愛あるセレクトをしたいママのみかた

発達障害息子の支援シートが先生に届かない?忙しすぎる学校現場への「3点に絞った」合理的配慮の伝え方【読者体験談】

LITALICO発達ナビ

願いを込めた「支援シート」と、届かないもどかしさ


  • 先生の指導スタイルによって、特性のある子の状態がどう変わるか
  • 先生一人に任せきりにしない、学校への「伝え方」のコツ
  • 忙しすぎる学校現場と、親が家でできるサポートの範囲


  • 年齢:10歳(小学4年生)
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)
  • 診断時期:3歳
  • エピソード当時の年齢:7歳〜9歳(小学2〜3年生)


息子は好奇心旺盛で、気になることがあるとすぐに確認したい性格です。一方で、身体の使い方の不器用さや気持ちの切り替えに難しさがあり、一斉行動にはサポートが必要なこと、も多いです。 息子の特性を理解し、適切な支えをお願いしたいという願いを込めて、私は小学校入学前に細かな特性をまとめた「支援シート」を準備しました。

しかし、2年生になった頃、学校での息子の様子に少しずつ異変が起き始めました。

揺れ動く環境の中で、見失いかけた「息子の居場所」


2年生の時のクラスでは、非常に規律を重んじる熱心な指導が行われていました。先生の言葉に力がこもる場面も多く、刺激に敏感な息子にとっては、クラス全体の緊張感が大きな負担になっていたようです。

情報の共有をお願いしてはいたものの、個別の特性への配慮よりも「クラス全員で一律に動くこと」が優先される場面が目立っているように感じました。次第に息子は学校でパニックを起こし、教室を飛び出すことが増えていきました。
家でも癇癪が激しくなり、常に誰かを警戒するような、鋭い目つきになっていたように思いました。

発達障害息子の支援シートが先生に届かない?忙しすぎる学校現場への「3点に絞った」合理的配慮の伝え方【読者体験談】

Upload By ユーザー体験談

なんとか状況を変えたいと思い、先生に支援シートのことを伝えても、先生は「え?」という顔。それどころか、面倒な親と思われてしまったのか、避けられている雰囲気さえありました。「専門機関の先生と相談しながら、家でも一生懸命サポートしてきたのに、またゼロに戻ってしまう……」そんな不安でいっぱいでした。

ところが、3年生で担任が変わると状況は一変しました。新しい先生は「無理に教室にいなくていいですよ」と笑顔で言ってくれる、非常に大らかな方でした。息子のパニックは劇的に減りましたが、今度は別の問題が……。

自由な環境の中で「何をすればいいか分からない」息子は、ただ校内をはしゃぎ回るだけ。
息子との関わり方で家庭で心がけていることを伝えても、先生には「よくそこまでやりますね」と笑いながら言われただけで、学校での対応に変化はありませんでした。
落ち着きを取り戻した一方で、学びの機会を逃しているのではないか。この極端な環境の変化に、親としてどう向き合えばいいのか……。そんな新たな葛藤が、私の中で膨らんでいきました。

理想と現実の狭間でたどり着いた「3つの配慮」


「学校は教育のプロ。手厚いフォローもしてくれるのではないか」どこかでそう期待しすぎていたのかもしれません。でも、実際の教室には通級指導教室に通うお子さんや、まだ支援に繋がっていないがサポートが必要なお子さん、不登校気味のお子さんなど、さまざまな状況にあるお子さんたちが在籍していました。
先生が一人でそれぞれのニーズにすべて応えるのは、物理的にも非常に困難なのだと、現場の様子を見るうちに気づかされました。

そこで私は、学校へお願いする「合理的配慮」を、あえて学習・行動・運動の3点、各1つずつに絞り込むことにしました。

  • 【学習】不器用さがあり全ての板書は難しいため、「めあてとまとめ」の記入を優先する。
  • 【行動】切り替えに時間がかかるため、チャイムに遅れても15分程度は温かく見守ってほしい。
  • 【安全】命に関わる安全面だけは、何よりも優先して連携する。

息子の“最低限の安心”を確保するために、「あれもこれも」と欲張るのをやめ、先生が無理なく動ける範囲を考え、配慮をお願いしたい事項を減らそうと決意したのです。

10歳の今、家庭で補い、学校で見守るという形


現在、息子は10歳になりました。学校の集団指導ではカバーしきれない部分、例えば運動会のダンスや行事の練習などは、動画などを参考に今も家で私がマンツーマンでサポートしています。

お迎えから寝るまで、宿題に加えての練習。
正直、親としての負担は決して軽くありません。ですが、「家で予習したから、学校でみんなと合わせられた!」という成功体験が、息子が自信喪失することから守ってくれていると感じます。

発達障害息子の支援シートが先生に届かない?忙しすぎる学校現場への「3点に絞った」合理的配慮の伝え方【読者体験談】

Upload By ユーザー体験談

今の学校現場は、人手も時間も限られています。その現実を理解した上で、学校で補えない「隙間」を家庭でどう埋めていくか。そして、そのための情報共有をどうスムーズに行うか重要なのかもしれません。

バラバラの書類や面談の体制など、まだまだ改善してほしい仕組みはありますが、まずは目の前の先生と「これだけは」という共通認識を持てていることが、今の私たちの支えになっています。この積み重ねの先に、息子が自分らしく笑える未来が続いていると信じています。

正解はないからこそ、ほどよい「折り合い」を


学校との連携に、「これが正解」というゴールはないのかもしれません。
私も毎年、新しい担任の先生と出会うたびに「今度は大丈夫かな」と悩み、迷いながら手探りで進んでいます。
すべての特性を完璧に理解してもらうのは難しいけれど、「ここだけは」という優先順位を絞ってみたら、以前より少しだけ心が軽くなった気がします。

理想通りにはいかなくても、学校と家庭、それぞれの場所で息子を見守る。そんなゆるやかな繋がりも、1つの形なのかなと感じています。これからも試行錯誤は続きますが、学校現場の状況を理解しつつ、息子のために伝えたいことはしっかり伝えながら、「心地良い距離感」を探していけたらいいなと思っています。

イラスト/ネコ山
エピソード参考/七転八起

学校現場の状況に配慮しながらも、お子さんのために伝えるべきことを大切にされている姿勢に深く共感しました。個別的な対応が望ましい一方で、現場には人員や体制の制約があり、できることと難しいことがあるのも現実です。その中で、学校の状況を想像しつつ優先度の高い支援を相談されている点は、とても大切な視点だと感じました。
本来は、そうした制約を強く意識せずに相談できる環境が望ましいものの、実現可能な支援を共に考えていくことが、結果としてお子さんにとってより良い形につながることも多いと思います。先生と保護者が「お子さんの成長」という共通のゴールを持ちながら、心地良い距離感を探っていくことが大切ですね。もし連携に難しさを感じた際には、主治医など第三者の視点を取り入れることも1つの方法だと感じました。(監修:小児科医藤井明子先生)

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。


ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード