「学校へ行くこと」が課題だった発達障害の中3娘が高校受験!個別相談、通学練習…母のサポート奮闘記
次女に合う高校!発見!
次女が小学生で診断を受けて以来、ずっと進路の心配をしてきた私。あれこれ情報をかき集めるうちに、次女が興味を持ちそうな高校を見つけました。美術のコースがある高校です。マンガコースのある学校は意外と多いのですが、次女が好きなのは「立体で物を作ること」。絵を描くのも好きですが、それよりも立体造形が好きなので、そういった制作ができる専科のある学校を探していました。しかし、あっても偏差値が高く受験すらできそうにないとか、通える範囲ではなかなか見つからなかったのです。
そこで、複数の高校のパンフレットを次女に渡して、気になる学校があればオープンキャンパスへ行こうと誘ってみたところ、思った通り、「美術のコースがある学校を見に行きたい!」と言ってくれました。その瞬間、心の中ではガッツポーズを決めました(笑)。
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この頃には中3になっていたので、オープンキャンパスへすぐに申し込み、夫婦+次女の3人で参加してきました。結局、後にも先にもオープンキャンパスに参加したのはこの私立高校だけでした(中2の頃にほかの高校の文化祭に遊びに行ったりはしましたけどね)。
気になる高校のオープンキャンパスへ行く
当日学校に足を踏み入れると、学校自体が全体的にキレイです。ここで次女はテンションアップ。そして、中を案内されるのですが、過去の生徒作品があちこちに飾られています。それを見た次女はもう、絶対ここに通いたい!という顔になっていました(笑)。
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オープンキャンパスでは学校見学や保護者向けの説明会みたいなのがあり、一通り知りたい情報は得られました。さらに体験ができるオープンキャンパスもあり、そちらへ申し込みをした後日、デッサンの体験授業などにも参加。
すっかり「ここへ通いたい!」とやる気満々になってくれました。
個別相談のコーナーで発達障害や配慮のことなど聞いてみたかったのですが、次女はあまり良い反応ではありませんでした。けど、受かったものの進級できず、留年したり中退してしまっては大変だし、可能な配慮は事前に相談しておいたほうが良いのでは?と言うと、渋々ですが納得してくれました。いざ相談してみると、今の成績では少し不安だけれど、受験に向けて勉強を頑張れば大丈夫そうだと分かりました。次女も少しホッとした様子です。発達障害への配慮はできる範囲に限られるし、「あまり特別な配慮はできないかもしれない」と言われましたが、扁平足の治療に必要な指定外の靴については「異装届を出せば使用可能」など、内容によっては融通がきくようでした。
あと一つ、配慮してもらえるかは分かりませんが、男性教員が苦手なことも伝えておきました。
やっと見つけた行きたい場所、実現するには?
中学校で進路指導や三者面談も始まり、そこでようやく行きたい学校が決まったことを伝えると、担任の先生も喜んでくれました。
ただ、「今の成績だと少し心配なので、提出物を出してテストの成績も上げられるように頑張りましょう!」と激励というか、お尻を叩かれた感じですね(笑)。
家庭教師の先生も「これから自分のペースでいいから頑張れば、絶対行ける!」と励ましてくれました。急に勉強漬けになったりしなくても大丈夫と言ってもらえたことで、次女も安心したようです。なんせ、勉強は基本、嫌いですからね(笑)。頑張れるのは自分の好きなジャンルの場合だけです。
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高校受験までに準備したこと
さて、行きたいと心は決まったものの、高校なのでもちろん普通に受験があります。今の次女の成績で入れるのか、入ったとしても1時間近くかかるこの高校まで、自宅から毎日通うことはできるのか。さらに言えば発達障害や扁平足の治療をしながら通うことはできるのか――悩んでいても仕方ありません。
志望校も決まり、ある日、中学校をお休みしました。今は授業を受けることよりも、受験に対しての不安要素を取り除くことを優先しようということで、実際に一人で高校の前まで、朝の通勤通学ラッシュの時間に行ってみることにしたのです。高校に到着する時間から逆算して、通う予定のルートで電車を乗り換えながら、“一人で”行って帰ってきました。オープンキャンパスの際に一度親子で電車移動していたし、次女は普段からテーマパークまで一人で電車に乗って遊びに行ったりしているので、電車に乗ることに抵抗はありません。
そうして見事、一人でラッシュ時間の電車往復をやり遂げた次女は「余裕やったわ!」と、ドヤ顔で帰ってきました(笑)。
「合格したら毎日行けそう?」と聞くと、「以前オープンキャンパスで使ってみた別ルートよりも、今日試した乗り換えルートのほうが広い道が多くて歩きやすかった。毎日行くならこっちが良い」と、すっかり通う気でいます!
そうして、少しずつ高校受験が具体的になっていき、入試過去問をせっせと解くなど、なんだか受験生らしくなってきました!半年前には想像もつかなかった姿です(笑)。
思い起こせば、小学生の頃から必死に遠回しにまいてきた種が、ようやく芽を出した瞬間でした。
この芽を枯らさないよう、次女が機嫌良く勉強できるよう、受験のその日まで母はひたすら水撒きの日々です。
勉強中の次女のために好きなおやつを買ってきたり、高校に入ったら使えるようにと文房具や、交通系ICカードのカードケースを買ったり……モチベーションを上げるための投資が無駄にならないように祈りながら、お買い物にも連れ出しました!
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今はその時に買った文具や、カードケースを持って、高校に通っています!
ちなみに、個別相談の際に男性教諭が苦手と伝えていましたが、運なのか配慮なのか?担任の先生は女性でした。
受験前にやれることは、全部やったように思います!誰の受験なのか分からないぐらい、母も頑張りました(笑)。
執筆/ゆたかちひろ
お子さんが心から行きたいと思える学校に出合うことができたのですね。
さて、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達に偏りがあるお子さんの場合、目的が見えない勉強にはなかなか取り組めないという特性がありますが、興味や関心が強い分野には集中しやすいという側面もあります。「やればできる」というよりも、「やるべき理由を見つけると、驚くほど力を発揮する」ということが少なくありません。
今回も、「好きなことが学べる高校」という明確な目標が見つかった瞬間から、お子さん自身の気持ちが動いたのでしょうね。
心理学的にも、人は「やらされる目標」よりも、「自分で選んだ目標」のほうが意欲を維持しやすいと言われています。
心理学では「自己決定理論」と呼ばれており、自分で決めたことに対しては、外から強制されたことよりも、自分の内側から意欲がわきあがりやすいのです。また、事前にオープンキャンパスへ行ったり、通学ルートを実際に試したこともよかったのではないでしょうか。不安の正体が分からないままだと、人は必要以上に恐怖を感じます。
しかし「実際にやってみる」ことで、現実的に想像がしやくすなり、「できるかもしれない」という自己効力感が育ちます。
保護者の方はよく、「先回りしすぎかな?」と悩むこともありますが、お子さんが安心できる環境を整えることは、決して甘やかしではありません。
学校選びは偏差値だけではなく、お子さんが安心して通える環境かどうか、という視点も大切です。
まずおすすめしたいのは、一部でもいいので実際に学校生活を体験してみることです。学校見学や説明会、文化祭などのイベントに参加するのもいいですし、通学時間帯に実際に電車へ乗ってみたり、学校周辺を歩いてみたりしましょう。
通学している自分を具体的にイメージできると、漠然とした不安を消しやすくなります。
「これなら大丈夫そう」という安心感を持つことができると、受験に集中しやすいのではないでしょうか。
モチベーションを高める工夫も、とっても参考になります。文房具や通学用の小物を選ぶ、新生活を想像しながら準備するなど、「高校生活が楽しみ」と思える時間を増やすことは、受験勉強の原動力になるでしょうね。単なるご褒美ではなく、「未来の自分」を具体的にイメージする効果も期待できるのではないでしょうか。
何よりも大切なのは、お子さんが笑顔で通い続けられる場所を見つけることです。
これからも、お子さんが自分らしく学んで自信を積み重ねられるように願っています。(監修:医師・公認心理師森しほ先生)
https://h-navi.jp/column/article/35031133
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。