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【小児科医回答】発達障害のある子の「宿泊学習」準備ガイド!夜尿・睡眠・不安への対策や学校連携など【保護者アンケート結果も】

LITALICO発達ナビ

みんなはどう思ってる?「宿泊学習」への不安アンケート結果


発達ナビで実施したアンケートでは、多くの保護者が「期待」以上に「不安」を抱え、学校と連携しながら試行錯誤している現状が見えてきました。

【小児科医回答】発達障害のある子の「宿泊学習」準備ガイド!夜尿・睡眠・不安への対策や学校連携など【保護者アンケート結果も】

Upload By 医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン

実際に宿泊学習を経験した保護者からはこんな声が寄せられました。

「宿泊練習」で自信をつけた
「集団部屋が怖いということで、少人数部屋や先生部屋に泊まらせてもらいました小学生の時は、合宿のある前の学年で療育センターでお泊まり練習。」(happyぼれろさん)

「徹底した情報収集」で不安を払拭
「見通しが立たないと不安なため、バスのルート、立ち寄り施設の土産屋情報から宿泊施設のフロアマップまで、ありとあらゆる情報をネットを駆使して集めました。(中略)母が宿泊施設の近くに泊まり、いつでもお迎えに行けるようにしました。」(ぷひぷにさん)

特に多かったのが、「子どもの『見通し不安』に対して事前準備を行った」という声です。宿泊場所の写真を見せたり、学校の先生に相談して部屋割りを配慮してもらったりすることで、一歩を踏み出したご家庭が多いようです。

【専門家解説】夜尿・睡眠のトラブルへの向き合い方


不安の大きな要因である「夜のトラブル」について、小児科医で3児の母でもある藤井明子先生に、具体的な対策を伺います。

宿泊学習は子どもにとって大きな成長の機会である一方、夜尿があるお子さんやご家族にとっては不安の大きい行事でもあります。医学的な視点と心理的な安心の両面から、事前に準備しておくことが大切です。


まず、受診の目安についてです。寝る前の水分量を調整したり、生活リズムを整えたりといった基本的な工夫をしても改善がみられない場合、またお子さん本人が夜尿を気にして自信を失っている様子がある場合には、一度医療機関へ相談することをおすすめします。治療としては、まず生活指導(水分のとり方の見直し、規則正しい生活、塩分を控えめにする食事など)を行います。それでも改善が乏しい場合には、内服治療などを検討することもあります。

次に、学校との連携です。宿泊行事前には、家庭で行っている対策を具体的に共有しておくことが安心につながります。たとえば、「就寝前に必ずトイレに行く習慣がある」「夜尿用のオムツやパッドを使用している」「必要に応じて薬を服用している」といった情報は、事前に先生に伝えておくと良いでしょう。可能であれば、対応してくださる先生を決めておき、万が一の際の流れ(どのように声をかけるか、着替えや処理をどうするか)をすり合わせておくと、お子さんの安心感につながります。


家庭でできる工夫としては、宿泊行事の流れを事前に一緒にイメージし、「どう過ごすか」「夜尿対策をどうするか」をお子さんと話し合っておくことが大切です。替えの下着やズボン、必要であれば防水シートや消臭袋などを準備しておくと、いざという時の安心材料になります。また、「もしもの時の対応」を事前に決めておくことで、お子さん自身も落ち着いて行動しやすくなります。

そして何より大切なのが、万が一失敗してしまった時の「心の守り方」です。夜尿は意図的に起こるものではなく、誰にでも起こり得ることです。「もし失敗しても先生に伝えれば大丈夫」「替えの準備があるから安心していいよ」と、あらかじめ伝えておくことで、不安を和らげることができます。帰宅後も、結果にかかわらず「よく頑張ったね」と経験そのものをねぎらい、成功・失敗に焦点を当てすぎない関わりが大切です。

宿泊学習などの慣れない環境では、「眠れないのでは」「夜中に不安になったらどうしよう」と感じるお子さんは少なくありません。
こうした不安には、事前の準備と見通しづくりが大切です。

まず、安心グッズの活用です。普段使い慣れているタオルやブランケット、お気に入りのぬいぐるみなどは、環境が変わっても安心感を保つ助けになります。ただし持ち込みの可否は事前に学校へ確認しておきましょう。すべてが難しくても、「これがあれば大丈夫」と思えるものを一つ持つだけでも安心につながります。

次に学校との連携です。自宅での入眠前の様子(寝るまでの流れ、安心する声かけなど)を事前に共有し、宿泊中にできそうな配慮を一緒に考えるとよいでしょう。一方で学校行事では対応に限界もあるため、「どうしても眠れない場合は迎えに行く」などのバックアップを伝えておくことも、お子さんの安心につながります。


声かけとしては、「何時に寝て何時に起きるよ」と見通しを示すことや、「おうちでもできているね」と普段できていることに目を向けることが有効です。また、「困ったときは先生に伝えれば大丈夫」「いざというときはお迎えもできるよ」といった、安心できる選択肢を伝えておくことも大切です。

「何をするの?」見通し不安を和らげる3つの事前シミュレーション


初めての宿泊学習では「次に何をするか分からない」という不安が高まりやすくなります。初めての場所・スケジュールへの不安は、「情報の可視化」で大きく軽減できます。

スケジュールの視覚化:「しおり」を一緒に読み込み、Webサイトで施設の写真(特にお風呂、トイレ、寝る場所)を確認しましょう。

「困った時」のシミュレーション:「夜中にトイレに行きたくなったら?」「荷物が混ざったら?」など、具体的な困りごとへの対処法をQA形式で確認するのも有効です。

合理的配慮の相談:「自由時間の過ごし方」「入浴の順番」など、本人がパニックになりやすいポイントを整理し、学校側に伝えておきましょう。

先輩保護者の工夫に学ぶ!宿泊学習を乗り越えるヒントに


「初めて」を乗り越えた先輩保護者たちの体験談をピックアップしました。


ゆきみさんの長男けんとくん(ASD/自閉スペクトラム症)は、生活習慣を身につけるのに、とても時間がかかります。スモールステップで毎日コツコツと練習していても、思うように進まないことも……。そんなけんとくんもいよいよ高学年になり、「宿泊学習」という大きな壁が近づいてきました。苦手な荷物管理や見通し不安に対して、どんな対策を考えたのでしょうか?

メイさんの息子のトール君は現在中学生。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。小学校低学年の頃から「宿泊学習には行きたくない」と言っていたトール君。小学5年生になるとその気持ちはますます大きくなっていきました。特別支援学級の先生とも相談し、「宿泊学習に対するストレスのせいで日常生活に支障を来たすくらいなら、参加しないほうがいいかもしれない」という話にまでなりましたが、果たして……!?

藤井先生から、頑張る子どもたちと保護者へメッセージ


最後に、宿泊学習を控えた親子に向けて、藤井先生から応援メッセージをいただきました。


「宿泊学習は、お子さんにとって『自立』へ向かう大きな一歩となる大切な経験です。一方で、慣れない環境に不安を感じるお子さんや、それを見守る保護者の方にとっては、心配が尽きない行事でもあります。

そんなときに大切なのは、『安心できる準備』を整えておくことです。事前に流れを確認したり、安心できる持ち物を用意したり、学校と情報を共有しておくことで、『いざとなっても大丈夫』と思える土台ができます。その安心感があることで、お子さんは新しい環境にも一歩踏み出しやすくなります。

宿泊学習は、ただ頑張る場ではなく、『安心できる中で少し挑戦してみる』経験の積み重ねでもあります。お子さんの特性や不安の大きさに合わせて、無理のない形で関わることができるように家庭と学校が連携していくことが大切です。

『やってみようかな』と思える気持ちを大事にしながら、その一歩一歩を見守っていけるといいですね。
この経験が、お子さんにとって小さな自信となり、これからの成長につながっていくことを願っています。」

【小児科医回答】発達障害のある子の「宿泊学習」準備ガイド!夜尿・睡眠・不安への対策や学校連携など【保護者アンケート結果も】

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初めての宿泊学習は、親子ともに大きな挑戦です。でも、事前の準備や周りの理解があれば、それは「できた!」という自信を育む絶好のチャンスになります。

お子さん自身が「失敗しても大丈夫、みんな味方なんだ」という安心感を持って当日を迎えられるよう、まずはご家庭でできることから準備を始めてみましょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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