過ちを犯した夫の償いはいつ終わる? 専門家の解答とは【悪意のない加害者たち〜中川瑛のお悩み相談 第1話】
被害者にとって許しとは? 2つの意味を考える
被害者の目線からこのような前提を共有しつつ、次はパートナーの方の目線も想像してみたいと思います。
私はGADHAに取り組む中で、不倫に限らず、精神的・経済的DVなど、傷つけられ方はさまざまですが、多くの被害者の方の声も伺ってきました。
その中で、10人ほどの方と「被害者にとって、ゆるしとはなんなのか」と連続的に対話をさせていただいたことがありました。
とても興味深かったのは、人によって「ゆるし」という言葉に持つイメージは広がりがあり、一つに定まるものではなかったことでした。
ですから、これからここに書くことも、質問者のパートナーの方が考えていることを正確に捉えられているかは分かりません。しかし、何かヒントになることを願っています。
まずわかったのは、ゆるしには大きく2つの意味、「許し」と「赦し」があるということです(漢字は便宜的に振っているものです)。
最初の「許し」とは、関係を継続するか否かということです。「私は許さない」という時、その意味は「関係を終了する」という意味になります。別居や離婚、連絡も取らないなどの幅はあれ、とにかく「もう関わりたくない」という意味です。
このような意味では、不倫によって関係が終わる人もいることを考えると、質問者さんはすでに許されています。
子どもとの時間を持つこともできていて、パートナーの方との生活も続いているからです。
もう1つの「赦し」とは、「傷つけられた痛みや苦しみについて考えたり、相手を憎んだり、相手に苦しみ抜いて欲しいといった感情に頭や心や体が支配される時間が減り、自分は幸せになってもいいんだとか、誰かを信じてもいいんだと思える時間が増えること」でした。
「私はあの人を赦せません」というとき、そこで言っていることは「私の傷つきや痛み、怒りは和らぐことなく、いまも苦しく、幸せになれるとか、なっていいとか、思えない」という苦しみの吐露なのです。
裏を返せば、この意味での「赦す」に至ることとは、穏やかで安心できる状況の中で、傷つけられたことが無くなったことには決してならないけれども、それでももう一度自分や周りの人を信じてみたい、幸せになっていいと思える、自分を大切にしたい、そんな感情を持てる時間が少しずつ増えていくことです。
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