子育てに効くアクティブリスニング4つのポイント。ことばより先に変えたい「聞く姿勢」

子育てに効くアクティブリスニング4つのポイント。ことばより先に変えたい「聞く姿勢」

夕飯のしたくをしている台所に、子どもが駆けこんできます。

「ねえねえ、今日ね、〇〇くんがね……」

火加減を見ながら、洗いものをしながら、「うん、うん、それでね?」と相づちを打つ。子どもは話しはじめたものの、どこか満足しないまま、リビングに戻っていく。

そして5分後、また「ねえ、聞いてー!」と引っ張られる。

これは、忙しい家庭で毎日のように起きている、ごくふつうの光景です。けっして親が悪いわけでも、子どもが甘えすぎているわけでもありません。ただ、ちょっとした「聞き方」のコツを知っているかどうかで、この5分が変わってきます。

そのコツの名前を、心理学やカウンセリングの世界では「アクティブリスニング(能動的傾聴)」と呼んでいます。


アクティブリスニングって、なんだかむずかしそう?


「アクティブリスニング」と書くと、なんだか専門的な技術のようですが、心配いりません。子育てに使うアクティブリスニングは、たった4つのポイントを意識するだけで、ぐっと変わります。

そのポイントとは、次の4つです。

・ポイント1 ボディランゲージ。視線、うなずき、体の向きなど、ことば以外で「聞いていますよ」と伝える要素です。
・ポイント2 無条件の受容。子どもの話の中身を、いったんジャッジせずに受けとめる姿勢です。
・ポイント3 反映力。
子どもの気持ちを、そっとくり返してあげる技術です。
・ポイント4 コミュニケーション。質問のしかたを少し工夫して、会話を広げていく力です。
実験研究でも、こうした要素を取り入れた聞き方をしてもらった人は、「自分の気持ちが整理された」「気持ちが軽くなった」と感じる度合いが、ふつうの聞き方より明らかに高かったという結果が出ています。(ルイジアナ州立大学ほか)*1

子育てに効くアクティブリスニング4つのポイント。ことばより先に変えたい「聞く姿勢」


意外なことに、まず変えたいのは「ことば」ではなく「体」


4つのポイントのなかで、いちばん早く、いちばん簡単に変えられるのが、じつはボディランゲージです。

意外に感じられるかもしれません。「子どもの話を聞く」と言われると、私たちはつい「何を返すか」「どう答えるか」を考えがちです。けれど、子どもにとっていちばん最初に届いているのは、親のことばではなく、親の体の構えのほうなのです。
人と人とのコミュニケーションにおいて、ことばと体の動き(表情・声のトーン・姿勢など)が食いちがうとき、人は体の動きのほうを信じる傾向がある。これを示したのが、心理学の有名な研究です(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)。*2

ちなみに、この研究はよく「コミュニケーションの93%は非言語」というかたちで紹介されますが、それは正確ではありません。元の研究が示したのは、気持ちや態度が、ことばと身ぶりで食いちがって伝わったときに限り、人は身ぶりのほうを優先する、ということ。日常会話のすべてに93%ルールが当てはまるわけではないのです。

ただ、ここで大事なのは数字ではなく、「ことばで『聞いてるよ』と言っても、体が別のことを語っていれば、子どもには『聞いてもらえていない』と伝わる」という事実のほうです。


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「うんうん」と言いながらスマホを見ていませんか?


ここで、私たちみんなが思い当たる場面があります。

スマホでメッセージを返しながら、子どもの話に「うん、それで?」とうなずく。
手元のスマホは、ほんの数秒。それでも、子どもの体感としては、「お母さん(お父さん)は、私(ぼく)よりスマホのほうが大事みたい」というメッセージが届いてしまっています。

これを心理学では「technoference(テクノフェランス)」、つまりテクノロジーが対人関係に割りこむ現象、と呼びます。米国で170家庭を対象に行なわれた研究では、保護者がスマホなどでちょこちょこ子どもとのやりとりを中断する頻度が高い家庭ほど、子どものかんしゃくやいらだち、引っこみ思案などの行動が増える傾向が見えてきました(イリノイ州立大学・ミシガン大学)。*3

これは決して「スマホを見ているあなたが悪い親だ」という話ではありません。仕事のメッセージも、家族のLINEも、緊急の連絡も、現代の親には必要なものです。

ただ、子どもが「ねえ、聞いて!」と来たそのときだけでいい。スマホをふせる。
料理の手を止める。体を子どもに向ける。それだけで、子どもの感じる「聞いてもらえた感」が、ぐっと変わってきます。

子育てに効くアクティブリスニング4つのポイント。ことばより先に変えたい「聞く姿勢」

「目線・体の向き・うなずき」の3点セット


具体的に意識したい「聞く姿勢」は、たったの3つです。

1. 目線を子どもに合わせる
立ったままではなく、しゃがんで目の高さをそろえる。あるいは、ソファに座っている子どもの隣に、自分も腰をおろす。視線の高さが合うだけで、子どもの話す量が変わってくる、という観察報告は世界中にあります。

2. 体ごと子どものほうに向ける
顔だけで振り向くのではなく、つま先、おなか、肩、体ぜんぶを子どものほうに向ける。
これだけで、「あなたの話に集中しています」というサインが、無言で届きます。

3. ゆっくり、深く、うなずく
「うんうん」と小刻みにうなずくのは、じつは「早く話を終わらせてほしい」というサインとして受けとられることがあります。代わりに、「うーん」と、ひとつのうなずきをゆっくり、深くする。それだけで、子どもは「届いている」と感じられます。


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1日5分から、はじめてみる


「1日中ずっとそんな姿勢でいるなんて、無理に決まっている」。その通りです。仕事もある、家事もある、ほかのきょうだいの世話もある。
でも、1日5分ならどうでしょうか。

たとえば、子どもが学校から帰ってきた直後の5分間。あるいは、寝る前のベッドサイドの5分間。そのあいだだけ、スマホを置き、体を向け、目線を合わせる。

たったそれだけで、子どもは「自分の話は、きちんと聞いてもらえる」という感覚を、毎日少しずつ受けとっていきます。そしてその感覚が、ほかの3つの柱(受容・反映・コミュニケーション)を生かす土台になっていくのです。

ボディランゲージが整っているだけで、子どもには「聞いてもらえた」という記憶が残ります。逆に、姿勢が伴っていないと、どんなにじょうずな返事も子どもの心には届きにくいのです。
***
今日から、子どもに「ねえ、聞いて!」と言われたら、スマホを置いて、体を向けてみる。まずは、それだけでいいのです。

FAQ(よくある質問)
Q. 家事や仕事で手が離せないとき、どうしても「ながら聞き」になります。それでもダメですか?

A. 1日中ずっと完璧に聞く必要はまったくありません。大切なのは、1日5分でも「完全に聞く時間」を意識的につくることです。火を使っているときに話しかけられたら、「あと3分待ってね、終わったら集中して聞くから」と声をかけ、終わったときに本当に体を向けて聞く。子どもは「待たされた」ことよりも「きちんと聞いてもらえた」という記憶のほうを覚えています。


Q. 子どもが話しはじめると話が長くて、ついスマホを見たくなってしまいます。

A. その気持ちはとても自然です。低学年の子の話は、大人の感覚からすると話の筋がつかみにくいことも多いものです。最初から最後まで完璧に集中する必要はなく、「最初の30秒」「いちばん盛り上がっているとき」だけでも体を向けてみる。それだけで、子どもの満足度はぐっと上がります。


Q. アクティブリスニングを意識しすぎると、わざとらしくなりそうで心配です。

A. はじめは少しぎこちなくて当たり前です。新しい習慣はどんなものも最初は不自然に感じます。3日、1週間、1ヶ月と続けるうちに、自然と体になじんできます。子どもは「上手な聞き方」より「自分に向き合おうとしてくれる気持ち」を感じとっているので、テクニックがへたでも大丈夫です。


Q. 「無条件の受容」「反映力」「コミュニケーション」も、いっぺんに身につけたほうがいいですか?

A. 一度にすべてを意識しようとすると疲れてしまうので、おすすめしません。まずはボディランゲージから1 〜 2週間。そのあと、残り3つを1つずつ、無理のないペースで足していくのがおすすめです。完璧をめざさず、「今日はこれを少し意識してみよう」というくらいで大丈夫です。


(参考)
*1 Bodie, G. D., Vickery, A. J., Cannava, K., & Jones, S. M. (2015)|The Role of “Active Listening” in Informal Helping Conversations: Impact on Perceptions of Listener Helpfulness, Sensitivity, and Supportiveness and Discloser Emotional Improvement. Western Journal of Communication, 79(2), 151–173.
*2 Mehrabian, A., & Wiener, M. (1967)|Decoding of inconsistent communications. Journal of Personality and Social Psychology, 6(1), 109–114.
*3 McDaniel, B. T., & Radesky, J. S. (2018)|Technoference: Parent Distraction With Technology and Associations With Child Behavior Problems. Child Development, 89(1), 100–109.

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