「明日何が起こるか分からない」揺れないという安心を知って…ささやかな幸せを大切にする
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
明日、何が起こるかわからない毎日だから
明日、何が起こるかわからない。何が起こるかわからないということをすっかり忘れ、あたりまえのように日常を送っています。
大地震、台風、ここ数年発生する線状降水帯、思わぬ事故、そして突然政治的な出来事が起こる。
事故に遭うかもしれない。病気で倒れるかもしれない。
地震については、震度5、6も頻繁になり、7月の熊本の地震ではさらに激しく揺れました。
思いもかけない爆発事故も。
また、エクアドル、フィリピン、そして数ヶ月前に訪れたコロンビアでも大地震が起こり、イタリアのエトナ山が噴火、ハワイ島のキラウエアでも溶岩がかなり流れ出ています。
2011年の東北の震災では、東京でも体験したことのない揺れがあり、緊急地震速報のアラームが頻繁に鳴るたびにビクッとしたものでした。
ちょうどあの年の3月末にウィーンに旅行をする計画をしていました。
行くか行かないか悩んだのですが、決めたことはやろうということで、ウィーンに行きました。
そしてつくづく思った。『揺れない』ということが、どれほど安心なことか。
そして現地で行き交った人々がお見舞いの言葉をかけてくれたことも、忘れられない旅の一場面でした。
今年になってから数々の地震、山火事、台風などの災害に見舞われると、あたりまえに送っているこの『日常』の脆弱さを感じずにはいられません。と同時に、『あたりまえ』はあたりまえではないこと。
むしろ奇跡なのだと思うのです。
明日、何が起こるかわからない。次の瞬間も、です。
車を運転しながらそんなことを考えていると、細い緊張の糸が体に張りめぐらされるような感じがしました。
気づくと、いつも以上に丁寧に、注意深く運転していました。自ら災禍を招かないように。
そんなあたりまえのことを、薄氷を重ねるように積み上げていく。
災害には備えるしかないですが、あたりまえだと思っている日常を丁寧に丁寧に過ごしたところに、奇跡としか思えない日常を感じながら過ごせるのではないか。
朝起きて、(今日も生きている)と思う。
夜寝るとき、(今日も無事に過ごせた)と思う。
食事をするときに、ありがたいなあと思う。
日々を過ごす、生きるというのは、自分の命を明日へとつなげていくこと。
その原点に立ってみると、「明日、何が起こるかわからない、だから今を大切にしよう」と前向きな方向へシフトチェンジできるのです。
そして、いま立っている場所で、『自然』と仲良くする。
自然を愛でる。都心にいて、山も海も緑もないところであれば、空を見上げる。雲の流れを追ってみる。
月を見上げる。自然を感じながら過ごす。『自然』とつながっていること。
いま、この瞬間を楽しむ、ありがたく思う。そんなささやかなことを大切に。
明日へと最善の道が与えられるように。小さな祈りを捧げたいと思うのです。
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
※記事中の写真はすべてイメージ
[文/吉元由美構成/grape編集部]