自主練しないからチームメイトとの差が縮まらない、イライラするけど高いスクール代を払い、サポートし続けるべきなのか問題

サカイク
チーム内で最下位の技能センスのなさ。少しでもチームメイトに近づければとスクールにも通い週6でサッカーしているのに、一向に上達せず周囲との差も縮まらない。

上手くなりたいと言うけど気持ちが感じられないし出来なさ加減にイライラするが、このまま高いスクール代払い続けて見守れば変わるの?と悩むお母さんからのご相談。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、質問にお答えします。
(構成・文:島沢優子)

自主練しないからチームメイトとの差が縮まらない、イライラするけど高いスクール代を払い、サポートし続けるべきなのか問題
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

<サッカーママからのご相談>

5年生の息子はチーム内で最下位の出場機会、最下位の技能センスの無さです。

スタメンになれとは思いませんが、少しでもチームメイトに近づければとスクールにも通っており、土日の試合を含めると週6でサッカーをしています。

が、本人はスクールは楽しむだけ。自主練はしない。
そのため一向に上達せず、チームメイトとの差も縮みません。

見ている限り上達したい気持ちが感じられません。しかし、本人に聞くと上手くなりたい、試合に出たいと言ってます。

息子を応援したい気持ち、上達して欲しい気持ちでスクールにも通わせていますが、できなさ加減に練習や試合を見てるとイライラしたり悲しくなったりしてきます。

やる気のある練習、プレーが見られないためスクールは辞めた方がいいんじゃないかと考えてしまいます。上達は諦めてチームの練習だけにした方がお互い気持ち的にも身体的にもいいんじゃないかと思ったりもします。

いつも親は見守るだけとアドバイスされていますが、口だけで行動練習に真剣に取り組まない息子を見守るだけでいいのでしょうか。

高いスクール代を払い、私や妹弟の時間を割いて見守り、あたたかい言葉をかければ、変わってくるのでしょうか?アドバイスお願いします。


<島沢さんからの回答>

ご相談ありがとうございます。

息子さんに対しなかなか厳しい言葉を並べましたね。お母さんははっきりモノをおっしゃっていて、非常にアグレッシブな方のようです。

「チーム内で最下位の出場機会、最下位の技能センスの無さ」
「一向に上達せず、チームメイトとの差も縮みません」

読んでいて、他人であるこちらは胸が苦しくなるほどですが、親としてお金もかけて、時間も割いているのにやる気が見られないのはイライラすることでしょう。

アドバイスお願いします、の上の4行(いつも親は~から)に、憤まんやる方ない気持ちがにじみ出ています。とはいえ、感情的になっても何も解決しません。いくつかお伝えがあります。アドバイスではないので、あくまでも参考にしてください。


■ハードな生活でも自分で時間を見つけて自主練するような意欲を持てる子に「ある」もの


最初に「いつも親は見守るだけとアドバイスされていますが、口だけで行動練習に真剣に取り組まない息子を見守るだけでいいのでしょうか」の質問に答えます。

この連載のどこを読まれたのはわかりませんが、「親は見守るだけとアドバイス」したケースは子どもが練習に真剣に取り組んでいたでしょうか。恐らくそうではないので、親御さんたちはイライラして私にメールしたのだと思います。つまり、お母さんと同じような状況です。

まずは息子さんとサッカーについて整理してみましょう。ご相談文に「土日の試合を含めると週6でサッカーをしています。が、本人はスクールは楽しむだけ。自主練はしない」とあります。


これを読んで思ったのは、週6日サッカーをしていて、いつ自主練する時間がるんだろう?ということです。小学5年生で学校の勉強もあって、友達とも遊びたいことと思います。

無論、ハードな生活でも自分で時間を見つけて家でリフティングをするとか、そういった姿を望んでいるのでしょうか?実はそういった意欲を持てる子は、生活に「余白(余裕)」があることが多いです。時間の余裕、親御さんから過剰な期待もない。心理的安全性が確保されています。

心理的に安全な状態とは、例えばレギュラーでなかったとしても、お母さんやお父さんは不機嫌にならない。スクールに通っているのに上達しないと「いくらお金や時間をかけてると思ってるの?」と皮肉を言われたり、言葉にしないまでもため息をついたり不機嫌だったりする。そういった事が無い状態です。


■時間的余白があると「もっとサッカーがやりたい」と自分からやりだす


それとは逆で、週に2、3日程度しかサッカーをする機会がない子どもは時間的な余白があります。もっとサッカーやりたい!と思って自分からやり出します。そのうえで、親御さんが「サッカーなんて楽しいならそれで十分」と見守れる。目の前の結果を急いでいない。子どもを見るこころに余裕がある。

そのような家庭の子どものほうが、サッカーが楽しくてたまらないのでずっとボールをさわっています。

もう、お気づきでしょう。つまり、お母さんたちが息子さんのために良かれと思ってやっていることが、悪循環なのです。
私にも身に覚えがあります。だからこそ以下のことをお伝えしたいのです。

■多くの子は親の顔色をうかがうもの。言葉をまともに受けてはいけない


お母さんは「口だけだ」と言いますが、お子さんは、お母さんを喜ばせたくて、あるいは見捨てられることを恐れて「サッカーを頑張る」と言ってないでしょうか。子どもの口から出た言葉をまともに受けてはいけません。

多くの子どもは親の顔色をうかがっています。僕がレギュラーじゃないから、お母さんは嫌なんじゃないか。上手くならないことを怒ってるんじゃないか。不安が募るので、言葉で「もっとやる」「もっと頑張る」と言うのではないでしょうか。


やったほうがいいのは、息子さんの気持ちを尋ねることです。 「今のチーム、君にはレベルが高すぎるんじゃない?もっと試合に出られそうなチームにお引越しする?」とか、「サッカー、楽しめてる?ほかのことをやってもいいんだよ」と言ってあげられませんか。

お母さんはもしかしたら小さいころから優秀で、親御さんが子育ての苦労が報われると実感するような子どもだったかもしれません。叱咤激励されて、頑張ったのでしょう。しかし、目の前の息子さんは彼の個性があります。成長の速度、向き不向きもあります。

■上達を諦めるかどうかは子ども自身が決めること。親の役目は楽しく幸せに成長するのをサポートすること


ご相談メールに「上達は諦めてチームの練習だけにした方が、お互い気持ち的にも身体的にもいい」とありますが、上達を諦めるかどうかはお子さん自身が決めることです。

それに「お互い気持ち的にも」とありますが、なぜ親が子どもと対等になってしまうのでしょう。お母さんはあくまでも保護者です。人材にお金や時間をかけて投資する「投資家」ではありません。

息子さんが楽しく幸せに成長するようサポートする。それがお母さんの役目ではありませんか?わが子の出来栄えを評価したり、道を判断するのではなく、ただ、そこにゆるっと寄り添っていればいいのです。お子さんのしたいようにさせてあげましょう。

私のまわりの親たち、取材で会った親たち、ぐるっと見渡すと、そうしてきた人たちがわが子を素敵な大人に育てています。

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■わが子の活躍する姿を見れない親より、見せられない子どもの方が苦痛が大きい


自主練しないからチームメイトとの差が縮まらない、イライラするけど高いスクール代を払い、サポートし続けるべきなのか問題
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

実は、お母さんは試合に出られなかったり、活躍できない息子さんを見守ることが苦痛なのではありませんか?しかし、活躍する姿を見ることができない親の苦痛よりも、姿を見せられない子どもの苦痛がどんなに大きいことか。そこを考えてみませんか?

自主練しないからチームメイトとの差が縮まらない、イライラするけど高いスクール代を払い、サポートし続けるべきなのか問題

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)

ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。新著は「ファジアーノ岡山「地熱」の奇跡 親会社なき市民クラブがどうやってJ1昇格を遂げたか 」(竹書房)

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