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【エンタメCOBS】行政か民間か? これだけ違う救助費用にかかるお金

マイナビニュース
雪が溶け新緑の季節になると、大自然の空気を吸いに山登りに出かる人も多いでしょう。しかし、相手は自然。道迷い、滑落、転倒と予期せぬ事態に遭遇してしまうこともあります。万が一遭難してしまったら……。救助にかかる費用を考えてみました。

■遭難原因で最も多いのが「道迷い」!
山岳の遭難は、ピッケルやザイルを使う登山者だけに起こり得るものではありません。警察庁が発表した「山岳遭難の概況(平成22年)」によれば、遭難原因で最も多かったのが「道迷い」の40.5%。

また、入山した目的は「登山」に次いで、「山菜・キノコ取り」が25.2%を占めています。
また、都道府県別遭難発生件数は、東京都が長野県、北海道に次いで全国第3位。地名が身近であっても、どんなところにも危険は潜んでいるものです。

■遭難するとどうなるの?
万が一山で遭難したら、当事者が携帯や無線(アマチュア無線)を使って、または家族が捜索願を出して、警察や消防に救助を要請します。要請を受けた警察は事故の規模に応じ、山岳警備隊や行政ヘリコプターを出動させ救助に当たります。ただし必要な人員やヘリコプターがいつも確保できるとは限りません。

警察や消防などの公的機関で人員が確保できない場合は、山岳遭難対策協議会や山小屋の人など山の知識・経験が豊富な民間の人に協力を仰ぎ、合同で救助に当たります。また行政のヘリコプターが点検や別件での出動によって使えない場合は、民間のヘリコプターをチャーターすることになります。

ちなみに民間に救助を要請する時には、家族等の了解を取りますが、緊急を要する場合は例外の場合もあるようです。


■行政か民間で救助費用が100万円異なる場合も!?
一つの遭難事故が起きると、最低7~8人の人員が必要と言われています。警察や消防の人ですべて構成されていれば費用はかかりませんが、民間の救助隊に協力を要請した場合は費用が発生します。

「地域や団体によって異なりますが、一人1日約1万円。それに時間外手当、危険手当、搬送手当などが加わると一人1日約3万円~4万円程度になることもあります(岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会)」

またこれに、行政用でなく、民間ヘリコプターがチャーターされると1時間フライトで約50万円。それに付随するもろもろの費用や救助隊の日当を含めると100万円を超えるケースもあると言われています。不幸中の幸い、警察や消防だけが出動したら請求される救助費用はゼロ、一方民間にも協力を要請した場合は100万円を超える費用が請求されるかもしれません。

■リスク処理はロジカルに考える
「遭難したら、行政だけが出動することを祈る…」。こういう気持ちにさせられてしまいそうですが、これではあまりにも運まかせと言わざるを得ません。


この場合のリスクコントロール法として有効なのは、「リスクの回避」と「リスクの制御」。「リスク回避」とはリスクを生じさせないようにすること、「リスク制御」とは発生頻度を軽減させるか、損失規模を軽減させることです。

山岳遭難のケースに当てはめると
「リスク回避」⇒リスクを生じさせないようにする⇒・山に立ち入らない
「リスク制御」(1)⇒発生頻度を軽減させる⇒・必要な装備を携えて山に行く
「リスク制御」(2)⇒損失規模を軽減⇒・「山岳保険」や「レスキュー費用保険」のような保険を検討する

とても当たり前のことですが、私たちはリスクを感情的に解釈してしまうことがあります。目の前にあるリスクに対し、どういうロジックで処理するのか、自分のケースに最適な対処法を選ぶ習慣を身に付けてみてはいかがでしょう。

(文/森眞奈美)

■執筆者プロフィール
森眞奈美(もりまなみ)
サンダーバード国際経営大学院にて国際経営学修士号取得後、米国系再保険会社に入社。
退社後ライター業をしながら、AFPを取得。現在は「保険」「クレジットカード・電子マネー」「ライフプランニング」などマネーに関するコラムを雑誌やWebで執筆中。

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