【エンタメCOBS】ニッチな趣味のススメ!? ビルの換気口を見る“換気口鑑賞団”
みなさんは建物を見るときにまずどこを見ますか。デザインですか。環境との調和ですか。「私は建物を見るとき、換気口しか見てません」というのは前川ヤスさん。2007年に立ち上げた「換気口鑑賞団」と題したブログは、そのユーモアあふれる視点がテレビ番組『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系列)などにも取り上げられ、好評を博したようです。趣味といえる趣味がないなあ、と嘆く人は必見?これからは換気口鑑賞が趣味になっちゃうかもしれません。前川さんにお話を聞きました。
――いい趣味だなあという気がします。
「約3年前、電車の中から何気なく外の景色を眺めていたところ、ビルの壁面にポツポツと張り付く換気口が気になりだし、一度気になるとやたら目に入るようになったというのがきっかけです。例えば『初対面の異性の身体、まずどこを見る?』と聞かれた際、みなさんだって『目』とか『手』とか言うじゃありませんか。それとほぼ同様の趣旨で、つい目がいってしまうのが換気口なのです」(前川さん)
なるほど、気になり出すと止まらないタイプですね。ではいったい換気口のどんなところを見ているのでしょうか。前川さんのブログによれば、鑑賞時に重視するポイントは6項目あるそうです。
■形(Shape)
■量(Quantity)
■配置(Layout)
■色(Color)
■可視性(Visibility)
■わびさび(Rustiness)
詳しくは前川さんのブログをご参照ください
「英語頭文字をとって、『シャクレカビラ(Sh、Qu、Lay、Co、Vi、Ru)と覚えましょう』とは前川さん。ははあ、これはすごいですね。一発で覚えました。
では具体的にどんな換気口がいいのでしょうか。前川さんのベスト3を選んでもらいました。
No.1
「三面を囲まれた換気口が天に上っていく様はまるで宇宙」
No.2
「ここまで幻想的な換気口は唯一無二。ティム・バートンが映画化しそう」
No.3
「換気口のメッカ新横浜のランドマークともいえる物件。棟方志功のような力強さ」
――ほほお。個人的にはNo.2の天に吸い込まれていくような様がいいと思いました。
「換気口は昆虫採集に似ています。ダムだとか、工場だとかは、そこにあることがわかっていて見に行くものですが、換気口はあのへんにありそうかな、と当たりをつけて探しに行きます。
その結果、期待した府中とか北千住にはあまりなく、あまり期待していなかった武蔵小山あたりに結構いい物件があったりといった意外性が楽しめることになります。あのへんの森でカブト虫いるはずなんだけどいないなあ、みたいな感じです」
――なるほど、偶然の出会いを楽しむのも換気口鑑賞のコツですね。
「換気口は本来建物の裏側に設置されていることが多いのですが、隣の建物が取り壊されたりすることでそれが表に出てきます。一方、これまで見えていた換気口に建物ができて見えなくなることもあります。一度散策した場所もしばらくして再訪すると様子が変わっていて、今日ある換気口が明日あるとは限らないというのもひとつの楽しみです。そもそも換気口を設置する人も、ビルを壊そうとする人も、建てようとする人も、携わる人は誰も“換気口を美しく見せたい”とは思っていません。その無意識から生まれる換気口の配列に美を見出す。それが醍醐味ではないでしょうか」
――ありがとうございました。
前川さんのブログはその他、換気口の種類(丸型、U型、角ボタン型、等々)の解説から、良い換気口を見つけるためのポイント(エリア、周辺環境、交通手段)まで、さまざまな角度から鑑賞時の楽しみ方を掘り下げています。「換気口は換気するとこでしょ」なんて言ってるだけでは、もったいなく思えてくるかもしれません。興味のわいた方はぜひチェックしてみてください。
(根岸達朗/プレスラボ)
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ふむ、役立てたいものですよね