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【不登校の進路選び】「人生終わった」からの再出発。第一志望に落ちて絶望した私が運命の母校を見つけた話【読者体験談】

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投稿者のプロフィール
  • 現在の年齢:30代
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)、読み書きのLD・SLD(限局性学習症)、ADHD(注意欠如多動症)傾向、境界知能、双極性障害(双極症)、軽度脳性麻痺
  • 診断時期:20代(エピソード当時は未診断)
  • エピソード当時の年齢:中学3年生〜高校生

(※このエピソードは投稿者が約20年前の中高生時代を振り返った体験談です。当時に比べ、現在は不登校支援などの環境も多様化していますが、一つの事例としてお読みください)

泣き崩れ、過呼吸になった合格発表


中学時代、私は不登校でした。学校に行けたのはわずか10日。そんな私にとって、「不登校児も受け入れる」と謳う都立のチャレンジスクールは、魅力と希望しかありませんでした。

「内申関係なし」という条件は、学校に行けていない私にとって大きな救いでした。もともと私は目からの情報処理や、抽象的な指示を理解することに苦手な特性を持っていました。それでも周りからは「真面目だね」とよく言われる性格で、だからこそ「不登校という今の状況をどうにかしたい」と強く願っていたのです。

当時お世話になっていた先生と「高校でどんなことをしたい?」と話す時間は、不安など微塵もない、まだ見ぬ未来への期待に溢れていました。


しかし、現実は甘くありませんでした。中3の担任は自宅まで来て熱心にサポートしてくれましたが、学校に行けない私は、一番必要な面接対策も作文指導も満足にできませんでした。
学校説明会の段階で、会場にいたのは「不登校」の生徒よりも、「内申を気にせず、新しい学校だから受けてみよう」という雰囲気の生徒たち。面接試験を2日に分けるほどの出願数を前に、私は力尽きました。

そして合格発表の日――自分の番号がないと知った瞬間、「人生が終わった!」と本気で思いました。あまりのショックに泣き崩れ、過呼吸になり、母が職場から駆けつける事態に。

「不登校児も受け入れるなんて嘘だ。結局、学校に行けている子の方が有利なんだ……」 そう強く思って、どん底に突き落とされた気持ちになったことは、今も忘れられません。


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「ここなら」と感じた、挨拶の響く校舎


どん底の中で、次の進路を決めなければなりませんでした。不合格に備えて中3の夏からピックアップしていた私立高校2校のうち、私はある1校を改めて見学することにしました。

私にはこだわりがありました。それは「きちんと制服と校則がある学校」であること。緩い環境よりも、規律がある方が自分の性格に合っていると感じていましたし、何より中学でほとんど着られなかったセーラー服への未練があり、ブレザーへの強い憧れがあったのです。

ギリギリのタイミングで見学に駆け込んだその学校は、ちょうど卒業式の練習中でした。 案内された各クラスや職員室を通るたび、先生も生徒も「こんにちは!」と元気に挨拶をしてくれました。その明るい声を聞いたとき、直感的に心がホッとしたのを覚えています。
それが最後の決め手となり、私はその学校へ進むことを決めました。

職員室が教えてくれた、一人ではないという安心感


滑り込みで決まった母校となる高校でしたが、そこには思いがけない「温かな場所」が待っていました。私の特性上、どうしても出席できない授業が出てしまうことがありました。そんな時、「個別で1コマだけ、自分が見ますよ」と言ってくれる先生がいたのです。分からないことを質問したり、困りごとを相談したり。職員室は、いつでも気軽に立ち寄れる温かな場所でした。

2年生への進級時、始業日にわざわざ面談の時間を作ってくれた担任の先生。卒業後も関係が続く、一生モノの恩師との出会い。
第一志望に落ちたときはあんなに絶望していたのに、気づけば私は、後悔のない充実した3年間を過ごしていました。

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「第一志望=幸せ」とは限らない。直感を信じて


今、当時の自分を振り返ると、あの日不合格だったからこそ得られた幸せがあったのだと実感しています。

のちに、認知行動療法のカウンセラーの方から「第一志望に受かることが絶対の幸せではない。受からないからこその幸せも、得られるものもある」という言葉をかけていただきましたが、まさにその通りだったと思います。あの日泣き崩れた私に、「大丈夫、そこに行かなくても最高の出合いが待っているよ」と伝えてあげたいです。不登校支援を謳う学校は、20年前よりずっと増え、多様化しています。だからこそ、後輩たちには伝えたいです。「この学校しかない!」と自分を追い詰めず、3校くらいは「行きたいな」と思える学校を考えてみてください。
そして、実際に足を運び、普段の学校の様子を見て、自分の「直感」を信じてみてください。

計画通りにいかなくても道は開けていく


不登校という経験の中での進路選択は、本当に勇気がいることだと思います。でも、パンフレットや募集要項の言葉だけで判断せず、実際に足を運んで感じる「空気感」を大切にしてほしいなと思います。私自身、第一志望には縁がありませんでしたが、結果的に素晴らしい先生方に恵まれ、今でもその繋がりが心の支えになっています。もし、見学に行った時に「自分の心が何となくホッとするな、落ち着くな」と感じたら、ぜひその直感を信じてみてください。計画通りにいかなくても、自分に合う居場所はきっと見つかる。今の私は、そんなふうに感じています。

イラスト/星あかり
エピソード参考/YOSHIMI

20年前という時代背景の中で、不登校から進路選択に向き合われたご経験を、丁寧に振り返ってくださりありがとうございます。

当時は今ほど支援の選択肢も多くなく、「ここしかない」と思える進路に希望を託さざるを得ない状況だったことを思うと、合格発表の場面での絶望感は想像に難くありません。そのような中でも、結果的にご自身に合った環境と出会い、安心して過ごせる高校生活につながったというのは、本当に素敵で読んでいてほっとしました。

現在は当時より不登校支援や多様な学びの場が広がってきていますが、どのような進路があるのかは、思い込みやイメージではなかなか分かりません。「実際に足を運んで空気感を見る」「自分が安心できる場所を選ぶ」といった視点は、時代が変わっても大切にしたいポイントです。また、「第一志望=唯一の正解ではない」という体験から得られた実感は、進路選択に悩む多くの方にとって大きな支えになるメッセージだと感じました。

発達特性の観点から見ると、自閉スペクトラム症のある方では、「ここが良い」と思った選択肢に強く集中しやすく、別の可能性を考えることが難しくなることもあります。そのため、進路を考える段階から、複数の候補を具体的に見に行くことや、「第一志望が叶わなかった場合はどうするか」というシミュレーションをあらかじめ持っておくことは、心理的な負担を和らげるうえでも有効です。第一志望に届かなかった経験は決して無駄ではなく、その後の出会いや環境の中で新たな道が開けていくことも少なくありません。
本体験は、「選択の結果」だけでなく「その後どう歩んでいくか」の大切さを、あらためて教えてくれるものだと感じました。(監修:小児科医新美妙美先生)

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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