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「年長なのに字が書けない、年少なのに箸が持てない」息子にイライラ指導…今もうまく持てないのは無理させたせい?母の後悔ーーユーザー体験談

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成長が早かった母は、心も体の成長も奥手だった息子にイライラ


私は、自分自身が「成長が早い」タイプだったので、情緒面でも身体面でも成長が奥手な息子にイライラすることがよくありました。

年少さんになるのにお箸が持てない…。年中さんになるのに、集中して遊んでいると(起きているのに)お漏らしをしてしまい園の先生に「専門病院に行っては?」と言われる…。小学校に入るというのに、字がうまく書けないしカタカナも読めない…。

進級進学の時期になると、息子自身はちっとも焦っていないのに、母だけ勝手にプレッシャーを感じ、そのたびに息子に厳しく指導をしてしまいました。

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年少さんなのにお箸が使えなくて大丈夫?


年少さんになると、園ではお箸に移行する子どもたちも多くなります。ですが、息子はなかなかじょうずにお箸を使えませんでした。
それなのに母である私が焦りすぎ「スプーンじゃなくお箸を使いなさい」と、お箸を使うことを無理強いしてしまった結果、大きくなってもバッテン箸のまま直らなくなってしまいました。


バッテン箸はつかみづらいので、時には食べ物に箸を突き刺してとります。こうなってしまったのも、あのとき私が焦って無理強いさせたせいなのではないか、と今でも心にちくりととげが刺さったままです。

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小学生なのに「読める文字が書けない」のはどうしたら?


小学生になると、今度は「読める字が書けない」問題が大きくなりました。

どうしていいか分からなかった私は、鉛筆の濃さや太さ、形をいろいろ試したり、シャープペンシルを与えてみたり…。見学に行った塾では「息子さんは文字の書き方から直さないと、答案を書くスピードが遅くて受験では不利ですよ」と言われて気が遠くなったのも覚えています。

5年生のときには通級を進められて言葉の教室の体験はしてみたものの、当時は遠くの学校に行って指導を受けなくてはいけず、フルタイムの仕事をしており毎週連れていくことが難しかったため諦めてしまいました。結局、多少読める文字が書けるようになったのは小学校6年生になってから。それでも、かなり頑張っても癖のある文字しか書けませんでした。


中学受験の際は「とめ・はね」に厳しい学校や、漢字がたくさん出る学校は避けました。中学受験の合同説明会では、私立中学校の先生方に、息子の書いた文字を見せて「貴校ではこの文字でも採点していただけますか?」と聞いて回ったものです。

「お母さん、僕たちはご子息の文字、読めますよ!」と言ってくださった学校は、出願検討対象となりました…。

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目に見える困りごとだけを直そうとしていた


今振り返ると、お箸がうまく持てなかったのも、鉛筆で文字がちゃんと書けないのも、そもそも体幹がしっかりしていなかったためだと分かります。体幹がしっかりしてないのに、指先までうまくコントロールできるわけがないからです。

息子は小学生のころ、文字を書くときはおなかを机にくっつけて、肘も机上に乗せた状態で、握り持ちで文字を書いていました。おなかや肘で身体を支えながらでないと文字を書けないなんて…至難の業ですよね…。

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「箸がうまく持てない」「読める文字が書けない」という目に見える「困りごと」にとらわれて、その前にはぐくむべき力をしっかりはぐくめていなかったことが、今なら分かります。


読める文字は書けるようになったけれど


高校生になり、身体もしっかり鍛えるようになって見違えるようにたくましくなった息子。いつのまにか、読めるノートが書けるようになっていました。

でも、お箸の持ち方だけは直りませんでした…。小さいころに、じっくりゆっくりはぐくんであげられたらよかったなぁと、今でも後悔しています。

イラスト/taeko
エピソード参考/あき

(監修:井上先生より)
元々細かい運動動作に不器用さがあって、指先の力のコントロールの問題や姿勢の制御などに苦手さが見られていたのだと思います。読めるけど書けないなど、特定の領域に発達のアンバランスさがあると苦手なところが気になり、親としてはそこを何とかしてあげたいと思う気持ちが強くなりますよね。学習面では将来的なことを考えると、"意味が理解できる"ことを重視して勉強への興味が薄れてしまわないようにサポートしていかれるとよいかと思います。
箸に関しては、大人になれば公的な場だけは正しく持ち直すなどのスキルがだんだんと身についていくのではないかと思います(これは私の体験でもあります)。


コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。


ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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