くらし情報『兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (1) "漫画を描かない漫画家志望"がデビューするまで』

2015年3月3日 12:00

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (1) "漫画を描かない漫画家志望"がデビューするまで

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (1) "漫画を描かない漫画家志望"がデビューするまで
はじめまして、漫画家のカレー沢薫と申す者です。

と名乗った所で誰も知らないので、あらためて自己紹介させてもらう。漫画家兼会社員生活6年目、「売れたら会社を辞める」が目標だったが、最近では「会社を辞めなくて本当に良かった」が口癖の、まあ木っ端作家である。そんな華やかじゃない方の漫画家の生活を華のない文章でつづるのが当コラムだ。

○漫画家をめざしたきっかけ

絵を描くことは幼少のころから好きだったが、小学二年生の時に読んださくらももこ氏の代表作「ちびまるこちゃん」の単行本に収録された「作者が漫画家になるまでのエッセイ漫画」を読んで、初めて漫画家という職業を意識し、目指すようになったと思う。

その後一貫して「漫画家になりたい」と言い続けてきたが、恐ろしいことにそれから約20年間、私は1回も漫画を最後まで書き上げたことがなかった。漫画家になりたい、と言いながら、キャラクターの設定だけ凝りに凝った漫画の冒頭2ページだけを描いたり、末期になると自分の作品は一切書かず、ひたすら既存のアニメやゲームのキャラクターのキメ顔ばかり書いていた、親に高い金を出させ、美術系専門学校に通わせてもらったにも関わらずである。

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