【監督インタビュー】「撮りたかったのは、支えあう人々の物語」 ダウン症の娘と年老いた父親の家族の形を描く『わたしはダフネ』7月公開。撮影現場でのエピソードも
母親を失い、イキイキとしていたダフネの生活に変化が訪れる

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ダウン症がある30代の女性と、その家族の姿を描いたイタリア映画「わたしはダフネ」。
信頼する母親が突然亡くなり、茫然自失とする父親と二人きりになったところから物語が描かれます。自分をしっかりと持ち、毎日の暮らしの中に喜びと誇りを見出すダウン症のダフネと、お酒ばかり飲みお店をなかなかあけることができないでいる年老いた父。
障害がある子どもを親が一身に支えるのではない、互いを信じあえるようになったとき、一方通行ではなく支えあう家族の形が生まれていくさまが描かれた作品です。
フェデリコ・ボンディ監督へ発達ナビ編集長がインタビュー
今回、この映画の監督である、フェデリコ・ボンディさんに、LITALICO発達ナビ編集長・牟田がインタビューを行いました。
このコラムでは、そのインタビューの様子をご紹介します。
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編集部 牟田(以下、――):映画を描くきっかけになったのは、バス停でバスを待つ親子の姿を見かけたことだったそうですね。
フェデリコ・ボンディ監督(以下、監督):ええ、偶然目にした光景がこの映画を作るきっかけとなりました。渋滞中に、車の窓から外を見ると、バス停で年をとった父親と、背の低い30代くらいのダウン症のある女性が、手を握り合っていたのです。父親は目がうつろでした。そのとき私がまず思ったのは「母親はどこに?」ということ、そして「どちらがどちらをささえているのだろう?」ということでした。手を握り合っていたことがとても印象的で、「握り合う手のような映画を撮りたい」と思ったのです。
――:お互いを支え合うということをテーマにした映画を作りたいと思ったということでしょうか。
監督:支え合う人々の物語を撮りたいと思ったのです。
でもこれは、私にとっては未知の分野でした。そこで、住まいのあるフィレンツェの協会を尋ね、そこに所属している(ダウン症がある人の)保護者と対話を重ねました。一人では脚本を書くことすら難しかったと思っています。そして、いろんなご家庭を訪問する中で、保護者の皆さんとの話しは、どんな心理学者と話すことよりも豊かだと感じました。
――:ダウン症のある女性とその父親が手を握り合っていた。一般的には、父親のほうが障害のあるわが子を支えると考えがちだと思いますが、そのようにさまざまなご家庭を訪ねて気づいたことはあったのでしょうか?
監督:ダウン症がある人とそのご家族と話をするようになってすぐに分かったのは「ダウン症の有無にかかわらず、誰一人同じではない」