秋の夜長にオススメ、心をいやす絵本でストレス女子を卒業!
■『ルリユールおじさん』(講談社)
大事にしていた植物図鑑がこわれてしまい、途方にくれて街を歩きまわるソフィーは、やがてルリユール(製本職人)という職業のおじさんに出会います。
ちょっとぶっきらぼうで、でも心から本を愛し大事につくりあげるルリユールおじさんは、ソフィーの本を直しながら、とても大切なことを教えてくれるのです。
製本作業のひとつひとつの工程や静かな夜半の工房が、まるでミニシアターの映画のよう。職人らしく不愛想でガンコなルリユールおじさんの、短くてもあたたかい言葉が、じんわり心に染みます。
■『アンドゥ』(リトル・モア)
人気料理家の高山なおみが物語を手がけた仕かけ絵本。絵本を開くと、ページが縦半分にわかれており、左右交互にページをめくっていきます。
連続する日常のなかで、ほんの少しずつ成長する女性の等身大の心が淡々とつづられており、いそがしい日々の合間に落としてきた、小さな大切なものを見なおす気持ちになれそう。紙の質にもこだわったアーティスティックな1冊です。
■『ぶどう酒びんのふしぎな旅』(講談社)
主人公はなんとビンの「かけら」。たくさんの経験を積みかさねて、いまは鳥が水を飲みにくるだけのビンの「かけら」が、過去を振りかえる形で物語は進みます。
もとは高級なぶどう酒のビンだった「かけら」が、幾人もの手にわたりながら世界中を旅して、さまざまな場面に遭遇します。
人生のはなやかな場面にも悲しみに満ちた場面にも、ただそこにあったぶどう酒のビン。
酸いも甘いも経験した大人が読んで共感できる本です。
原作はアンデルセン。影絵作家、藤城清治が手がけた影絵が、幻想的な世界をつくりあげています。