するハードルを上げて苦しみ、「失敗すること」「失敗を認めること」を極度に恐れていたのです。
また「嫌だ」という事が素直に言えず、学校では"優等生"を演じている自分自身に対しても嫌悪感が勝っていたようにも見えました。