今回の「やさしいママのヒミツ」は
馬狩まどかさん。石狩平野に位置する北海道の町で暮らす、フォロワー数7.9万人を越える人気インスタグラマー。2人の女の子のママです。
自身で少しずつ手を加えた素敵なインテリアや、季節の行事を大切にする暮らしをインスタグラムで更新し、雑誌で連載を持つほど、その生活が注目されています。
馬狩まどか さん
娘さん:楓(ふう)ちゃん(7歳)、玲(れい)ちゃん(4歳)
インスタグラマー。北海道在住。自らDIYした、センスのいいインテリアや、丁寧な暮らしを投稿するインスタグラムが好評で、フォロワー数は7.9万人を越える。雑誌『Come home!』(主婦と生活社)にて連載中。
『みんなの家事日記』(翔泳社)にも参加。夫と娘2人の4人で暮らす。
Instagram:
@mumakari
週3日働きつつ、家仕事や子育てにも丁寧に向き合う馬狩さん。
居心地の良い家を保つコツや、
子育てにおいて心がけていることなど、たっぷりお話を伺いました。
それぞれ「2人きりの時間」を作る
まずは馬狩さんの平日における、1日のスケジュールを見てみましょう。
5:00 : 起床。身支度、掃除、朝食と玲ちゃんのお弁当づくり
6:00 : 楓ちゃんと旦那さんが起床
6:30 : 朝食
7:00 : 旦那さん出勤
7:15 : 楓ちゃんの勉強を見る
7:40 : 楓ちゃん登校、玲ちゃん起床・朝食
8:40 : 玲ちゃんを保育園に送る。そのまま出勤
10:00: 仕事
18:00: 帰宅、晩ごはんづくり
18:30: 夕食 片付け
20:00: お風呂
21:00: 子どもたちと一緒に就寝
昨年の夏から、
週3回 働き始めたという馬狩さん。仕事をしていなかった頃と比べて、お子さんたちとの向き合い方に少し変化があったといいます。
「“仕事があるから時間がない”と思っていたら、『子どもたちと一緒にいるときはいろいろな話をしよう』と気をつけるようになりました。生活の中で、長女は朝の勉強の時間、次女は長女が登校してから、それぞれに
向き合える時間があるので、2人きりにならないとできないような話をゆっくりと聞いています。
寝る前はそれぞれ絵本を2冊ずつ読むのですが、長女は疲れてすぐに寝てしまうので、お昼寝をしていてなかなか寝ない次女との時間がまた生まれます。それぞれが、
私との時間を大切だと思ってくれていたらいいですね」
甘えん坊でお母さんにべったりだという長女、楓ちゃんと、集中すると一人でも大丈夫という、しっかり者の次女の玲ちゃん。性格は
対照的なのだそう。
お手伝いが大好きな楓ちゃん。コーヒーも上手に淹れてくれます。
「次女は放っておけるタイプなのですが、それに甘えてはいけないと思いますね。お姉ちゃんは真面目で、妹の見本になってくれるし、ちゃんと妹と遊んでくれるので、すごく助けられています。2人になってからさらにお姉ちゃんになってくれたので、子育てはすごく楽になりました。赤ちゃん返りもせず、自分がお姉ちゃんになることが嬉しくて、妹の面倒を見てくれたり、健気に手伝ってくれましたね」
仕事を始めるようになり、馬狩さんが新たに導入したのが
「to do リスト」。
家族、楓ちゃん、玲ちゃん、とそれぞれについての「to do リスト」を明確化。
「学校のことで『うっかりして忘れていた!』ということが続いたことがあり、自分ひとりでするのはやめようと思いました。学校のプリントは、娘に穴を開けてもらってバインダーに挟んでおいてもらう。私はそれをチェックしてプリント用のファイルに綴じる、という風に分業するようにしました。書いておけば夫も見てくれるかもしれないと、子ども部屋に『to do リスト』も作りました。私が“ダメ”だとアピールして、
家族を巻き込むようにしています」
馬狩さんの、心地のいい家のつくり方
馬狩さんの家には、真似をしたくなるようなアイデアがたくさん。
雑誌での連載が、インテリアを変えるきっかけにもなっているのだそう。
シックなトーンの子ども部屋。色を塗ったベニヤを壁に貼って仕上げたそう。
「雑誌の連載では私がやりたいことを全部やらせてもらっているので、幸せですね。最近変えたのは子ども部屋。4畳半しかないので、子どもの成長に合わせて、こまめに変えていこうと思っています。
以前はリビングで遊んだり宿題をしていたのですが、『お客さんが来るから片付けて』と言わなくてはいけないのが心苦しくて、新たに机を置きました。壁付けにしていた小さな机はあまり使わなくなってきていたので、思い切って外しました。
以前の子ども部屋。壁付けのデスクもかわいい。
作ったものを撤去することはもう慣れましたね(笑)。子どものものはどんどん変えていかないと、使いにくくなったらかわいそうなので。DIY初期に作ったままごとキッチンも、もうおままごとをしないのに『私が頑張って作ったから』と置いておくには大きすぎるし、子どもたちには関係ないと思うんです。
何かを諦めないとすっきり気持ちよく暮らすのは難しいし、新しいものを気に入ってくれたら、私は満足です」
子ども部屋の収納棚は、馬狩さんのお母さまが勤めていた幼稚園が閉園するときに譲り受けたもの。板を貼ってリメイクしています。
「収納は基本的に、子どもたちが
自分で片付けができるよう、動線や置く場所を考えています。どうしてもおもちゃが増えてくるので、“ここだけ”という小さな入れものを決めていて、『新しいおもちゃが来たら、どれかさよならしないとダメだね』と話しています。
次から次へと増やすことを当たり前だと思ってほしくないと思っていますね。
棚の2段目のボックスにはハンカチなど、登校に必要なものが入っていて、準備は2人とも自分で。シェーカーボックスには子どもたちには触れられたくない、大事なものを入れているそう。
私自身がそうなのですが、捨てなきゃいけないと思うと、買うときにすごく慎重になるんですよね。雑貨も欲しいものは、小さなものでも本当に欲しいか、どうしても必要か
年単位で悩むんです。だからあまり増やさないようになりました。2階が物置になっているので収納スペースはあるのですが、だからといってものを増やしていくと大変になってしまいますよね。
使わないものは手放す、それを娘たちも少しずつわかってくれたらいいかなと思います」
お風呂の前には、家族それぞれの下着が入った、動線を考えた収納に。
また馬狩さんは、空間に余裕のある、
見せる収納やディスプレイがとても上手。まるでインテリアショップのようです。
「一度、好きなものを全部置いてから、写真に撮って間引くようにしています。写真で見ると、やりすぎたとか足りなかったと、
客観的に見ることができるんですよね。使わないものはストックしておいて、また違う季節に変えて出したりしています」
子どもたちには日頃から「きれいだと気持ちがよいね」と言い聞かせ、
片付ける習慣をつけているのだとか。
「お姉ちゃんがちゃんと片付けているので、次女も自分もするのが当然だと思ってくれていますね。もし出しっぱなしになっていたとしても、私が勝手にやるのではなく
本人に片付けさせるようにしています。私の母がきちっとしていて、片付けもしっかりしているのを見せてくれていたので、私もずぼらながらもそうしたいなと。人が急に来ても慌わてなくてもいいように、いつもきれいな状態で気持ちよく家を保つ。娘たちも自然とそうなってくれたらいいですね」
台所に置かれた食器棚。ラックに入れられた食器やトレイは見た目もすっきり。
どこも完璧に整っているように見えますが、今後の課題は
キッチンなのだそう。
「食器棚の収納は、私は使いやすいのですが、子どもたちは使いづらいんですよね。
お手伝いの頻度が増えてきて、お休みの日はいろいろとやってもらうのですが、手伝ってもらうからにはやりやすくないと嫌になってしまうので、取りやすいように変えていきたいです」
世界を広げてくれたDIY
自己流で始めたという
DIY。馬狩さんがインスタグラムを始めたのは、そんなDIYがきっかけだったのだそう。
「家を少しずついじり始めましたが、夫が全くインテリアに興味がなく、なかなか変化に気づいてもらえないんです。基本的に反対せずに好きにやらせてもらっているのですが、他の人から見たらどう映るんだろうと気になって、インスタグラムを始めました。子どもが小さく、周りにお友達もいなかったので、インスタグラムを通して見てもらって、反応してもらえたらすごく嬉しくて」
最初のDIYは、唯一ご主人に頼んで作ってもらったという「キッチンカウンター」。裏は冷蔵庫とレンジの台に。ここからインテリアの方向性が決まっていったそう。
インテリアから小物、子どもたちのおもちゃまで、なんでもつくる馬狩さん。
「雑誌やインスタグラムで好きなインテリアを見たり、お店でも素敵だなと思ったら、どこかに取り入れたいなとネタをストックしています。材料はほとんどホームセンターで。解体するときに端材が出て、もったいないなと思ったので、基本的には古いものに少し手を加えて、
既存のものを活かして作ることが多いです。
1から作るときは、使わなくなったときにほかに何かに使えるかを考えてから作るようになりました。これまで一番大変だったのは、リビングの天井に漆喰を塗ったこと。もうきっとやらないと思うほど、大変でした(笑)」
もともと手芸も木工技術もすごく苦手だったというから驚きです。
楓ちゃんのためにつくった家型の時計。朝の身支度がひと目でわかる優れもの。
「実家の家族は驚いていますね。結婚前は学校の先生をしていたのですが、障害を持つお子さんたちと勉強したいと、大学に1年戻ったんです。そのときに市販のものではなく、木を使って積み木を作って、
ものづくりの楽しさに気がつきました。ここは築23年の中古住宅なのですが、父がむき出しだった建材にクロスを貼ってくれて、それを見て一緒にやるうちに “これなら失敗しても大丈夫そう” と思えたのもきっかけになりましたね。
長女が生まれてから、自分でやってみるうちに、どんどん面白くなっていきました。北欧系のシンプルなインテリアと、好きなテイストはずっと変わっていないのですが、色の好みは気分で変わるので、ときどき変えています」
そんな馬狩さんが手がけたDIYで、一番気に入っているというのが
寝室。
「DIYの楽しさを教えてくれた父が、唯一褒めてくれた場所なんです。もともとはガレージだった場所。ここも娘たちの成長に合わせて、そろそろ変えなきゃいけないなと考えています」
チアダンスを習い始めた楓ちゃんと、元気いっぱいに踊る玲ちゃん。プロジェクターを設置して、お休みの日などの寝る前に、映画を観るのが家族の楽しみ。
フォロワー数がたくさん増えても、生活は何も変わっていないという馬狩さん。
「インスタをしていなければ、絶対に知り合えなかった人たちと交流ができたことは、すごく良かったです。同じ趣味で繋がって、日頃のやりとりがあるので、初めて会った気がしないのは面白いですよね。
ドウダンツツジの枝に、大学の頃の友人である作家の
@toivoa(トイヴォア)さんによるヒンメリ作品がたくさん飾られているリビング。
“いいね”を押してもらえるのはもちろん励みになるのですが、私もいろいろな方のブログを見て参考にさせてもらっているので、コメントをもらえるのが嬉しいです。インスタグラムは、自分の好きなことをして、それに対してリアクションをしてもらえる場。自分のペースで続けて、繋がりが広がればそれだけで幸せです。
子どもたちは『いっぱいお手伝いしたら、褒めてくれる人がたくさんいる』と受け止めていて、それが嬉しいみたい。子育ても、会ったことはない、たくさんの人に見守ってもらっているという感覚は、今の時代ならではですね」
母から娘へ受け継ぐ、家族の味
そんな馬狩さんの食卓に欠かせないのが、
手作りの味噌。毎年10キロ仕込む手前味噌は、今年で10年目になるそう。
「味噌作りは、以前の教え子のお母さまから教わりました。大豆の食感を残したいので、潰すのは全体の3分の1にして、あえて豆を残し、食べる味噌という感じにしています。子どもたちにペースト状になるまで踏んで潰してもらっているので、遊びの延長で楽しんでくれています。できるだけ毎朝、味噌汁を飲んでもらいたいと思って作っています。
母は漬けものを漬けるのが得意で、1種類ずつ教わっているのですが全然同じようにできなくて。『数をこなさないとできるようにならない』と言われて修行中です。そのほか
『寒こうじ』は保存がきいて、肉を漬けると柔らかくおいしくなるので、麹やもち米が余っているときは保存して使うようにしています」
馬狩さんのお宅のまわりは農家さんが多く、食材も豊か。
「この辺りでは白菜やキャベツを作っている方が多く、雪の下で貯蔵して、掘り出してから出荷するのですが、その前段階のものを秋口になると沢山いただきます。お義母さんも玉ねぎを作っています。傷まないように野菜を干したり、トマトは冷凍したりソースにしたり、そういう保存の文化があるんですよね。
おばあちゃんが作っている野菜、お母さんと作っている味噌、そういうものが片隅に残ってくれたらいいですし、娘たちも作りたいと思ってくれるといいなと思います」