産む、産まない? 女の人生の正しい選択とは? 話題の脳科学者、黒川伊保子さんに聞く
20代後半から30代、ちょうどウーマンエキサイトの読者世代の悩みで最も多いのが、今後の人生の選択について。
仕事も軌道にのってきて、決定権も与えられるように。これから先、もっとがんばれば役職もつくかもしれない。でも、女に生まれたからには子供も欲しい…。とはいえ、仕事をストップしてまた元の職場で同じように働けるのか、それとも夢を諦めなければいけないのか…。
そんな、悩める女子たちにむけて、人工知能の研究者として男性社会で働きながら、一児の息子を立派に育て上げた黒川伊保子さんにメッセージをいただきました。
女の人生、すべてを手に入れることも可能なのです。以下、母性に溢れ優しく包み込まれるような黒川さんの言葉たちが、心の詰まりをポロッと取りのぞいてくれます。
■子供が、新たな人生を切り開いてくれる男性社会の中で働く当時の私にとって、「仕事をしながら、結婚と出産を経験すること」、それは「仕事をしながら、ご飯を食べて寝ること」と同じくらい自然なことでした。
惚れた男がいて、別々に帰りたくないから一緒に暮らすようになった。彼と二人で、仕事とスキューバダイビングに夢中な5年間を過ごし、ある日ふと、海風に吹かれながら、ここにちっちゃな仲間がいたら素敵だなと思って、子どもを産む決心をしました。
■それは、30歳のとき同期が課長昇進試験の準備に入ったところで、傍から見れば課長昇進と出産との天秤だったわけですが、私にしてみれば、子どもを持つ好奇心に較べたら、課長昇進なんて些細なことでした。
そんなの後からだって全然かまわないし、子どもが、もっと別の素晴らしい人生をもたらしてくれるような予感がしていました。その通りでしたよ。
子どものことばの発達が、私に研究のインスピレーションをくれて、それを論文に書いたことで、審査委員長だった鶴見俊輔氏の目に留まり、本を出すに至ったのです。