夫を捨てたい。いくたはなが本音でつづる壊れかけた夫婦の風景
『夫を捨てたい』いくたはな著(祥伝社)
幸せになるために結婚したはずが、ときに静かに音を立てて崩れていく夫婦関係。
壊れやすく修復が難しい夫婦関係には、“崩壊のスイッチ”が押される瞬間が必ず存在します。
夫婦ふたりがどのようにして危機を迎えていくのか?
そんな夫婦のすれ違いプロセスを妻視点から生々しく描かれているのが、
いくたはなさんの新刊
『夫を捨てたい』(祥伝社)です。
一生を誓い合ったはずの
「夫を愛せなくなる妻」とそんなことなどつゆ知らず
「変わろうとしない夫」。
夫婦として何に間違い、どんな大切な物事を見過ごしていたのか、現在と過去を行き来しながら男女2人の物語が進行していきます。
本作は男女の食い違いにはがゆさを噛み締めながら、夫婦生活でときに感じるざらりとした感情に向き合いつつ、夫婦として暮らすうえでの心構えがあらためて学べる1冊です。
■好きで結婚したはずなのに。こうして妻の心は離れていく…
主人公の「はな」は、学生時代から交際していた現在の夫と社会人3年目に妊娠を機に結婚。
「この人となら幸せになれる」と信じ、夫とは永遠の愛を誓い合ったはずが、現実は幸せからどんどん遠のく生活が待ち受けていたのでした。
正社員で産休をとり、1人目の育児に追われるはなに対して、子どもが生まれても以前と変わらぬペースで飲み会に出席し、生活スタイルを変えない夫。
職場ではまだ若手である夫の立場を理解し寛容に受け止めていたものの、心の中ではいつしか口にしない不満が蓄積していきます。
そんなある日の朝、はなは夫から「明日は息子を見るからゆっくりしておいで」とうれしい提案を受けます。
喜びで気分が舞い上がったはなは、ワクワクしながら行きたいお店を調べたり、夫のために息子のおもりセットを作ったり、明日のために抜かりなく準備を進めていくのでした。
しかし、その晩夫は飲み会から帰宅することはなく…。
結局夫が帰ってきたのは朝の8時。しかもひどい二日酔いで息子をお世話できる状態ではありませんでした。
『夫を捨てたい』より
言葉にしていなかった小さな不満がじわじわと心を侵食し、ゆっくりと…でも確実に、夫から気持ちが離れていくことを実感していくはな。
『夫を捨てたい』より
『夫を捨てたい』より
いつしか怒りは無関心に変わり、夫のどこが好きだったのかさえ思い出せなくなるほどに愛はみるみるしぼんでいくのでした。