2023年2月13日 06:15
自閉症娘の感じてる世界って?オンライン疑似体験で感じた知識とは違う「リアル」。もっと早く受ければよかったと後悔も
娘との会話から
娘が中学生のときのことです。
私「バス通り沿いのお菓子屋さん、違うお店になってたね」
娘「どこ?」
私「○○バス停の近くのお店。ほら、△△交差点の…」
娘「…分からない」
私「えっ、しょっちゅうバスで通ってるのに⁉」
バスの中で娘が携帯電話に夢中になっていて外を見ていないせいかな?とも思いましたが、そこは娘が携帯電話を持つ前からよく使っていた道です。
娘は小学生のときにSSTとビジョントレーニングを受けていた時期がありました。私は当時、特別支援教育士の先生から「娘さんの視界はペットボトルの穴から覗いたような感じなんですよ」と言われたことを思い出しました。
娘がバスから見える景色を覚えていないのは、そのせいなのかな?
自閉スペクトラム症のある娘が見える世界、感じる世界ってどんなものなんだろう?
私はずっとそんな疑問を抱いていました。
8年後にチャンス到来
2022年の夏、私は「新宿区手をつなぐ親の会疑似体験キャラバン隊『Winds』」によるオンライン(リモート)による知的・発達障害の疑似体験に参加をしました。
必要なものはA4の紙2枚とペン一本だけ。
過去に疑似体験で『参加者が軍手をつけた状態で折り紙を折ったり、シールを貼ったりする』という光景を見た記憶があった私は、果たしてリモートではどんな体験ができるのかとワクワクしながらプログラムの開始を待ちました。
Upload By 荒木まち子
その内容は
プログラムのなかにはいくつかの体験が用意されているのですが、度肝を抜かれたのは冒頭に流れた“自閉スペクトラム症のある子どもが見ている世界を再現した動画”でした。(イギリスの自閉症協会(The National Autistic Society)が作製したものでYouTubeでも公開されています。)
主催者から、視聴して気分が悪くなってしまう場合があるかもしれないとの注意がありましたが、確かに見ていてつらくなる感じがありました。
過去にもテレビなどで『自閉スペクトラム症のある人はこんなふうに聞こえています』『こんなふうに見えています』というような映像を見たことがありましたが、そのときよりもリアルな感じがして、私は何度か動画から目を外してしまいました。もちろん障害のある人全員が同じように見えたり、感じたりするわけではないと思いますが、こんな状態がずっと続き、逃げることができないのならば、自閉スペクトラム症のある子どもがとても疲れたり、パニックになってしまう気持ちが分かるような気がしました。