(Photo by INHEELS)皆さんは、「アース・オーバーシュート・デイ」という日を知っているだろうか? 今年は先月、8月8日。 アース・オーバーシュート・デイは、人の資源の消費量が地球が1月1日から12月31日までに生産できる資源量を上回った日。 つまり、まだ今年の4分の3も終わっていないのに、私達は1年分の資源を使い切ってしまったことになる。 8月9日からは地球の「原資」つまり未来から借りる形で借金生活に突入したということだ。 つまり月収が20万円なのに何故か家賃30万円の表参道のアパートに住んでいるような状態。 ある程度貯金はあるのでしばらくは生きていけるけれど、貯金はいずれ底をつく。 更に、なんとか月収アップを図れば30万円のアパートに住み続けることはできるかもしれないけれど、画期的なテクノロジーの進展がない限り地球が生産出来る資源量を増やす事はできない。 簡単に信じてはいけない「地球に優しい企業」(Photo by Polska Zielona Sieć)こんな「地球が危ない」トークを聞いて、皆さんはどう思うだろうか? 罪悪感、無力感、もうわかったよという辟易感。 「行動力」と「エネルギー」のある方はよし、ではなんとかしなければ!と思うかもしれないが、正直個人の力は地球規模から見れば小さすぎる。 そこで登場するのが「企業の力」。 企業の取り組みは個人よりもずっと大きなインパクトが出せる上、企業イメージの向上にもつなげられるため近年は盛んに行われている。 かくいうワタシもエシカル(倫理的)やサステナブル(持続可能)をテーマにしたファッションブランド「INHEELS」を経営中。 難しい事を考えずに「企業がいい」と言っているプロジェクトに相乗りすればいい事ができる、しかもインパクトもあると思いたいが、やはり「考えなくていい」わけにはどうも行かないようだ。 というのは、企業のプロジェクトも玉石混合だから。 ●環境負荷を減らそうと思っている企業●売上向上のためのイメージアップ策の色が濃い企業●環境負荷軽減と売上向上がうまくリンクしている企業●一部のいいことを大々的に宣伝する事によって他の事業の良くない点から目をそらそうとする企業 などなど。 様々なレベルの企業の「環境保護」や「社会貢献」が入り交じる中、頼りになるのは自分の知識と価値観。 そこで、迷ったときのお役立ちワードを2つ紹介したいと思う。 「言葉」が、「認識」を作る。 ① エシカルウォッシュ(Photo by Devon Buchanan)グリーンウォッシュという言葉は聞いた事があるだろうか? 「地球に優しい」などとうたい上辺だけの環境対策を行い、消費者に誤解を与えるような訴求を行っている商品や企業の事を言う。 最近は「エシカル」という言葉が環境志向の高い消費者の注目を集めている事もあり、内実がないのにも関わらずこの言葉を掲げることを「エシカルウォッシュ」と呼ぶ。 ② 具体性の罠(Photo by Arthur Mark Palphramand)別名「手段の目的化」「自己目的化」とも呼ばれる。 ある目的があってそれを達成するための具体的な手段があるのだが、どこかで当初の目的を忘れてしまい、具体的な手段自体が目的化してしまうこと。 そうすると不思議と、当初の目的とは相反する結果になってしまうことがある。 少しわかりにくいので例をあげると、ファッションによる環境負荷を減らすため(当初の目的)、従来のコットンではなくオーガニックコットンを使う(具体的な手段)とする。 しかし途中からオーガニックコットンを使うこと自体が目的になってしまい、どれだけたくさんのオーガニックコットンを使ったかが成功の指標になってしまうということだ。 その先には、埋め立て地で朽ちていくたくさんの無駄なオーガニックコットンの服が待っているだけかもしれない。 また、資源消費を減らすためだったはずのエコバッグを無駄に大量生産してしまうのも「具体性の罠」といえる。 (因みにもっと身近な例だと、手段であるはずの結婚がいつのまにか目的化してしまう(!)というのもある。) その商品は、そのプロジェクトは「エシカルウォッシュ」ではないか? 「具体性の罠」にハマっていないか? 企業の宣伝文句を「1から10」まで鵜呑みにする人はいないと思うが、それと同じように環境保護やエシカルアピールにも一瞬立ち止まって考える。 その上で個々人の価値観と照らし合わせ、納得出来たり応援したいと思った企業の商品を購入したりプロジェクトをサポートできれば素晴らしいことではないだろうか。 Written by Yuka Okada INHEELS(インヒールズ)とは?ロンドンと東京に拠点を置くエシカルファッションブランド。 “who said ETHICAL is not SEXY?” をテーマに、セクシーでありながら媚びることのない、スタイリッシュなデザインを追求しています。 服を着た方の毎日が彩り豊かになることを、イメージしながら。それぞれの人生に思いを馳せながら。 INHEELSが考えるエシカルファッションは、フェアトレード、サステイナブル素材、アップサイクル素材、マルチユースデザイン等を積極的に活用し、ファッションによる環境や社会へのダメージをなるべく抑えること。また、服が作られた過程もその魅力のひとつとして紹介すること。 ウェブサイトはこちら。 INHEELSの初店舗が下北沢にオープン! 詳しくはこちら。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“「捨てるが正義」をやめるべき理由。|【連載2】INHEELS岡田の「リアル・エシカル」” 「ミニマルな生活を目指して、ゴミ袋20袋分捨てました! 」ものを捨てることへのハードルが下がっている。むしろ奨励されている。いったいいつから、捨てる... ーBe inspired!
2016年09月13日