2016年4月5日 12:35
東大、肺線維症の原因タンパク質の働きを阻害する核酸医薬を開発
東京大学(東大)は4月5日、肺線維症治療に向けた核酸医薬を開発したと発表した。
同成果は、東京大学大学院 理学系研究科生物科学専攻 博士課程3年 加藤一希氏(研究当時)、西増弘志助教、石谷隆一郎准教授、濡木理教授、リボミック 池田寿子氏、中村義一氏、東北大学 青木淳賢教授らの研究グループによるもので、4月4日付けの英国科学誌「Nature Structural & Molecular Biology」オンライン版に掲載された。
肺線維症は、肺組織の線維化によって引き起こされ、発症すると呼吸困難などを伴う重篤な疾患だが、いまだ有効な治療法は確立されていない。肺線維症の原因タンパク質であるとされている「ATX」は、血中に存在するタンパク質であり、リゾホスファチジルコリンという脂質を分解しリゾホスファチジン酸を産生する。ATXが過剰に働き、リゾホスファチジン酸が大量につくられると臓器の線維化を引き起こすことが知られている。
そこで今回、同研究グループは、肺線維症の治療を目的としてATX阻害剤の開発研究を実施。まず、核酸分子が塩基配列によってさまざまな形をとる性質(可塑性)に着目し、核酸リガンド(アプタマー)