子育て情報『発達特性がある大学生、支援に必要な「連携」をどうつくる?――中央大学教授・山科先生インタビュー』

2022年6月22日 14:15

発達特性がある大学生、支援に必要な「連携」をどうつくる?――中央大学教授・山科先生インタビュー


発達障害に携わることは、自分の価値観を問われること

中央大学では、2007年から一部の教員が「軽度発達障害の縦断的研究」を開始。これを引き継ぐ形で2016年から「発達障害者傾向を有する大学についての縦断的研究」を行い、このたび『キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開(中央大学人文科研究所研究叢書)』に活動の記録をまとめました。

今回は、同研究チームの主査を務めた山科満教授に、学生支援の根底にある想いや具体的な支援事例、支援者の方へのメッセージを伺いました。

発達ナビ編集部(以下、――):山科先生の「支援における思想」について教えてください。

山科先生:「発達障害」とは何であるのかということに尽きます。これは、私が大学生や社会人になって初めて発達障害と診断されるような人たちと関わってきたことから出てきた問いであって、発達障害という言葉が関与する全ての事象に当てはまるものではないと思うのですが。

――特に精神科医時代のご経験が大きいのでしょうか。

山科先生:そのように思います。統合失調症の治療をやっている中で、1990年代後半頃から、統合失調症に見えるが実は高機能自閉症、という事例に出合うことが何度かあり、学会報告をしていました。しかし当時はあくまで統合失調症の治療という視点から、「似て非なるもの」を鑑別する、という発想に止まり、発達障害に関心をシフトすることはありませんでした。

よりインパクトがあったのは、精神科医の衣笠隆幸生が2004年に「重ね着症候群」として、パーソナリティ障害のベースに軽度の発達障害がある1群の報告をしたことです。精神療法に関心を寄せ実践もしていた身として、思い当たる事例がたくさんあったのです。さらに、2008年以降、精神科医の中安信夫先生が初期統合失調症と誤診していた発達障害の事例について報告するようになりました。これにも私は衝撃を受けました。

――インパクトがあったとは、具体的にどういうことでしょうか。

山科先生:自分がこれまで出会った患者さんを思い返してみると、発達障害的な特徴を有する人について、それなりに思い当たったのです。しかし、当時は発達障害の診断はなされていませんでした。それらの人たちの診断は正しかったのだろうか、患者さん達のことを私はちゃんと理解できていたのだろうか、と不安になりました。考えを進めていくにつれ、発達障害をほかの診断基準と同じ水準の診断概念として扱って良いのか、徐々に疑問に思い始めました。

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