“子どもに大変な思いをさせてしまった”と悩む前に。子どもを守るのは、苦労のなさではなく〇〇だった
家庭の事情で、子どもに苦労をかけてしまっている。
そう感じたことがある方に、まず伝えたいことがあります。
この記事は、あなたを責めるためのものではありません。むしろ逆です。読み終えたときに、少しだけ肩の荷が下りていたらうれしいです。
「困難のない子育て」を、目指さなくていい
「うちの子には、なるべく苦労をさせたくない」
多くの親がそう思っています。でも実際には、仕事、家庭の事情、経済的な理由……子どもに大変な思いをさせずに育てるのは、なかなか難しいものです。
そんなとき、「困難=子どもに悪い影響がある」と思い込んでいませんか。
じつは、それほど単純な話ではないようです。
子どもを傷つけるのは、「困難の大きさ」ではなかった
子どもの発達を研究する分野では、こんな考え方があります。
困難には、子どもが乗り越えられる困難と、子どもを追い詰めてしまう困難がある。そして両者を分けるのは、困難の大きさそのものではない、というものです。
ハーバード大学の研究チームなどが指摘しているのは、シンプルにこの一点です。*1
そばに、安心できる大人がいたかどうか。
同じ大変さでも、頼れる人がいて「大丈夫だよ」と支えてもらえる子と、たった一人でその大変さと向き合わなければならない子とでは、その後の育ちがまったく違ってくる。そう考えられています。
*2
つまり、困難の量をゼロにできたかどうかは、じつはそこまで重要ではないのです。
子どもを守っていたのは、いつも「つながり」だった
ここまでの話をひと言でまとめると、こうなります。
子どもを守るのは、苦労のなさではなく、「安心できる関係」だった。
大変な状況を取り除いてあげられたかどうかより、その中で「あなたのそばにいようとしたかどうか」の方が、ずっと大きな意味を持つということです。
そう考えると、こんなふうに悩んでいる時点で、あなたはもう十分にやれています。子どものことを気にかけて、これでいいのかと立ち止まって考える。それ自体が、子どもにとっての「つながり」の一部だからです。▼ あわせて読みたい
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とはいえ、ひとりで抱え込みすぎなくていい
でも、もしいま、あなたに頼れる人が誰もいない、ずっとひとりで抱え込んでいる、という状態が続いているなら、それは子どもの問題である前に、まず親であるあなた自身が助けを必要としているサインです。
そんなときは、我慢せず、誰かに頼ってみてください。それも、子どもを守ることの一部です。
今日からできる、小さな「つながり直し」
大きなことをする必要はありません。忙しい毎日の中でも、できることはあります。
今日からできる、3つの小さなこと1出来事そのものより、「どう感じたか」を聞いてみる(「大変だったね」の一言で十分です)2寝る前の5分だけ、今日あったことを一緒に振り返る3「頑張ったね」より先に、「一緒にいるよ」と伝える
どれも、特別な時間や余裕がなくてもできることばかりです。
***
苦労をなくしてあげられなかった。そう感じている方も多いと思います。
でも、子どもを支えていたのは、いつも苦労のなさではなく、そばにいようとしたあなた自身でした。
今日も、それで十分です。
FAQ(よくある質問)
Q. 近くに頼れる人がいません。それでも「安心できる関係」は作れますか?
A. 大人が何人もいる必要はありません。研究でも、子どもの支えになるのは「安定して味方でいてくれる大人が一人いること」だとされています。それは家族でなくても、あなた自身でも構いません。まずは、あなたと子どもの間の関係を大切にすることから始めれば十分です。
Q. 忙しくて、毎日子どもの気持ちをじっくり聞く時間がありません。それでも大丈夫ですか?
A. 毎日でなくて大丈夫です。
大事なのは時間の長さではなく、「気にかけている」というサインが子どもに伝わることです。「大変だったね」のひと言や、寝る前の数分でも、積み重なれば十分な「つながり」になります。
Q. すでに大変な思いをたくさんさせてしまった過去があります。今からでも遅くないですか?
A. 遅すぎるということはありません。子どもとの関係は、その時々でやり直すことができます。過去にできなかったことを悔やむより、「今日からできる小さなこと」に目を向けてもらえたらと思います。
(参考)
*1 National Scientific Council on the Developing Child (2005/2014)|Excessive Stress Disrupts the Architecture of the Developing Brain: Working Paper No. 3. Center on the Developing Child, Harvard University.
*2 Center on the Developing Child, Harvard University (2015)|InBrief: The Science of Resilience.
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