元NHKキャスター、現在は国立大学法人長崎大学准教授 博士(総合社会文化)、スピーチコンサルタント。信頼と成功を得る「正統派スピーチ」指導の第一人者。 専門は、心理学、スピーチ・コミュニケーション論。著書に『その話し方では軽すぎます!-エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る方法-NHK式7つのルール-』(ダイヤモンド社)など、ベストセラー多数。
ママ友や学校関係、習い事…日常、連絡事項でメールを使うことも多いはず。ママ同士のメールのやり取りも難しいものです。空気を読まずに絵文字を送ってしまって、相手に嫌な思いをさせていることも…。 自分にはそのつもりがなくても、対面でのやりとりとは異なるメールは、まずは送信前にひと呼吸置いて、確認することを心がけましょう。 『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』 (SBクリエイティブ)の著者であり、長崎大学准教授の矢野香さんに、スマートなメールやSNSづかいのコツを教えていただきました。 お話をうかがったのは… 矢野香(やの・かおり)さん 元NHKキャスター、現在は国立大学法人長崎大学准教授、スピーチコンサルタント。専門は、心理学、スピーチ・コミュニケーション論。著書に『その話し方では軽すぎます!-エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る方法-NHK式7つのルール-』(ダイヤモンド社)など、ベストセラー多数。 ■メールが地雷に! 言い回しやノリではどうする? ――仲のよい友だちとのやりとりならいいのですが、顔が見えないぶん、子ども関係のママ友たちとのメールは、どんなテンションで臨めばいいのか悩むことが多いです。 矢野香さん(以下、矢野さん):メールやSNSのやり取りで、「この人にはどんなノリで送ればいいのか」と迷うことは多いですよね。 はじめにつまづきやすいのが、この「ノリ」なんです。最初でつまづくと、あとで挽回するのは難しいものです。 こちらはそこまで親しくないつもりでいたのに、いきなり「ヤッホー」なんてこられて、ちょっと引いた…なんて経験はありませんか? どこまでフランクにしたらいいか、それとも敬語で貫くか。言い回しやコミュニケーションに悩む人は多いものです。とくに、途中で参加したグループのラインなどは、空気感がつかみにくいものですよね。 そこで、まず「言葉づかい」はまわりに合わせてみましょう。心理学では「ペーシング」というのですが、相手と息を合わせることです。対面なら、同じ速さで話したり、声の大きさやトーンを同じにそろえることですね。 同じノリの「言葉づかい」でやり取りをすることで、相手に安心感を与え、仲間であることを暗示できる効果があります。 たとえば、先方が短い一文のメールを送ってくるタイプなら、自分も短く、簡潔な文章で返すといいですね。これも相手に合わせるペーシングです。また、同じ種類のスタンプを使うのも、相手に無意識で親近感を感じさせます。 ――グループラインでは、ほかの人につける「敬称」にも悩みます。友だち同士ならいつもと同じでいいのですが、そこまで親しくない場合はまわりの人と同じにしていいのか…。「なに、図々しい」と思われないかな、なんて…。 矢野さん:ほかの人がAさんのことを「Aちゃん」と呼んでいて、自分もそう呼ぼうかどうしようか…なんて迷いますよね。 そんなときは、「私もAちゃんと呼んでもいいですか?」と聞きましょう。勝手に、いきなり「Aちゃん」と呼ぶと、相手はどんな印象を抱くかわかりません。こう聞かれて「嫌だよ」と答える人はいないと思いますが(笑)、一度聞いてクッションをはさむことで、相手にはその人のていねいさや誠実な印象が残ります。 メールで迷ったら「確認」すること。対面なら相手の表情や空気感から察知することができますが、顔が見えないメールでは、見切り発車は地雷を踏んでしまう危険性が高いものです。 「まあ、いいか」と、日常では当たり前のことも当たり前にしないことが、SNSのコミュニケーションではとても大切。しかも、メールはあとまで残ります。より一層の注意を心がけたいですね。 ■「できるママ」を演出する、読点+改行でメール美人に ――メールで相手に好印象を残すコツはありますか? 矢野さん:メールは、目で読むものです。そこで、視覚の効果を利用することで、送信者の株も大きく上げることができるんです。たとえば、次の2件のメールを見て見ましょう。どちらも同じ内容です。 「明日の委員会は18時からPTA会議室で行います。秋の運動会のPTA競技と各係を決めます。事前に配布した資料を持参してください。遅刻の場合は、事前に○○までご連絡ください」 「明日の委員会は、18時からPTA会議室で行います。 秋の運動会のPTA競技と各係を決めます。 事前に配布した資料を持参してください。 遅刻の場合は、事前に○○までご連絡ください」 読点を一カ所入れただけですが、どちらが読みやすいかは一目瞭然ですね。さらに後者は、改行することでいちばん大切な時間と場所、目的が強調されています。 基本的に、連絡事項などのメールはシンプルに、端的にまとめることを心がけましょう。文字によるコミュニケーションは、視覚に訴えることも必要です。うまく活用すると、自分が伝えたいことを間違いなく、しかも、しっかりと伝えることができるのです。 これなら、相手に大事なポイントを読み飛ばされることも防げるし、「○○さんのメールはわかりやすい」と好印象を与えることもできるでしょう。 よく、おしゃべりをそのまま文章にしたような、だらだらとやたら長いメールを送ってくる人がいます。 読んだあと、「結局なにが言いたいんだろう…」とこちらが疲れてしまうケースです。これでは、その人からメールが届いたら「ああ、またあの人からのメールだ」とうんざりしますよね。 メールはとくに「わかりやすさ」が肝心です。「今、自分はどんなことを伝えたいのか」を明確にしたうえで書きましょう。自分が好印象を抱いている人のメールを参考にするのもいいですね! たかがメール、されどメール。何度も読み返すことができて、しかもあとまで残ることを考えると、おろそかにはできません。さっそく、自分のメールを見直してみませんか? 参考図書: 『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』 (SBクリエイティブ) 元NHKのキャスターであり、スピーチコンサルタント、コミュニケーションに関わる心理学の研究者として活躍中の著者が、「人に好かれる」伝え方のコツを伝授。ビジネスはもちろん、ママ社会にも役立つ目からうろこのテクニックが満載の一冊。
2019年06月26日PTAやママ友、地域のつながりや子どもの習い事、さらには夫の仕事関係まで……。ママを取り巻くさまざまなコミュニティで、摩擦を少なく、自分も心地よくおつき合いをするのはなかなか大変なこと。 『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』 (SBクリエイティブ)の著者であり、長崎大学准教授の矢野香さんに、ママのおつき合いをもっとらくにする「伝え方」のコツを教えていただきます! お話をうかがったのは… 矢野香(やの・かおり)さん 元NHKキャスター、現在は国立大学法人長崎大学准教授、スピーチコンサルタント。専門は、心理学、スピーチ・コミュニケーション論。著書に『その話し方では軽すぎます!-エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る方法-NHK式7つのルール-』(ダイヤモンド社)など、ベストセラー多数。 ■「そんなつもりじゃなかったのに…」誤解の理由は「役割のはき違い」 ――そんなつもりではなかったのに、相手に誤解を招いてしまう…ママ友とのやりとりでそんな悩みをよく耳にしますが、これを打開するにはどうしたらいいのでしょう? 矢野香さん(以下、矢野さん):人と話す場面では、「この場で今、自分はどんな役割で話をするのか」をまず意識してみましょう。 たとえば、学校の保護者会で、委員として連絡事項をほかの保護者に伝えるケース、ママ友とのランチでのおしゃべり、夫の仕事関係の人と挨拶を交わす場面…。 自分がなにかを伝えなくてはならないシチュエーションによって、さまざまな異なる立場に立つわけですよね。 クラスの委員としての立場だったら、その場が自分に求めているのは「委員からの話」ですよね。ですから、その役割に徹すればいいのです。その場を和ませようと、よけいな話を盛りこむと「その話はいいから、肝心の要件を早く話して」と思う人もいるかもしれません。 また、ママ友同士のランチなら、今は「聞き役」なのか「話し手」なのか。「自分は今、どういう役割で話をするべきか」を考え、さまざまな立場で話すことを意識してみてください。 空気を感じとり、自分が今求められている役割を察知するカを磨きましょう。そのためには、まわりをよく観察することも大切です。 自分の役割をはっきりさせると、伝えるべきこともきちんと見えてきます。「あの人の話は、明確でわかりやすい」「あの人は話しやすい」という印象を与えることができるんですね。 ■覚えてもらえる「自己紹介」、チェックしたい「話し方」 ――子どもの学校関係など、ママのおつき合いでは意外と「はじめまして」の場面が多いものです。自己紹介で好印象を与えるコツはありますか? 矢野さん:自己紹介をしても、名前をなかなか覚えてもらえない…。そんなお悩みもよく耳にします。 そこで、名前に加えて、自分が大事にしていることを「セット」にして伝えてみましょう。好きな言葉でもかまいません。さらに、その内容が相手にとってメリットを与えることであれば、バッチリです! たとえば、「山田瑛子です」と「山田瑛子です。スイーツが大好きです。駅前界隈のスイーツにはくわしいです」という自己紹介。一文加えるだけで、「私と一緒!」と思った人がより親近感を抱いてくれるでしょう。「今度、あの人を誘ってケーキを食べに行ってみようかな」なんて、思い出してもらいやすいですよね。 では、こちらはどうでしょうか。「山田瑛子です。マラソンをやっていたので体力には自信があります」。これなら、秋の運動会の保護者の競技に誘いやすいかもしれません。 ――ほんのひと言を加えるのですね。 矢野さん:そうです。短めに、でも印象に残るように。自己紹介がやたら長い人は、聞き手もうんざりしますよね(笑)。話の長い人という印象が残ってしまうのは避けたいですね。 名前とセットにする内容は突飛なものは避けて、シンプルなことにするのがコツ。そのほうが大勢の人に受け入れられやすいし、覚えてもらいやすいからです。得意なことや好きなこと、座右の銘などでもいいでしょう。 ちなみに、心理学の用語で『初頭効果』というものがあります。これは、先に提示される情報のほうが、人の印象に大きな影響を及ぼすという理論です。 自己紹介として最初に提示された情報は、その後のあなたの印象を左右することを覚えておいてくださいね。 ――でも…自分の話し方って、ほかの人からどんなふうに思われているかわかりづらいものです。 矢野さん:そんなときは、一度自分が話している姿を、録画してみてください。これはアナウンサーも行っているトレーニング法の一部です。 これをあとから見ると、「私って、語尾をのばすクセがあるな」「言葉の合間にすぐ『えー』をはさんでいる…」など、自覚がなかった面がたくさん発見できると思います。改善点がすぐに発見できる、おすすめの方法ですよ! もうひとつ、手っ取り早く自分の話し方を知りたいのなら、信頼できるママ友の力を借りましょう。もし、正直になんでも話し合えるママ友がいるのなら、自分のふだんの話し方について感想を聞いてみるのです。客観的な意見は、とても参考になります。 自分が思っていることを、スムーズに相手に伝えたい。そんな思いを抱えているなら、今すぐ試してみましょう! 次回は、地雷を踏みがちなメールでのやりとりについて、心がけたいことを教えていただきます。 参考図書: 『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』 (SBクリエイティブ) 元NHKのキャスターであり、スピーチコンサルタント、コミュニケーションに関わる心理学の研究者として活躍中の著者が、「人に好かれる」伝え方のコツを伝授。ビジネスはもちろん、ママ社会にも役立つ目からうろこのテクニックが満載の一冊。
2019年06月25日PTAやママ友、子どもの習い事や地域のおつき合い…。ママにもさまざまなおつき合いがあります。 学生時代の友だちとは異なり、年齢や過ごしてきた環境もさまざまな人の中で、できるだけ気持ちよくおつき合いをするヒントは、ちょっとした会話や言葉づかいにあるのです。 『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』 (SBクリエイティブ)の著者であり、長崎大学准教授の矢野香さんに、ママのおつき合いをスムーズにする「話し方」のコツをうかがいます! お話をうかがったのは… 矢野香(やの・かおり)さん 元NHKキャスター、現在は国立大学法人長崎大学准教授、スピーチコンサルタント。専門は、心理学、スピーチ・コミュニケーション論。著書に『その話し方では軽すぎます!-エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る方法-NHK式7つのルール-』(ダイヤモンド社)など、ベストセラー多数。 ■ひらがな1文字で分かれる、「残念な人」と「友だちになりたい人」 ――ママのコミュニケーションで、知らずにやってしまいがちな「あるある」失敗とはどんなものでしょう? 矢野香さん(以下、矢野さん):本人はきちんと話しているつもりなのでしょうが、聞いているこちらが「ん?」と思ってしまうような…そんな話し方ってありますよね。 たとえば、そこまで親しくないママ友たちと、みんなでお茶を飲みにお店に入ったとしましょう。メニューを決めるときに「私はコーヒー『が』いいです」と「私はコーヒー『で』いいです」と言う人。どちらが良い印象ですか? ――うーん、「コーヒーがいいです」のほうが、なんとなく素直に聞こえます。 矢野さん:そうですよね。「コーヒー『で』いいです」では、なんだか「なんでもいいけど、とりあえずそれでいいかな」といった、おざなりな印象があります。 対して「コーヒー『が』いいです」はきちんと自分で考えて決めたという意志や積極性が感じられますよね。 たった1文字のちがいなのですが、意外と相手に与える印象は大きく、相手も知らないうちに「この人は、こういう人なんだな」と思っていくものなのです。 ――「まずい、言っていたかも…」とドキッとした人は多いかもしれません。 矢野さん:何気なく発しているひと言は、本人は全然気にしていないかもしれませんが、聞いている側の印象には残りますよね。 その場ではお互い気にせず聞き流したとしても、相手の心には知らないうちにインプットされているかも…そう考えると、大きな1文字です。 また、どこかにみんなで集まることになった時。「行『け』ますか?」という聞き方と、「行『き』ますか?」とでは、どちらが良いでしょう? おすすめは「行『け』ますか?」です。 「行『け』ますか?」は、行けるか行けないかの“可能性”を確認していますよね。相手の都合を思いやった聞き方です。 でも、「行『き』ますか?」では、行くのか行かないのかの“意志”を暗に確認しているんです。ですから、ちょっと強制されているような、威圧感が感じられるんですね。 「行きますか?」と聞かれたら「行けません」と断りづらいもの。しかし、「行けますか?」なら「今回は行けないんです。すみません」と断りやすいですよね。 こんなふうに、たった1文字で相手に与える“気遣い”の印象が変わってきます。そこから「この人、なんだか感じがいい人だな」と思ってもらうことができる。おつき合いのすべてに使える、ちょっとしたコツですよ! ■人間関係に角が立つ! 語尾の「余計な1文字」 ――わかりやすい! ちょっと意識するだけで、相手への印象が変わりますね。 矢野さん:そうなんです。相手に自分をよく見せようとするのではなく、日ごろから「こう言ったら相手はどう思うか」を意識すれば、自然と言葉の選び方がブラッシュアップされてくるんですね。 もうひとつ、残念な話し方をご紹介しましょう。これも、ついやってしまいがちな例です。 会話で相手の印象に残りやすいのは、「語尾」なんです。余韻として残るんですね。 たとえば「はい、そうで『す』というべきところを、「はい、そうです『が』…」と、語尾に1文字プラスしてしまう言い方。これを“言いさし”と呼びます。 ――いるいる! そういう話し方をする人は多く見かけますよね。 矢野さん:もし心当たりがあるなら、今すぐやめることをおすすめします。 最後まで言い切らない表現は、相手に「なにか不満でも?」と思われる危険性が高いのです。言いさしは使わず、語尾や文末を明確に伝えれば、相手が余計なモヤモヤを抱くこともありません。 基本は、短い文で結論を伝えることを意識しましょう。たとえば、子どもの学校関係で、なにか委員を決めるとき。「じゃあ、私がやってもいいです『が』…」ではなく「じゃあ、私がやってもいいで『す』」で、スッキリ。これなら、聞いている側も気持ちよく「ありがとう!」と言えますよね。 ただ、言いさしも使い方次第では良い効果もあります。ときには、言い切らないことで控えめな態度を表す効果もあるのです。 たとえば、どこかに遅れそうなときを想像してみてください。「少々遅れます」と「少々遅れそうでして…」とでは、後者の方が謙虚さが感じられますよね。 相手に迷惑をかけそうなのに「少々遅れます」と言い切ってしまうと、「なに開き直ってるの?」という印象を相手に与えかねません。でも「少々遅れそうでして…」と語尾をあえて濁すことで「申し訳ありませんが…」という気持ちを醸し出すことができます。 これは上級テクニック。言いづらいことを言わなくてはならないときに、相手に与える印象をコントロールすることができます。 日常、何気なく話している言葉ですが、相手の心に与える影響は想像以上。とくに、「友達未満」の関係には気を遣いたいものです。 ほんの1、2文字ですが、ここに気を配れる人は、きっとママ友関係もスムーズにこなせるでしょう。 自分も相手ももっと心地よくなれるなら、ふだんの言葉づかいをちょっと振り返ってみませんか? 次回は、ママの「伝え方」についてお話をうかがいます! 参考図書: 『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』 (SBクリエイティブ) 元NHKのキャスターであり、スピーチコンサルタント、コミュニケーションに関わる心理学の研究者として活躍中の著者が、「人に好かれる」伝え方のコツを伝授。ビジネスはもちろん、ママ社会にも役立つ目からうろこのテクニックが満載の一冊。
2019年06月24日