別室登校&ランドセル拒否から「早く学校に行きたい!」へ。登校を渋る息子の背中を押した「母の手づくりリュック」の選択肢【読者体験談】

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お子さんのプロフィール
  • 年齢:11歳
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)
  • 診断時期:8歳
  • エピソード当時の年齢:6~8歳


重くて硬いランドセルと、周囲の目が気になった登校までの道のり


小学校入学時、ショッピングセンターの売り場で息子が気に入ったのは、スポーツブランドのマークが入った黒のランドセルでした。「6年間使うものだからね」と伝えると、家に帰るたびに所定の位置へ置き、とても大事に扱ってくれていました。教科書やタブレット、水筒などを入れるとかなりの重量でしたが、嫌がる様子もなく背負って登校していました。
しかし、2年生の時に先生との関係に悩みはじめ、「教室に行きたくない」と登校を渋るようになったのです。学校自体は好きだったので、週に何度かスクールカウンセラーのいる相談室に通い、給食を食べて帰ってくる生活が始まりました。
通常の登校時間ではない時間帯に家を出るため、息子は「近所の人や通行人に、なんでランドセルを背負っている子がこんな時間にいるんだろう?と思われるのが嫌だ」と感じていたようです。また、教室で授業を受けるわけではないので、「ランドセルはいらないな」という気持ちになったのでしょう。たとえ中身が空だとしても「重いし硬いから背負いたくない」と、次第にランドセルへの拒否感を示すようになりました。


別室登校&ランドセル拒否から「早く学校に行きたい!」へ。登校を渋る息子の背中を押した「母の手づくりリュック」の選択肢【読者体験談】

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幼稚園時代のリュックが与えてくれた安心感


教室に行くならランドセルが必要だけど、行かないなら必要ない――そんな感覚だった息子は、最初は手ぶらで学校へ行こうとしていました。ですが、まずは妻がつくってくれたトートバッグで通うようになり、やがて幼稚園の頃に使っていたリュックへと切り替えることに。
学校にはランドセルを使わなければいけない規則はなかったため、特に相談はしていませんでした。教室に行く時は「みんなと同じがいい」とランドセルを背負って行くこともありましたが、やはり「重くて嫌だ」と、リュックで通う日が多くなりました。
幼稚園の頃から背負い慣れているリュックは、息子にとって大きな安心感をもたらしてくれたのだと思います。

特別支援学級への転籍。揺れ動く息子に母は……


3年生になり、特別支援学級へ転籍することになりました。しかし、学校が遠くなったこともあり、「行きたくない」と再び登校を渋る時期がやってきました。
ちょうどその頃、幼稚園時代から使っていたリュックがボロボロになっていたため、新調しようと夫婦で話し合いました。
妻は元々、上履き袋や音楽バッグなどを手づくりしてくれていて、息子もそれをとても喜んで使っていたのです。そのためこの時も、「リュックをつくってあげたら、また楽しく学校に通えるかも」と、手づくりすることを決めました。
完成したのは、黒く四角いシンプルなデザインで、上部には息子が好きな猫をイメージした耳がつき、イニシャルのワッペンまであしらわれた特別仕様。使い勝手も考えつつ、本人が心から喜ぶ見た目を重視した、愛情たっぷりなリュックでした。

「早く学校に行きたい!」息子の背中を押してくれた世界に1つだけの相棒


新しいリュックを手にした息子は「早く学校に行きたい!」と大喜び。特別支援学級への転籍という大きな変化の中でも、先生に早くリュックを見せたい一心で、学校に対しても前向きになり、すんなりと家を出発できるようになったのです。
現在6年生になった息子ですが、ほかの荷物は親に持たせようとしても、このリュックだけは必ず自分で背負って登校しています。学期の終わりにはリュックを洗濯するのですが、真っ黒な水が出てくる様子を見て、「(リュックも)こんなに頑張って働いているんだね、ありがとね~」と声をかけることもあります。
ほかにもリュックはあるのに、学校へ行く際は決まって手づくりのリュックを選ぶので、息子にとっては単なる荷物入れではなく、毎日をともに歩む“心の支え”なのかもしれません。

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ピカピカのランドセルを笑い飛ばせるくらいに


入学式で1年生がランドセルを背負う姿はかわいいなと感じますし、私自身、ランドセルが第1候補である気持ちは今も変わりません。ですが、それはあくまでも親の希望です。これから入学を迎えるご家庭には、ランドセルありきで考えず、いろいろな選択肢があることを知っておいてほしいなと思います。特に発達特性がある場合は、実際に背負って通い始めると、お店で選んでいる時には分からなかった困りごとに気づくことも少なくありません。
6年間使い続けることだけに縛られず、「途中で変えてもいいか」くらいの柔軟さでいられたら、心も軽くなりますよね。もし途中で別のカバンに替えても、卒業の時に「ランドセルを買ったけど、結局ほとんど使わずにピカピカだね」と笑顔で振り返ることができたなら、 親も子ももっと楽でいられるのではないかなと思います。

イラスト/SAKURA
エピソード参考/チノパン

教室に行きたくないと感じた時期から、それまで大切にしていたランドセルを使うことを拒否したのですね。
ランドセルは一般的に重くて硬いですし、教科書やタブレットを入れたらますます重くなります。そしてまさに学校生活の象徴のような存在です。学校に気持ちが向かわない時に、ランドセルを使いたくないと感じる気持ちは、息子くんの学校生活に対するつらさを表しているように感じました。

その後の幼稚園時代のリュックの使用は、教室に行かない(行きたくない)気持ちの表明でもあり、“(ないとは思いますが)無理やり教室に連れていかれるかもしれない不安”から自分を守る意味であったり、愛用してきたがゆえの安心感を思い出す意味であったりがあったのだろうと感じます。

そして、お母さんがつくってくれたオリジナルリュックで、転籍を迎えたのですね。新しい環境での生活に不安もあったことと思いますが、大好きな人が自分のためにつくってくれたもので、好きな動物の猫耳までついている世界に一つしかないリュック。素敵ですね。使いたくなりますし、きっと勇気づけられるものなのでしょう。


学校にはランドセルで行く子が多いので、小学校時代はランドセルが象徴的な意味合いを持つことが多いです。ただ、大事なのはランドセルを背負うことよりも、お子さんが安心して、そして意欲をもって学校に通うこと。重さや形状ゆえに体に負担がかったり、勉強というイメージもつきまとうために心に負担がかかったり。登校する時点で心身になかなかの負担がかかってしまうと、その後の学校での時間が豊かになりにくいかもしれないですね。お子さんにとって、学校での時間が学びやわくわくに満ちた時間となるためのランドセルやリュック、手提げ袋といったお子さんに合った“持参物”であってほしいと願います。(監修:臨床心理士・公認心理師初川久美子先生)

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。

知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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