2018年11月20日 10:36
「デカルコマニー」ってどういう意味? 作品制作の簡単なやり方教えます。
「デカルコマニー」って何でしょう?その名を聞いたことはなくても、きっと皆さん知っているはず。
幼稚園や保育園、小学校でやりませんでしたか?画用紙に絵の具をポンポンと置き、紙を半分に折って開くと、左右対称の美しい模様が現れる……あれがデカルコマニーなのです。
簡単にきれいな模様が作れ、子どもが喜ぶデカルコマニー。もちろん自宅でもできますよ。今回はデカルコマニーの発祥や、作品の作り方をご紹介します。
芸術技法としてのデカルコマニーの意味
デカルコマニー(décalcomanie)は、フランス語の動詞「décalguer(転写する)」に由来しています。プラモデルの作成や小物のデコレーションなどに使われる「転写シール」をご存知でしょうか?シールを貼って、こすったり水でぬらしたりして模様を写すと、最初からそこに印刷されていたように見える、あのシールです。
これは「デカール」とも呼ばれることがありますが、デカルコマニーと同じ語源というわけです。
デカルコマニーを芸術表現として確立したのは、シュルレアリスムの画家オスカル・ドミンゲス(1906~1957)です。1920年代に発生したシュルレアリスムは、フロイトの精神分析などから影響を受けた、無意識や偶然の要素を重視する芸術運動。キャンパス上に絵の具を置き、紙を押しつけたりすることによって生まれるふしぎな模様は、まさに偶然の産物です。シュルレアリスムの代表的な画家であるマックス・エルンスト(1891~1976)やサルバドール・ダリ(1904~1989)も、デカルコマニーを用いた作品を発表しました。
デカルコマニーのねらい
デカルコマニーは前衛芸術のなかで生まれたわけですね。では、なぜ幼児教育で盛んに行われているのでしょうか?
近畿大学九州短期大学の研究紀要に掲載された論文「演習講義『デカルコマニー・デッサン』想像から創作へ」(2017年)によると、デカルコマニーは子どもの想像力を養ってくれるそう。
予想できないわくわく感と、形態の分からない左右対称画の完成に驚き、何だろうと少ないボキャブラリー(語彙)で必死に探索を始める想像力、物を見つけ出す活動が幼児にとって、楽しんで自由に、思い思いに表現をして、想像力を膨らませる絵画遊び(創作)の基盤となりえるのである。
(引用元:近畿大学学術情報リポジトリ|〈論文〉演習講義「デカルコマニー・デッサン」