マッサンとリタ。本から探る、強く優しい女性の生き方
日本の壁を超えようとしたリタまた、リタはもともと病弱で、繊細な心の持ち主でした。そんな彼女が、どのように日本での困難を乗り越えてきたのか?
ドラマでは「渡る世間は鬼ばかり」のあの人が大いに鬼姑ぶりを発揮していましたが、あれは何も竹鶴家に限らず当時の日本は長男の嫁に対して非常に封建的なところがありました。
そんな日本の時代背景と、当時リタを支えていた人々、リタの心の葛藤を客観的に描いているのが
『リタの鐘が鳴る』(早瀬利之著)です。
『リタの鐘が鳴る』早瀬利之著 朝日文庫 ¥600(税抜)
本の中では取材に基づいて、当時リタを知る人たちの証言やリタの写真が出てきます。そのため本当の素顔が見えてくるという点でも、この本はオススメです。
まだ日本では恋愛結婚は一般的ではなかった時代に、異国の花嫁 リタがどうやって周囲の人々の偏見をはね返す努力をしてきたか。着物を着て、漬け物や和食を作り、一生懸命日本人になろうとしていたリタ。それは並大抵の苦労ではなかったことがわかります。
夫の夢をあきらめさせない、支えるチカラウィスキー作りの夢に向かいながらも、何度も挫折しそうになるマッサンを、リタはどうやって支えてきたのでしょうか。『リタの鐘が鳴る』では、その叱咤激励ぶりが、当時を知る人々の証言からも浮かび上がってきます。
夫が仕事を失った時も、家庭教師などをしながら地道に家庭を支えていたこと。そして夫が窮地に立たされている時も、陰ながら支援を取り付ける努力をしてきたこと。事実、マッサンの独立時に支援者となったのは、リタが家庭教師をしていたのが縁でつながった人々でした。