【新連載】よく泣く赤ちゃんだった自閉症の長男。円形脱毛症、うつ、不登校を経て自立するまで
【長男なぁ太の場合】「自閉症なのかな?」赤ちゃんのときから消えなかった違和感
皆さんは、わが子の異変にいつ頃気がつきましたか?
私は長男が赤ちゃんのときです。
当時、私は妊婦サークルに入っていて、サークルのメンバーは順番に出産。その後、それぞれ生まれた赤ちゃんを連れて集まったのですが、長男のなぁ太はとにかく良く泣く赤ちゃんでした。
ずっと泣き叫んでいるのが普通だったので、周りの赤ちゃんがニコニコ笑ったり、大人しくオモチャで遊ぶことに驚いたりして……。
「あれ?うちの子なんだかほかの子と違うぞ??」という気づきがあったのがこの頃です。
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「もしかして自閉スペクトラム症(ASD)なのかな?」
子どもが歩き出し、しゃべり始め、成長を喜ぶとともにずっと消えない違和感がありました。
それでも、長男なぁ太には、いわゆるASD(自閉スペクトラム症)の特徴と言われるクレーン現象や他者が話した言葉をオウム返しのように繰り返すエコラリア、強いこだわりはありません。
ないことにホッとしつつも、それでも何かあるのでは??と疑惑は消えず不安は残ったままです。
「ただ育てにくい子なのかな?」
当時、発達障害という名前はあまり認知されておらず、私自身も良く分かっていませんでした。私以上に分かっていなかったのが親族で、不安がる私の様子を「大げさ」「子どもはみんなこんなもの」と、パートナーですら一蹴する始末……。
迷いの中、幼稚園に入園したのは5歳の頃。
2年保育の公立幼稚園で、そこで初めてなぁ太の抱える問題が大きく露呈したのでした。
幼稚園の入園で露呈したパニック症状。なぁ太の頭に現れた複数の円形脱毛症
「同年代の友だちができる!」と希望を持って入園した幼稚園でしたが、違和感はすぐに現れました。
朝になると、いつも「幼稚園楽しみ!」と言いながら家を出て、行きの道中でも心から楽しそうにはしゃいでいるのに、いざ到着すると身体がこわばって固まってしまい、靴箱の前に座ったまま動かないなぁ太。
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そのときの、力の抜けたような顔つきが独特で、今ならあれはなぁ太特有のパニック症状だと分かるのですが、当時はまるで理解できなくて、なぁ太の感情の落差にただただ困惑していました。そうこうしているうちに、なぁ太の頭にたくさんの円形脱毛症がみつかります。
「やっぱりこれは何か理由があるに違いない!」と慌てて病院に駆け込み、発達検査を受けたのですが……。
当時の診断は、「ただの性格で、障害ではありません」とのこと。
幼稚園生活で困りごとが多いと訴え、身体に症状も出ているのに診断名がつかなかったことに絶望したものの、「とりあえず様子を見ましょう」という先生の言葉とともに、地域の専門の発達相談へ通い始めたなぁ太に変化があったのは年長の頃です。
頭皮が丸見え状態だったひどい円形脱毛症は完治し、幼稚園行事にも問題なく参加できるようになったので、子どもは見守っていれば落ち着くのだと安心したものでした。
小学3年で突如始まった教室からの脱走。ついに判明した「うつ」の二次障害
さて、幼稚園の問題はなくなったものの、小学校入学です。
年長になり落ち着きを見せたなぁ太ですが、小学校という新しい環境に進めばどうなるか分からなかったため、特別支援学級も視野に入れて教育委員会の面談を受け、その結果なぁ太は通級指導教室に通いながら通常学級に進むことになりました。
小学1年では、毎日の小学校生活に疲れ果て、帰宅しては泣きわめいたり、宿題をこなすことが難しかったりと、いろいろと問題はありましたが、幼稚園時代と同じように、時の経過とともに問題は薄れ、小学2年は何事もなく過ごし、もう大丈夫だろうと安心した小学3年。
問題は突如として現れました。
なんと、なぁ太は授業中、教室から逃げ出すようになったのです。
学校から何度も連絡があり、本人に聞いてもさっぱり要領を得ません。
ならばこの目で見るしかないと学校を訪れ、授業を参観させてもらうと、明らかに様子のおかしいわが子の様子に驚きました。
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かつて、なぁ太がまとっていた元気いっぱいな子ども特有の生気が消え、顔色は常に青白く、生きているのに死んでいるかのような……。
そんな状態なので小学校に行くことができなくなり、不登校に。ここで2回目の発達検査を受けます。そして告げられた診断が、「ASD(自閉スペクトラム症)※当時の診断名は広汎性発達障害」。そして「小児性うつ」。
小学校の担任の先生と通級指導教室の先生、さらには病院も、みんなで連携して厚く見守っていたので二次障害を起こすことはないと過信してしまっていました。長男なぁ太がうつを発症してしまったことで、私自身も己の無力さを痛感した出来事でした。
この診断書を提出し、小学4年から特別支援学級に移れることになり、ここから中学校卒業まで、なぁ太は特別支援学級で過ごしたのでした。
つらく苦しかった小中学校時代を経て。それぞれの道で社会人になった3きょうだい
小学校・中学校は、なぁ太にとってつらく苦しい時代でした。
私が他の道を示してあげられれば、彼はもっとラクに過ごせたのではないかと、今でも思います。
このあと彼は、通信制高校の卒業を学習面や生活面で支えてくれる「通信制サポート校」に進み、そこでアルバイトを経験することで社会に触れ、新しい目標を得ることになりました。
彼が自分の「障害」を受け入れ、「これが自分だ」と納得したのも、この時期です。
今現在、ASD(自閉スペクトラム症)の長男なぁ太は、一人暮らしをしながらプログラマーとして働いています。
体力に自信のあるASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症)の次男コン吉も社会人になり、3交代勤務の仕事に就きました。
幼少期にASD(自閉スペクトラム症)・軽度知的障害(知的発達症)と診断された三男たい蔵は進学校に進学し、現在大学受験を目指しています。
このお話はまたゆっくり、別の機会にしますので、ぜひ読んでくださればと思います。
執筆/トマコ
トマコさん初回のコラムをありがとうございます。今回は長男なぁ太くんの幼少期のお話でした。お子さんの発達に関して違和感を覚えたのは赤ちゃんの頃だったとのこと。幼稚園に入り、集団生活が始まると、なぁ太くんの様子が登園時の意欲的な姿から、玄関で座り込んで動かなくなってしまうように変わるなど、また違和感を覚える様子につながったのですね。トマコさんの感じた違和感や心配を共有できる人が当初は少なかったために、つらい時期もあられたかと思いますが、小学校入学後に担任の先生や通級指導教室の先生、そして主治医の先生とで連携も取りながら、なぁ太くんを支えるネットワークが作られていったのはよかったです。
なぁ太くんはぎりぎりまで頑張ってしまったり、その場になってみて自分のしんどさに気づいたりするタイプなのかもしれないですね。中学高校と経て、自己理解が進み、そして今は立派に社会人として、プログラマーとして働かれているとのこと、何よりです。次男コン吉くん、三男たい蔵くんのエピソードや、3人を育てられてのトマコさんの思いなども楽しみにしています。(監修:臨床心理士・公認心理師初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
以前は「広汎性発達障害」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において変更され、2022年(日本版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「ASD(自閉スペクトラム症)」という診断名になりました。
この記事では以下、ASD(自閉スペクトラム症) と記載しています。
ADHD(注意欠如多動症)
以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年(日本版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。この記事では以下、ADHD(注意欠如多動症)と記載しています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的障害(知的発達症)
現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」と表記されていますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害(知的発達症)」という表記を用います。
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提供元の記事
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