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普段から食べているものを多めに備えておくことで、地震や台風などの非常時にも役立てるというローリングストックの重要性が高まっています。しかし、いざやるとなると
賞味期限や在庫の管理が大変で失敗したという声もちらほら。
そこで新しい食料ストック法として注目されているのが、誰でも手間なくスタートしやすい
「コンテナストック」です。
『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊) 高荷智也 著
今回は、備え・防災アドバイザーで
『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊)の著書の中でコンテナストックを提唱している
高荷智也(たかに ともや)さんに、
コンテナストックの具体的なやり方について伺いました。
「コンテナストック」の中にはどんな食料を入れる?
前編記事「『もしも』と『いつも』に使えて無駄にしない! 失敗しない食材備蓄の方法って?」でも紹介したようにコンテナストックは、普段からストックしている缶詰やレトルト食品、インスタント食品やお菓子などを
種類に関係なく1箱に詰めて、それを10箱ほど作り、1か月で1箱消費していくという
「箱」単位の食料ストック方法です。
『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊) 高荷智也 著
『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊) 高荷智也 著
「なかに詰める食品は、
賞味期限が大体1年以上で、
そのまま食べられるものか、カセットコンロがあれば食べられるものであれば何でもOK。どれだけ種類があっても大丈夫です。いろいろな食料を1箱に詰め、それを
1か月で消費していきます。
最初の1週間ですべて空にしてしまってもいいし、徐々に食べてもいいし、とにかく
1か月かけて1箱を空にすることだけを考えます。
『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊) 高荷智也 著
そうすれば、ローリングストックのように缶詰なら缶詰で賞味期限の近いものから消費し、なくなりそうになったら補充するという
“単品ごと”の在庫管理が不要になるので、たくさん種類があっても
ひとつひとつの賞味期限を気にすることなく、ラクに大量の食料を長期ストックできるんです」(高荷さん)
コンテナストックの箱の大きさはどのくらい?
では、箱の大きさはどのくらいのものにすればいいのでしょうか。じつは、
1箱の大きさは各家庭によって異なります。というのも、
家の中でストック置き場がどのくらい確保できるかによって変わってくるからです。
「たとえば押入れ全部をストック置き場にできるのであれば、
そのスペースを10分割した面積が1箱の大きさとなります。逆にカラーボックスくらいしかスペースがとれないということなら、
そこを10分割して巾着袋や100円均一のケースを10個にしてもいいんです。
とにかく、
用意できるスペース=我が家のストックの上限ということ。
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大前提として最低3日分、できれば1週間分の「非常用のストック」(
前編でご紹介した「行動食」「避難食」)は、マストでやって欲しいのですが、
【それ以上のストック「日常備蓄」がどれだけ必要か】というのは、各ご家庭の状況により異なるので、まずは
スペースから逆算して考えると無理のない範囲で始められて、継続することができます。
『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊) 高荷智也 著
高荷さんの著書『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊)
Amazonページ >>)では、コンテナストックを始め、“家族と自分が生き延びるための防災備蓄メソッド”がわかりやすく紹介されている。
非常用も兼ねた
「日常備蓄」は、
ストック“すべき量”という考え方ではなく、ストック“できる量”で決めることが長続きのポイントになるんです」(高荷さん)
箱を用意したらまず何をするべき?
スペースを確保して1箱の大きさが決まったら、
あとは入れる食料を特売日などで買って詰めるだけ。最初から10箱すべて用意しなくてもいいので、10箱揃った段階で1か月1箱消費をスタートしましょう。
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「箱を用意したら最初に
優先的に赤ちゃんやアレルギーのある方、ペット、介護が必要な方などが避難所にいってももらえないものを準備してください。食料以外には、
カセットコンロとガスボンベも別で忘れずにストックしておきましょう。
それさえ注意すれば、あとは基本的に賞味期限が1年以上のものであれば、
なんでも好きに入れてOKです。ポイントは、特売の激安品だけで構成しないこと。たとえばパスタソースでもプレミアムなものとかありますよね。そういうちょっといいもの、テンションが上がるものを1~2品入れておくと義務感ではなく楽しく続けられますよ」(高荷さん)
一番大切なのは無理なく続けること!
ストック置き場として新しくスペースを作ることができないという場合は、
キッチンを見直してみるのもひとつ。お茶漬けの素やカップスープなどをなんとなくごちゃっと入れている棚など、ありませんか? そういった場所を一度見直して、10分割してみてもいいかもしれません。
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「コンテナストックは
極力手間とお金をかけず、日常のライフスタイルの中でやれる範囲ではじめてみることが大切です。災害は明日来るかもしれないので早くはじめるに越したことはありませんが、防災対策で一番重要なのは
“長距離走であること”。1日だけ瞬間的に用意しなきゃ! と焦ってやる気を出しても、1か月後にストックがなくなっていたのでは意味がありません。死ぬまで続ける必要があるんです。
わたし自身がたくさん失敗しながらやってきましたが、防災対策は始めるのは簡単だけれど
継続するのが難しいので、できるだけラクに手抜きでスタートしましょう。コンテナストックはやり方のひとつなので、自分にあったスタイルで続けてみてくださいね」(高荷さん)
取材・文:佐々木彩子
取材協力:合同会社ソナエルワークス
子どもを救う防災