連載記事:法律で切るママトラブル

9,500万円の賠償も。子どもが乗る自転車が歩行者にぶつかったら?(法律で切るママトラブル Vol.1)


子どもにヘルメットを被らせなかった場合の罰則は?

ママチャリに乗っている大人は、ヘルメットを被っていませんよね。自転車でヘルメットを被っている大人と言えば、本気のロードサイクルなどに乗っている人と、ガスなどの点検の方くらいでしょうか。

そもそも道路交通法は、大人に対してヘルメットを被るよう義務付けているわけではないので、大人がヘルメットを被っていなくても法律上問題はありません。では、子どもの場合はどうでしょうか?

道路交通法63条の11は、保護者に対して、13歳未満の子どもにヘルメットを被らせるよう努めなければならないと定めています。これは、あくまで努力義務なので、子どもにヘルメットを被らせなかったからといって、違法となるわけでもないですし、罰則があるわけでもありません。

しかし、ヘルメットを被らせず自転車でコケてしまった場合の危険性は言わずもがな。普段から子どもを自転車に乗せる人は、ヘルメットを購入して子どもの頭を守ってあげましょう。自治体によっては、子ども用ヘルメットを購入する際、購入費の一部を補助してくれるところもありますので、確認してみてください。


子どもが自転車事故を起こしたら?

大人が自転車事故を起こして、歩行者をケガさせた場合、歩行者から治療費や慰謝料について損害賠償請求をされることがあります。また、事故を起こした運転者が危険な運転をしていた場合には、重過失致傷罪(刑法211条)に問われ、5年以下の懲役または禁錮、100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

小さな子どもが自転車事故を起こした場合、子ども自身に対して損害賠償請求をすることはできません(民法712条)。この場合、子どもの親に対して、損害賠償請求をすることになります。親としては、監督義務を果たしたことを立証しない限り、子どものやったことについて責任を負わなければなりません。

実際、小学5年生だった少年がマウンテンバイクで歩行者にぶつかり、その方が意識不明の状態になってしまったという事故について、昨年7月、神戸地方裁判所が少年の母親に対して、9,500万円の支払いを命じる判決を下し、話題となりました。現在、2審の大阪高裁で争われているところですが、決して他人事とは思えず、高裁での判断が気になるところです。

一方、13歳までの子どもがやったことが犯罪にならないというのは、先ほど述べたとおりなので、刑事処罰の対象となることはありません。



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