2019年8月28日 07:42
「跳べた!」という強烈な体験が自己肯定感を押し上げる。“プロ直伝”縄跳び練習方法
小学校の体育での定番の運動というと、「縄跳び」が挙げられます。縄を回して跳ぶだけ――。大人からすればごく単純な運動に思えますが、縄跳びが苦手だという子どもは意外なほど多いといいます。その苦手意識をきっかけに運動自体を敬遠するようにさせないためにも、人並みに縄跳びができる子どもにしてあげたいものです。そのための方法を、運動が苦手な子どもを対象にした体育指導のプロフェッショナルである西薗一也さんに教えてもらいました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
基本の前跳びが1回もできないという子どもも珍しくない
そもそも、なぜ小学校の体育で縄跳びをよくやらせるのかというと、まずは縄跳びが全身運動だということが挙げられます。体全体の筋肉を使う縄跳びはバランス良く全身を発達させることができるわけです。
また、片脚跳びや二重跳び、腕を交差させるあや跳びなどとなると、かなり細かい体の動作が要求されますから、小さい子どもが体の使い方を学ぶにも最適な運動でもあるのです。
加えて、単純に手っ取り早く体を温められるということもあるでしょう。体育の授業で縄跳びをやるのは基本的に冬ですよね?暑さの厳しい夏にはまずやりません。代わりに鉄棒を冬にやらせるとしたらどうですか?そもそも鉄棒自体が冷たいうえに、順番を待つ子どもは凍えながら待機しなければなりません。一方、縄跳びなら全員が一斉にはじめられて、すぐに体も温まる。縄跳びをすることには冬場のウォーミングアップという意味もあるのです。
それだけ定番の運動であるにもかかわらず、なかには基本の前跳びすらもまともにできないという子どもも少なくありません。それは、やはり授業できちんと跳び方を指導しないからでしょう。
インターネットなどで調べてみても、たとえば二重跳びの上達方法といった記事や動画はいくらでも見つかります。でも、「前跳びで1回跳ぶ」ための方法を解説するような情報はどこにもないのです。
誰も教えてくれないうえに、自分で学ぶこともできないのですから、前跳びができない子どもはずっとできないままということになります。そんなものに対して向上心が湧くわけもありません。でも、1回でも跳ぶことができれば、その子どもの縄跳びに対する認識は大きく変わります。その1回が成功体験となって自己肯定感を高め、どんどん新たな挑戦していくようになるでしょう。