コミックエッセイ:夫婦・子育ていまむかし
死刑直前の最期の言葉とは? マリー・アントワネットの真の姿に迫る(後編)【夫婦・子育ていまむかし Vol.28】
ウーマンエキサイトをごらんの皆さん、こんにちは。tomekkoです。
マリー・アントワネットの実像を探る
前編はいかがでしたか?偉大な功績や素晴らしい作品を生み出してる有名人の私生活は意外に酷い…ということはよくあるんですが、逆のパターン、珍しくないですか?少なくともこの連載で取り上げた中では初めてでした。
前編では見知らぬ国に嫁ぎ、慣れないしきたりや貴族同士のしがらみに試行錯誤しながら自分の居場所を模索した彼女を紹介しました。後編では自分らしい王妃としてのあり方を見つけたマリー・アントワネットの様子と、断頭台に上がるまでを見ていきたいと思います。
ていねいな暮らしをする
良い母親だった説!
若い時には賭博やぜいたくなファッションにのめり込んだマリー・アントワネットですが、念願の出産を経験するとガラリ。賭博はスッパリとやめ、当時としては珍しく自分の手元で子育てをする熱心な母親として目覚めます。
また、前国王ルイ15世が愛妾ポンパドゥール夫人のために作った小宮殿プチ・トリアノンを貰い受け、自然豊かな農場や牧場を作り家畜を眺める生活に一変。
ファッションも窮屈に締め上げるコルセットや高々と盛り上げるヘアスタイルから脱却。麦わら帽子にリラックス感たっぷりの緩やかなドレスへと移行していったのです。
なんだか既視感のある読者さんも多いはず。いやご多聞に漏れずワタクシも…。
若い時は流行の盛り髪、ギャルメイクにヒールでキメキメにしてクラブ通いしてたのに30過ぎて子ども産んだら途端に「自然派・オーガニック・無添加」といったワードを使いこなし日々「ていねいな暮らし」のハッシュタグでSNS検索するようになったそこのあなたー!あなたのことですよー!
そう考えると親近感が湧きますね。女性ならある程度経験する心の変化だもん。
若かりし日のトレンドもそうですが、ファッションにおけるマリー・アントワネットの統率力は素晴らしく、フランス人の習慣を大きく変えるきっかけになりました。
産後の体型崩れを隠すドレスデザインの導入のほか、フランス人の衛生観念に影響を与えたのは香り。お風呂に入る習慣が無く動物性のどぎつい香水で臭いを誤魔化していた当時のフランスで、マリー・アントワネットは毎日お風呂に入り、薔薇などの軽くて自然な柔らかい香りを纏うことを好みました。
フランスといえば香水の本場ですが、外国から来た王妃が改革したってちょっと意外。
こういう自分らしいセンスやアイデアがあり、周りと同じかどうかを気にせずに人々を惹きつけていく人って、反面伝統や古い価値観に固執するタイプの人からは反感をもたれてしまいますよね。出る杭は打たれるというやつで…。
自分に戻れる場所で暮らしていたら
宮廷内で孤立してしまうことに…。
プチ・トリアノンはエチケットやしきたりにうるさいヴェルサイユ宮殿の中で唯一見つけた自分だけの居場所、自由空間でした。でもここで少数の気の合う貴族たちとだけ過ごすことがまた貴族間の溝を深め、反発を強める結果となってしまうのです。
実家であるウィーン風に作った「王妃の庭」はパリへの抵抗を感じさせ、お気に入り貴族vsその他の貴族たちの小競り合いは毎日のように起きました。
またここで、有名なフェルゼンとの不倫が始まってしまったことも問題でした。
マリー・アントワネットにとっては自分を守るための行動が、かえって彼女の醜聞を広める結果になってしまったのは切ないですねぇ。